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“ラブストーリー”をテーマに掲げた「第23回テレビ朝日新人シナリオ大賞」大賞は松下沙彩の「スプリング!」2023/10/18

“ラブストーリー”をテーマに掲げた「第23回テレビ朝日新人シナリオ大賞」大賞は松下沙彩の「スプリング!」

 2000年7月の創設以来、数多くのシナリオライターを輩出してきた「テレビ朝日新人シナリオ大賞」(主催・テレビ朝日、後援・朝日新聞社、BS朝日、東映、幻冬舎)の第23回受賞者が決定し、テレビ朝日本社内で授賞式と受賞発表会見が行なわれた。

 今回は『ラブストーリー』というテーマを設けてテレビドラマ脚本を募集し、計1023編の応募があった。第1次選考は日本脚本家連盟に所属する脚本家の手によって行われ、164編が通過。第2・3次選考はテレビ朝日のプロデューサー、ディレクターなどで構成された“社内選考委員会”によって審査が行なわれ10編まで絞り込み、選考委員の井上由美子氏、岡田惠和氏、両沢和幸氏による最終選考会で3編の受賞作品が決まった。

 大賞に輝いたのは、松下沙彩氏の「スプリング!」。優秀賞には伊藤彰汰氏の「雨のサンカヨウ」、寺岡恭兵氏の「スマートフォンより愛をこめて」が選ばれた。

 大賞を受賞した松下氏の「スプリング!」は、“小論文”をテーマにした爽やかな青春ラブストーリー。学校でも優等生で通っている女子高生が、受かるはずといわれていた国立大の前期試験に落ちてしまう。合格発表の会場で話しかけてきたのは、同じく試験に落ちたという同級生のバスケットボール部の男子。今まで関わることのなかった2人が、後期試験に向けて小論文補習に臨み、2人で過ごすうちにお互いの知らない一面が見え始める物語だ。

“ラブストーリー”をテーマに掲げた「第23回テレビ朝日新人シナリオ大賞」大賞は松下沙彩の「スプリング!」

 松下氏は授賞式で、大学受験の時に小論文で合格したという自身の実体験を基に、今回の作品を描いたエピソードを告白。「受賞作はシナリオ学校に通っている時に書いていた作品で、何度もプロットや脚本を修正して提出しました。作品の中で主人公が小論文を書くのですが、その中に“推敲(すいこう)”という言葉があります。この作品も推敲を重ねて、主人公と同じように仕上げて提出した作品です」と作品への思い入れを語った。

 選考委員の井上氏は「小論文という題材はとても新鮮で、展開も無理がなく、作品の世界をスムーズに楽しめました。かなり推敲したということなので、“やはり推敲は大事だな”と自分でも反省しました(笑)」と評価。また、岡田氏も「誠実ですがすがしい作品でした。キャラクターも、セリフも巧みでセンスがある。きちんと悩まれて、足したり削ったりした痕跡が感じられ、僕も頑張ろうと思わされました」と絶賛した。両沢氏は「ユニークな作品。映像化されるなら、この後、さらに推敲しなければならないと思いますが、楽しみにしております」との講評を寄せた。

 優秀賞に輝いた伊藤氏は「オオカミくんには騙されない」「オオカミちゃんには騙されない」シリーズ(ABEMA)などを担当した経歴を持ち、同じく優秀賞の寺岡氏はKBC九州朝日放送の情報番組「アサデス。」のディレクターとして現在も活躍するなど、奇しくもテレビ朝日に縁のある仕事に携わったという。

 伊藤氏は「新卒で入社した会社(ABEMA)を辞めて脚本家を目指し、3年で賞を取れなかったら夢を捨てようと思っていましたが、今年がちょうど3年目でラストイヤー。だから今回の受賞は、“脚本家を目指しても大丈夫だよ”と言ってくださったような気がしています」と喜びを明かし、寺岡氏は「地元・福岡でドラマを作りたい。コメディー作品を描きたい。あとプロにしかできないことだと思うので漫画原作など、原作ものにも挑戦してみたいと考えています」と意気込んだ。

 松下氏は賞金の使い道に関しては、「子どもに何か買ってあげたいなと思います。あとは脚本に集中できるように貯金して、仕事を少し減らそうかなと思います」と明かし、テレビ朝日で脚本を担当することになったら「今回のテーマであるラブストーリーは、実は自分では絶対に描くことができないと思っていた難しいテーマで、できればラブストーリー以外、お母さんの話、母親の物語を執筆したいですね」とコメント。加えて「声優さんが好きなので今、声優業界のシナリオに取りかかっているのですが、それがいつか使えたらなと思っています」と構想を披露した。

 あらためて「受賞をきっかけにまだ脚本の仕事をできると決まったわけではないのですが、今までも仕事をしながら地道に脚本を書いていたので、それを続けていき、いつか自分の作品が1本でも映像になったらうれしいです」と目を輝かせた。

 大賞には賞金500万円、優秀賞には100万円が贈られ、授賞式では受賞者の3人にテレビ朝日代表取締役会長・早河洋氏から賞状が贈呈された。


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