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「青天を衝け」第14代将軍・家茂役の磯村勇斗「和宮とのシーンに注目してほしい!」2021/06/05

 平岡円四郎(堤真一)が暗殺された第16回(5月30日放送)の大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほか)。第17回(6月6日放送)では、一橋家のために兵を集める渋沢篤太夫(吉沢亮)が円四郎の死を知ります。一方、徳川慶喜(草彅剛)は悲しみに暮れる暇もなく、長州征伐へ。そんな慶喜の活躍を見て、自分の無力さを嘆く人物が磯村勇斗さん演じる第14代将軍・徳川家茂です。

 今回は、家茂を演じる磯村さんに役に対する思いや注目ポイントを伺いました!

――今回、大河ドラマ初出演とのことですが、出演が決まった時はいかがでしたか?

「大河ドラマは初出演なので、自分にできるのかなという不安が強かったのですが、朝ドラを経験し、大河にも挑戦してみたいという気持ちがあったので、うれしかったです。『ひよっこ』(NHK総合ほか)でお世話になったスタッフさんたちが多く、またご一緒できるということも楽しみでした」

――では、実際に現場に入った感想を教えてください。

「どれも初めて見る光景でした。かつらをつけるにしても、すごく時間をかけて準備してくださいますし、セットも本当にリアルなんです。リアルと言っても、当時を見たことはないのでリアルというのはおかしいんですけど…(笑)。朝ドラに参加した時から、お芝居に集中できる環境を作ってもらっていることは感じていたのですが、それは大河も変わらず、細かいところにまでこだわって準備してくださっていて『NHKさんはすごいな』と思いました」

――当初、「不安だった」とのことですが、具体的にどういうところが不安でしたか?

「どの現場でも不安はつきものなんですけれども、大河で時代劇となれば、所作もあるし、言葉遣いも違う。芝居以前のところで習得することが多いので、非常にドキドキしましたね」

――立ち居振る舞いや所作で工夫されている点はありますか?

「所作に関しては、本当に全く分からないので、クランクイン前に所作指導の先生にしっかりと教えていただきまして、将軍としての姿勢や歩き方、手の置き方などを勉強して臨みました。現場で分からないことはその都度、先生に聞いて、一緒に家茂を作り上げていったような気がします」

――所作を学んでみていかがでしたか?

「難しいですね。所作=制限というふうに考えて、日常の動きをお芝居でできなくなってしまうので、やりづらいと思う部分があって…。でも、家茂の感情を一番大事にすることで、所作をやりきることができました。難しかったけれども、面白かったです。所作は勉強すればするほど身に付くし、勉強すれば自分のものにできるので、一つ武器が増えたような気がしますが、まだまだ未熟なので、もっと学んでいきたいなと思いました」

――現場の雰囲気はどんな感じでしたか?

「すごく楽しかったです。チームとしても出来上がっていましたし、すてきな時間が流れていました」 

――徳川家茂の魅力について教えてください。

「家茂は13歳で将軍になり、21歳で亡くなってしまうんですけれども、将軍という役職を背負って、分からないながらも一生懸命、幕末の時代を生きたと思います。さまざまな意見に翻弄(ほんろう)されてしまう家茂ですが、和宮さまを本当にいちずに愛して、ものすごく心の豊かな気遣いができる将軍だなと感じています。強くて威張る将軍というより、どんな身分の人に対してでも寄り添える、そんな将軍ができたらいいなと思って演じていました」

――実在する人物を演じるにあたり、気を付けていたことや事前に勉強したことはありますか?

「実在した方を演じるというのは、演じる上でもすごく責任を感じます。家茂が本当はどんな人だったかということは分からないので、最終的には自分が作っていくしかないんですけれども、家茂の功績や人物像は一通り調べました」

――今回、13歳の家茂から演じていらっしゃいましたね。

「衣装合わせの時に『13歳を本当にやるんですか?』と思わず確認してしまいました(笑)。 無理に13歳にならなくていいということだったので、あどけなさがちょっと見えたらいいなという気持ちで演じていました。ほかにも、メークで若く見えるよう作っていただきました」

――実際に演じてみて、家茂はどんな人物だと思われましたか?

「『青天を衝け』の中の家茂は非常にかわいそうだなと思いました。いろんな人の意見を取り入れなければいけないし、ちぐはぐなことを言われて…。苦しかったんだろうなと今回演じて感じました。だから、甘党になっちゃったんじゃないかなと思ったりもしました(笑)」

――家茂は穏やかな表情が印象的ですが、表情を作る上で心掛けていることはありますか?

