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霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー2021/06/28

霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー

 2018年、「M-1グランプリ」にて史上最年少、史上初の平成生まれで王者に輝いた霜降り明星。現在、テレビのレギュラーは10本以上、YouTubeチャンネル「しもふりチューブ」のチャンネル登録者数は130万人以上(21年6月28日現在)。劇場やテレビ、ラジオ、YouTube、そしてドラマや舞台、音楽と、多岐にわたって活躍し、幅広い分野で存在感を放ち続けています。

霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー

 そんな霜降り明星がMCを務める「オトラクション」(TBS系)は、「普段、霜降り明星が刺さっていない層である、お子さんたちにも楽しんでほしい」という意気込みとともに、21年4月に新番組としてスタートしました。それから3カ月がたつ今、2人は「MC力はほんまにこれから」「コンビとしてのMCはまだ勉強中」と口をそろえます。このたび粗品さん、せいやさんのお二人に、現時点での手応えや、番組への思いをお聞きしました。

子どもたちからのうれしい反応に「久しぶりにこの感じやな」

霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー

――収録お疲れさまでした。6月29日放送の2時間SPには、せいやさんがドラマ「テセウスの船」(同局)で共演された鈴木亮平さんや、「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)で同じ日に出演され、ラジオでも楽しいエピソードを話していらっしゃったジャニーズWEST・重岡大毅さんもゲストで登場されていましたね。

せいや 「伝説の『テセウスの船』ですね」

粗品 「何が伝説や」

――収録を終えて、いかがですか?

せいや 「最高でしたね! 『オトラクション』というこんな豪華な番組で、鈴木亮平さん、そして大好きな、というかほとんどファンなんですけど、重岡大毅さんにお会いできて。とてもいい人で、また好きになりました。鈴木さんはドラマのことを覚えててくれて、わざわざ楽屋にあいさつに来てくださったし、重岡さんもわざわざ『今日はよろしくお願いします』って連絡くださって。すてきなお二人と出会えたなってあらためて思いました。お二人とも大活躍だったので、ぜひ皆さんに見てほしいです」

粗品 「僕は『この番組、こういう色もあるんや!』って思いましたね。『オトラクション』って、1個は子ども向きの番組であり、もう1個は西川(貴教)さんのご友人や知り合いのミュージシャンの方と絡めるいい番組やなって思ってたんですけど、さらにもう1個、こんなに俳優さんや女優さんが来てくださって、“ミニオールスター感謝祭”的な番組やなって」

せいや 「確かに!」

粗品 「ドラマの撮影の合間を縫って出ていただいているので、『楽しかった』って思ってもらいたいという気持ちが出てきましたね」

霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー

――番組がスタートする前、今年の3月の取材では、お二人とも「お子さんに楽しんでほしい」「ファミリーに向けた大きな番組にしていきたい」と抱負を語っていらっしゃいました。この番組の広がりも含めて、子どもたちからの反響や、手応えはいかがですか?

粗品 「めっちゃ言われますね。新幹線とかで家族連れの方とすれ違った時に、お子さんに『オトラクションだー!』って番組名で声掛けてもらったり。街を歩いてたら子どもに囲まれたりとかもあって、『久しぶりにこの感じやな』って。うれしいです。僕はかつらを被ってるとかじゃないんですけど、やっぱり企画がおもろいから、『ピッタシンガーやってー!』って言われたり。結構見ていただいてるんやなって実感しますね」

せいや 「今日の収録でさまぁ~ずさんにお会いしたんですけど、大竹(一樹)さんが『家で子どもと集まって毎回見てる』って言ってくださったんですよ。僕も、親戚とかいとこでちっちゃい子いるんですけど、みんな好きって言ってくれてるんですよね。今ってなかなかないじゃないですか、こういう番組。何回考えても、MC側に立ててるってめちゃくちゃラッキーやなって。3カ月たってもすごいなって思います。ありがたいです」

