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「麒麟がくる」ついに本能寺の変へ! 染谷将太「ぶれずに今までの信長で挑みたい」2021/02/06

 いよいよ最終回を迎える大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK総合ほか)。第43回(1月31日放送)では、織田信長(染谷将太)の横暴な振る舞いを見るたびに、信長から気持ちが離れていく明智光秀(長谷川博己)の姿がありました。特に徳川家康(風間俊介)をもてなすための料理を皆の前で罵倒され、足で蹴られた時の光秀は、普段の温厚さからは想像できないほどの形相で、すでに心の中で信長を殺してるんじゃないかと思えるほどでした。

 来る第44回(2月7日放送)では、ついに光秀が謀反を起こすわけですが、そのきっかけを作った信長はどんな思いだったのでしょうか。これまで登場するたびに、新たな信長として視聴者を魅了してきた染谷将太さんから、信長の人物像や演じる上で心掛けたことなどを伺いました!

――これまでに見たことのない信長で、見るたびにワクワクさせていただいていますが、まず初めに、オファーを聞いた時はどう思われましたか?

「最初に聞いた時はなぜ自分なのかと驚きました。小柄で、ドスのきいた男じゃないし、ガタイがいいわけでもない…。台本を読ませていただいて『なるほど』と。活字からも今まで見たことない織田信長だなと感じました。最初の頃の信長は、見る角度によっては間違えたことはしていないんじゃないかというくらい、純粋で真っすぐ。ただ、周りから見たら、ズレている存在で…。とても現代的で読んでいて正真正銘の信長と思えたので、これが演じられるということはものすごくうれしかったですね。同時にこれをちゃんと全うしなければいけないんだという責任感みたいなものも感じました」

――今作の信長はピュアすぎて狂気を感じる部分があります。

「おっしゃる通りですね。ピュアさと狂気は紙一重だなと演じていて思っています。信長としての環境も変わり、どんどん力をつけていくので、本当は変わらないと危ないんですが、ピュアさは変わらず、ずっと続いていきます。信長の人物像としては、男の子というか、男子だなと(笑)。分かりやすい人ですが、話が進んでいくにつれ、自分の感情のコントロールがあまりできなくなってくるんです。それがとても魅力的だなと思っているんですけれども、ちょっと複雑で、読み切れないところがある。そういう人物だと思っています」

――そんなピュアな信長を演じるにあたって、どんなことを意識されましたか?

「最初の頃は台本に書かれていることをただ必死にやることを意識しました。年を重ねるにつれ、身なりも変わり、ひげを生やし、体もちょっと大きくしましたね。不思議なもので、信長を長いことやっていると、演じることが自分の生活の一部になり、どんどん熟していって勝手に成長していく感じがありました。最近は気付いたら声もすごく低くなっていて、演じている最中に自分で『低いな』と気付くという…(笑)。携わっている時間が生んでいっているという感覚があります。これが例えば2~3カ月で撮るという話だったら、最初からある程度計算すると思うんですけれども…本当に時間が作ってくれたと思っています」

――生活の一部になっているということですが、具体的にどんな場面でそう感じますか?

「セリフをしゃべっていると、信長の言葉がずっと頭の中で常に回っていて。撮影が進むにつれ、不思議と覚えるのも早くなってくるんです。信長のセリフの流れが自然と入ってくるというタイミングがあって、そこからものすごく覚えるのが早くなりました。そうなった時に、信長が自分の中に時間をかけて入ってきているのかなと思いました。自分はお芝居をする上でそういうことを思ったことはないタイプなんです。家に帰っても信長のままということはなくて(笑)。でも、頭の片隅にずっとぐるぐるしていて、現場でお芝居をすると、自分も知らなかった信長が出てきたり、皆さんに引き出してもらったりしました。演出の皆さんも、いかにこのシーンを面白くするかということを常に考えていらっしゃって、いっぱい引き出しを教えてくれるんですね。『こういうことをやってみたら面白いかも』という提案をやってみると面白い現象が起きたりするので、毎日刺激的で楽しいです」

――第25回(9月27日放送)で信長は光秀に「大きな国を作ろう」と言われていましたが、最終的に信長はどんな国を目指していたと思いますか?

「彼の理想は世を平らかにすることですが、『麒麟がくる』の信長においては、とても暴力的なやり方で進んでいきます。自分がすべてを手に入れたいという欲求と、“大きな国”を自分が定めるということ、そしてベースにあるのはやはり承認欲求ですね。『承認欲求が最大に満たされることって何なんだろう?』と考えた時に、『自分がこの国を一つにまとめることでみんなが喜び、みんながほめてくれる』と。結局、その承認欲求につながっていくと思いますね。気持ちとしては日本のみならず、世界を自分のものにしたいというくらいの承認欲求を持っていると思います」

――今作は冷静さがありながらも感情的な部分もある信長として描かれていますが、今後はどうなっていくのでしょうか。

「激怒します(笑)。今作の信長の面白いところは感情の波が激しいところです。激怒していたかと思ったら急にご機嫌になったり、ご機嫌だと思っていたら泣き出したり、泣いていたと思ったら喜んでいたり、目まぐるしく感情が変わって、コントロールできていない人間なんです。それがどういう形で広がっていくのか、その感情の波がどう最終回の方に向かっていって変化していくのかというのは、自分もすごく楽しみです。その流れで光秀と対峙(たいじ)していった時にどういう現象が生まれるのかというのは、想像できないくらい壮大なものになるんじゃないかと思っています」

――演じる上で感情がコロコロ変わるのは大変じゃないですか?

