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「麒麟がくる」悲劇の将軍・足利義輝を演じる向井理。「武家の棟梁らしく、勇ましく散ることができたら」2020/09/05

「麒麟がくる」悲劇の将軍・足利義輝を演じる向井理。「武家の棟梁らしく、勇ましく散ることができたら」

 第22回(8月30日放送)の大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK総合ほか)で、将軍・足利義輝(向井理)と対面した明智光秀(長谷川博己)。将軍家の力を取り戻すため、織田信長(染谷将太)を上洛(じょうらく)させると義輝に誓っていましたね。一方、義輝は「麒麟を呼べる男になりたい」と願いつつも、人心が自分から離れていることに寂しさを感じている姿が印象的でした。そんな義輝を演じている向井さんから、義輝の人物像や撮影エピソードなどについて、コメントが届きました!

 義輝は室町幕府の第13代将軍で、三好長慶(山路和弘)らに政治の実権を握られ、近江と京を出入りすることを余儀なくされた悲劇の将軍。向井さんはその役柄に関して、「長く続く足利の時代にあって、その終焉(しゅうえん)の始まりに当たる人物だと思います。重んじてきた伝統と、時代と共に押し寄せる新たな勢力のはざまで揺れる難しい情勢の中で、懸命に生きていたのだと想像します。争い事のない世の中を願うところが魅力なのではないでしょうか。その姿を見て、光秀も何かを感じたのかもしれません」と人物像を語り、「没落してゆく将軍家を感じながら、武家の棟梁(とうりょう)であるプライドも持ち併せているところを大切にしました。13代目まで続いてきた重みと、いずれ滅びるはかなさを両立させることを意識してきました」と演じる上で心掛けたことも打ち明けます。

 将軍であるにもかかわらず、権力も権威もない波瀾万丈な人生について「新しい時代が来るということは、古い時代が終わるということです。その時代の中心にいた人物で、自分の力や思いだけではあらがえず、時代にからめ捕られたような人です。ただ、かわいそうという気持ちはなく、その時代の中でも懸命に生きることでその生き方を踏襲する人物もいたと思うので、その功績はあったかと思います」と義輝への思いも告白。

「麒麟がくる」悲劇の将軍・足利義輝を演じる向井理。「武家の棟梁らしく、勇ましく散ることができたら」

 また、義輝は「将軍という立場上、周りに意見されるとこともあまりなく、神輿(みこし)に担がれている状態だったと思います」と分析した上で、光秀という人間の存在は、「その中で将軍の権威失墜も感じつつ、とても息苦しさを感じていたところ、自分でも感じていた将軍とはかくあるべきということをスパッと言われた。その誠実さと勇敢さに心打たれたと思います」と、第6回(2月23放送)で「将軍は武士の棟梁であらせられる」という光秀の言葉を聞き、背中を押されたシーンを思い浮かべた様子。

 そんな光秀を演じた長谷川さんとの共演については「初めての共演でしたので、役柄の立場はありますが、こちらがいろいろと吸収できればと思っていました。長谷川さんとのシーンは私が話すことが多く、長谷川さんはそれに対してリアクションすることが多かったです。リアクションはとても難しく、一つのリアクションでシーンが左右されます。それをとても丁寧に演じておられて、とても助かりました」と振り返りつつ、「とても実直で、裏表がない光秀です。もちろん本能寺の変を起こす張本人ではありますが、成すことすべてに説得力がある長谷川光秀さんなので、今までの光秀像を根本から変えられるのではないかと拝見しております」と長谷川さんが演じる光秀の魅力を語りました。

「麒麟がくる」悲劇の将軍・足利義輝を演じる向井理。「武家の棟梁らしく、勇ましく散ることができたら」

 さらに、義輝を支える三淵藤英役の谷原章介さんや、細川藤孝役の眞島秀和さんについても「谷原さんはドラマでは初めて共演したのですが、お芝居はもちろん、普段話している会話もとても多彩で、スタッフ・キャスト分け隔てなく接する姿が印象的でした。眞島さんは10年振りの共演でしたが、相変わらず誠実な性格とお芝居で、役柄上ではありますが、とても支えられました」とお二人の印象を話します。

 ほかにも現代とは違う戦国時代に対して「習わしや伝統など大事なことも多かったと思いますが、半面あらがえないことも多々あったのかと。命の重みも今とは全く違うでしょうし、その根底にある意識は少なからず今にも流れているのではと思いました。また、実力次第でのし上がれる分、切られるのも一瞬。その渦に飲み込まれたらギャンブルのような人生になっていくんでしょうね」とその時代の過酷さに思いをはせました。

「麒麟がくる」悲劇の将軍・足利義輝を演じる向井理。「武家の棟梁らしく、勇ましく散ることができたら」

 最後に、第23回の注目ポイントも「義輝について調べる中で、史実のようなものや創作のようなものなどいろいろありました。その中で演出の方に合理性や物語性、そして今回の大河ドラマの目指すところを意識して、殺陣を作っていただきました。今までにない立ち回りになっていますので、細かい部分も見ていただければ幸いです」と細部の見どころを紹介しながら、「剣豪将軍と名は付いていますが、史実と事実は違います。殺陣のシーンもあると思いますが、武家の棟梁らしく、勇ましく散ることができたらなと思います」と義輝の最期についても口にしました。

「麒麟がくる」悲劇の将軍・足利義輝を演じる向井理。「武家の棟梁らしく、勇ましく散ることができたら」

【番組情報】

大河ドラマ「麒麟がくる」
NHK総合 日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BS4K 日曜 午前9:00~9:45ほか
NHK BSプレミアム 日曜 午後6:00~6:45

NHK担当 K・H



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