「オトラクション」では「MCやけど、いつも通り」

霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー

――お二人は「オトラクション」のようなMC、そしてレギュラーやゲストでの出演と、テレビで見ない日はないくらい引っ張りだこな印象です。また今はテレビに加えて、YouTubeや配信番組など、活躍できるメディアの場も豊富な時代ですが、“テレビのゴールデンでMCを任される”というのは、やっぱり特別な思いがあったりするのでしょうか。

せいや 「……特別っすね、やっぱり。西川さんにめちゃめちゃ助けていただいてると思うんですよ。霜降り明星としてのMC力ってほんまにこれからやと思うんで、そこを『オトラクション』がめちゃくちゃ勉強させてくれてるというか。最初は2人とも固かったんですけど、だんだん砕けてきてて。だから霜降り明星のいつもの感じが、この『オトラクション』で出せるようになった時に、また1個おっきくなってんのかなって。だから結構勉強中ですね」

粗品 「プレステ(PlayStation)って、ゲームをプレーしてたらトロフィーもらえるんですよ。ゲームごとに設定されてるんですけど、例えばFPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)やったら、いいプレーをした時に“一つの街で10キル達成した、ぽこーん!”みたいな。“20人連続で倒した!”とかやったら、銀のトロフィーが“ぽこーん!”って出たり。プレー内容によっていろんなトロフィーがもらえて、それを集めることがステイタスなんですけど、“ゴールデン番組でMCする”っていうのはそれこそ“一番えぐいトロフィー”の1個やなって思います」

――最上級のプラチナトロフィー。

粗品 「はい。僕らもYouTubeやってるので、チャンネル登録者数100万人というのがどれだけ難しいかももちろん分かってるんですけど、コツコツ続けてたら達成することができて。一方、ゴールデン番組でMCするって、あんまりできないことやなと。めぐり合わせもあるじゃないですか、運とか、タイミングとか。だからこういう取材のたびに、ゴールデンでMCしてるって、かなりうれしいことなんやなって実感しますね」

――MCを任されるというのは、これまでとは全然違う難しさになるのでしょうか。

せいや 「まだ模索中ですね。今まではプレーヤー側やったんで、やっぱMCになると全然ちゃうなって思いますね。他ジャンルの方をどう盛り上げるかとか、そういうことを考えるんでまた違う脳みそを使うというか。まだまだ勉強中です」

霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー

――「オトラクション」はMCでありながらも、プレーヤーとしてゲームに参加されることもありますよね。それはMCの時とは違うスイッチが入る感じなのでしょうか。

せいや 「最初は『MCやからこうせなあかん』とか、『あんましゃべったらあかん』『進行を邪魔したらあかん』って思ってたんですけど、4、5回くらい収録していくうちに『あ、いつも通りでええんか』ってなったんですよね。MCの感じでいってしまうと、なんもできんようになる時もあって。今は『もうあんま考えず、楽しんでる方がいい感じになんのかな?』って思ってます。MCやけど、いつも通り。その場の状況に合わせて、当意即妙なこと言うって感じですかね」

粗品 「当意即妙…」

せいや 「(ちょっとムッとして)なんですか?」

粗品 「急に何?」

せいや 「その場に合わせて、気の利いたこと言っていくっていう」

――そんなせいやさんの隣で、粗品さんはどう感じていますか?

粗品 「まぁ、三日坊主みたいなやつなんで」

せいや 「いやいや。嫌な四字熟語やなぁ。“当意即妙”はいい意味やからなぁ」

――(笑)。せいやさんがMCとしてもプレーヤーとしても活躍される中、粗品さんとしてはいかがでしょうか。

粗品 「こいつっすか? (あっさりと)かわいいですね。頑張ってるのは」

せいや 「読者さんに伝わらんで。文字なるから!」

粗品 「でも僕はどっちかっていうと、コンビでMCやる時は進行をすることが多いんです。進行って、実は皆さんが思ってるほどカロリーないというか。逆に進行じゃない方のMCって、せいやさんを見てて思いますけど、すごいなって。それこそ僕ら、コンビとしてのMCはまだまだ勉強中なんですけど、進行じゃない方の立ち回りってめっちゃむずいんですよ。せいやさんには感謝しながら、頑張ってやってますね」

