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大河ドラマ初出演の志尊淳「自分が役を通してしっかりと杉浦愛蔵の功績を伝えていきたい」2021/08/14

 東京オリンピックで3週お休みとなった大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほか)。前回、第23回(7月18日放送)で、渋沢篤太夫(吉沢亮)らが資金繰りに奔走しながら、パリでの留学を続けていたころ、徳川慶喜(草彅剛)が朝廷に政権を返上する大政奉還を執行。こんなに大きな出来事があっても“日本で何かがあった”ということしか分らず、パリで不安な日々を過ごすことしかできない篤太夫たちの姿がありました。

 激動の日本の行方も気になりますが、第24回(8月15日放送)は慶応3年(1867年)の年末、血洗島の渋沢家からスタートします。杉浦愛蔵(志尊淳)が篤太夫の手紙を渡すために、正月の準備をしている渋沢家を訪問するのです。パリで篤太夫と親交を深め、やがて家族ぐるみの付き合いをするほどの仲になる杉浦は、渋沢家の人々とどんなやりとりをするのでしょうか。そんな杉浦を演じる志尊淳さんに、杉浦の人物像や渋沢家との出会い、やがて親友となる篤太夫について伺いました!

――今回、大河ドラマ初出演となりますが、出演が決まった時はどんな気持ちでしたか?

「連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合ほか)でご一緒させていただいた田中健二監督からお声掛けいただきました。今まで日本史や史実に関心がなかったので、時間がない中、どのくらい作り込んでいけるのか心配でしたが、『それでも大丈夫』と言っていただけたので、僕で力になれるのであればと引き受けさせていただきました。大河ドラマに出るという喜びはもちろんありますが、それよりもまた同じ監督に呼んでいただいたことや、初めてのことを体験できるワクワクの方が大きかったです」

――演じている杉浦愛蔵という人物の印象を教えてください。

「杉浦愛蔵さんのことは知らなかったのですが、調べると、ものすごくたくさんの功績を上げていらっしゃって人柄も愛されているのに、フォーカスされていないことが多い方で…。史実を拝見してから、武士の時代に生まれてきた人ですが、武士らしくないアプローチをしようと考えました」

――第24回で杉浦が篤太夫の手紙を持って渋沢家を訪ねますが、渋沢家の雰囲気はいかがでしたか?

「それぞれ第一線で活躍されている方々が集まっていたので、どんな雰囲気なんだろうと思っていましたが、すごく穏やかにそれぞれの空気感を尊重して作品を作っていたという印象です」

――渋沢家では、篤太夫の妻・千代(橋本愛)が洋装姿になった篤太夫の写真を見るシーンがありますが、その撮影はいかがでしたか?

「心(しん)の強さというよりも、かわいらしい純粋な感じでした。他のみんなは笑っているのに、千代だけが真剣な顔をしていて…。すごくほほ笑ましいシーンでした」

――杉浦は後に篤太夫と家族ぐるみの付き合いをする親友になりますが、どのように距離感を縮めていったのでしょうか?

「お話をいただいた時には、第22回(7月11日放送)までの台本しかなく、第21回(7月4日放送)からの出演だったので親友という役のイメージをつかむのは難しかったです。どんなアプローチをしたらいいんだろうと悩みましたが、杉浦として渋沢さんに目を配って、なるべくサポートに回り、献身的に尽くすことが2人の絆につながるのかなと考えました」

――武士らしくないようにしたいという話がありましたが、そのためにやっていたことはありますか?

「発声です。武士は声や姿で相手を威嚇するという表現が多いですが、そういうことはしないようにしていました。杉浦を調べていくと、ものすごく学問に秀でた方で、どちらかというと気品があって知的で、情熱を内に秘めている感じがして。その後、演出陣と相談してバランスを考えながら、武士らしくない演技を心掛けました」

――フランスロケに行けない中での撮影の難しさや面白さ、苦労した点はありますか?

