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及川光博、話題の鼻血シーンは「“全集中・鼻血の呼吸”で出しました(笑)」――「最愛」インタビュー2021/11/18

 TBS系で放送中の金曜ドラマ「最愛」。本作は、殺人事件の重要参考人となった実業家・真田梨央(吉高由里子)と、梨央の初恋の相手であり事件の真相を追う刑事・宮崎大輝(松下洸平)、そして、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎(井浦新)の3人を中心に展開するサスペンスラブストーリーです。

 2006年、梨央が青春時代を過ごしていたのどかな田舎町で失踪事件が発生。15年後、時代をけん引する実業家となった梨央の前に事件の関係者が現れたことにより、当時の記憶とともに封印したはずの事件が再び動きだします。本作は、「アンナチュラル」「MIU404」(同系)のプロデューサー・新井順子さんと演出・塚原あゆ子さん、そして「夜行観覧車」「リバース」(同系)で2人と組んだ奥寺佐渡子さんと清水友佳子さんの脚本による完全オリジナルの物語。

 今回は、第4話での鼻血シーンで大きなインパクトを残した後藤信介役の及川光博さんを直撃。第5話の終わりでは、真田グループの闇を執拗(しつよう)に追いかけるフリー記者・橘しおり(田中みな実)が謎の男に車で拉致された先で待っているという緊迫した展開も演じた及川さん。謎多きご自身の役柄や、本作の見どころについて語っていただきました。

――本作への出演を決めた理由と、楽しみにしていたことを教えてください。

「プロットを読んだ時から面白いなと思いましたし、残酷な事件とロマンスの融合を見てみたいと強く感じたからです。塚原監督とまたご一緒できることも決定打でした。以前『グランメゾン東京』(同系)でご一緒させていただいたのですが、その時の撮影は楽しい思い出しかなくて。打ち上げの時に『ぜひまたご一緒したいです』と伝えたら、本当にお声掛けいただきました。本作で演じている後藤は、当時演じていた相沢瓶人とは全く違う役柄。僕は役者として“まな板の上の鯉”なので、塚原監督にどう料理してもらえるかを楽しみにしていました!」

――後藤はまだ謎の多い登場人物の1人ですが、及川さんから見てどんな人間ですか?

「後藤は、孤独で会社が大好きな人間です。おそらく完璧主義で人を信用していないと思います。最近演じていて気になっているのは、社長・真田梓(薬師丸ひろ子)に対しての感情。個人的にはスペシャルなんじゃないかなと考察しています。梓さんに対しては、ふと人間的な表情を見せることがあるんですよ」

――後藤といえば、例の鼻血を流すシーンのエピソードもお伺いしたいのですが…。

「みんな大好きですね、あのシーン!(笑)」

――(笑)。やはり反響はありましたか?

「そうですね。少なくとも家族は喜んでいました。画的にインパクトがあるじゃないですか。後藤を演じていて、少しでも爪痕を残せたという点では出して良かった(笑)。そのシーンの話自体はクランクインして早いうちから塚原監督から相談されていて、『全く問題ないです!』と答えていました。何度も挑戦できるシーンではないので、“全集中・鼻血の呼吸”で出しました(笑)」

――なんと! 作品で鼻血を出すのは初めてでしたか?

「いえ、以前、宮藤官九郎さん脚本の昼ドラマでも1回出したことがありますね」

――後藤の衣装を“ちょっと癖のある衣装”にしたいと提案をされたのは及川さんだとお伺いしています。その他でご自身から提案されたことはありますか?

「僕が提案したのは衣装のことくらいで、後はメークさんが細かくキャラクターデザインをしてくれています。前髪にわざとうねりを出したり、整髪料で嫌なツヤを出したり。後藤のヌメっとした存在感や不気味さを出すために、みんなで細かいところを気持ち悪く演出しています」

――お芝居でも気持ち悪さを出すために意識していることやアドリブはありますか?

「アドリブは基本、ないです。演じる時は表情筋をなるべく動かさず、身振り手振りもしないように意識しています。動かないからこその感情表現があると思っているのですが、今回はそこが難しくもあり楽しいです」

――タイトルにちなみ、役柄の“最愛”な部分も教えていただきたいです!

「後藤って、会社の中やその周辺ではマオカラーのジャケットを着ているんです。でも、帰宅する時やお出掛けする時は普通にスーツにネクタイなんです。ということは、後藤は会社に来てからマオカラーにわざわざ着替えているんです(笑)。ここが僕の“最愛”ポイント! きっとマイルールというか、美学なんでしょうね。専務室にはちゃんと何着ものマオカラーがハンガーラックに掛けてあるんですよ。台本上、どこにも説明されていないのですが、僕は気付いちゃいました!」

――及川さんだから気付けるポイントですね! ちなみに新井Pや塚原監督から言われて印象に残っている演出指示はありますか?

