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「吉祥寺ルーザーズ」片桐仁が明かす増田貴久への思い… 「まっすーは、松潤から一番遠い所にいる人です(笑)」2022/05/09

「吉祥寺ルーザーズ」片桐仁が明かす増田貴久への思い… 「まっすーは、松潤から一番遠い所にいる人です(笑)」

 増田貴久さん演じる高校の非常勤講師・安彦聡ら人生の負け組6人が、シェアハウスで暮らす日々をコミカルに描くシチュエーションコメディードラマ「吉祥寺ルーザーズ」(テレビ東京系)。

 聡と共に住む5人は、夫と離婚調停中の女性ファッション誌の元編集長・大庭桜(田中みな実)、自称芸人で実演販売員の秦幡多(片桐仁)、生意気なキャバ嬢・望月舞(田島芽瑠)、ギャンブルに溺れ借金まみれの公務員・胡桃沢翠(濱田マリ)、広告代理店をリストラされた池上隆二(國村隼)と個性的な面々で、性別も年齢も職業もまるでバラバラの“ルーザー”たちの間には常にケンカが絶えず…。さらに、実はそれぞれが秘密を抱えていて、6人の奇妙な共同生活の先に何が待っているのか、その展開から目が離せません。

 今回は、そんな住人の中から、秦幡多を演じる片桐仁さんを直撃取材! 役の印象や撮影での貴重なエピソードをはじめ、愛称で呼ぶほど仲のいい増田さんへの思い、さらにご自身の壮大な夢についてもたっぷり明かしてくれました。

――芸人としてベテランの片桐さんが、全く売れていない自称芸人の秦幡多を演じられるということで、役作りはどのようにされていらっしゃるのでしょうか?

「面白いかどうかって、紙一重なんですよね。というのも、ネタを面白く見せられるか、売れるかどうかって、その時の世の中の流れに乗れるかどうかによると思うんです。だから、この作品でも細かな役作りというよりも、シェアハウスの住人たちの人間性を生かした会話劇という部分を意識しています。幡多の設定に“ツッコミ体質”とあるのですが、ほかの住人のボケに対して、まっすー(増田)演じる聡が純粋なツッコミで、それをひねくれた目で見て脇からツッコむのが幡多なのかなと考えたりもしますね。ただ、僕は、幡多のようなピン芸人ってとても変な人しかならないと思っているんです(笑)。大体コンビだった人が解散してピンになるパターンが多いんですけど、解散して1人でも芸人をやりたいと思うのは、かなりのことだと思うんですよね。だから台本に“幡多のネタ”って書いてあったのを見た時には、『やるのか…』って(笑)。なので幡多という役柄については、別の人格を演じるというよりは、片桐仁が考える“ある芸人像”みたいな感じなんじゃないかと。台本では僕を当て書きしてくださっているので、とにかく一生懸命やって、一生懸命スベったりしたいなと思っています」

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――幡多を片桐さんが考える“芸人像”という目線で見ると、また楽しめそうですね。

「そうですね。あと、本作のすごいところは、掛け合いのセリフのニュアンスやそれによってにじみ出てくる登場人物の関係性が、この6人じゃないと出せないという点だと思っています。最終的に、どういった結末にたどり着くんだろうと僕もワクワクしてますね。特に、田中みな実さんと國村隼さんはすごいです。あの二つの“おもちゃ”を手に入れた脚本家・池田テツヒロさんのはしゃぎようが、台本から感じられますね(笑)」

――本作の幡多や「99.9-刑事専門弁護士-」シリーズ(TBS系)の明石達也など、片桐さんが演じられる役はほかの役との“掛け合いの間”が絶妙で、そういうシーンでクスッとされる方も多いと思います。演じられるのはかなり難しいのではないでしょうか?

「難しいですね。うまく表現できなかった時期もあったのですが、最近出演させていただいている作品では、そういった間も表現できるようになってきているような気がするので、共演者のキャストの方々にはとても感謝しています。ただ、編集して最終的に出来上がったものが正解だとは思っています」

――そういったシーンは、綿密な打ち合わせをされているのですか?

「実は、そこまでしてないんですよ。リハーサルを3回くらいやって、その後に各自で『もっとこういうふうにしたい』と監督と細かい話をしたりもしますけど、とにかくライブ感が大事だと思っています。撮影する時も、一気に流れで撮っていますからね。怖い部分もありますが、その中でまた独特の雰囲気が生まれてくるから。そのカットごとに別に撮っても全体としてのグルーブ感が出なかったりするので、流れで撮影する方がやりやすかったりしますね」

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――そうなると、なおさらセリフを間違えられないので大変そうですね(笑)。

「そうなんですよ! 誰かの長ゼリフの後にセリフが一言あるシーンとかは、『自分がかんだらやり直しなんだな』とドキドキしますね。でも、一旦誰かのリズムが狂うとみんなつられちゃったりして、面白いです(笑)。誰かがかむとね、みんなかむんですよ。舞台でもそうですが、それを含めた現場感みたいなものをお届けできたら絶対面白いし、なかなかないドラマになるんじゃないかな。話の展開や見た目の派手さはないけど、それぞれのキャスト陣が醸し出すリアルなライブ感を楽しんでもらいたいですね」

――長回しを無事に撮影できた時の達成感もすごそうです!

