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【「鎌倉殿の13人」小栗旬インタビュー・前編】小池栄子、山本耕史らへの思いを告白! 和田合戦の真相も明らかに!?2022/11/20

 第43回(11月13日放送)の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合ほか)では、京から養子を迎え後継者にすると話す源実朝(柿澤勇人)に対し、鎌倉殿になるという決意を胸に鎌倉に戻ってきた頼家(金子大地)の子・公暁(寛一郎)はもちろん、北条義時(小栗旬)や実衣(宮澤エマ)も納得できない様子でしたね。実朝の後継者問題で揺れる鎌倉はどうなっていくのでしょうか。

 物語が佳境を迎える中、先日クランクアップした義時役の小栗旬さんにお話を伺いました! 2回に分けて紹介する前編では、義時が支えた“鎌倉殿”たちへの思いや、姉・政子を演じる小池栄子さん、幼なじみの三浦義村を演じる山本耕史さんとの共演エピソード、そして今後の見どころなどをお届けします。

――3人の将軍を支えてきた義時にとって頼朝(大泉洋)は特別だったと思いますが、頼朝、頼家、実朝はそれぞれどんな存在だったのでしょうか?

「頼朝さまに関しては本当に支えてきて、結構、無理難題を押し付けられることも多かったんですが、頼家、実朝になってからは、支えたいと思っていろんなことをするけど受け入れてもらえないという時間がありました。頼家に関しては、彼の将軍としての気持ちが追いつくまで宿老たちで政(まつりごと)をするという思いが頼家には理解してもらえず、悲しい終わり方になって…。実朝に関しては、義時からすると西(京)にお伺いを立てることがどうしても許せない。それをし始めてしまうと、今まで西の影響を受けずに東で自分たちが築いてきた、武士たちによる国づくりの理想から外れていってしまうという思いがありました。義時が実朝を納得させられるだけの表現をしきれなかったことが、最終的に2人を隔ててしまって。実朝を立てながらやれる政権があったら良かったんでしょうが、なかなか折り合いがつかなかった。それに、自分と自分の家族のことを考えている人が多い時代に、義時だけがどうしたら鎌倉幕府がうまく成り立っていくのかを最初から最後まで考えていたのに、それを認めてもらえないことから、だんだん違う形の感情を生んでいって、実朝との関係がこじれてしまったんじゃないかと思っています」

――義時が北条家を守っていく上で政子は欠かせない存在でしたが、義時と政子の関係や政子を演じる小池さんへの思いを教えてください。

「政子のおかげで北条家の人たちはみんな人生が変わってしまっているので、そこにはいろいろ思うことがあります。義時としては、いいことはいい、悪いことは悪いという基準が昔から変わっていない政子は、守りたいものの一つだったんじゃないかなと思っていて。あくまで『鎌倉殿の13人』の中の話ですけど、義時が最後の最後まで守りたかったものは、政子の純粋さと昔の自分を見ているような泰時(坂口健太郎)の考え方だったんじゃないかと。そこが結構自分の中では肝だったかもしれないです。それを真っすぐに演じてくれる栄子ちゃんと坂口くんがいて、非常に楽しかったです」

――政子は子どもがことごとく亡くなっていて、一方、義時は子どもが生き残っています。その辺の関係性はどんなふうに捉えていましたか?

「義時は姉の息子殺しに関わっているので、そこは本当に申し訳ないと思っています。だけど、政子はなんで普通にしていられるんだろうと思う瞬間がいっぱいあるんですよ。でも、それが人間なのかなとも思ったりもして。どんなに深い悲しみがあっても、自分の人生を終わらせない限りは生きていかなきゃいけない。そうすると、悲しみや苦しみには一度ふたをしなければいけない瞬間もあるんだよなと思う時もあって。栄子ちゃんが演じる政子って、意外と明るいんですよ。結構エグいことがいっぱい起きているのにと思っていたんですが、栄子ちゃんが演じたからこそ、説得力をもって魅せられた部分なのかなと思います」

――また、三浦義村(山本耕史)とは、絆があるようにも危うい感じがあるようにも見えるすごく不思議な関係ですよね。小栗さんは義時が義村のことをどう思っていると解釈して演じられていましたか?