「無表情で何を考えているか分からない男という設定を打ち合わせで聞いてから、余計なことをしないように努めているので、特に細かい指示はないですね。新井Pからは『不気味ッチー最高です!』と、塚原監督からは『すてきです!』とハートマーク付きで言っていただいております。後藤の癖に関しては塚原監督と考えて、せっかくの詰襟なので襟元を正すという癖がプラスされました。第5話では加瀬に迫られて肩のあたりをつかまれたシーンで、その手を払いながら襟を直したのですが、あれは数少ないアドリブの一つでした!」

――そうなんですね! 新井Pからも“不気味ッチー”と評価されているとのことですが、ファンの方々からの反響はいかがですか?

「うちのベイベーたちはもう慣れたもんですよ! 嫌みな役をやれば“嫌ミッチー”、キザな役をやれば“キザミッチー”、朝イチのロケで顔がむくんでいたら“ムクミッチー”(笑)。本作も楽しんで見てくれていると思います!」

――手厳しさの中に愛を感じますね(笑)。不気味なヒール役は演じていて楽しいですか?

「日常の自分と切り離すことができるので楽しいです。別人格を作り出す面白さがあって、僕は役に引っ張られたりするタイプでもないので、切り替えながら楽しめています。でも、このクールだけでいいかな…この役どころがずっと続いたらつらいかもしれません。顔の筋肉を動かさないってそれなりにストレスなんですよ!」

――なるほど! ヒール役の一番の難しさはどこでしょうか?

「佇まいや所作に自分らしさを出さないことです。日常的な動作はかなり意識しないとにじみ出てしまうので、湯船に漬かって台本を読んでいる時も現場への移動中もイメージトレーニングをしています。油断するとキラキラしちゃうので!(笑)」

――難しそうですがとてもやりがいがありそうですね!

「あります! 対立構造をはっきりさせることによって、視聴者の皆さんがより主人公に感情移入できる。敵は手ごわい方が面白いし盛り上がるじゃないですか」

――確かに。後藤は手ごわそう…(笑)。

「あからさまに悪役の格好ですからね(笑)。謎の組織のリーダーみたいな!」

――本作では主人公と対立する役どころですが、“仲間”と“対立する人間”、より演じる面白さを感じられるのはどちらでしょう?

「台本が面白ければどちらも面白いです! 僕の場合、親友役とか仲間の側にいても、いつ裏切るか分からないというパターンが多いんですよね(笑)。毎回最初の段階で、『あとあと裏切りますか?』って確認したいくらい。敵対しようが仲間であろうが、エンターテインメントとして多くの人に楽しんでもらえるように、いつでも心変わりができるように備えています」

――そんな後藤の今後の動きも含めSNSでは考察が盛り上がっていますが、及川さんは考察のチェックをされていますか?

「考察がはやっているといううわさは聞いています。僕はチェックしないんですが、行きつけの店の大将やマスターが真相や犯人について質問してくるんです。『そんなネタバレできっこないじゃん!』ってしらばっくれています(笑)」

――キャストの皆さんも結末をまだ知らないとお聞きしています。及川さんはどのようなエンディングになると予想して演じていますか?

「個人的には後味は悪くても構わないので、ラストシーンは心を優しく抱きしめてくれるような終わり方だとうれしいですね。人間の業や悲しみを描いた後に、ちょっと救われるラストシーンがあるといいな」

――では最後に、後半に向けての見どころをお願いします!

「やはりしつこく付きまとってくるフリー記者のしおりとどう決着をつけるか。後藤が最も隠したかった真実とは何か、という点にぜひ注目してほしいです。そして次の鼻血チャンスはいつなのか(笑)。引き続き楽しんでもらえたらうれしいです!」

【プロフィール】

及川光博 (おいかわ みつひろ)
1996年、シングル「モラリティー」でアーティストとしてデビュー。独自の音楽性とその個性が注目を集め、98年、ドラマ「WITH LOVE」で俳優活動をスタート。以後、アルバムリリースや毎年全国ツアーを行うとともに、ドラマ、映画、CM等で活躍中。主な出演作は、ドラマ「白い巨塔」「相棒」シリーズ(ともにテレビ朝日系)、「半沢直樹」シリーズ(TBS系)、連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK総合)、「ハケン占い師アタル」(テレビ朝日)、「グランメゾン東京」「ドラゴン桜」(ともにTBS系)。 映画「スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号」(2015年)、「僕だけがいない街」(16年)、「七つの会議」「引っ越し大名!」(ともに19年) など。

【番組情報】

「最愛」
TBS系
金曜 午後10:00〜10:54

TBS担当 A・M



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