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小池栄子、「鎌倉殿の13人」最終回の台本に衝撃を受け放心状態に!?「皆さんの反応が今から恐ろしいです(笑)」2022/11/27

 第45回(11月27日放送)の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合ほか)では、雪が降りしきる鶴岡八幡宮の大階段で、源頼家(金子大地)の子・公暁(寛一郎)によって命を落とすこととなった源実朝(柿澤勇人)と、太刀(たち)持ち役を源仲章(生田斗真)に奪われたことで死を免れた北条義時(小栗)の姿がありました。そして、これにより、実子と孫を亡くした北条政子(小池栄子)は絶望の淵に立つことに。

 今回は、源頼朝(大泉洋)の妻となり、頼家、実朝と3代の鎌倉殿を見守り続けてきた政子役の小池さんから、演じる上で心掛けたことや、義時役の小栗さんとのエピソードなどを伺いました!

――物語の後半では政子が厳しい決断をせざるを得ない場面が多々ありましたが、そんな役をどのように感じ、どう演じられたのでしょうか?

「後半は特に、子を失った悲しみに勝るものはないと思っていました。政子が尼将軍として政(まつりごと)に携わるようになって、悩み、決断しなければいけないことがたくさん出てくるのですが、実朝が亡くなった時点で一度死んだ気分になって。ここからは本当に腹をくくって、自分がやるべきことや、やらなきゃいけないことに対して、まっしぐらになろうと思って演じていました。そうして、ふと見渡した時に最後に対決しなきゃいけないのは義時だろうと。姉として、どういうふうに彼と向き合うべきかという課題が残ると感じていました」

――素朴な青年だった義時が変化していく姿を近くで見ていた政子は、義時についてどのように思っていたと想像しますか?

「義時が変わっていくさまや苦しんでいる様子をそばで見ていた時は、自分のことのように苦しかったです。政子が頼朝と一緒になったことが大きなきっかけとなり、北条家は狂っていったわけですから、義時が変わっていけばいくほど、頼朝と一緒にならなければこんなことにはならなかったとか、自分が巻き込んでしまったと強く感じていました。大好きな弟をこんなふうにしてしまった一因が自分にあるという思いが常にありました」

――小栗さんが演じる義時はいかがでしたか?

「小栗さんはつらい時はつらい、悔しい時は悔しいと言われる素直な方。現場で義時が憑依(ひょうい)しているような時があったのですが、そこでも私は『頑張ってね』としか言えなかったことが、姉・政子として情けなかったし、同じ役者としても『もっと頼もしく支えてあげることができればいいのに』とヤキモキしていました。そんな私に、小栗さんが『(物語の中で)一緒に地獄を見ようが、とにかく最後まで頑張ろうね』と言ってくれたことはすごくうれしかったです。物語は家族から始まったから、三谷(幸喜)さんは最終的に家族の話で終わらせるだろうと思っていたのですが、撮影が進んでくうちに本当にどんどん御家人がいなくなって、ラスト2、3回の頃には『本当に家族しかいないね』と現場でよく言っていました。でも、家族で終わるのは『ある意味、幸せだよね』とも話していましたね。物語の中ですが、約1年半、本当の家族のようになれたと感じています」

――政子は妻や母として3人の鎌倉殿を見てきたわけですが、頼朝、頼家、実朝、それぞれの人物への思いを聞かせてください。

「今考えてみると、頼朝がもしかしたら一番癖がなかったのかもしれませんね。彼は彼なりの夢を追って突き進んでいくけど、ちゃんと政子と向き合っていたし、いい旦那、いい父親だったんじゃないかと。かわいらしいところもあったし、みんなが憧れるカリスマ性もあって、『そりゃモテるだろう』と。いい男だったと思います。頼家は、その反動で屈折した感じがすごくあり、実朝は政子が頼家を失ったことで過保護にしすぎて、腫れものに触るように接していました。当時は乳母(めのと)が育てている時代だから、今とは距離感が違いますが、子どもがどういう人間になっていくかは親の影響が大きいと思うので、政子はダメな親だったという思いが残っています。頼家も実朝もちょっと変わり者だったけれど、彼らに責任はなくて、頼朝という圧倒的な存在感があったからこそ、ああなってしまったのだろうなど、いろんなことを考えました。頼朝が生きていたら生きていたで、衝突し合っていたのかもと思うと男同士は難しいなとか、男の子を育てているお母さんは大変だなとも感じましたね。3人ともすごく大切な存在で幸せになってほしかったですが、幸せにできなかったのは自分の責任だと、終わった今もなお、感じています」

――政子に思いを寄せる大江広元(栗原英雄)とのやりとりも見どころの一つですが、どう思われていましたか?

