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北村一輝「若い人から、いろいろ吸収していきたいです」――「サヨウナラのその前に」インタビュー2022/03/02

北村一輝「若い人から、いろいろ吸収していきたいです」――「サヨウナラのその前に」インタビュー

 31日後に隕石の衝突によって地球が滅亡してしまう世界を舞台にしたドラマ「サヨウナラのその前に Fantastic 31Days」(日本テレビ系)が、3月1日からスタートしました。

 本作は朝の情報番組「ZIP!」で放送され、月曜から金曜日まで曜日ごとに5人の主人公がリレー形式で物語を紡いでいきます。人は限られた時間に何を考え、どんな行動をしていくのか。年齢も性別も立場も違う5人の揺れ動く感情は必見です。曜日ごとに主人公が切り替わるだけでなく、主人公のうち1人を視聴者投票型オーディションで決めるといった新たな試みも取り入れられています。

 TVガイドwebでは本作の主人公5人を取材。3月6日まで1人ずつインタビューをお届けしていきます。3人目は、「木曜日の物理教師」に出演する北村一輝さんです。北村さん演じる渡会実は温厚で人当たりがよすぎる教師。そのため生徒たちから若干なめられ、家庭内でも妻と娘に強く当たられ居場所がない男性です。

 シリアスな作品からコメディーまで幅広いジャンルで活躍する実力派俳優の北村さんには、渡会実の人柄をはじめ、ドラマのテーマでもある“日常への感謝”について語っていただきました。(1人目、奥平大兼さんのインタビューはこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1401555/。2人目、南沙良さんはこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1404065/)。

北村一輝「若い人から、いろいろ吸収していきたいです」――「サヨウナラのその前に」インタビュー

――台本を読んだ時の率直な印象を教えてください。

「第一印象では、ストーリーの発想が面白いなと思いました。隕石が落下すると聞くとSFドラマのような感じがしますが、実際は、人間の本質についても考えさせられる温かい話です。例えば、連日ニュースになっているようなウイルスは、目には見えないですよね。どう広がっていて、どのくらい自分に近づいているのか実際に分からないと人間も慌ててしまうものです。一方で、隕石は目に見えるし徐々に近づいてくるのが分かる。そうすると人間は多少の覚悟をしていく。危機迫った状態でも地に足がついた状態で自分自身を見つめられる人、そういう人たちをドラマ化することで、さまざまなメッセージが伝えられると思います。『人間って悪いものではないな』と。そういうことが伝えられるドラマですね」

――渡会実という役をどう演じていきますか?

「渡会の明るさは、演じる上で大事な部分です。彼の明るさのもとは何なのか…という点ですね。ただただ明るいだけなのかもしれないが、今という時間に家族がいて、愛する人たちが周りにいて、そんな自分を客観視した時に幸せだと感じられる、そういう人間的な温かみから生まれてくる明るさだと思います。あと、気持ちで人間とつながろうとしている。そういう部分を大切に演じていきたいです」

――渡会に共感する部分があればお伺いしたいです。

「僕は周りから怖そうと思われることもありますが、本当は渡会みたいな感じなんですよ。明るいですし、現場の裏ではすごいしゃべっていますよ。普段の姿はどちらかというと、渡会に近いかな。渡会は隕石が迫っている状況でも、周りや今いる環境にすごく感謝できる人物で、そういう部分はとても共感できます」

――素顔の北村さんは明るいのですね。

「そうです(笑)。朝のドラマですし、1日頑張ろうと思ってくださるように演じていきます」

北村一輝「若い人から、いろいろ吸収していきたいです」――「サヨウナラのその前に」インタビュー

――撮影はこれからですが、共演者の方の印象を教えてください。

「一緒にお仕事をしたことのない方が多いので、まだ分からないですね。ただ、どの現場もそうですけど『良い作品を作ろう』という気持ちは一緒で、みんな同じ方向を向いています。人間の温かさとか伝えたいメッセージは、作っている僕たちが一生懸命向き合い、現場で協力しないと作れないと思いますので、そういった姿勢で撮影に挑んでいきます」

――渡会は高校の教師ですが、先生についての忘れられないエピソードなどはありますか?

