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「麒麟がくる」朝倉義景役のユースケ・サンタマリア「頭にサザエをかぶっていて、戦う気ゼロだなと(笑)」2020/12/19

「麒麟がくる」朝倉義景役のユースケ・サンタマリア「頭にサザエをかぶっていて、戦う気ゼロだなと(笑)」

 第36回(12月13日放送)の大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK総合ほか)で、織田信長(染谷将太)に対して兵を挙げた将軍・足利義昭(滝藤賢一)とたもとを分かつことになった明智光秀(長谷川博己)。決別の際に見せた涙には、将軍の名の下に集まり、平和な世を目指そうとしてきた光秀の悔しさが込められていたように思います。

 そして、12月20日放送・第37回では、信長は権力の頂点に立つべく、朝倉家と浅井家に戦いを挑みます。そんな信長と一戦を交えることになる朝倉義景を演じるユースケ・サンタマリアさんから、大河ドラマ初出演に対する思いや義景の人物像について伺いました!

「麒麟がくる」朝倉義景役のユースケ・サンタマリア「頭にサザエをかぶっていて、戦う気ゼロだなと(笑)」

 「麒麟がくる」の放送が始まってからは、周囲の反応がこれまでと異なるそうで「普段、なかなか声を掛けていただけない年配の方にも『見ています』と言ってもらえるようになりました。全国の方が日曜の大河ドラマの時間に合わせてご覧いただいているんだと、あらためて実感しました」としみじみ語るユースケさん。反響の大きさを実感しているようです。

 初めての大河ドラマ出演については「時代劇の経験もあまりなく、ましてやこんなに地位の高い大名の役は初めてなので、その時代の言葉遣いに苦戦しながら挑戦の日々ですね。本当に、ちょっとしたきっかけでセリフが飛んでしまうので、撮影の日は1日誰ともコミュニケーションがとれないでいます(笑)」と撮影での苦労を明かします。

 そもそも、越前の戦国大名として名をはせた義景の印象は「越前を支配している名家で、豊かな国の戦国大名ですから、戦にも強くて格好いいと思いきや、戦はあまり好まず格好いいところもありません」とあまりいいイメージを持っていなかった様子。

 そんな義景を演じる上で「威厳のある姿や重厚な雰囲気は家臣の山崎吉家(榎木孝明)にお任せして『大名とはいえ人間なんだ』という裏表のない人物を見せられたらいいなと思っています」と演技プランを語りながらも、「とはいえ、義景は怒っているシーンでも、悪巧みを考えているシーンでも、蹴鞠(けまり)をしているシーンでも、“表裏のない人物とは限らんな”というような、かなり含みのある人物です。演じる時はなるべくニュートラルでいたいなと思っていて、監督とその場で相談しながら人物像を作っています。僕は戦国時代に生きたことがないので、今自分が生きている現代の考え方に照らし合わせ、自分のフィルターを通して『こうじゃないかな』と考えながら、演じるようにしています」と現場で人物像を作り上げていったことを告白。つかみどころのない義景はこうして生み出されていたのですね。

「麒麟がくる」朝倉義景役のユースケ・サンタマリア「頭にサザエをかぶっていて、戦う気ゼロだなと(笑)」

 さらに、衣装も見どころの一つ。「衣装もセットも本格的なので、撮影のたびに異空間に連れて行かれたような感覚になっています。義景の衣装はピンクで斬新。僕は“テントウムシ”って呼んでいるんですけど、一目見て戦をしようとはみじんも思ってないんだろうなと思いましたね。やっと戦に出ても、キンキラの甲冑(かっちゅう)で、頭にはサザエをかぶっていますし、本当に戦う気ゼロだなと(笑)。ハイブランドで全身固めて戦に行くみたいなものですよ。でも、義景にしか着ることができない甲冑なので、そういう意味では楽しめていますし、派手な衣装からもどこか憎めないキャラクターとして目に止まっていたらいいなと思います」と義景らしいこだわりが見える衣装から人物像が伝わることを願っているそう。

 また、実在の義景はどんな人物だったのかを考えて「ドラマでは描かれていませんが、実際は文章も上手だったようです。そんな大名が小京都とも言われる美しくて豊かな国・越前を営んでいて、そこに住んでいた人たちはものすごく楽しい日々を送っていたかもしれない。もしかしたら朝倉義景が今の時代に生まれていたら、世のため人のためにいろいろなことをしてくれたかもしれないなと勝手に想像したりしています。やっぱり僕としては、演じる役柄を最も愛したいと思っているので、越前を守ることができたらいいなと思ってしまいますね」と役に対して愛着があることも明らかに。

 一方、光秀に対しては「初めは下に見ていたんですよ。それがだんだん切れ者だと分かってきて、どこかで認めているのは間違いないと思います。というのも、義景の周りには家臣がたくさんいますが、何か言っても『はっ!』と頭を下げてさがっていくので、会話をするのは光秀の長谷川くんと家臣・山崎の榎木さんだけなんです。むしろその2人とのシーンしかないと言っても過言じゃない。僕の個人的な事情も相まってお二人を信用しているので、画面からも信用しているように見えていたらいいですね」と義景の気持ちをくみ取ります。

 そして、将軍・義昭が信長を選び上洛した第26話(10月4日放送)について振り返り、「義景は子どものようにわめいていましたね。リハーサルから全力で怒った芝居をしたのですが、監督からはもっと怒ってくれと言われて、本番まで声が持つか心配でした。結果、いままで見せたことのない顔になっているのではと思っています。義景って撮影すればするだけ見せたことのない顔をしているなと自分でも思っているんです。その都度いろいろな顔を見せられるようにやっているので、そういった意味ではやりがいのある役だなと感じています」と役への手応えを述べました。

 最後に「やはり、義景と信長との確執はますます高まってくるので、そこは見てほしいですね」と見どころを挙げ、取材時には撮影前だった覚恕(かくじょ)との関係にも触れ、「個人的には春風亭小朝さんが演じる覚恕は楽しみです。少しだけお姿を拝見しましたが、想像の何倍も怪しさをまとっているんです。この2人と義景がどうかかわっていくのか、僕も楽しみです」と期待しているようでした。

第37回あらすじ(12月20日放送)

「麒麟がくる」朝倉義景役のユースケ・サンタマリア「頭にサザエをかぶっていて、戦う気ゼロだなと(笑)」

 上洛間近の武田信玄(石橋凌)の進軍が突然止まり、信玄や義景の援軍を得られず孤立した義昭は、木下藤吉郎(佐々木蔵之介)率いる織田軍に捕らえられてしまいます。また、二条城にいた幕臣・三淵藤英(谷原章介)も捕らえられ、早々に信長方についた弟・細川藤孝(眞島秀和)と苦しい再会を果たすことに。一方、光秀から信玄が秘密裏に死んだことを聞いた信長は、後ろ盾を失った朝倉・浅井に対して兵を挙げるのです。ユースケさんによると、戦う気ゼロの甲冑を身にまとっている義景ですが、信長とどんな戦いを繰り広げるのでしょうか。

【番組情報】

大河ドラマ「麒麟がくる」
NHK総合 日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BS4K 日曜 午前9:00~9:45ほか
NHK BSプレミアム 日曜 午後6:00~6:45

NHK担当 K・H



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