せいや 「今日も楽しかったですね。やっぱ、古巣の日曜劇場が来てくれたんで」

粗品 「日曜劇場。何? 突然」

せいや 「安心しました。ホームやったんで」

粗品 「お前どこがやねん」

せいや 「久しぶりに日曜劇場のスタッフさんと目配せして。『久しぶりやな!』って」

粗品 「目配せかい。なんも思ってへんよ、向こうは」

せいや 「こういうの繰り返してたら、どんなゲストが来ても大丈夫なんかなって。MCとしてのスキルが磨かれていくんかなって感じましたね」

粗品 「なかったことにされるで。お前が出た日曜劇場」

せいや 「とにかくもう、その場その場で当意即妙なことを」

粗品 「えぇ? 何回言うねん…」

せいや 「僕はやっぱ、流布なお笑いをしていきたい」

粗品 「流布? 流布はちゃうやろ」

せいや 「お笑いを“流布”していきたいです」

――流布…?

せいや 「流れるに布教の布で、流布です。お笑いを流布していきたい」

粗品 「お笑いはもう流布されてんねん。お前以外の先輩方が頑張ってくれたから」

せいや 「当意即妙なお笑いを流布していきたい」

粗品 「どういうこと?」

多忙な2人の、頑張り続けられる原動力

霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー

――西川さんは以前「霜降り明星がいてくれて頼もしい」とおっしゃっていたのですが、レギュラー番組としてスタートして3カ月がたった今、お二人にとって西川さんはどのような存在ですか?

せいや 「(しみじみと)筋肉ですね」

粗品 「筋肉? もっとあるやろ! なんやねん筋肉って」

せいや 「西川さん自体にも筋肉あるし、『オトラクション』としても“筋肉”なんですよ」

粗品 「なるほど! ええこと言うた」

せいや 「僕らは言ってもまだ、世間からしたらやっぱ知名度足りないんですよ」

粗品 「そうですね」

せいや 「お笑いファンからしたら知名度あるかもしれないですけど、世間からしたらまだまだで。西川さんっていう大きい看板がいてくれることで、外敵から守ってくれる。筋肉が僕らを覆って、『オトラクション』を支えてくれてるんですよ。ほんまに筋肉そのもの。『オトラクション』に西川さんがおらんかったら、弱くなってしまう。ケガしちゃう」

粗品 「…」

――ケガしちゃう。

せいや 「ケガしちゃう。筋肉。“西川さんは筋肉”って書いといてください」

粗品 「ええんや。それだけ見出しなったら誤解されそうな気するけどな」

せいや 「西川さんは、筋肉です!!」

霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー

――粗品さん的には、いかがですか?

粗品 「そうですね…。筋肉もすごいんですが、骨も太いというか」

せいや 「骨太!」

粗品 「そう。骨太ですね」

――筋肉と骨。

粗品 「西川さんが前に立ってくださってるから成り立ってるんですけど、表だけじゃなくて、実はその内部の骨もめっちゃ太い方で。さらに言えば、トークもめっちゃうまいし、音楽の知識もすごい。面白いことも言いはりますし、面白いツッコミもしはりますし。たまにボケたりもしはるし。3月のインタビューの時に、せいやが『西川さんは芸人の兄さんやと思ってます』って言ってたと思うんですけど、それは変わってないですね。だから、骨です」

せいや 「(食い気味に)それが骨?」

粗品 「…はい」

せいや 「いや、よく分かんないですよね? 骨って。俺が体で例えたんやからちゃうので例えろや」

粗品 「西川さんは、骨です。書いといてください」

――筋肉と骨。分かりました。

せいや 「人体やん」

――(笑)。では最後に、お二人とも本当にお忙しいと思うんですけど…。

せいや 「(質問を遮って)そうですね、ファンの方に、ですよね」

――?