「義村はなかなかつかみどころのない人物ですが、基本的には絶対に自分を裏切ることがない男だと思ってずっと過ごしてきました。うまく立ち回った方が生き残れるし、死んだらおしまいじゃないかという義村の考え方は非常に理解できますし。彼がそういうことで動いていることも、『そうじゃないと死んじゃうからね』という思いでいたんじゃないでしょうか。義時としては、ものすごく信頼を寄せているし、なんだかんだ言ってもあの2人は幼い頃からずっと共に生きてきた人間なので、いくつになっても幼なじみで。そういうところは抜けないままだったと思っています」

――山本さんとの共演はいかがでしたか?

「今回は共演者に助けられたところもいっぱいあって。特に名前を挙げさせてもらうと、耕史さんや栄子ちゃん。2人がものすごくしっかりしたリアクションをとってくれるので、自分が怖い芝居をしたり、大きくキャラクターを見せたりする必要がなくて。『こういうふうに旬くんは考えているんだろうな』と理解した上で、的確に義時のキャラクターを表現するためのリアクションをとってくれることが現場で多々あって、そういう相手とお芝居をすると、無理しなくていいんだよなと思う瞬間が非常にたくさんありました。彼自身も面白い芝居をいろいろされるんですが、耕史さんはそこで、義時というキャラクターが今、義村の目にどう映っていて、それを見ているお客さんたちが、義村のリアクションによってどういうことを義時に対して感じるのかを考えて演じてくださる俳優さんだったので、非常に救われましたね」

――第40回(10月23日放送)の和田合戦が起きた際、義時がすごろくをしているシーンが印象的でした。あのシーンはどんな気持ちで演じられていたのでしょうか?

「史実では、和田合戦が始まる瞬間、義時は囲碁をしていたという記録があるんですが、それを演出陣が、今作で象徴的だったすごろくに置き換えてくれて、すごろくを1人で始めているシーンになりました。あのシーンは三谷(幸喜)さんが台本を直されて、最初にもらったものとは少し違う形になったんです。その直しが自分の好みで。最初は、義時が和田合戦が起こるように仕向けていく感じでしたが、新しく上がってきた台本では、義時の中では矛を収めたのに和田軍が動いてしまった形になっていて。それが畠山重忠の乱で重忠(中川大志)が矛を収めるために鎌倉に来たのに、北条が先走って戦を始めてしまった時と重なっているんですよね。それがすごく面白いなと思って演じていました。すごろくのシーンは、和田を倒した方がいいと思っているのか、逆にやらなくてよくなったとホッとしてすごろくをしているのかと、現場でも最後の最後まで悩んだんです。最終的には、執権・北条義時としてはやらなければいけない戦だと思っているけども、小四郎・義時としては和田と戦わなくて済んだことは、ものすごくホッとしたんじゃないかと。殺したくもなかっただろうし。だからあそこは、すごろくを出してきて、実はものすごくホッとしている自分がいることに気付くという瞬間だったのかなと思って演じていたし、そうなっていたと思います」

――いろんな思いが巡っていたシーンだったということでしょうか?

「そうですね。あのシーンの前に、実朝が『久しぶりに会ったんだからすごろくでもやろう』と義盛(横田栄司)に言って、2人が出て行くシーンがあったんです。そのシーンを撮っている時に、冗談で『なんで義時は誘われないんだろう』という話をしていたんですよ。だから、義時は誘ってもらえないなら1人ですごろくをしようと思ったのかな、なんていう話もしていました(笑)。少なからずそんなことを思い出していたのかもしれないし、実朝とのすごろくができる関係になっていたら、俺も少し違ったのかなとか思っている瞬間もあったのかもしれませんよね」

――そういうシーンは今後もありますか?