「演出の方も口をそろえておっしゃるんですけど、ワンシーンの中でいろんな感情が見えることを心掛けています。ワンシーンの中に喜怒哀楽が詰まっているような、いくつものシーンがあるくらいの感情の起伏の激しさというのを心掛けています。それは演じていて、とてもトリッキーなんですけれども、かなりやりがいはあって楽しいですね」

――感情が突出するシーンとしては、第31回(11月8日放送)の金ヶ崎で逃げる際に、慟哭(どうこく)する場面が印象的でしたが、どのように撮影されたのでしょうか?

「ただ泣くだけではなく、怒りと悲しみと悔しさと、他人に対する怒りだけではなく、自分に対する怒りも混ぜてほしいと演出の一色(隆司)さんがおっしゃって、それこそ本当にたくさんの引き出しを教えてもらいました。泣き出すところから泣き終わるところまで一連で撮ったんですが、酸欠になって倒れそうになり、最後、若干意識を失いかけました。今までで一番強く激しい感情を出したシーンで、いい経験になりました」

――ほかにも、光秀に対して、血管が切れるんじゃないかと思うくらい激高するシーンもありましたが、そんなシーンを撮る前は長谷川さんとどのような話をされていたのでしょうか?

「長谷川さんはフラットな方なので、静かに2人で座っています(笑)。『体調大丈夫ですか?』『頑張りましょう』という声を掛け合う空気感からセットに入って、本番パッと瞬発的に演じます。シーン全体を通して何回も撮影するので、やりながらどんどん高め合っていく感じですね」

――染谷さんにとって、座長である長谷川さんはどんな存在ですか?

「スタジオの前にいるだけで安心でき、現場の空気の軸だと思っています。一緒にセットに入って皆さんと芝居を組み立てていく時も常に冷静なので、自分も冷静でいられます。全体を客観視されていて、それに見守られている空気があるので、その中で思いっきり暴れることができるという安心感がありますね」

――では、信長にとって、光秀はどんな存在だと思われますか?

「信長は最初の頃から光秀がすごく好きなんです。頼りになって、帰蝶(川口春奈)と光秀がいて、初めて自分がその場にいられるという存在で。でも、光秀は一定の距離を保っていて。信長に唯一的確に言うことは言ってくれて、言われたことをやってみると、すべてがうまくいくという最大の部下です。完全に信長の一方通行なんですけど、『お前も俺のこと好きだろ』と常に思っています。今後はそういう単純な話ではなくなっていくわけですが」

――光秀に家臣になることを断られた場面などの信長の表情に怖さを感じたのですが、どのような感情なのでしょうか?

「見ている方にはいろんな感じ取り方をしていただきたいんですけど、自分が演じている時としては単純にすねています(笑)。そのすね具合が“スン”とした表情に表れているんです。最初のうちは、戦以外のタイミングで光秀に何か言われた時に激怒することはなく、すねて何も言えないみたいな状態だったんですけど、今後は激しいすね方、“スン”じゃなくて、ちょっと嫌なすね方になっていきます(笑)。こんな上司、本当に嫌だっていうことになっていって、それが本能寺の変への伏線という形になっていくと思います」

――本能寺の変に向けて見据えている信長像を教えてください。

「やってみないと分からないところはあるんですけれども、ある種、最初から最後まで変わらなかった人というふうにしたいと思っています。本能寺だからと意気込むことなく、ぶれずに今までの信長で挑みたいなと。光秀との関係性もどんどん構築されてきて、男同士の友情もあるので、そこも含めてどう盛り上がっていって、どんな切ない場面になるのか。自分はすごく楽しみにしています」

――最後に視聴者へメッセージをお願いします

「ついに最終回、そして『本能寺の変』がやってきます。光秀が見る麒麟は一体どんな麒麟なのか、光秀の葛藤の先に一体何が待ち受けているのか、とても切なくエモーショナルであり、興奮してしまうような最終回ですので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいです」

――ありがとうございました!

第44回あらすじ(2月7日放送)

 宿敵・武田家を打ち滅ぼした戦勝祝いの席で、光秀(長谷川)は信長(染谷)から理不尽な叱責(しっせき)を受け、饗応役(きょうおうやく)の任を解かれます。そして、追い打ちをかけるように、光秀と縁深い四国の長宗我部征伐に乗り出すと告げられます。その行き過ぎた態度をいさめる光秀に「己を変えたのは戦ではなく光秀自身だ」と冷たく言い放つ信長。さらに信長から、究極の命令を突き付けられた光秀は…。

【番組情報】

大河ドラマ「麒麟がくる」
NHK総合 日曜 午後8:00~9:00ほか
NHK BS4K 日曜 午前9:00~10:00ほか
NHK BSプレミアム 日曜 午後6:00~7:00

NHK担当 K・H

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