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「恋する母たち」磯山晶プロデューサーにインタビュー!「いろいろな人生があっていいじゃない!という思いが伝わればいいな」2020/12/11

「奥平くんは映画『MOTHER』のポスタービジュアルを見て感動して、会わせてもらいました。実際お会いして、やはり独特の雰囲気がある子だなーって思ったので出演オファーしました。でも、当初はどの役をやってもらうかは決めてはいなくて。宮世くんは、一目見た時からかわいくて演技も自然だったので、たぶん繁秋かなと思いながらお願いしました。2人が決まった後はずっと研役を探していたのですが、なかなか見つからず…。いっそのこと宮世くんを研役にしようかとか、いろいろなパターンを考えていた時に、最後の最後にオーディションに来たのが藤原くん。彼が入ってきた時にみんな『研がいた! 何だこの天使みたいな子は!』って感動していました」

――運命の出会いですね(笑)。同世代ということもあり仲も良さそうです!

「本当に3人は仲が良くて、一緒にご飯を食べたり買い物に行ったりして過ごしているらしい、という話をそれぞれのお母さん役から聞きます(笑)。木村さんたちも『自分の息子が一番かわいい!』というスタンスで話しているのが面白いです」

「恋する母たち」磯山晶プロデューサーにインタビュー!「いろいろな人生があっていいじゃない!という思いが伝わればいいな」

――役であってもあんなにすてきな息子がいたら自慢したくなっちゃいますね! それでは今作をやろうと思ったきっかけや経緯を教えていただけますでしょうか。

「数年前、編成部にいた私がドラマの原作にできそうな作品を探していた時に、柴門さんが女性セブンで不倫をテーマに連載をすると聞いて興味を持ったのが始まりでした。連載も始まったばかりでどうなるか全く分からなかったのですが、他に取られる前に手を挙げようと思って。昔は、人間の愚かさや間違いを視聴者が突っ込んで楽しむ作品がたくさんありましたが、最近は“誰に恥じるところもない生活をしている人”が主役のドラマが多いので、一つくらいこういう作品があってもいいんじゃないかなとも思って。ただドラマを見てワクワクして『あー面白かった!』ってベッドに入ってくれればいいなと思います」

――確かに“誰に恥じるところもない生活をしている人”が主役の作品はもちろん元気が出ます。でも、ちょっと抜けていたり、ほころびがある人が主役の方がこれぞ人生!という感じがあって、肩肘張らずに楽しめるような気がします。実際、視聴者の反響はどうでしたか?

「正直、放送前はもっとマイナスなことを言われるのではないかと覚悟していたのですが、母の恋がテーマの割にはさっぱりしていると言ってくださる人が多くてよかったです。ドラマ内の恋愛なら不倫を描いてもいいじゃないかと思ってくださるんだなと、安心しました。3人の母たちに共感してくださっている女性もたくさんいます。女性は家庭を維持しないといけないし、現代では収入を得てくる方も多いし、子育てもあるし、そのうえ美しくいてほしいと言われる。負荷が非常に高いと思うんですよね。だからこそ共感してくださる方の声をたくさん聞くと、やっぱり大変なんだなと思うと同時に、よくそんな大変な合間を縫ってドラマを見てくださっているなとありがたく思いました」

――母世代でなくとも女性にとって刺さるセリフや考えさせられることが盛り込まれていて、私自身も共感する部分が多いです。原作はもちろんですが、多くの人が共感できる理由の一つに脚本の素晴らしさもあると思います。あらためて大石さんにお願いした理由と、磯山Pが感じる脚本の魅力もお伺いしたいです。

「現役感はあるけど人生の先輩で数多くの恋愛を見てきていることもあり、引き出しがとにかく多いのが魅力ですね。一つ一つの恋愛に対して客観的な視点を持たれていて、今作の斉木(小泉)、赤坂、丸太郎のキャラクターについても、どういう男だったら“ダメって思っていても恋愛に踏み込んでしまうか”というのをテーマに話しました。大石さんとは『大恋愛〜』の時に初めてご一緒したのですが、いつも打ち合わせが本当に楽しいんですよ」

「恋する母たち」磯山晶プロデューサーにインタビュー!「いろいろな人生があっていいじゃない!という思いが伝わればいいな」

――女子会のような打ち合わせで楽しそうですね。どんなふうに話がまとまったのでしょうか?

