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仕事優先、「迷いはなかった」。北川景子「リコカツ」最終回目前インタビュー2021/06/17

 6月18日に最終回を迎える「リコカツ」(TBS系)。運命的な出会いをきっかけに交際ゼロ日で結ばれたものの、新婚早々離婚を決意する夫婦を描いた連続ドラマです。

 第6話(5月21日放送)で離婚届を提出し、正式に「離婚」した水口咲(北川景子)と緒原紘一(永山瑛太)。大切な“仕事”を理由に一歩も引かない紘一を前に、売り言葉に買い言葉でヒートアップした咲は、自分の心にふたをして離婚届に判を押してしまいました。

 判を押す数分前。異動について相談がなかったことを問いただす咲を、かたくなな姿勢で「話して何か変わるのか。君の結論が」と突き放した紘一。さらに、“仕事に誇りを持っているのは2人とも同じ”と咲が話し合いを望むも、紘一は「それは絶対だ」「受け入れられない」「無理だ」と断定し、姿勢を崩すことはありません。

 しかし離婚後。咲の“幸せ”を願い、人に、そして自分に、“優しい”うそをつく。「良かったんだ、これで良かったんだよ…」と自分に言い聞かせるように涙を流す紘一は、“「(自分が思う)正しいこと」が「(2人にとっても)正しい」んだ”と自分の考えを譲らなかった離婚前とは変わりました。

 そして第9話(6月11日放送)で紘一から出た言葉は「自分は変わる。君とやり直すために、変わる」。「……私も」と幸せをかみ締める咲。一度はうまくいかなかった2人の向かう先が気になる本作ですが、ここでは最終回のシーンの撮影を終えた直後、取材に応じてくださった北川さんのインタビューをお届けします。

「『結婚を前提にやり直せばいいのに』なんて(笑)」

――全10話、ここまでの撮影を終えての、今の率直なお気持ちをお聞かせください。

「クランクインの時点では第4話まで台本が完成していたのですが、どういう結末になるのか私たち役者は聞かされていなかったんです。なので第1、2話を撮っている時は『本当に離婚するのかな?』と思っていたくらいで。第6話で2人は離婚したのですが、実は婚姻届に不備があって受理されてなかったんじゃないかとか、紘一さんは(離婚届を)出したと言っているけど、本当は出してないんじゃないかとか、そんなことを考えてしまうくらい、まだ信じていたくて。だから第6話で離婚届を出してからは、『どうなるんだろう?』と思いながら撮影していました。もうすぐ最終話を撮り終わるんですけど、こういう終わり方で良かったなと感じる結末になっています」

――2人がどうなるのか、視聴者の方も結末を楽しみにされていると思います。

「リアルなことを言うと、結婚していた期間はたった1カ月だし、離婚してからもまだ半月しかたってないのに、お互いが『やっぱり一緒にいたい』って確認し合うという時間軸で。ドタバタなんですけど(笑)、そのドタバタ感も含め、皆さんに楽しんで見ていただけるよう積み重ねてきた4カ月でした。突っ込み出したらキリがないんですけど(笑)、ドラマとして楽しんでもらうために、どういうさじ加減でお芝居しようとか、こういう言い回しの方が伝わるんじゃないかということを、毎話瑛太さんと話して、脚本以上のものをみんなで構築してきた感覚があります。最終話、ここに向けて撮影していこうという着地点が見えたので、今は安心して最後までいいものを撮るという気持ちだけです」

――瑛太さんとは、どのようなやりとりがありましたか? 印象に残っているエピソードを教えてください。

「第5話で、最終的に離婚届に判を押す前に、咲が『じゃあ、あなたが仕事を辞めて、家庭に入ってもらうわけにはいかないの?』と聞くシーンがあったんですが…。台本を読んだ時は、そこまで緊張感のあるシーンだとは思わなかったんです。でも2人でリハーサルを重ねるうちに、『ここは本気でやらないと』という空気になっていきました。当日は瑛太さんも話し掛けちゃ悪いかなと思うくらい集中されていて。第6話の、区役所前で離婚届を出したばかりというシーンも、あんなにドラマチックになるとは思っていませんでした。お互い手を離したくないという演技も、やってみて生まれたものだったんです。毎回瑛太さんがアイデアを出してくださって、『そっか、そうすればいいのか』と思うことがたくさんありました」

――「離婚」が題材でありながらも、キュンとするシーンも話題となっていますね。

「現場では全然意図してなかったので、びっくりしました。“瑛太さんとの身長差がすてきだって話題だよ”と聞いて、すごく意外で(笑)。私自身は、第3話で咲と紘一が旅館に行って、雨が降る中会話するシーンがあったんですけど、そこで言う『雨宿りしてるのかも』ってセリフがすごく好きでした。2人が初めて自分の本質的な部分を見せ合ったシーンで、印象に残っています。あと、(青山)貴也(高橋光臣)とのシーンはやっぱり『いいな』と思うことが多かったですね。私、結構“貴也推し”というか(笑)。今の時点で結婚まで進むことはなかったけど、人間的には問題ない人だよなって思いながら撮影してました(笑)。咲は付き合えないって言ってるのに、母(三石琴乃)や姉(平岩紙)の案件は貴也がやってくれてますし…。すごく心も広いし、『結婚を前提にやり直せばいいのに』なんて(笑)。第7話の、貴也が傘を投げるシーンも王道というか、トレンディーなシーンになっていて。すごく好きなシーンです」

咲の離婚に対するスピード感は「自分とは全然違う価値観」

――本作への出演をきっかけに、結婚観や離婚、家族について、考え方に変化はありましたか?

