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北山宏光が元ニートの弁護士を演じるために監督に提案したこととは?――「正義の天秤」インタビュー2021/09/11

北山宏光が元ニートの弁護士を演じるために監督に提案したこととは?――「正義の天秤」インタビュー

 元外科医の弁護士・鷹野和也(亀梨和也)が師団坂法律事務所の刑事部門“ルーム1”のメンバーと共に難事件の真相を明らかにしていく土曜ドラマ「正義の天秤」(NHK総合)。

 徹底した合理主義で天才的な思考力と推理力を持っている鷹野が強烈なキャラクターであることはもちろんなのですが、“ルーム1”のメンバーも癖の強さでは負けていません。今回はそんなくせ者弁護士の1人で、ニートから弁護士になった杉村徹平を演じる北山宏光さんを直撃! 杉村の人物像や鷹野役の亀梨さんをはじめとする“ルーム1”のメンバーとの撮影エピソードを伺いました。

――ニートから弁護士になった杉村はどんな人物だと思いますか?

「第一に素直な人という印象を受けました。杉村はオタク気質のニートで引きこもりだったけど、それをちゃんと乗り越えて一発逆転を狙って弁護士になった人。彼は精神的にジェットコースターのような浮き沈みの激しい思いを抱いて今に至っているんじゃないかと。一方、心(しん)の強さがあるから弁護士という仕事に就くエネルギーも持ってる。優しさもあって、素直で人のことを気遣えるのが杉村徹平だと思っています」

――弁護士という職業に関しては、どんな印象を持っていましたか?

「堅くて重厚なイメージでしたが、弁護士も人なんだなと。というのも、本物の弁護士の方に現場に来ていただいたのですが、人間だから話し方にも癖があるんです。それを見て『あ、人なんだな』と。また、ドラマだから誇張されているかもしれないけど、“ルーム1”のメンバーにもそれぞれバックボーンがあって弁護士になっていることにも人間らしさを感じています」

――演じるにあたり準備したことはありますか?

「原作を読むなどして、杉村という人間を自分なりにいろいろ考えてやっています。僕と似ているところもすごく多くて。どういうふうに演じたら面白いかなと考えた結果、監督に眼鏡を掛けるのはどうかと相談しました。顔のラインの中に眼鏡が入ってくると、顔を隠すこともできるし、それだけで意味を持たせることもできるかなと。眼鏡をつけて演じることが初めてという意味でも楽しそうだなと思って提案したんです」

――個性が強い“ルーム1”のメンバーに負けないよう、杉村に眼鏡という見た目のひっかかりを加えたいという思いもあったのでしょうか。

「そうですね。オタクでニートだったから、眼鏡を掛けていてもおかしくない生活だったでしょうし、それらのバックボーンを説明しなくても、眼鏡一つで説明できる可能性もあるんじゃないかと考えました。いろんな眼鏡の型を持って行ったんですけれども、監督の一番のお気に入りが今掛けているものです(笑)」

――先ほど、似ているところが多いとおっしゃっていましたが、どんなところが似ているのでしょうか。

「パーソナルな部分なのでちょっと難しいんですけれども、オタクでニートの部分ではなくて、境遇や生い立ちなど、杉村のバックボーンが似てるなと思いました」

――自分と似ている役は演じやすいですか? 

「ヒントにはなりますけど、それがじかに演技につながることはないですね。杉村だったらどうするか、どう思うかを繰り返し考えています」

――では、撮影現場で発見したことや、楽しいと思うことはどんなことでしょうか?

「鷹野という主人公のことをずっとつかめない自分がいるんです。だから鷹野が次はどんな動きをするんだろうとワクワクしながら現場にいます。台本上ではどんな動きをするのかまでは分からないんですよね」

――そんな鷹野を演じる亀梨さんの現場での様子はいかがですか?

「セリフの量が多いのはもちろん、弁護する時には鷹野というキャラクターを演じながら難しいセリフを言わなければいけないので、楽しみながらもいろいろ大変そうだなと思いました」

――亀梨さんとはそのことについてお話されたんですか?

「しましたよ。『セリフ、大変そうだね!』って声を掛けたら『そうだよ! とりあえず第1話のところをやらないと…。その前に第2話を入れると混乱しちゃうからさ』って言われました(笑)。陰ながら応援している感じです」

――第1話では杉村と鷹野がキャッチボールをするシーンがあり、鷹野から強めのボールが投げられるそうですね。杉村のキャラクターを見る限り、そんなに強い球を受けられる人間には思えないのですが…。

「僕もそうかなと思ったんですけれども、『ある程度キャッチボールをしてもいいと思うよ』と監督に言われたので、最低限キャッチボールができる人物として演じました。フランクに会話をしながら鷹野と杉村のキャッチボールが始まっていくのですが、その球の強さから鷹野の意志の強さを感じることができるところが面白いなと。しかも、球の強さから『この人って実は心(しん)のある人なんだ』って感じることも可能だし、キャッチボールが登場人物の今後を変えていくというふうになっていくのかなと、想像しながら撮影していました。実はキャッチボールのシーンが最初の撮影だったので、今後それがどうなっていくのか分からなかったんですが、そういう可能性を含めてキャッチボールをしていました」

――これまで亀梨さんとキャッチボールをしたことはありましたか?

「分からないけど、ジャニーズ野球大会でもしかしたら1、2投投げた可能性はあるかな(笑)」

――回を追うごとに杉村がいい意味で鷹野に感化されていくのではと想像しているのですが、杉村にとって鷹野はどんな存在だと思いますか?

「鷹野から出たセリフや動きを柔軟に受け止めて、時には反発しながら杉村がちょっとずつ成長していくようにできたらいいなと思っています。熱意があって真実や事実を追い求める鷹野に対して、杉村もシンパシーを感じてついていって、最終的に信頼していくというふうになっていくといいなと」

――ところで“ルーム1”のメンバーはくせ者ぞろいですが、役柄で一番くせ者だと思うのは誰ですか?

「僕が演じる杉村もくせ者ですけど、やはり鷹野じゃないかな。一番くせ者であってほしいですが、今後は鷹野の人としての優しさみたいなものも表現されるんじゃないかと思っています」

――では、役柄を離れたところでのくせ者は誰だと思いますか?

「佐伯芽依役の奈緒ちゃんかな? いい意味でくせ者というか…。現場で鼻歌を歌っている時には楽しいんだなと分かるし、ある時はソワソワしているから『何ソワソワしてるの? 聞きたいことあるんでしょ』って言うと、『そう思ってたんです!』って。考えていることが行動に出ちゃうので面白くてかわいらしい子だなと思ってます」

――奈緒さんはムードメーカー的な感じですか?

「そうかもしれないです。前室に奈緒ちゃんと梅津清十郎役の佐戸井(けん太)さんと桐生実雪役の大政(絢)さんが3人で座っていると平和な空気が漂っていて…。佐戸井さんは年齢が離れているけど、結構お話してくださるので、それを見ながら『今日も前室は平和だ』と思ってます(笑)」

――最後に見どころをお願いします!

「“ルーム1”のメンバーですら、鷹野がどういう弁護をして逆転に持っていくかということを知らないので、視聴者と同じタイミングで驚いているところはとても面白いと思います」

――ありがとうございました!

【番組情報】

土曜ドラマ「正義の天秤」(全5回)
9月25日スタート
NHK総合 
土曜 午後9:00~9:49

NHK担当 K・H



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