「グリーンバックで撮ったシーンがどのようになっているのかを見ていないので、仕上がりが全然分かっていない状態なんですが…。大変ではありました。本来、グリーンバックの部分にどのようなものが映っているのかを教えてくださったので、それでイメージを膨らませて演じていました。役者として難しいというよりも、スタッフの方が技術的にすごく苦労されていた印象が強かったです」

――篤太夫を演じる吉沢さんの印象を教えてください。

「吉沢さんとは同じ作品に出たことはあるのですが、しっかりと一緒に演技をするのは初めてなんです。歴史のある大河ドラマで1年を通して同じ役をやるのは、役者として試されることもあるのに、僕より1歳上の吉沢さんがされているので、尊敬しています。横で見ていると、普段言い慣れない、とんでもない量のセリフを常に練習されていて、すごいなと。これを1年間続けるのは生半可な気持ちではできないだろうなと。どこかで息抜きをしてほしいなと思っているので、普段楽しく会話をしている時に、笑顔が垣間見えた瞬間は『良かった』と思います」

――杉浦と篤太夫が出ている場面でお気に入りのシーンはありますか?

「第23回(7月18日放送)で西洋の文化に触れて初めてグラスを合わせて乾杯をするシーンがあったんです。実は篤太夫はみんなといる時と2人きりの時は話すトーンが違うんです。杉浦だけが篤太夫の本当の姿というか、何も気負っていない瞬間を見れる場面なので、個人的にはすごく好きなシーンです」

――志尊さんが思う幕末と渋沢栄一の魅力を教えてください。

「難しいですが、幕末の魅力は、みんなが命を懸けているところですかね。何かを失敗したら殺されてしまうし、自害するという選択肢もあって、一つ一つに責任を持って立ち向かっていて。身分を問わず、どんな人でも全力で向き合っているところが今の時代とは違う良さだし、僕が好きだなと思うところです。渋沢は挑戦しながら、いろんなものや人を背負って前に歩み続ける姿が素晴らしいなと思います。自分をささげて何かに没頭できる人は魅力的だし、渋沢さんみたいな人は今の時代にもたくさんいらっしゃると思います。自分ももっといろんなことに挑戦したいと思わせてくれる人ですね」

――杉浦にとって栄一はどんな存在だと思われますか?

「篤太夫のためになりたい、もっと先を走ってほしい。だから支えたいんだという思いが強いのかなと想像しています。杉浦は前に突き進むという、自分にはできないことをしている篤太夫をすてきだなと思って付いていってるんじゃないでしょうか」

――パリでの出来事は杉浦にとってどういうものだと感じていますか?

「あの時代に航海をして異国に行くということは、生きて帰ってこれるか分からないということ。史実を読んでもはっきり書いてあって、世界に出るのはそれだけ大変なのに、杉浦は2回も命を懸けて渡航して…。海外の文化を学んで日本に伝えたいという思いがあって、それをできることに誇りを持っていたんじゃないかなと思います」

――出演が決まってあまり時間がなかったとのことですが、大河の現場で感じている手応えはありますか?

「手応えは…ゼロです(笑)。現代劇だったら自分が正解だと思う演技ができる自信が多少はあるんですけれども、時代劇は何が正解か分からなくて…。最初に所作指導をしていただいた時に『普通に歩けないんだ』と衝撃を受けたんです。体を意識して歩かなければいけないんだというところから始まって、普通の言葉も通じなければアドリブもできないので、役者として壁にぶち当たる部分は多々ありました。もちろん所作は時代考証としてやらなければいけない部分なんですが、そこにとらわれすぎて気持ちが入らなくなるのは違うと思っていたので、その辺の折り合いをつけるのが難しく、もっと時間があったらなと思いました」

――今後、明治新政府で杉浦は政府の中で役人として活躍し、激動の人生を送りますが、挑戦したいことはありますか?

「パリから戻って静岡に向かい、そして新政府に仕官した杉浦には、今まで経験してきたものを生かせるタイミングや求められる部分がどんどん増えてきます。杉浦が今までやってきた分野に関しては胸を張ってプライドを持って演じ、自分が役を通してしっかりと杉浦の功績を伝えていきたいなという気持ちです。僕が役を演じることで少しでも“杉浦愛蔵”という人への認識が広まっていけばいいなと思っています」

――ありがとうございました!

【番組情報】

大河ドラマ「青天を衝け」
NHK総合 日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム・NHK BS4K 日曜 午後6:00~6:45

NHK担当 K・H

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