「私と大石さんの中では、面白い男が一番格好いい!という結論に達してまして(笑)。それは『大恋愛〜』の時も同じで、戸田恵梨香さん演じる北澤尚が、ムロさん演じる間宮真司と一緒にいて楽しいと思っているうちに、いつの間にか男性としてひかれる流れにするには、真司をどういう男にするべきかをものすごく話し合いました。また、漫画をドラマにする際、2次元と3次元のギャップを埋める作業が必要なのですが、これがとても難しいんです。でも人物観察の引き出しがいっぱいある大石さんだったら、その難しい作業を安心して任せられると思いました」

――魅力的な男性たちを作り上げるためにかなり細かい計算をされているんですね! では、磯山Pが今作を通して伝えたいことはなんでしょうか?

「『好きな人と出会って、紆余(うよ)曲折して告白して、結婚することだけでは人生は終わらない。その先も人生は続くし、生きてる間は精いっぱい生きよう!』でしょうか。ドラマは誰かの人生の一瞬を切り取って見せることで、見た人が触発されて、もっとこういうふうに生きてみようとか、違う明日にしてみようとか、やっぱりこの生活がいいとか思えるような影響を与えられると思っています。でも最終回が来たとしても、作品の中で生きている人たちにはその先の人生があります。今作でも3人の女性の長い人生の中のある時期だけを切り取っていて、もちろん作品の最後はそれぞれにとってベストの終わり方にするつもりですが、そこから先にもまた別れたりくっついたりするかもしれません。何をハッピーエンドとするかは人それぞれですから、いろいろな人生があっていいじゃない!という思いが伝わればいいなと思います」

――作中の石渡家や林家を見て『こういう家族のかたちもありなんだ』と勇気をもらえた人がたくさんいると思いますし、磯山Pの言葉に多くの人が救われると思います! 最後に、最終回に向けての見どころをお願いします!

「柴門さんにも許可をいただいて、原作とは少し違う結末にしようと思っています。私は必ずしも結婚だけが人生最高の形ではないと思って作っているので、結末はどうしようかなとたくさん考えを巡らせました。3人の母たちは自分で自分の人生を決めていく人たちなので、それぞれがちゃんと納得して終わるような形にしようとは思っています。ぜひ最後まで楽しみにご覧ください!」

【あらすじ】12月8日(第8話)

「恋する母たち」磯山晶プロデューサーにインタビュー!「いろいろな人生があっていいじゃない!という思いが伝わればいいな」

 杏と斉木は結婚し、週刊春潮を辞めた斉木は一級建築士を目指し過ごしていた。犬を飼う生活に憧れていた杏は、彼の家で犬と一緒に幸せな新婚生活をスタートさせ、息子の研は、自分の意思で慎吾(渋川清彦)と綾子(夏樹陽子)と一緒に暮らすことに決めました。まりは綾子の会社のストーン・ビューティーのモデルとして、通販番組「お買い物チャンネル」で活躍。イキイキと働くまりに繁樹(玉置玲央)は妻の魅力を再認識しますが、まりの心には丸太郎しかいませんでした。そんなまりは、意を決して丸太郎に衝撃的な提案をします。

 一方、千葉での仕事も順調な優子のもとに、与論島にいるシゲオ(矢作兼)から「大介を題材にした新しい小説を書き始めた」と連絡が入ります。さっそく読んだ優子はうれしさのあまりシゲオに電話をすると、大介とも久々に会話をすることに。ぶっきらぼうながらも正月に会う約束をした2人は、少し距離が縮まっていました。その頃、綾子の会社で働き始めた慎吾にはある変化が。そして、杏と斉木、まりにも新たな転機が訪れ、物語は2020年に…。

【番組情報】

「恋する母たち」
TBS系 
金曜 午後10:00〜10:54

TBS担当 A・M

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