「特に心掛けていることはありません。各シーンで家茂がどう立ち振る舞ったらいいのかと考えることはありますが、特にこういう表情をしようと思ってやっているわけではないです。家茂の“地”が穏やかだからこそ、そういう表情になっているのかなと思います」

――家茂は草彅剛さんが演じる徳川慶喜とのシーンが多いと思うのですが、草彅さんと共演した感想を教えてください。

「草彅さんとはおしゃべりしていないんです。あえてしゃべらなかったというわけではないのですが、何か独特な緊張感がありましたね。草彅さんは慶喜として生きているので、お芝居で会話をしているという感じで…。家茂が苦しい時に慶喜が来るんですが、その時にやっと慶喜と心が通じ合えた気がしました」

――演技の部分で刺激を受けたことや学んだことはありましたか?

「慶喜の姿が作られたものではなくて自然なんです。そこに存在している空気感があって、芝居や人柄も含めて、すてきだなと思いました」

――立場上対立はしているけれども、本人同士が対立しているわけではないという慶喜と家茂の不思議な関係については、どう思われましたか?

「慶喜に助けてもらってはいるものの、家茂は自分に力が足りなくて悔しいという思いがあるんですね。慶喜に全部いいところを持っていかれてしまう。でも、それをお互いに言うわけでもなく、うわべだけの関係性がずっと続いていたのかなと想像します。だからこそ、最期のシーンでやっと打ち解けるというか、心が通じ合うことができて良かったです」

――家茂のシーンで注目してほしいところはありますか?

「和宮との2人きりのたわいもない会話など、家茂と和宮のシーンに注目してもらいたいです。和宮は家茂が一番愛していた人で、2人のシーンにはすごく温かな時間が流れていた印象があります。和宮を演じる深川(麻衣)さんと相談することはなかったのですが、呼吸が一緒になっていたような、そんな時間の流れというか、お芝居の間を感じていました。この2人が幸せであってほしいなと思えるそんなシーンになったと思います」

――時代に翻弄された家茂にとって、和宮はどういった存在だったと考えますか?

「政略結婚であったものの、1人の女性として愛したいという思いが家茂は特に強かったと思うんです。他の女性を好きになることもなく、本当に和宮しか見ていなかったことを考えると、いちずに大好きで、どこか心の支えになっていたと思うんですね。いろんな人に翻弄されることが多かった家茂ですが、彼女がいたおかげで、精神がゆらぐことなくいられたのではないでしょうか。家茂にとって、和宮の存在は大きかったと思います」

――印象深かったセリフはありますか?

「和宮とのシーンで『武家の棟梁でありながら、あなた様とずっとこうしておりたいと願ってしまう』というセリフは、若いからこそ出てくる言葉なのかなと思ったし、本当に愛していたから出るんだろうなと思いました。すごくロマンチックだなと。ものすごく愛のあるセリフだなと、読んでいても言っていても感じましたね」

――第18回(6月13日放送)では、甲冑(かっちゅう)姿で登場しますが、着てみていかがでしたか?

「甲冑を着たのは初めてでした。身が引き締まるというか、戦いに行くんだなと。磯村勇斗が戦いに行くわけではないですけど…(笑)。着るだけでもこれから戦に行くんだという気持ちになります。甲冑の硬さや重たい感じに、ものすごく背筋が伸びました」

――磯村さんが思う「青天を衝け」の魅力とは?

「“出会い”ですかね。どの時代にも通じるのかもしれませんが、どのように人と出会ってどんな言葉をもらって大人になっていくのかということが大事だと思うんです。『青天を衝け』だけではないかもしれないですが、 栄一が出会う人々に注目してもらえればと思っています」

――ご自身は、渋沢栄一についてどんな感想を抱きましたか?

「熱い人だなと思いました。若い頃から野心にあふれているような印象です」

――作中で栄一と会うことはないですが、会ってみたかったなという思いはありますか?

「吉沢くんと一緒にお芝居をしたかったですね。その分、慶喜が栄一と会うんですけど…。僕が家茂の後の将軍(慶喜)だったら会えていたんですけどね(笑)」

――大河ドラマ初出演はご自身の役者人生においてどういう位置づけになりそうですか?

「位置づけは分からないですけど、朝ドラ、大河というのはドラマの中でも二大巨頭で歴史のあるものですから、それに参加させてもらえたというのは俳優人生の中でもしっかり刻まれるものになったのかなと思います」

――ありがとうございました!

第17回あらすじ(6月6日放送)

 篤太夫(吉沢)と成一郎(高良健吾)は、円四郎(堤)の命が奪われたことを知り衝撃を受けるも、集めた兵を引き連れて京に向かうことに。一方、京では、御所に迫る長州藩兵と戦う慶喜(草彅)のもとに西郷吉之助(博多華丸)が現れ、薩摩藩兵を率いて加勢します。さらに、水戸では、武田耕雲斎(津田寛治)と藤田小四郎(藤原季節)が率いる天狗党(てんぐとう)が、慶喜を頼って京を目指し…。

【番組情報】

大河ドラマ「青天を衝け」
NHK総合 日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム・NHK BS4K 日曜 午後6:00~6:45

NHK担当 K・H

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