「中学の担任の先生ですごく感謝している人がいます。教師というより教育者という感じでしたね。勉強より人としてどう生きるかということを熱心に伝えようとしてくれた先生でした。温かい先生で、一言一言がすごく印象的で…。10代のころを思い出した時に、一番に頭に浮かぶ人です」

北村一輝「若い人から、いろいろ吸収していきたいです」――「サヨウナラのその前に」インタビュー
北村一輝「若い人から、いろいろ吸収していきたいです」――「サヨウナラのその前に」インタビュー

――ドラマのように、間もなく地球が滅亡するとしたら何をしたいですか?

「いつも通りに過ごしていると思います」

――いつも通りと言いますと、お仕事をされたりして過ごすということでしょうか?

「今日もそうですが、普段からいつも通りでいられることが幸せだと思うので。コロナ禍になる前から“感謝”についてよく考えていましたね。自分は東京に来る時に、俳優としてやっていけるか不安で…。仲間が挫折していく中で、自分は俳優として生きていくことができて、恵まれた国に生まれて、ご飯も食べていけて。そういうことを考えると、自分はすごく恵まれていると思っていますので、これ以上、望む必要はないかなと」

北村一輝「若い人から、いろいろ吸収していきたいです」――「サヨウナラのその前に」インタビュー

――旅行とかはどうでしょうか。

「そうですね…。仮に普段から旅行に行きたいという気持ちがあっても、地球が滅亡するとなった時に僕以上に旅行に行きたい、旅先でやりたいことがあるという人がいると思うんですよ。もし自分の時間があれば、そういう人たちのサポートをしてもいいと思います。もちろん自分にも夢ややりたいことはありますけど、もっと大事なことは、今を生きていること、今を幸せだと感じられることです。だから、滅亡する状況になった時にも特別なことはしないかな…。ただ、これまでお世話になった人には感謝を伝えたいですね」

――パーティーをやる人とかいそうですね。

「パーティーをするっていうのはいいですね(笑)。そこで感謝を伝えるとか。でも、多分普段通りお仕事をして過ごしているのではないかなぁ…と思いますね(笑)」

北村一輝「若い人から、いろいろ吸収していきたいです」――「サヨウナラのその前に」インタビュー

――最後に、今年の目標がありましたら教えてください。

「コロナで、仕事のスケジュールがずれたりいろいろな影響があったりしている中で、『自分は現場が好きだな』とあらためて思いました。今年は、少しでも長く現場にいたいですね!」

――撮影が始まったら、現場でどう振る舞っていきたいですか?

「いろいろな人と会うことで、自分自身もまだまだ向上できる部分はあると思います。今回のドラマは若い人が多いですよね。若い人には、やはり面白い感性があるので、彼らからいろいろ吸収していきたいです」

――ありがとうございます!

 若いキャストの中で存在感を放ちながらも、たゆまぬ努力を誓う北村さんに、役作りをする上で大事にしていることや撮影への意気込み、そして日々大切にしている“感謝”について丁寧に語っていただきました。北村さんが演じる渡会の日々の喜びは何か、どんな気持ちで最後の時間を過ごすのかに注目です。「サヨウナラのその前に」、明日3月3日の第3回目の放送をお楽しみに!

北村一輝「若い人から、いろいろ吸収していきたいです」――「サヨウナラのその前に」インタビュー

【プロフィール】

北村一輝(きたむら かずき)
1969年7月17日生まれ。大阪府出身。映画やドラマで幅広い役柄を演じる。主な出演作に、NHK連続テレビ小説「スカーレット」、「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」(日本テレビ系)、「天国と地獄~サイコな2人~」(TBS系)、映画「テルマエ・ロマエⅡ」「猫侍」(2014年)、「るろうに剣心 最終章 The Final / The Beginning」(21年)など。「ガリレオ」シリーズの映画第3弾、「沈黙のパレード」が9月16日公開予定。

【番組情報】

「サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days」
日本テレビ系
月~金曜 午前7:50ごろ
※「ZIP!」で放送

取材・文/W・O(日本テレビ担当) 撮影/尾崎篤志



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