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【加藤シゲアキ インタビュー〈後編〉】ドラマ「六畳間のピアノマン」のような動画を投稿するなら?2021/02/06

【加藤シゲアキ インタビュー〈後編〉】ドラマ「六畳間のピアノマン」のような動画を投稿するなら?

 2月6日から土曜ドラマ「六畳間のピアノマン」(NHK総合)が始まります。事故で亡くなった夏野誠(古舘佑太郎)が動画投稿サイトに残したビリー・ジョエルの名曲「ピアノ・マン」。それに触れた4人の人生が交錯していくストーリーで、第1回の主人公で夏野の元同僚・村沢憲治を加藤シゲアキさんが演じます。

 パワハラを受けていた夏野の死をきっかけに、人との関わりを避けてきた村沢は、派遣先の職場で再びパワハラを目撃。かつて行動に移せなかった自分との葛藤に苦しみます。

 そんな村沢を演じる加藤さんを直撃! インタビュー後編では、共演者とのエピソードをはじめ、音楽や動画に関する話もお聞きしました。 ※前編はこちら(https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-660086/)

――村沢の元上司・上河内秀人役で原田泰造さんが出演されます。原田さんとの共演が続いていますが、現場でのエピソードがありましたら教えてください。

「泰造さんは前のドラマの現場でも一緒だったのですが、その時に『シゲ、あのドラマに出るでしょ?』と言われて。情報解禁前だったので、僕はこのドラマに泰造さんが出ることを知らなくて『なんで知っているんですか!?』『俺も出るんだよ』という会話をしました。大筋のプロットがあったのですが、泰造さんはまだ読めていなくて『どんな話なの?』と聞かれて『泰造さんがひどい話です(笑)。関西弁でパワハラの人です』と答えました。その時、泰造さんが関西弁でのお芝居にすごく不安がっていらっしゃったので、どんな感じで演じられるのかなと思っていたんですけど、一緒に撮影した時はすっかりなじんでいらっしゃって、パワハラが本当に怖かったです! ちゃんと精神的に追い詰められました」

――同僚・夏野役の古舘佑太郎さんや大友啓介役の三浦貴大さんとは、いかがですか?

「このドラマは、みんな何か一つチャレンジしているようなところがあります。泰造さんと僕は関西弁ですけど、三浦さんは大道芸をするので、パントマイムの練習をされているんですよ。古舘さんは『ピアノ・マン』を歌う動画を撮っていて、有村美咲を演じる南沙良さんはアイドルの歌やダンスにギター…。役作りに対するハードルが高くて、みんな本当に大変そうで、その苦労話を聞くのは面白いですね。慰め合えるというか(笑)。『関西弁のセリフ難しいのに、三浦さんは標準語でいいなー』と言うのですけど、三浦さんはパントマイムの練習をいっぱいしているので、みんな大変です。空き時間もパントマイムをしていて、上手なんですよ。たくさん努力されたんだなと思いました。パントマイムをまじまじと見ることがあまりなかったので、お客さんを楽しませる様子を遠くから見ていました」

――本作は、ビリー・ジョエルの「ピアノ・マン」が題材としてあります。この曲を聞いた時、どのような魅力を感じられましたか?

「“ビリー・ジョエルといえば”という感じの曲で、好きな歌でしたけど、題材に使われてあらためて歌詞を認識したら、意外と分かっていなかったなと。ドラマではこの歌が大きな役割を果たしているので、聴けば聴くほどしみてくる感じがあります。劇中でも『ピアノ・マンの歌声が明日への活力になる』というセリフがあって、前向きな歌なんですよね。キーパーソンの夏野と重なってきますので、希望に満ちている感じかなと思います。ビリー・ジョエルの曲もいいんですが、それを楽しそうに聴く、生き生きとした夏野に感銘を受けましたね。音楽を心から楽しんでいるその姿に影響を受ける感じでしたね」

――加藤さんご自身、音楽に救われたことはありますか?

「数えきれないくらいあると思います。話すのは少し照れくさいですけど(笑)。特に10代の頃は歌詞から受ける影響が多かったです。通学時間に音楽を聴く機会が多かったので、つらいことがあっても頑張ろうと思えることはたくさんありました。学生の頃は洋楽も聴いていたけど、僕らの世代はみんなミスチル(Mr.Children)を聴いていましたね。ミスチルの歌詞が励みになったこともありました。音楽に救われた経験もたくさんあるので、このドラマはとても共感できます」

――「ピアノ・マン」の動画を拝見して、ビリー・ジョエルがお客さんと一緒に歌っている姿がNEWSのコンサートと似ているなと感じました。

「お客さんに歌ってもらうシンガロング(sing along)という手法は、NEWSのみならず、いろんなアーティストがやっているんですけど、僕らも歌ってもらってうれしいし、お客さんもきっと楽しいだろうなと。例えばライブに行って、大きな声でお客さんが歌っていると、『歌ってないで聴けよ』という人もいると思うんですよね。でもそういう気持ちも分からなくはないけど、“歌ってもらいたいなー”という気持ちもあって『ここはもうみんなで歌おうよ!』とすることで、思いが一つになる感じがいいかなと思います」

――ドラマでは夏野の動画で元気をもらう人々が描かれます。加藤さんは元気になりたい時、どんな動画をご覧になりますか?

「元気になりたい時に動画を見るかと言われたら分からないですが、テンションが上がる動画もたくさんあると思うんですよ。釣りの動画を見て『おー!』と興奮したり、ストリートミュージシャンが歌っている動画で、お客さんが集まってきて楽しそうだなと思ったりもします」

――夏野は“元気になってくれたらいいな…”という思いで動画を投稿しますが、加藤さんご自身が動画を投稿するとしたら、どのような動画を作りたいですか?

「元気になってもらえたら? どうですかね…。(少し考えて)小山(慶一郎)さんをドッキリに仕掛けるとかかな?(笑)。NEWSのイベントでやったんですけど、良かったですね。あれをもう1回やりますか。公開することを言わずに楽屋でやります。一番ベタなブーブークッションでいいんじゃないですか?(笑)」

――仲の良さが伝わってきます。今回の作品に登場する村沢、夏野、大友の関係性もすてきだと思いましたが、加藤さんにとって戦友のようなお仲間はいらっしゃいますか?

「メンバーということにしておきますか(笑)。ここまでやってきているので」

――では最後に、ドラマの見どころをお願いします。

「本当に面白いドラマです! たくさんのキャラクターが登場しますが、点と点がどんどん線となってつながっていきます。縁というか、最後の最後まで本当に不思議な形でつながっていくんです。それが面白いです。僕は第1回の主人公ではありますけど、オムニバス形式で4人の主人公がいて、その他のキャラクターもみんな主人公になり得るという感じのドラマなんですね。本当の社会に近いというか、このドラマの良さでもあります。そういう意味では誰かに共感できると思うし、“見終わった後に一歩前へ進める”そんなドラマになっています」

――ありがとうございました。

第1回あらすじ(2月6日放送)

 村沢(加藤)、夏野(古舘)、大友(三浦)は、上司の上河内(原田)からパワハラを受けていました。心身ともに限界だったある日、夏野は事故で死去。それ以来、人と関わらないように生きてきた村沢は、8年後、派遣会社で再びパワハラを目にします。過去の自分と葛藤する村沢。しかし、夏野が動画投稿サイトに残した「六畳間のピアノマン」を見て…。

【番組情報】

土曜ドラマ「六畳間のピアノマン」
2月6日スタート(全4回)
NHK総合 土曜 午後9:00~9:49

NHK担当 M・I



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