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音楽番組から見る若者のテレビ視聴動向と、配信時代の連ドラ枠の役割2020/08/31

音楽番組から見る若者のテレビ視聴動向と、配信時代の連ドラ枠の役割
月刊TVガイド10月号/東京ニュース通信社刊

 今回は関東52万台超えの東芝レグザ視聴データによる「ライブ率(リアルタイム視聴)」「再生率(タイムシフト視聴)」「延べ再生率(複数回再生をすべてカウントした値)」「総合接触率(ライブ視聴とタイムシフト視聴の合算)」の四つの指標で、番組をひもといていく。初めに、テレビ離れがささやかれる若者の視聴動向を、夏の大型音楽番組を参考に探ってみよう。

音楽番組から見る若者のテレビ視聴動向と、配信時代の連ドラ枠の役割

 まずは、7月18日の「音楽の日2020」(TBS)。中居正広と安住紳一郎アナウンサーが司会を務める夏恒例の長時間音楽特番だが、この日は生放送中に三浦春馬さんの訃報が速報として流れて視聴者も大きなショックを受けた(午後5:24過ぎの中断ニュースの再生率が上がっているのも象徴的だ)。それに伴って大きな注目を浴びたのが、親友・城田優が涙を流しながら「キセキ」を歌い上げた7:12頃のシーン。歌詞が城田の心情に重なり、SNSなどでも話題となったことで、特に延べ再生率が大きな伸びを示し、番組中でも最高の総合接触率を示した。

 そして、特に若者層の支持を集めたのが、延べ再生率が大きな伸びを示した三つのシーン(グラフに赤丸で表示)。7:30半頃の山は、SixTONESとSnow Manの登場シーン。8:00過ぎはKing & Prince。そして、9:00過ぎの山はファンが選ぶディズニーソングメドレーである。この三つのコーナーを多く視聴したのがティーン(男女 13~19歳)とF1(女性 20~34歳)、M1(男性 20~34歳)の若者層である。先ほどの城田の歌唱シーンや、11:00過ぎの嵐と中居の共演シーンなどは、比較的広い層でまんべんなく支持されているが、この三つのコーナーは若者層の支持が顕著だった。特にディズニーメドレーのコーナーは、ライブ視聴でもポイントを伸ばし、番組全体でも2番目に高い総合接触率を獲得した。乃木坂46の生田絵梨花が欠席し、急遽久保史緒里がピンチヒッターで歌ったり、城田がISSAと「リメンバー・ミー」を披露したりと見どころも多かった。

音楽番組から見る若者のテレビ視聴動向と、配信時代の連ドラ枠の役割
音楽番組から見る若者のテレビ視聴動向と、配信時代の連ドラ枠の役割

 続いて6日後の7月24日に放送された「ミュージックステーション 夏の3時間半SP」(テレビ朝日)でも興味深い結果が得られた。人気アーティストが多数出演したこともあり、午後8:00過ぎの嵐の「IN THE SUMMER」あたりから、ずっと高い総合接触率を維持しているが、中でも若者層の圧倒的な支持を得ていたのが、9:00前後、TikTokのカバー動画をきっかけにブレークした瑛人の「香水」テレビ初披露である。総合接触率では、例えばその後の三浦春馬さん「Night Diver」のPVの方が上回っている(特に延べ再生率が群を抜いている)のだが、ティーン、F1、M1層に限れば瑛人への注目が高かった。また7:00台の「もう一度見たいディズニーソングBEST10」のコーナーの再生率が押しなべて高いが、ここの数字を支えているのも若者層だ。ティーン、F1、M1層のディズニー人気は根強いと言える。

音楽番組から見る若者のテレビ視聴動向と、配信時代の連ドラ枠の役割

 もう一つ、8月8日に放送されたNHKの「ライブ・エール(第2部)」についても検証した。GReeeeNの「星影のエール」初披露、内村光良のピアノ披露、三浦春馬さんと番組で共演していたJUJUの「やさしさで溢れるように」、そして松任谷由実とオールスターによる「(みんなで)やさしさに包まれたなら」と話題も多かったが、若者層ではほとんど数字は動いていない。出演陣の年齢層を考えると仕方ないところかもしれない。

 続いて、東芝レグザの視聴データによる合計値(ライブ視聴と録画再生の合算)を使って、4月以降の各ドラマ枠の対応を放送局ごとに分析。そこから配信時代のテレビドラマが果たす新たな役割のヒントを探っていこうと思う。(集計期間:2020年4月6日~8月9日)

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