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二宮和也、山下智久主演作も高評価! 4月クールの覇権を制したのはあのドラマ。深掘り分析を見逃すな!!2022/08/29

「TVガイド 2022年4月8日号」表紙:二宮和也/BRAND NEW TV WORLD!!
TVガイド 2022年4/8号

 今回は、関東90万台を超えるレグザ視聴データを基に、TVガイドwebで毎週紹介している「地上波録画視聴ランキング」を集計し、2022年4月クールのドラマを振り返るというおなじみの企画。4月クールに放送された連続ドラマの中で、最も支持された作品はなんだったのか。世帯視聴率だけでは分からない視聴者の本音を探っていく。

 まず、4月クールに放送されたすべての連続ドラマを放送回ごとに集計した「放送回ランキング」のベスト30を見ていただこう。ポイントは1位を100とした場合の割合である(以下同)。

2022年春ドラマ・放送回ランキング ベスト30/BRAND NEW TV WORLD!!

 上位はほぼ、「マイファミリー」(TBS系)の全10話と「元彼の遺言状」(フジテレビ系)の全12話によって占められるという結果となった。スタート前から前評判の高かった2作品だけにまずは順当な結果だが、20位以下になるとさまざまなタイトルが入り乱れるようにランクイン。2強を除くと大混戦というのが、4月クールの特徴だったことが分かる。

マイファミリー(TBSドラマ合同会見より)/BRAND NEW TV WORLD!!

 上位を独占した「マイファミリー」は誘拐テーマのオーソドックスな謎解きもので、多くの登場人物が入り乱れる中、初回から最終回まで一貫して「真犯人は誰か」という興味で視聴者の関心をつなぎとめ切ったという点で、見事な成功を収めたと言っていい。主演の二宮和也、共演の多部未華子に加え、玉木宏賀来賢人濱田岳松本幸四郎と主演格をそろえた日曜劇場枠ならではの豪華キャスト戦略もミスディレクションに大きな効果を発揮していたし、回を追うごとにポイントも上昇して最終回がランキングの1位に来ていることも、視聴者が最後まで興味を持って注目していたことの証である。

 続いて「平均録画視聴ランキング」のベスト20。各ドラマの録画視聴ポイントを、初回から最終回まで全話平均して、高い順に並べたベスト20である。

2022年春ドラマ・平均録画視聴ランキング ベスト20/BRAND NEW TV WORLD!!

 「マイファミリー」に続いて、2位に入ったのはフジテレビの月曜9時「元彼の遺言状」。綾瀬はるか大泉洋の豪華キャストをそろえて話題を呼んだ。一つ前の1月クールで同じ月9の「ミステリと言う勿れ」が圧倒的な支持を集めたということもあり、大きな期待の中でスタートし、初回&第2話は破格の高ポイントを獲得。今クールも月9が制するかと思われたが、3話以降の数字が伸びなかった。それでも中盤までは首位争いを繰り広げていたが、終盤「マイファミリー」がポイントを大きく伸ばし、結果的には差をつけられての2位となった(実際「マイファミリー」が「元彼の遺言状」初回のポイントを抜いたのは番組スタートから約1カ月半後、第8話だった)。この上ないスタートを切りながら終盤失速したのは、やはりドラマが当初の視聴者の期待に応えられなかった結果と言わざるを得ないだろう。

元彼の遺言状(記者会見より)/BRAND NEW TV WORLD!!

 そして3位以降は大接戦となったが、TBSの「インビジブル」  「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」が3、4位を占め、5位の「やんごとなき一族」(フジテレビ系)以下の作品をわずかに制した形となった。実はこの「インビジブル」と「持続可能な恋ですか?」の2作品には共通点がある。それについては、次の「最終回継続率ランキング」を見てもらってから述べたい。

 「最終回継続率」とは最終回のポイントを初回ポイントで割った数値。最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回のポイントが高い)ということは作品内容に対する満足度が高い傾向があるのでは、という仮説に基づいた検証である。

2022年春ドラマ・継続率ランキング ベスト20/BRAND NEW TV WORLD!!

 「最終回継続率」でトップに立ったのは「正直不動産」(NHK総合)。この春、金曜10時から火曜10時に時間を移したNHK「ドラマ10」枠で放送された。同名の人気コミックを山下智久主演でドラマ化し、大きな共感を呼んだ。初回こそ伸び悩んだが、2話、3話とポイントを上げ、4話以降は安定して推移。最終回でさらにポイントを上げ、150%超という高い継続率を示した。もちろん初回のポイントが低い方が継続率的には有利だという側面はあるが、ドラマの内容が評価され、見る人が増え続けていかなければこの数字は出てこない。また、8話、9話、最終話と、ポイントを上げ続けた「マイファミリー」も140%の高水準で、継続率第2位。この二つが、今クール最も視聴者の期待に応えた2作品ということだ。

「TVガイドAlpha EPISODE AA」表紙:山下智久/BRAND NEW TV WORLD!!
TVガイドAlpha EPISODE AA

 そして先ほど触れた「インビジブル」と「持続可能な恋ですか?」の2作品の共通点は、最終回継続率が比較的低いという点である。「平均録画視聴ランキング」で5~8位に入った「やんごとなき一族」、「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(日本テレビ系)、「ナンバMG5」(フジテレビ系)、「未来への10カウント」(テレビ朝日系)の4作品は、順番こそ前後するが「最終回継続率ランキング」の3~6位を占めている。しかもすべて110%以上の高水準である。特に「悪女」と「ナンバMG5」は同じ時間帯で放送されていながらどちらも継続率が高い=録画視聴者が増え続けたということで、内容で支持されたという何よりの証拠だろう。逆に「インビジブル」と「持続可能な恋ですか?」は初回のポイントが高く、その貯金で辛くも逃げ切ったということになる。

2022年春ドラマ上位13作品・視聴推移/BRAND NEW TV WORLD!!
持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~(TBSドラマ合同会見より)/BRAND NEW TV WORLD!!

 初回のポイントは事前の期待値に左右される。事前の期待値はもちろん高いに越したことはない。が、ドラマ枠も増え、配信ドラマも普通になった昨今、連続ドラマを継続して見ることは、視聴者にとって存外高いハードルになっていることは間違いないだろう(今クール、午後11:00以降の深夜ドラマで継続率100%を超えたドラマが1作品しかなかったこともそれを物語っている)。今後はこのドラマを見てよかったと思う人がどれだけいるか、それこそが問われることになるだろう。

 そして、ドラマが多くてお困りのドラマファンのため、TVガイドwebではこれからも面白いドラマをより多く楽しんでいただける情報を発信していく。これからもさまざまな形でテレビの楽しみ方をお伝えしていくので、お楽しみに。

文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社



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