Feature 特集

「エール」裕一の幼なじみ・久志を演じる山崎育三郎。「久志と御手洗のシーンは奇想天外!」2020/06/23

 オムニバス形式の第12週が終わり、第13週(6月22~26日)は、福島三羽ガラスの1人である佐藤久志(山崎育三郎)に焦点が当たる回となっている連続テレビ小説「エール」(NHK総合ほか)。第61回(6月22日放送)では、4年前に音楽学校を卒業して以来、いまだ歌手としてデビューできていない久志に、古山裕一(窪田正孝)が「コロンブス専属新人歌手募集」のオーディションへの応募を勧めていましたね。また、第62回(6月23日放送)では、子ども時代も明らかになった久志。そんな久志を演じている山崎さんに、久志の人物像や、後に“福島三羽ガラス”として人気を博す裕一、村野鉄男(中村蒼)との関係について聞きました!

── 朝ドラ初出演となりますが、周囲の反響はいかがでしたか?

「祖母がとても喜んでくれました。『いつか朝ドラに出てね』と言われていて、『僕はミュージカルがメインだから、出られないよ』って答えていたので、放送が始まって家で毎朝見られるのが楽しみだと言ってくれたのは、うれしかったです」

── 歌手を目指す久志は、どんな人物だと思われますか?

「久志は歌を歌い、ピアノを弾き、周りからプリンスと呼ばれ、ちょっとキザなことを言う。皆さんが思い描くミュージカル俳優としての山崎育三郎に近いかもしれませんね。僕も美しいものにひかれるというのは、久志と同じですが、本当の僕は男4人兄弟で育って、野球をやってという男っぽい世界で生きてきたので、『昭和元禄落語心中』(NHK)で演じた助六の方が近い気もします。久志は明るく、社交的であるけれど、それは自分自身を守るための立ち振る舞いで、きっと根は繊細でもっと人間的な部分もあるんじゃないかと思っていて、表面的な部分だけでなく、そういった彼の心(しん)の部分も大事にして演じています」

── 久志にとって、“福島三羽ガラス”の裕一、鉄男はどんな存在でしょうか?

「久志は優しく裕一や鉄男の話を聞いて、相談にのってと、一見支えているように見えますが、実は久志の方が2人に助けられていると思っています。自分にない才能を持っている2人を尊敬しているとともに、何でも言い合えて、本来の久志を解放できる唯一の場所なんだと思います。僕にも、地元に“山崎軍団”(笑)という小学校からの幼なじみがいて、かけがえのない絆があるので、久志の気持ちが分かります。実際に、窪田くん、蒼くんともリハーサルや撮影の合間に3人の雰囲気を作り上げることができて、お芝居していても“福島三羽ガラス”でのシーンが一番好きです! また久志は、特に音楽の才能に敏感です。裕一の才能をいち早く見抜いたのも久志ですし、裕一は久志にとって気になって仕方ない弟のような存在ですが、実は久志が裕一に助けられている部分もあって…。2人は、全く違うタイプだからこそ、補い刺激し合える仲なんです。鉄男に関しても、まず彼の作詞家としてのセンスにひかれています。そして、鉄男の男らしさ、真っすぐさといった、自分にはない部分にも一目置いているんです。何より久志は、この2人となら何でも言い合える。ついついカッコつけてしまう久志ですが、裕一と鉄男の前だけは自分を解放して、本来の自分でいられるんです。そういう意味で、“福島三羽ガラス”の3人は“親友”ですよね」

── では、窪田さん、中村さんと共演して、いかがでしょうか?

「窪田くんとは、以前一度共演してから約5年ぶりの共演です。以前は勢いのある若手俳優といった印象でしたが、今回はガラリと変わって、座長としての風格を強く感じますね。作品に関わるすべての人に意識を向けながら、その誰とも誠実に接している。年は僕より一つ下なのですが、彼のそんな姿勢に強い刺激を受けるとともに深い信頼を置いています。蒼くんは、鉄男と180度違って、実はとても穏やか。繊細で心優しくて、どちらかというと裕一のようなタイプの人なんです。いつも僕と窪田くんの話を、ニコニコうなずきながら聞いてくれます。でもいざ収録となると、途端に鉄男に変わる。あの集中力には感心させられます」

── 収録合間は、どんな雰囲気なのですか?