「後半、大江のキャラクターが出てきたのは面白かったです。『笑うんだ、大江殿』と思いましたもん(笑)。大江については『頼れるけど、そうじゃないのよ。ありがとう』とたしなめていく感じで、一方的にどんどん思いを募らせてくれと思っていましたが、三谷さんには『もうちょっと受け入れてほしかった』と言われましたね。『頼れる相方で好きだけど、恋愛の好きではないと思って演じていました』と笑ってごまかしましたが、もしかしたらそれが男の願望なのかもしれませんね(笑)」

――政子はつらいことが多い役でしたが、演じていてどんな時に楽しいと思われましたか?

「街中で『政子』と呼ばれたことです。自分の役がちゃんと世の中の皆さんの心を揺さぶるものになって届いていることが分かって励みにもなりました。ドラマやバラエティーを作っていても、実際にどういった方がどういうふうに楽しんでくれているのか、伝わりづらい部分があるんです。それが街中で『政子様』とか『見ていますよ』と実際に顔を見て言われると、その一言で『来週も過酷なシーンだけど、頑張ろう』と思いますし、言ってくれた方の顔を思い出すんですよ。政子は今まで自分がやってきた役の中で一番反響があって、それを感じられたので感謝していますし、1年半すごく楽しかったです。それは大河ドラマならではかもしれません。また、この作品は時を経ても色あせずに残っていく作品だと思うので、今回見逃した方もぜひ機会があれば見ていただきたいし、海外にもどんどん広がっていってほしいです」

――名場面が多すぎて一つに絞るのは大変難しいでしょうが、印象に残っている回やシーン、セリフはありますか?

「第22回(6月5日放送)の八重(新垣結衣)が亡くなって落ち込んでいる義時に餅を持っていって、『なぜか絞めたくなるの』と政子が義時の首を絞めるシーンです。今でもあそこに戻りたいと思うほど、とても好きなシーンです。あの義時は最初の頃の純朴さが残っている安心感もあり、楽しかったです。もし今、義時を慰めに行っても、もうあの笑顔を引き出せないんですよね。もしかしたらあのあたりがギリギリのラインだったのかもしれないと、ふとした時に思い出すことがあります。もう一つは、和田義盛(横田栄司)を討った義時のシーンです。実朝が義盛をみんなの目の前でかばうことは台本を見て知っていたのに、『それはだめだよ』とテレビを見ながら言っちゃいました(笑)。あの言葉さえなかったら、(和田は)滅ぼされなかったんじゃないかと思っちゃって…。そんなことはないんでしょうが、みんながどんどんすれ違い始めたことの集大成なんじゃないでしょうか。シーンはもちろんですが、三谷さんの脚本がすごかったですね」

――そして、クランクアップの時には「もう政子になれないのが悲しい」と涙を流されたそうですが、あらためて撮影終了を迎えた時の気持ちを教えてください。

「自分が想像していたより北条政子という人間を愛してしまって、そこから離れがたく、もう1回初めからやり直したいと思うほど、政子に魅了された1年半でした。もう政子を演じられないことを心から寂しく思っています。また、義時を演じる小栗さんが作り上げた現場が温かく、とても心地よくて。ルーティンになっていたので、仲間たちと離れる寂しさもありましたね。クランクアップから少し時間が経ちましたが、まだ放送が残っているので変な気分です。今はもう私たちの手元から離れてしまったので、視聴者の皆さまの力によって盛り上げていただきたい気持ちが大きいです。そして、最終回に向けて、おそらく賛否が巻き起こる流れになっていくので、どういうふうに皆さまに受け入れられるのか、楽しみでもあり、不安でもあります。それくらいの脚本を三谷さんは描き上げてくださいました」

――もう1回やり直したいとは意外です。

「やり直したいです。やり直しても、きっと同じようなお芝居をしているでしょうけど、それくらいまだ政子でいたかったんです」

――クランクインの時に、三谷さんから小池さんの代表作になる政子を演じてほしいというお話があったそうですが、撮影を終えてご自身はどう感じていらっしゃいますか?

「善児役の梶原善さんが同じように言われて『代表作になりました』と言ったことに関して、三谷さんが『自分で言うな』とおっしゃっていたので、私からは何も言いません(笑)。ただ、三谷さんの希望通り、新しい政子像はちゃんとお示しすることができたのではないかと自信を持って言えます」

――演じる上で三谷さんからアドバイスなどはあったのでしょうか?

