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井之脇海☆映画「ミュジコフィリア」で天性の音楽の才能を持つ美術学生を熱演!2021/11/02

 子役時代から長いキャリアを持つ井之脇海の、近年の活躍がますます目覚ましい。現在、公開中の映画「ONODA 一万夜を越えて」をはじめ、2021年は何本ものドラマや映画に登場しては、どれも大きな爪痕を残している。そんな彼が、意外にも長編映画で初主演を務めた。

 その「ミュジコフィリア」は、さそうあきらによる同名漫画の実写映画化。「神童」「マエストロ」に続く“音楽シリーズ3部作”の最後を飾る作品だ。

 井之脇が演じたのは、京都にある芸術大学の美術学部に入学したばかりの漆原朔。大好きな音楽からあえて距離を置いてきた朔が、「現代音楽研究会」に無理やり誘われ、天才的な才能を開花させてゆく姿が描かれる。自身も幼い頃から音楽に親しんできたという井之脇に、本作での撮影の苦労と喜びを語ってもらった。

――映画「トウキョウソナタ」(08年でも天才ピアノ少年を演じ、本作もまた天才的なピアノの才能を持つ役です。演奏シーンは、幼少期から培ってきた技が光っていました。聞くところによると、音楽一家なんですよね?

「祖父母が琴と尺八と三味線の家元で、母方の伯父が楽団でフルートを吹いているので、小さな頃から演奏会やコンサートによく行っていました。母もプロ奏者ではありませんが音楽に精通しているので、ずっと音楽が身近にある生活をしてきたんです。幼稚園か小学1年生で、お琴とピアノの発表会に出ていました。原体験で覚えている最も古い曲は、初めてのピアノの発表会で母と連弾した『白鳥の湖』です。練習したことは全く覚えていませんが、ステージで弾いたことは覚えていて。懐かしく、温かい思い出です」

――演じた朔は、チェロ奏者の道を諦めた母と暮らしていて、父と異母兄とはかたくなに距離を置いています。

「朔はお母さんを捨てた父親が許せず、大好きなお母さんの敵だと思っているので、音楽を専門にしている父も兄も嫌い、音楽も嫌いだと思っていて。子どもみたいに“嫌いなものは嫌い!”とムキになっている感じもあると思います。でも、変な音楽研究会の人に無理やり連れて行かれ、音や音楽に踏み込んでしまったら、もう止まらなくなってしまう。音楽への愛があふれ、理性が利かなくなってしまうんです。その“子どもみたいに理性が利かず突き進んでしまう”という面を忘れずにやれたらいいな、と思いながら演じました」

――後半、その兄と一緒にピアノを弾くシーンがとても印象的です。

「お互いに、子どもみたいにワーワー本音で言い合った後のシーンですね。監督も“熱量を大切にしたいシーンだ”とおっしゃられていて。兄役の(山崎)育三郎さんから声を掛けていただき、静かにお酒を飲みながら、音楽への愛や身の上話をたくさんしました。そうして積み重ねたものが、初めて2人でピアノを合わせて練習した時、音を通して伝わってきたんです。つながった一つの輪っかになった瞬間というか、弾きながらグッとくるものがありました。その感覚を忘れず本番でもできるように、と。頼れる本当のお兄ちゃんのように、育三郎さんには支えてもらいました」

――朔と共通というか、井之脇さんご自身、日本大学藝術学部を卒業されています。刺激的な大学生活でしたか?