「撮影の合間も、ずっと3人で話をしていますね。“これから『エール』をどうやって盛り上げていこうか”といった話をする時もありますし、僕が2人にミュージカルに関する話をする時もあります。最近よく話題に上るのは、窪田くんのお弁当。彼は食に対してとてもストイックで、毎日必ずお弁当を持ってきているんです。しかも、体のことを考えたおかずばかり。窪田くんの食に関する話を、僕と蒼くんが興味津々で聞いているということが多いです」

── 第13週では、久志の子ども時代も描かれますが、台本を読んだ時はどう思われましたか?

「子ども時代の久志は、いつも突然現れて、達観したことを口にしたかと思うと、また突然いなくなるというような少年でした。13週では、それだけではない久志の物語が描かれます。両親が離婚したため、実の母親と離れ離れにならざるを得なかったという、彼の悲しい過去が明らかになるんです。そして、そんな久志を救ったのが音楽だということも。13週は、やがて音楽の道を志すことになる久志の原点が垣間見える週でもあります。『こんな過去があったからこそ、久志は常に明るいんだ』と思えるエピソードで、僕も台本を読みながらちょっと泣けましたね。人は、つらい経験を通じて人の痛みを知るからこそ強くなれるはずです。久志の達観した考え方や常に冷静でいられる強さは、彼にこんなつらく悲しい過去があったからこそ。僕自身、久志をただのキザなヤツとしてだけでは終わりたくないと思っていただけに、久志の人間的な部分を視聴者の皆さんにも感じてもらえる機会を得て、とてもうれしいです」

── そして、コロンブスレコードの歌手オーディションでは、久志が、音(二階堂ふみ)の“ミュージックティーチャー”である御手洗清太郎(古川雄大)と火花を散らすという展開ですが…。

「御手洗役の古川雄大くんは、ミュージカル界でともに頑張ってきた仲間です。プライベートも含めて長い付き合いがあるので、今回も、2人であれこれ相談しながら収録に臨みました。ぜひ見ていただきたいのは、久志と御手洗が発声練習をする場面ですね。僕たちもアイデアを出しながら収録したシーンなんです。久志と御手洗は、最初別々の部屋で発声練習をしているのですが、そのうち相手の声が聞こえてきて、発声しながら近寄っていく。最後には、まるで剣を構えた侍が対峙(たいじ)するように、両者見合いながら発声を続けるという奇想天外なシーンになっています! 実は久志と御手洗がにらみ合う場面は、古川くんとアドリブを交えながら演じている部分が多いんです。ミュージカルならではの立ち振る舞いを生かすことで、久志と御手洗の個性のぶつかり合いを、より面白い形で表現できたのではないかと思っています。ぜひ見ていただきたいです」

── 最後に改めて「エール」の魅力を教えてください。

「タイトルが示すように、この作品は、見る方に寄り添い、励ましのメッセージを送るようなドラマです。何よりもそこに音楽の力が加わることで、より強いメッセージを届けられる。誰だって音楽は身近にあって、音楽に救われながら生きている人がたくさんいると思うんです。ぜひ『エール』という作品から、音楽の力を感じ取っていただきたい。そして大変な今だからこそ、全国の皆さんに見ていただきたい作品です」

── ありがとうございました!

 6月24放送の第63回では、裕一に勧められた「コロンブス専属新人歌手募集」のオーディションに応募する気満々の久志に、裕一は自分の作曲そっちのけでおせっかいを焼きます。そんなある日、音の声楽の先生である御手洗が突然古山家に現れるのです。山崎さんと古川さんのアイデアが生かされた久志と御手洗のバトルは必見です!

【番組情報】

連続テレビ小説「エール」 
NHK総合 月~土曜 午前8:00~8:15ほか 
NHK BSプレミアム・BS4K 月~土曜 午前7:30~7:45ほか 
※土曜は一週間の振り返り。

NHK担当 K・H

この記事をシェアする




Copyright © TV Guide. All rights reserved.