せいや 「『オトラクション』は…」

粗品 「早いなぁ」

せいや 「質問違いました?」

粗品 「なんやねんそれ! 遮って。見たことないで」

――(笑)。質問、してもいいですか?

せいや 「なんですか!」

粗品 「いや、質問してくれてたから(笑)」

――すみません(笑)。お二人とも本当にお忙しいと思うんですけど、頑張り続けられる原動力は何ですか?

せいや 「原動力か!(笑)」

粗品 「全然ちゃうやん」

――よろしければお聞きしたいです。

せいや 「僕はとにかく、仕事が楽しいこと。これしかないんですよ。『オトラクション』も、収録でみんなとしゃべったり、楽屋で『あーでもない、こーでもない』って話したり、ゲストの方と前室でたわいもない話をしたり、そういうのがあるから、1秒も苦じゃないんです。家におる時間は仕事に行くまでの待ち時間というか、ただの休憩なんですよ。やから原動力は、ただただ楽しいからやってるというか。この仕事、ほんま楽しすぎます」

粗品 「僕も結構一緒ですね。最近やっとリラックスしてやれてますし、楽しいです。あと『オトラクション』って、20~30分収録して、セットの転換で15分くらい休憩を挟むんですよ。で、また違うゲームを20~30分収録するんですけど、僕、そういう形式の収録大好きなんです」

せいや 「この休憩スタイルが」

粗品 「めっっっちゃリラックスできるんですよ。僕ら劇場によく出てたんですけど、劇場って結構それに近くて。ライブとかネタをやりに出て、終わったら1回はけて休憩して。そしたらまた次はコーナー出て、終わったらまた休憩して。その間ほかの人がネタして、最後エンディング出る、みたいな。これがね、劇場時代を思い出すんですよね。体に染みついてるリズムというか。そんなこともあって、全然苦じゃないです。大好きです」

霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー
霜降り明星が明かす、現在地「まだ、知名度足りない」――「オトラクション」ロングインタビュー

【プロフィール】

霜降り明星(しもふりみょうじょう)
2013年1月、粗品とせいやにより結成。17年「第38回ABCお笑いグランプリ」優勝、18年「第7回ytv漫才新人賞」優勝。同年、「M-1グランプリ2018」にて史上最年少、史上初の平成生まれで王者に輝く。主なレギュラー番組は「クイズ!THE違和感」(TBS系)、「霜降りミキXIT」(TBSほか)のほか、「霜降りバラエティー」(テレビ朝日ほか)、「霜降り明星のあてみなげ」(静岡朝日テレビ)、「爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!」(テレビ朝日系)、ラジオ番組「霜降り明星のだましうち!」(朝日放送ラジオ)、「霜降り明星のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。


粗品(そしな)
1993年1月7日生まれ。大阪府出身。2012年「オールザッツ漫才2012」内企画「FootCutバトル」優勝、19年「R-1ぐらんぷり2019」優勝。20年、ドラマ「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(フジテレビ系)に出演。


せいや
1992年9月13日生まれ。大阪府出身。2018年、「人志松本のすべらない話」(フジテレビ系)でMVS獲得。20年、ドラマ「テセウスの船」(TBS系)に出演。21年、東京・下北沢の本多劇場にて上演された舞台「てれびのおばけ」に出演。

【番組情報】

「オトラクション」
TBS系
火曜 午後7:00~8:00 ※6月29日は午後7:00~8:57

6月29日の放送は、7月にスタートする夏ドラマ3作品の豪華俳優陣が勢ぞろいする2時間SP。日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」からは鈴木亮平さん、賀来賢人さん、中条あやみさん、小手伸也さん、火曜ドラマ「プロミス・シンデレラ」からは二階堂ふみさん、眞栄田郷敦さん、松井玲奈さん、井之脇海さん、金曜ドラマ「#家族募集します」からは重岡大毅さん、木村文乃さん、岸井ゆきのさん、丸山礼さんが登場。「クイズ!リズミンタッチ」や「ピッタシンガー」などの人気ゲームで3チームが対戦する。

取材・文/宮下毬菜(TBS担当)



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