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遠藤憲一が実話に基づくドラマ「星影のワルツ」で震災後3日間漂流した男性を熱演! 2021/03/06

 これまで経験したことがなかった未曾有の事態に日本中が衝撃を受けた東日本大震災から、今年で10年がたちます。誰もが不安な日々を過ごした2011年3月11日ですが、その日に津波で流された自宅の屋根に乗り、約3日間漂流しながら生還した男性がいたことをご存じでしょうか? 

 3月7日放送の「NHKスペシャル」では、その男性の実話に基づくドラマ「星影のワルツ」が放送されます。たった1人で大海原に放り出された大谷孝志役を演じる遠藤憲一さんから、震災に対する思いや撮影エピソードを伺いました。

――今作は、東日本大震災をめぐる実話を基にしたドラマですが、オファーを受けた時の印象を教えてください。

「震災に関して夫婦で寄付をしたことはあるんですが、ボランティア活動をしたことがないんです。だから、役に立ちたいという思いがあって。震災を歴史に残していくという形で貢献したいと考えていて、震災に関するものはお受けしているんです。実話ということですが、自分の家の屋根の上で3日間漂流していた男性の話は知らなくて…。そんなことはなかなか演じられることではないし、どんな状態でどんな気持ちだったのかをくみ取って、表現できるのかどうかを試したかったという部分もありましたね」

――実際に台本を読んでいかがでしたか?

「初っぱなから力があるなと思いました。娘夫婦のシーンや妻との回想シーンもあるけれども、屋根の上に浮いてるということはそんなにはないから、これを映像にしたらすごいんだろうなと、興味を持って参加しました」

――3日間もの間、漂流しているというのは、考えただけでも壮絶ですが、シーンの撮影はいかがでしたか?

「初日はスタジオにプールを作って、水中で溺れるシーンを撮って、次は海で5日間撮影したんです」

――海での撮影は怖くなかったですか?

「大丈夫でした。スタッフさんがダイバーの方と一緒にずっと水中に入って撮影していて。大変なのは僕じゃないんだよね。だけど波の揺れは…。酔い止めは飲んでいるから気持ち悪くはならなかったけど、何時間も海の上で撮影して揺れているから、陸に降りるとずっと揺れているような感じなの。その後また、プールで夜間の海のシーンを3日間撮影して…」

――どんな映像になっているのか気になります。

「僕も断片しか見ていないんだけど、力のある場面になっていますね。撮り方が海の場面は一つのカメラを回したままなんですよ。ずっと回して、ほんの数十秒使うの」

――えっ、そうなんですか? それはすごいですね。

「そう。膨大な量を回しているので、出来上がりが楽しみですね」

――実際に体験された男性には会われたのでしょうか?

「お会いしてないです。インタビュー映像や紙面を拝見させていただきました。その方に似せていくという演じ方をしていないんです。どう思ったとか、実際にそういう場面に遭遇した時の恐怖心や、奥さんに対する思いを自分の感情の中から見つけていかないと、どうしてもものまねみたいな芝居になっちゃうので、演技をする上で参考にはさせてもらいましたが、実在の方にどれだけ寄せていくかというような作り方ではないですね」

――奥さんと離れ離れになってしまった後、約3日間漂流されていた男性の思いをどのように想像されましたか?

「逃げ遅れて、奥さんと家の2階で避難していたところで津波に遭って、奥さんとバラバラになって自分だけ助かっているので、まずその時の感情たるやね。そこがすさまじかっただろうなと。そしてやはり、喉がかわいておなかがすくという、人間として当たり前のことが襲ってくるので…。夜の海というのは相当…真っ暗闇の中、波の音しか聞こえず、自分がどこをどう漂流しているのか分からない孤独感とか、いろんな感情が揺れ動いているので、場面ごとに『こういう感じなのかな?』と、自分の中で探りながら表現していったという感じです」

――ご自身の中でどのシーンが一番難しかったですか?

「どこかな? どのシーンというよりも、セリフも展開もあまりドラマっぽくならないようにと、監督やプロデューサーさんたちと本作りの時から話していたので、そこにずっと神経を使っていました。これはセリフっぽいなとか」

――では、自然に出てくる言葉を心掛けていらしたんですね。

「そうですね。なるべくドキュメンタリーとドラマの中間みたいな作品を目指していたので」

――最後に見どころをお願いします。

「なかなか経験のない状態のドラマの作り方でした。スタッフさんもそうですけど、思いつく限り、やれる限りをこの作品に詰め込んだつもりです。1時間の作品なのに、約1カ月半かけて撮影していたんです。こんなに長い期間をかけて1時間の作品を作ったことはないんですよ。カメラを長回しして、捨てている部分もいっぱいあると思うんですけど…」

――それはもったいないですね!

「すごい量を撮って編集して…きっと編集マンがいいものを抽出して作品にしてくれると思います。ものすごいエネルギーを費やして作った作品です。(震災を)思い出したくないという人や見れないという人もいると思うんですけど、一つの作品として見ていただくことができると思うので、精神的に余裕のある人には見ていただきたいと思います」

――ありがとうございました!

 東日本大震災から10年がたっても人々の心に残った傷は簡単には消えません。そうした思いをくみ取りながら「精神的に余裕のある人は見てほしい」という優しいコメントをしてくださった遠藤さん。インタビュー撮影では、たくさんの“希望の笑顔”を見せてくださいました!

あらすじ

 震災から3日後、イージス艦に救助されたのは、福島沖15kmの海で、津波で流された自宅の屋根に乗り漂流する男性でした。南相馬市に住む60歳の農家・大谷孝志(遠藤)は、妻・恭子(菊池桃子)を奪った海で、耐え難い寒さとかわき、絶え間ない余震と押し寄せるがれきとたった1人で戦います。何度も死を覚悟し、妻との日々を振り返るたび、奇跡のように希望の品々が流れ着きます。やがて孝志は、クラゲの光に励まされ、妻が愛唱した歌「星影のワルツ」で、生きる力を取り戻していくのです。

【番組情報】

NHKスペシャル「ドラマ 星影のワルツ」
NHK総合 
3月7日 午後9:00~9:59 
NHK BS4K 
3月25日 午後11:15~深夜0:45

NHK担当 K・H

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