「キャンパス自体が独特な雰囲気に包まれていて、絵や写真や“これは現代アートなのか!?”という不思議な物が、たくさん飾ってあったり落ちていたりするので、歩いているだけでも楽しかったです。どこからか音楽が聞こえてきたり、授業中に平気で映画を撮っている人もいたり(笑)。だから朔を演じている時も、僕がキャンパスに行くのが好きで楽しかったように、朔もそうだろうなぁ、と思っていました。実際に現場にも変な形のモニュメントやいろんな作品が(画面外を含めて)たくさんあったので、そこに一つずつ反応していけたらいいな、というふうに演じています。変な人や天才肌の人もたくさんいて、面白かったですね。ある分野でバロメーターを振り切ってしまうくらい突出した人って、それ以外の分野では全くダメだったりもして。そういう一芸に秀でた人たちは、見ていても話しても楽しくて。日芸で出会えたのは宝です」

――その日芸時代、自身で脚本・監督・出演した短編映画を制作されています。今後、また監督をするとしたら、どんなテーマを扱ってみたいですか?

「僕自身が“日常のささやかな幸せ”が好きなので、そこにフィーチャーして作りたいな。日常のちょっとした出来事、例えばコンビニの募金箱に一度も募金をしたことがなかった人が、50円入れる話とか。誰に出ていただくか具体案はないですが、生活感がある人というか、その人の日常をのぞいているようなお芝居を一緒に作ってくださる方と、作品を作ってみたいです」

――音楽を題材とした映画にちなみ、お好きな“音”はありますか?

「好きな音というのは、これまであまり意識したことがありませんでしたが、強いて言えば雨の音かな。一定に流れてくる静かな音が好きなんです。今も(空調の)ボーッという音が聞こえていますよね。スタジオに入った瞬間は気になったけれど、だんだん気にならなくなっていく。そういう音というか。朝、目覚めた瞬間にサーッと降っている雨の音を家の中から聞くと、なんかすごく安心するんです。だから逆に、急に飛び込んでくるような音が苦手という意識はハッキリあります。クラクションをはじめとする、突然鳴る音には、ウッとなる。昔からそうなんです」

――最後に、朔が音楽に夢中になってしまうように、今、つい夢中になってしまうことがあったら教えてください。

「今も山登りに夢中です! 山で考えることって日常でも役に立ちますし、全部つながっている気がするんです。例えば、山は自分のことを知らないと登れない。自分がどれくらい食べるか、どれくらい寒さに耐えられるか、どれくらいの水分が必要か。そういうことの積み重ねで、日常ができている気がしていて。この瞬間においても、“今日は取材がたくさんあるから、水を飲み過ぎるとトイレに行きたくなってしまう”と、行動を組み立てるのも、僕の中ではすべて山からきています。自分のことや必要とすることを考える時間や思考回路を作れたのは、とても大きいと感じています。そういう意味でも、山が好き。どこか合理的になることにも通じますが、事前の準備に関しては、合理的でいいのでは、と感じていて。本作の準備も、朔を演じるにはピアノの練習がどれくらい必要か、京都弁の習得にはどれくらい必要かなどを考えました。役のアプローチを合理的に考えて準備して現場に入ったら、あとはもう出たとこ勝負。その場で出てくるものを大切にして演じられたらいいな、と臨んでいます」

【プロフィール】

井之脇海(いのわき かい)

1995年11月24日、神奈生まれ。射手座。B型。出演映画「護られなかった者たちへ」「ONODA 一万夜を越えて」が現在公開中。

【番組情報】

映画「ミュジコフィリア」
MOVIE
11月12日より京都先行公開、11月19日より全国公開

京都の芸術大学に入学した朔(井之脇)は、ひょんなことで「現代音楽研究会」に入会することに。朔は父(石丸幹二)と兄(山崎育三郎)へのコンプレックスから音楽を憎んでいた。そこに天性の歌声を持つ凪(松本穂香)が現われ…。

【プレゼント】

サイン入り生写真を2名様にプレゼント!

応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/tvguide_enquete
(応募期間:2021年11月2日正午~11月10日午前11:59)

ハガキでの応募方法は「TVガイド」11月12日号(P98)をご覧ください。
「TVガイド」の購入はコチラ→https://honto.jp/cp/netstore/recent/tokyonews-book/01.html

取材・文/折田千鶴子 撮影/山口真一 ヘア&メーク/AMANO スタイリング/清水奈緒子

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