「具体的なアドバイスはありませんでしたが、終盤は『“鎌倉殿の13人”応援感謝!ウラ話トークSP』(10月9日放送)でも言ったように、予想しないような最終回だったので『正直悩んでいます』とか、『寂しさと緊張で寝られないです』という愚痴を一方的に聞いていただいていました。いまだに思い出すと興奮する回だったので、早く見てもらいたい半面、ちょっと怖くて。12月18日の最終回は神奈川・鎌倉でパブリックビューイングがあって私も登壇するのですが、皆さんの反応が今から恐ろしいです(笑)」

――どんな最終回か気になりますが、その台本を読んだ時、どのように感じましたか?

「衝撃でした。本当に言葉が出てこなくて放心状態になった後、怖くなってきちゃって…。撮影までに政子の心情を固められずにいたら、監督や小栗さんが『演じてみないと分からないよね』と。そして『演じてみたら1年半撮影した答えが必ずそこにあるはずだから、揺れ動いたまま、その時に感じたことを演じてください』と監督に言われたので、少し気が楽になりました。三谷さんに対して『とんでもない本を描いてくれたな』と思いましたが(笑)、三谷さんとしても、また新しい代表作になってくれたのではないでしょうか」

――そんな三谷さんの脚本の魅力は何だと思いますか?

「物語は主役やヒロインが目立つバランスになりがちですが、三谷さんの脚本は1回だけとか、あるいは1シーンしか出てこない役者さんに対しても、その方が輝く人物像や登場の仕方になっているところがすごいです。1人の人物の人間性をいろんな角度から深掘りして、しかも笑いを入れてくる。今作もいわゆる死に役が誰一人いなくて、誰が欠けても成立しなかったし、皆さん圧倒的な存在感を残して去っていかれるんですよ。それが群像劇を描く三谷さんの技なんだなと。みんなが三谷作品に出たいという理由は、そういうところにあるのだろうとあらためて思いました」

――放送後のSNSでの盛り上がりや考察について、現場で話題になることはありましたか?

「話題になっていました! 三谷さんご自身もインタビューでおっしゃっていましたが、『修善寺』のサブタイトルが『善児』とかけて『終・善児』になっていると盛り上がっていたけど、『そんなつもりないのに』と言われていて(笑)。でもそうやってみんなが盛り上がってくれるのは、すごく楽しいですよね。そうやって、自分たちの手を離れてどんどん広がっていくのが一番うれしいです」

――毎週、視聴されているとのことですが、台本で読んだ時や現場と全然印象が違うと思ったことはありますか?

「政子が(北条)泰時(坂口健太郎)の首をもんでいる時にボキボキ音が鳴っていたのを見て『うそだろう?』と。そんなつもりない場面でも、抜けたような効果音を付けられていました(笑)。編集マンの方たちも楽しんで作られているんだとオンエアを見てうれしかったし、一視聴者としても楽しかったです。ほかには、クラシックの音楽との融合。第1回(1月9日放送)の義時が頼朝を馬に乗せて逃げる時の曲がドボルザークの『新世界』で、それをここに持ってくるんだと。これを機にそういう音楽を聴いてみたくなって、その音楽の意味をちょっと考えたりもしました。ドラマはいろんな部署がみんなで力を合わせて作っている作品なんだと実感しました。さらに、今回は新しいCG技術も使われていて豪華さも感じました。大河ドラマに出られたうれしさもありますが、日本人として見続けていくべき作品だと思いました」

――今作が小池さんの代表作になったと思いますが、2023年以降の女優としての野望を教えてください。

「今作で自分の芝居の課題も見つかりました。恥ずかしくて言えませんが、演出の方からダメ出しをたくさん受けたので、もっとたくさんいろんな作品を見て研究して勉強しないといけないなと感じています。大河ドラマのいいところは、いろんな世代の方と接することができること。今回多くの先輩方と触れ合って、気持ちだけでは残れない仕事で、努力だけでなく、練ってきた役を掘り下げて見せるしぐさやしゃべり方をもっと勉強しないと、10年後にも残っている役者になれないと痛感しました。来年から芝居の仕方や質が変わったNEW小池栄子をお見せできたらと思っています」

――ありがとうございました!

【番組情報】

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム・NHK BS4K
日曜 午後6:00~6:45

NHK担当/K・H



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