「『わー!! できたできた!!』って(笑)。ゲスト出演される役者の方々はさらに緊張されると思います。かなりの量のシーンを1日で撮っていますしね。どなたも緊張感を持って撮影現場にいらっしゃるので、『最初はみんなそうだよね』と思いながら見ていたりしました。僕も、撮影初日はすっごい緊張しましたもん!」

――ええ!? 片桐さんが緊張されるイメージがあまりないのですが(笑)。

「しますって!!(笑)。舞台に出演させていただくこともありますが、ドラマはまた違う緊張感がありますね。舞台だったら1カ月くらいは稽古ができますけど、ドラマはほぼ一斉に用意ドン!で演じるわけですから、皆さん本当にすごいと思いますよ。そんな中で幡多はツッコむセリフが多いので、やっていて面白いです。野球でいうと自分が思いっきりバットを振るというよりも、誰かが投げた球をいかにうまくキャッチできるかというふうに考えています」

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――ちなみに、撮影現場では皆さんどんなお話をされているのでしょうか?

「撮影の待ち時間に、田中さんを中心に女性陣が『そこまで言うか!?』というような女子トークをしていて、それを俺ら男性陣が聞いていたりするんですよ。で、急にひそひそ話になったら、『聞いているから、もうちょっと大きい声で話して!』とお願いしてみたり(笑)。そういうみんなの空気感が、そのままドラマの役に乗っかっているのがいいなと思います。一度撮影現場に来てご覧になってほしいです! そしたら、『こんな雰囲気なんだ』と分かってもらえると思います(笑)」

――ぜひお邪魔したいです!(笑)。今のお話だけでも皆さんの仲の良さが伝わってきますね。

「まっすーとみな実さんが35歳で同い年なんですよね。田島芽瑠さんが20代で、僕が40代、濱田マリさんが50代で國村隼さんが60代…幅広い世代がそろっていて、なかなかない6人ですよね。でも、実は精神年齢はみんなそんなに変わらないんじゃないかなって(笑)」

――主演の増田さんは、撮影現場では座長としてどのように過ごされていますか?

「まっすーは、みんなとすごく距離が近くて、いつも自然体でいてくれるんですよね。いろんなジャニーズの方と共演させてもらっているのですが、みんな自分が置かれている立場としての振る舞いや、その仕事に対する責任への思いが垣間見えたりする時があるんですよね。でも、まっすーはそういうことを全く感じさせないというか…(「99.9-刑事専門弁護士-」シリーズで共演した)松潤(松本潤)から一番遠い所にいる人です(笑)」

――お二人は対極にいらっしゃるんですね。

「もちろん、まっすーもたくさん背負っているものがあると思うんですが、それを周りに微塵も感じさせないんです。すごいですよね。ふと気づくと、その場にいてくれる」

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――松本さんとはまた雰囲気が違うんですね。

「松潤は“これぞ座長”という感じで、みんなを引っ張っていってくれる人なんですよね。まっすーももちろん責任感はありますけど、本当に聡のような雰囲気を醸し出してくれています。みんなといい距離感を保っているけど、実は自然にセンターにいる…みたいな。だから、聡を演じるのは、まっすー以外考えられないですね。一番難しい役かもしれない。13年前に舞台『雨の日の森の中』で初めて共演させてもらいましたが、あらためていい俳優さんだなと感じました。昔から持っているいいところはそのままで、今回新たに感じたうまさもたくさんありました」

――すてきなお話をありがとうございました! では最後に、幡多は芸人になるのが夢ですが、片桐さんが今お持ちの夢があれば教えてください。

「アーティスト業で成功したいというのがありますね。というのも、お笑いや俳優業だとなかなか国境を越えられないけど、アートに国境はないと思うんですよ。既にいろいろやらせていただいてはいるのですが、アーティスト業を通して、まだ僕を知らない人にも僕のことをもっと知ってもらいたいなと。だから、ディズニーランドならぬ僕の“ギリニーランド”を作りたいと思っています! 5年後、10年後には、バーチャルの世界と現実世界との境界がさらになくなっていくと思うので、メタバース(仮想空間)上にそういう場所を作って、世界中の人に来てもらえるようになったらいいなと感じています。作品を個展などで発表すると、実際に展示場所に足を運んでもらわないと見てもらえないですが、メタバース上だったら世界中からアクセスできる。そういう楽しいことができたらいいなと思いますね」

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【プロフィール】

片桐仁(かたぎりじん)
1973年11月27日生まれ。埼玉県出身。いて座。B型。ラジオ番組「エレ片のケツビ」(TBSラジオ)、バラエティー番組「わたしの芸術劇場」(TOKYO MX)、「99.9-刑事専門弁護士-」シリーズ(TBS系)、「あなたの番です」(日本テレビ系)などの話題作に出演し、多方面で活躍。映画「妖怪シェアハウス ー白馬の王子様じゃなかったん怪ー」が6月17日公開予定。

【番組情報】

ドラマプレミア23 「吉祥寺ルーザーズ」
テレビ東京系 
月曜 午後11:06~11:55

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当) 



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