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波瑠主演「ホテルローヤル」試写会に原作・桜木紫乃が登場!「前向きに逃げたい方に届けたい」2020/10/09

 累計発行部数100万部を超える直木賞受賞作を、波瑠主演で映画化した11月13日公開の「ホテルローヤル」(TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開)のマスコミ・関係者向け試写会が、ロケ地の北海道・札幌で行われ、原作者の桜木紫乃氏が登壇した。桜木は「映画は人情味があって、人に寄り添うことができている。一歩踏み出したい方や前に進みたい方、前向きに逃げたい方に届けたい」と語った。

 原作は、桜木氏の実家だったラブホテルを舞台にした7編の連作小説で、桜木の自伝的代表作。映画は「百円の恋」や「全裸監督」などの武正晴監督がメガホンを取り、主演の波瑠をはじめ、松山ケンイチ、安田顕、余貴美子、原扶貴子、夏川結衣、伊藤沙莉、岡山天音ら実力派俳優陣が名を連ねる。誰にも言えない秘密や孤独を抱えた人々が訪れる場所、ホテルローヤル。そんなホテルとともに人生を歩む主人公・田中雅代(波瑠)が見つめてきた、切ない人間模様と人生の哀歓、一瞬のきらめきを切り取る人間ドラマだ。

「武監督ならではの音楽と映像の融合で一観客として楽しみました」と、初めて作品を見た時を振り返った桜木氏。MCからお気に入りのシーンを問われると「全編」と即答し、「最高に身につまされたのは、内田慈さんと正名僕蔵さん夫婦の風呂シーン。私は冷めた目で深刻なふりをして原作を書きましたけれど、映像はカメラを少し引き、面白く、かつホロリとさせてくれる撮り方でした」と印象を語った。

 主人公であるホテル経営者の一人娘・雅代は桜木氏自身を投影した役。とはいえ、“眼鏡に白シャツ”という波瑠のスタイルが「私の作家イメージに近すぎるのでは」と感じ、武監督に聞いたことを明かし、「『違うんです。眼鏡は、女性が眼鏡を外すところを撮りたかったからで、白シャツはシーツの白であり、キャンバスの白なんです』と胸を張って答えられ、私の自意識過剰だったことが分かりました」と笑った。

 原作の舞台は釧路だが、映画では札幌市内にホテルの客室、事務所、ボイラー室などの大規模なセットを組み立て、3週間にわたって撮影を行った。ロケ現場を見学した桜木氏は「(ホテルの従業員役の)原扶貴子さんから部屋の掃除で気を付けていたことを聞かれ、『湯垢がついていないか指で最後に確かめました』と答えたら、演技に生かされていました」と裏話を披露。

 また、雅代の部屋を再現するため、わざわざ“美大を落ちるレベル”の絵を釧路の絵画教室まで探しに行ったという美術スタッフの仕事ぶりに触れ、「絵画教室で話を聞くうち、なんと私の父(映画で安田顕演じる田中大吉のモデル)の絵が出てきたそうです。残念なんだか面白いんだか分かりませんが(笑)、それを現存する父に伝えようか今迷っています」と意外なエピソードを明かした。

 主題歌は1978年発売の柴田まゆみの名曲「白いページの中に」で、女性アーティスト・Leolaがカバーした優しい歌声がエンドロールで流れる。桜木氏は「私の世代には懐かしい曲。聴いた時はいろいろな気持ちを思い出して泣いてしまいました」と感慨深げな様子。観客へのメッセージとして、「私が原作で書かなかったことが描かれ、生活する人に寄り添った、温かく包み込んでいるような映画に仕上がっています。原作も映画も両方楽しんでいただけたらうれしい。必ず誰かの背を押してくれる作品だと思います」と笑顔で話した。

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