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「年間ドラマ録画視聴ランキング2023」を発表!「VIVANT」などキーワードは“オールスターキャスト”2024/01/30

福山雅治&大泉洋&永瀬廉(King&Prince)&今田美桜/「ラストマン-全盲の捜査官-」TBS DRAMA COLLECTION 2023 Spring!! より

 2024年の初めということで、関東120万台を超えるレグザ視聴データを基にした「年間ドラマ録画視聴ランキング2023」を大発表。TVガイドWebで毎週掲載している「地上波録画視聴ランキング」の数字を集計し、23年に放送されたすべてのドラマの中で、最も録画視聴されたドラマが明らかに。果たして2023年最も愛されたドラマは何だったのか?

 まずは23年に放送された連続ドラマを放送回ごとに集計した「放送回ランキング」の年間ベスト30を見ていただこう。ポイントは、1位を100とした場合の割合を表している(以下同)。

年間ドラマランキング2023/放送回ベスト30

 予想通りという人も多いかもしれない。ベスト20は、「VIVANT」「ラストマン-全盲の捜査官-」の全10話(ともにTBS系)が完全に独占。21位以下では「風間公親-教場0-」(フジテレビ系)が大半を占め、まさに23年のベスト3として他作品を圧倒した。

 堺雅人阿部寛役所広司ら、主演クラスの重鎮をズラリそろえたキャスト陣を大々的に告知する一方、設定やストーリーを事前に一切明かさないという独自の手法でスタート前から注目を集めた「VIVANT」は、番組開始後も破格のスケールとサスペンスフルな展開で、視聴者の興味を最後まで引きつけた。堂々たるストーリー運びで視聴者の裏をかき続けながら、うるさ型の考察班も納得させる周到さはまさに横綱相撲。文字通り“2023年のトップランカードラマ”だったといっていい。

木村拓哉&赤楚衛二&新垣結衣/「風間公親-教場0-」完成披露舞台あいさつより

 また、主演に福山雅治大泉洋を並べた「ラストマン」や、木村拓哉主演の旗の下、新垣結衣北村匠海赤楚衛二ら、若手の主演級が集った「風間公親」を含め、“オールスターキャスト”が23年ヒットドラマのキーワードであった。

 続いて「平均視聴ランキング」のベスト20。ドラマごとに録画視聴ポイントの全話平均を集計した年間ランキングである。

年間ドラマランキング2023/平均視聴ベスト20

 「VIVANT」「ラストマン-全盲の捜査官-」「風間公親-教場0-」のベスト3に次いで、4位に入ったのはTBS系の1月クールの金曜ドラマ「100万回 言えばよかった」。そして5位以降は、各ドラマ間でほとんどポイントに差がない。上位4作品を除けば、ポイント的にとび抜けた作品はなかったということである。

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 テレビ局別に見ると、ベスト20に9作品を送り込んだTBSがトップ。特に日曜9時の日曜劇場枠は、「VIVANT」「ラストマン」「下剋上球児」  「Get Ready!」と、放送された4作品すべてがベスト20入り。金曜10時の金曜ドラマ枠も3作品が入り、23年も安定した強さを見せた。

多部未華子&松下洸平&今田美桜&神尾楓珠/「いちばんすきな花」完成披露試写イベントより

 次いでフジテレビが7作品をベスト20入りさせた。特に木曜10時枠が「あなたがしてくれなくても」  「いちばんすきな花」  「忍者に結婚は難しい」の3作をランクインさせているのが興味深い。3作品とも、かつてのフジテレビドラマの香りを身にまといつつ、一方で非常に現在的なアプローチが感じられる。今後のフジテレビの動きにも要注目だ。

 もう一つ気になったのが、10月クールドラマのランクインが「下剋上球児」と「いちばんすきな花」の2作にとどまっていること。1月が7本、4月が6本、7月が5本と、ほかのクールが拮抗(きっこう)しているだけに、その少なさが際立つ。たまたまブレークドラマに恵まれなかっただけなのか。大きな時代転換への兆しでなければよいのだが…。

 そして、「最終回継続率ランキング」の年間ベスト20を見てみよう。「最終回継続率」とは最終回のポイントを初回のポイントで割った数値。最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回のポイントが高い)ということは作品内容に対する満足度が高い傾向にあるのでは、という仮説に基づいた検証である。

年間ドラマランキング2023/継続率ベスト20

 2位の「VIVANT」は別として、平均視聴ランキングとは上位の顔ぶれがガラリと変わる。ベスト4内に日本テレビが3本というのも驚きだが、ベスト10内にテレビ東京が3本というのもすごい。深夜ドラマが多く上位にランクインしている影響もあるが、それでもベスト10内にTBSとフジテレビが1作ずつしか入っていないというのは衝撃である(ランキング内のオレンジ色で示したものは、午後11時以降スタートの深夜ドラマ)。

 深夜ドラマは全体の数字が低いのでプライムタイムのドラマと一概には比べられないという部分は確かにある。だが、上位の「癒やしのお隣さんには秘密がある」「夫婦が壊れるとき」についていえば、深夜ドラマとしては高い数字を取っているので、作品への満足度が高かったことは間違いないだろう。

 3位は「ブラッシュアップライフ」。プライムタイムドラマとして「VIVANT」に次ぐ満足度を示している。あらゆる意味で「VIVANT」の一人勝ち状態だったといえる23年のドラマ界で、唯一「VIVANT」に対抗しうる話題を提供したドラマが「ブラッシュアップライフ」だった。事前の期待度はあまり高くなく、初回のポイントは同クールのドラマの中でもかなり低めのスタートだったが、そこから作品の面白さだけで大幅なポイントアップを果たした、まさに下剋上ドラマ。バカリズム脚本の秀逸さと、それを全力で支えるスタッフ力、そして安藤さくらほかキャスト陣の魅力が凝縮され、視聴者の満足度の高さもうなずける傑作であった。

「ブラッシュアップライフ」脚本のバカリズム/「東京ドラマアウォード2023」授賞式より

 エポックメークなブレークドラマは少なかった23年だが、全体としての印象でいえばやはり「VIVANT」をはじめとするTBSドラマの好調傾向が続いていたといえる。その一方、22年に「ミステリと言う勿れ」「silent」で年間平均値ランキングの1、2位を独占したフジテレビがジワリと影響力を増してきている。新たにドラマ枠を増やしたり、若い脚本家を積極的に登用したりと、局を挙げてドラマを盛り上げていこうという意欲は十分に感じられる。日本テレビの、“広く浅く”ではなく、狭くてもターゲットに深く刺さるようなドラマ作りという姿勢も、次第に定着してきている。製作本数も増加している中、未来を切り開く新しいヒットドラマの誕生を期待したい。

 24年も、TVガイドWebでは新たなテレビの楽しみ方を紹介していくので、お楽しみに。

文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社



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