「最初に脚本をいただいた時、1カ月で離婚というのが衝撃的で…。自分自身が結婚した時は、お互い顔も名前も表に出ている人間ということもあるかもしれないんですけど、今後何かあったら結婚した時の会見の映像が一生使われ続けるな、という覚悟で会見もさせていただいて。なので『1カ月で離婚か…』と感じたのが正直なところで、自分とは全然違う価値観をどうやって演じようかというのが自分の中の大きなテーマでした。この作品を演じたから結婚観が変わったというのはあまりないんですけど、全10話を通して、“家族の数だけ家族の形があっていいんだよ”というメッセージが伝わっていたらいいなと思います。他人だったら、気が合わないから関わらないという選択もできると思うんですけど、それが家族になると、切っても切れないからこそ難しい問題もある。でもその半面、家族だからこそ乗り越えられる問題もあるんだなって。この作品に出合ってあらためて、自分の家族に感謝した気がします」

――ご自身の家族を重ね合わせて、共感する部分もあったのでしょうか。

「自分自身も共働きの夫婦なので、第5話かな、お互い大事な仕事のタイミングが重なってなかなか家庭に向き合う時間が取れないというのは共感できる部分でした。担当している水無月(連)先生(白洲迅)にも真摯(しんし)に向き合いたいし、夫にももちろん向き合いたいんだけど、『夫は家族だから分かってくれるだろう』って、どうしても家族に甘えてしまうのもリアルだなって。演じながら、気を付けなきゃと思いましたね」

――そのように思う中、全ての撮影を終えた時、あらためてご家族に伝えたいことはありますか?

「連続ドラマの主演をさせていただくというのは、どうしても家を空ける時間が長くなってしまうということでもあります。そんな中、夫、自分の親、相手のご家族にも協力していただいて、まさに“総出”でなんとか乗り越えることができたなという感じで…。負担をかけてるな、我慢をさせてしまっているなと感じた4カ月でもあったので、ドラマが終わったら、『みんなのおかげでできたよ、本当にありがとう』って言いたいです。家族みんなに、感謝でいっぱいです」

「迷いはなかった」、30年

――咲には3年間のパリでの研修の話も持ち上がり、仕事と結婚に悩む女性の姿が描かれますが、北川さんはキャリアを重ねる中で、咲のような思いになることってありましたか?

「私は29歳で結婚したんですけど、それまでは全く悩むことなく、がむしゃらに仕事だけに生きていました。17歳でデビューして、それからずっと仕事を第一に考えた生活を送っていたので、逆に休みの期間があるとすごく不安でしたね。その間に同世代の女優さんが活躍している姿を見ると、『休んでて大丈夫かな、怠けてるんじゃないか』って焦ってしまったり…。結婚してからも、しばらくはあまりスタンスは変えずにずっと仕事優先で働いていたんですけど、ここ数年ですかね。このペースで続けていくのは難しいなって感じるようになったり、子どももいるので家庭と向き合いたいなって、ようやく考えるようになって。それまでの30年くらいは、迷いはなかったですね」

――仕事が何よりも大事。

「ずっと仕事でした。“仕事が命”というのが、この世界で生きていく上で当たり前だと思っちゃってたから、そんなに悩むこともなかったんです。夫もすごく忙しいし、お互い仕事があるのは理解して結婚を決めたから、そこに干渉することはなかったです。やりたい仕事は反対しないし、海外ロケが入っても『どうぞ、どうぞ』って。それまで迷ったことがなかったからこそ、子どもを産む時に一番迷いました。『こんなに休んで大丈夫かな』って」

――ドラマならではのドタバタ感で魅せながらも、登場人物たちのリアルな心情やセリフが心に響く「リコカツ」もついに最終回。最後に、放送を楽しみにしている視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

「お互い仕事に誇りを持っていて、どちらかが仕事を捨てるなんてできない。じゃあどういうところに折り合いをつけるかを2人で考えていくと思うんですが――これまで男女の関係や仕事と家庭の両立をリアルに描いてきたからこそ、最後をきれいごとで終わらせるのは良くないという考えで自分たちも演じてきました。こういうラストなら、みんなも『そうきたか!』って思ってくれるんじゃないかなっていうものを作れたような気がしています。ラストシーンまで、楽しみにしていてください。あと…自分自身、“強い女性で、バリバリ働きます!”という役をいただくことが多かった中、こういうホームドラマって初めての挑戦で。難しかったんですけど、等身大で人間らしい、自然体な役を演じさせていただけて、今は『やって良かったな』という思いでいっぱいです。見てくださる方がいたから、この10話のマラソンを走り続けることができたし、作品を成長させてもらったなとも感じています。皆さん、本当にありがとうございます! 最終話までどうぞよろしくお願いします」

【プロフィール】

北川景子(きたがわ けいこ)
1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。O型。2003年、「ミスセブンティーン」でモデルデビュー、ドラマ「美少女戦士セーラームーン」(TBS系)で女優デビュー。主な出演作は、映画「パラダイス・キス」「愛を積むひと」「破門 ふたりのヤクビョーガミ」「探偵はBARにいる3」「響 -HIBIKI-」「スマホを落としただけなのに」「ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-」「約束のネバーランド」「ファーストラヴ」、ドラマ「謎解きはディナーのあとで」(フジテレビ系)、「悪夢ちゃん」(日本テレビ系)、「HERO」(フジテレビ系)、「家売るオンナ」(日本テレビ系)、NHK大河ドラマ「西郷どん」など。2021年8月6日、映画「キネマの神様」が公開予定。

【番組情報】

「リコカツ」
TBS系
金曜 午後10:00~10:54

取材・文/宮下毬菜(TBS担当)

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