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西島秀俊が建築士を演じる「ノースライト」。北村一輝と出し合ったアイデアとは?2020/12/11

 横山秀夫さん原作のミステリー「ノースライト」が12月12日と19日の2週にわたって放送されます。「ノースライト」(NHK総合ほか)は、これまで“組織と個人”をテーマに社会に鋭く切り込んできた横山さんの作品とは異なる“家族”をテーマにした物語です。

 主人公は一級建築士の青瀬稔(西島秀俊)。依頼人・吉野陶汰(伊藤淳史)から「あなた自身が住みたい家を建ててください」と注文されて、家を建てた青瀬でしたが、1年後、その家に吉野一家が住んでいないことが発覚します。その謎を追う青瀬を演じた西島秀俊さんに、作品に対する思いや共演者とのエピソードを伺いました!

――作品を映像化するにあたり感じた印象を教えてください。

「横山(秀夫)さんの作品に出させていただくということで、非常に緊張とプレッシャーが大きかったです。原作の熱量と分量をどうやって脚本に落とし込むんだろうと思っていたのですが、大森(寿美男)さんが本当に見事に脚本にされていたので、よりプレッシャーを感じながら撮影していました」

――台本を読まれての感想はいかがでしたか?

「横山さんの原作はどれもそうですけれども、ミステリーを追いかけながら、謎が解けると最後には深い人間ドラマが立ち上がってくるんです。それが脚本でより鮮明に見えるようになっていて、あっという間に読んでしまいました」

――佐野元彦制作統括によると、穏やかさと繊細さに加えて、隠れている情熱を演じられるのは西島さんしかいないということで原作の横山さんに伝えたところ、「ぴったりだ」と太鼓判を押されたそうです。ご自身は実際にどのように役に向き合われましたか?

「オファーの理由を聞いてうれしいな、ありがたいなと。横山さんは優しい方なので『ぴったりだ』とおっしゃってくださったんだろうなと思います。オファーを受ける時も『自分でいいのか』と考えましたね。この物語は、ある家族が失踪してその謎を追うのですが、それが刑事でも記者でもない建築士という役柄で、モチベーションというか、動機をきちんと作らなければいけないなと思って、悩みながら演じていました」

――青瀬は大学の同期で建築事務所所長の岡嶋昭彦(北村一輝)の下で働いていますが、青瀬にとって岡嶋はどんな存在だと思いますか? また、北村さんとの共演エピソードを教えてください。

「北村さんは演技の好きな方で、とにかく空き時間はずっと本読みをやっていたので『本当に好きなんだな』と。アイデアもお互いに出し合ったりして。北村さんも普段やっている役ではなく『今回、建築士だからね!』とおっしゃって、『すぐ刑事っぽくなるから駄目だね』なんて現場で言っていました。演技に対する情熱と喜びにあふれた人で、撮影期間中はずっとコミュニケーションを取っていましたね。この物語は岡嶋が影の主役でもあります。岡嶋に起こるある出来事によって青瀬は再生していく…。その前からも青瀬の再生は始まっているんですけど、決定的にもう1回自分を取り戻して、人生をちょっとずつ前に進めていきます。岡嶋がそのきっかけをつくって青瀬や物語を引っ張っていってくれたように、現場でも常に北村さんに引っ張ってもらったという印象です」

――具体的にはどんなアイデアを出し合ったのでしょうか?

「岡嶋とは同期で、2人の関係が台本上で書いてあるよりももっと昔から知り合っていて、こんな経験があって…と、会話を生き生きとしたものにしようと。2人っきりの時と会社にいる時とは全然違って…。会社にいる時は岡嶋が上司で青瀬が部下なので、きちっとした形で話しているけれども、2人で会っている時は学生時代の同級生の空気をもっともっと作っていこうと。2人のところは子どもっぽいというか、昔のままの関係ということを注意して演じていました」

――軽井沢に実際に家を建てて撮影されたとのことですが、リアルな家で撮影していかがでしたか?

「脚本を読んだ時に考えたのが、『Y邸をどうやって建てるんだろう』と。似た家を探してそれに何か付け加えるのかと思っていましたが、変わった家だからこそ青瀬の代表作になるし、ある意味この家も主役なので、一から建てるということになりました。完成した家を見た時は『本当に住めますね、これ』という感じで。原作や脚本にあるとおり、三つのチムニーがすごく象徴的に立っていて、浅間山が絵のように見えるという…。中も完璧に作られていて『これは既存の家では無理だったろうな』と思いました。実際に家に入ると“ノースライト”の美しさや家族のだんらんをイメージして作られていることが随所に感じられて、演技をする際にとても助けになりました。脚本に『窓に向かって座ると吸い込まれそうになる』と書かれていますが、実物は本当に奇麗で。カメラマンと『合成だと思われるだろうね』と話すほどでした。僕が何か想像を足す必要がないくらい、吸い込まれそうな美しい景色でした」

――青瀬が勤める建築事務所の経理担当・津村マユミ役で田中みな実さんが出演されていますが、女優としてどんなところに魅力を感じましたか?

「田中さんが演じるマユミの感情が湧き出るシーンが、ものすごく時間が掛かるシーンだったんです。そこに最初からすごく感情が入っていたので『(集中力が)途切れてしまうんじゃないか』と周りが心配するほどでした。でも、全く途切れることがなく、長時間その感情を持っていらして、すごい集中力と感受性の豊かさを感じました。演技の中で周りの俳優にいろんなものを与えてくれる才能の持ち主だなと思いました」

――今作は「家族」がテーマですが、娘との向き合い方で気を付けたことはありますか?

「ほかの横山さんの作品よりも、より家族が大きな比重を占めている作品なのかもしれません。元妻の村上ゆかり役の宮沢(りえ)さんとも『この人たちは何で別れたんだろう? 今どういう関係なんだろう?』という話はずっとしていて。うまくいかなくて離婚していますが、この家庭に関しては娘も元妻も良くできた女性で、青瀬が間違いなく1人で勝手に自滅していって、最後の助け舟さえも拒絶されてどうしようもなくなっているんです。青瀬としては自分がすべての原因だという罪悪感を持ちながらも、娘との関係をなんとかつないでおきたいという思いを持って、娘とは会っているんだろうなと。そこを一番大事にして演じていました」

――最後に見どころをお願いします!

「ミステリーを楽しんでいただきたいのはもちろんなのですが、一番見ていただきたいのは、働いている男女それぞれの思いと戦う姿です。一見、ちゃらんぽらんにやっているように見える人が、実は深く仕事のことや自分のこと、家庭のことを考えていろんなものを背負って生きていることが見えてきます。僕は『人生や世界ってそうだよな』と思っていて。みんな、人には言えないけれど、胸に秘めた何か大切な思いを持って生きているということがミステリーを解いていく中で見事に立ち上がってくるところが非常に感動的です。また、北村さんや宮沢さんなど、本能で演技をする方が集まって作品を作っていることが毎日刺激的で楽しかったので、そこも見ていただきたいです」

――ありがとうございました!

あらすじ 前編(12月12日放送)

 Y邸の依頼人・吉野(伊藤)から「あなた自身が住みたい家を建ててください」という注文を受けた建築士・青瀬(西島)。それは、バブルが弾け、妻・ゆかり(宮沢)とも別れ、設計事務所の岡嶋所長(北村)に拾われた青瀬にとって、またとない機会でした。しかし、その1年後、吉野一家が、そのY邸に引っ越していないことが発覚し…。

【番組情報】

土曜ドラマ「ノースライト」
12月12日・19日
NHK総合・NHK BS4K 午後9:00~10:13

NHK担当 K・H

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