「バンバンあります! この1年5カ月ぐらいで、そうだなあ…。RRG(ロールプレーイングゲーム)で言えば8レベルぐらい上がったと思うんですよ(笑)。使えなかった魔法が二つぐらい増えた感じです」

――これまでの義時の言動や行動を振り返って、やりすぎなんじゃないかとか、ほかの策もあったんじゃないかと思う印象的なシーンはありますか?

「そこに関してはいっぱいあります。そもそも最初の挙兵の時、300人くらいは集められると言ったのに、24人しか集められなかったというところから始まっているので(笑)。意外と理にかなっていることを言っているのに、だいたいいつもミスるんですよね。そこは不思議だなと。後半に関して言えば、そうせざるを得なかった部分もあるけど、和田の殺し方はやってはいけないですよね。あれをしたら、義時のことを恐怖にしか感じないし、共にいようという人はいなくなっていくだろうと、僕個人としては感じました。そして、キノコ。『おなごはキノコ好き』というのを信じ続けてきた結果、ことごとく敗北していることに関しては残念だったなと思っています(笑)」

――以前、小栗さんがマスクに「全部大泉のせい」と書かれていましたが、最近は「全部義時のせい」や「全部小栗のせい」というワードがSNSで話題になっています。そのように視聴者が言っていることについてどう思われますか?

「この先、義時をやっていく上で、第48回まで僕に不快な思いや怒りを感じるお客さんが多ければ多いほど、役者冥利(みょうり)に尽きます。そういうキャラクターをやれてよかったと思います。一方で、『皆さん、振り返ってみてください。こいつも結構いいやつだったんです』という思いもあります。第1回から、いろんなボタンの掛け違いやストレス、プレッシャーが彼にどんどん積み重なっていって、今の彼になってしまったので。三谷さんがおっしゃるように、人間って急に変わるのではなく、じわじわと彼の中をむしばんでいった何かを、この作品は丁寧に描けていると思っています。それで、前半『大泉のせい』だったものが『小栗のせい』になったとしたら、こんなに痛快なことはないです」

――鎌倉時代、朝廷に歯向かい戦うことはものすごく大変なことでしたが、義時にとって後鳥羽上皇(尾上松也)はどのような存在だったと思いますか?

「義時からすると後鳥羽上皇は、実はなかなか見えにくい存在ではあるんですよね。義時は後鳥羽上皇と対面したことがあるのかとか、もしかしたら最初から最後まで顔も知らずにいたんじゃないかなど、そういうことを全部ひっくるめると常に謎の存在というか。そして、義時からすると本当にウザい。後白河法皇(西田敏行)のころから、武士のことをものすごく下に見ているんだろうと感じていて。そういう感覚に怒りとか悲しみ、なんでこんなに偉そうなんだろうという思いがあったと想像します。でも、確実に敬わなければいけない存在であって。心の中でものすごくメラメラしている瞬間が西の方々に対しては常にあったので、その辺が不思議だなと思うこともありました」

――演じる松也さんをご覧になっていかがでしたか?

「同世代で歌舞伎をやられている方たちが時代劇をされると、何があっても自分たちには出せない色気や声音があるんです。松也くんの後鳥羽上皇の“いやらしい品”みたいなものは抜群。セリフを聞くだけでも、西の雅さを感じさせてくれるセリフ回しで。しかも後鳥羽上皇は義時よりも年齢が下なので、それが見えると本当にベストなキャスティングだなと」

――そして、12月18日に最終回を迎えるわけですが、小栗さんは義時のラストについてどう感じましたか?

「本当に納得のいくラストでしたし、実際演じてみたら、あの日で全部終わったという感じでした。冗談で、制作統括の清水(拓哉)さんと話していたんですが、今からもう1回義時をやれと言われても全くできない、何も憶えてませんという気分です」

 果たして、12月18日放送の最終回で、義時はどんなラストを迎えるのでしょうか。また、本日午後8:00に公開する後編(https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1877358/)では、クランクアップ後の心境や脚本を執筆した三谷幸喜さんへの思いなどをお届けします!

【番組情報】

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム・NHK BS4K
日曜 午後6:00~6:45

NHK担当/K・H



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