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風間太樹監督が魅せる“映像美”。「過去と現代、どちらも“今”として描きたかった」――「silent」インタビュー2022/11/19

風間太樹監督が魅せる“映像美”。「過去と現代、どちらも“今”として描きたかった」――「silent」インタビュー

 川口春奈さん主演で描くドラマ「silent」(フジテレビ系)。完全オリジナルの脚本で描かれ、先の見えないストーリー展開に視聴者の考察も絶えない。また、放送されるたびにTwitterのトレンドを席巻し、世間の注目を一身に浴びている。

 出演するキャラクター全員の幸せを願って仕方がない本作で、第1話(10月6日放送)、第2話(10月13日放送)、第5話(11月3日放送)の監督を務めた風間太樹監督。過去と現代を描く上でのこだわりや、川口さん、目黒蓮さん、鈴鹿央士さんの魅力などについてたっぷりと語ってもらった。

風間太樹監督が魅せる“映像美”。「過去と現代、どちらも“今”として描きたかった」――「silent」インタビュー

川口春奈の魅力 「“悔しさ”の心情表現一つで、時間の流れやその人の大切を感じさせる」

 大切に思っていた大好きな戸川湊斗(鈴鹿)に別れを告げられ、自分の気持ちと周りの環境に左右されながらも、青羽紬という1人の女性を丁寧に演じている川口さん。

「川口さんは、ディスカッションすることにポジティブな人。“コミュニケーションを取る中でお芝居を作っていく”ということを臆さない人だなという印象です。互いにプランを持ち寄って現場に臨むわけですが、僕がアプローチしたい心情にも、まずチャレンジしてみるという気概を持っている人。作品に寄り添ったり共闘していく俳優と監督の関係性を、誰よりも意識しながらしゃんとして現場に立っているすてきな人だなと思っています」。

 川口さんの表現表出の多様さには風間監督も感心しきり。

「表現する時の引き出しの多さも特出して感じているところではあります。自分自身が蓄えてきた感覚と、その時々のひらめきで自分なりの表現をしてくれる…例えば、“悔しさ”の心情表現一つにしても、紬として生きた時間の流れや、確かに誰かを“大切”に思ってきたその気持ちの切実さが映ったり。だから『あ、そう来たか』と感じることが多い。“今”ここにある“悔しさ”を表現するだけでなく、“哀情”や“後悔”といった自分なりのエッセンスを加え、僕のアプローチしたい心情を表現してくれる。シーンごとのディスカッションを通して思いの丈を共有してくれることで、紬の心の内奥にあるものをのぞき見ることができる。だからこそ、共に紬という人に寄り添えている実感が僕自身も非常に強いです」。

風間太樹監督が魅せる“映像美”。「過去と現代、どちらも“今”として描きたかった」――「silent」インタビュー

 川口さんの“悔しい”という表現が特に描かれているシーンについて聞くと、第5話の手話教室での場面を挙げる。

「第5話の手話教室で湊斗との事実上の別れが描かれた後に、春尾正輝先生(風間俊介)と向き合うシーンですね。(春尾先生から)『湊斗くん、まるで青羽さんは自分のことそんなに好きじゃないみたいな、そんな言い方するから』という言葉を受けた後、本当に自分の中にはあるはずの、伝えていたはずの湊斗への気持ちが湊斗に届いていなかった、伝えきれていなかったことに対する、『普通に声で話せるんですけどね、湊斗とは。伝わらないもんですね』というセリフ。これを言葉にした時の表情にまず切なさがあって、にじみ出てくる悔しさがあって…そして自分自身を顧みるような後悔を伴わせて表現に昇華したというのが、僕としては驚きがありました。その瞬間に、第5話の紬との向き合い方が決まったというか…紬の心情の導線をイメージする上でも、とても大事なシーンになりました。しかも、第5話の撮り始めの日だったので…。いい形でスピーディーに指針が固まった、そんな日でした」。

目黒蓮の魅力 「ポテンシャルももちろんあるとは思うんですけど、 シーンを描いていくごとに表現が豊かに」

 若年発症型両側性感音難聴を発症し、好きな音楽を聴いて好きな人とおしゃべりができる…そんな当たり前に感じていた何げない日常から、大切な人たちの声も聞くことができない世界を歩き始める佐倉想という難しい役を熱演する目黒さん。Snow Manとしても活躍する彼の“俳優”としての魅力とは。

風間太樹監督が魅せる“映像美”。「過去と現代、どちらも“今”として描きたかった」――「silent」インタビュー

「目黒くんは撮影に入る前から手話練習の時間を頻繁に確保して、手話という言語を自分のものにしていきました。その過程を全部ではないけれども見ていたので、表情に気持ちを乗せる術と、心の内を素直に表出する意識を手話を通して獲得しているように感じて。目黒くんの演じる想に日々期待が高まっていくような、そんな濃密なリハーサル期間でした。そして現場に入っていくわけですが、彼自身が元々持っているポテンシャルももちろんあるとは思うのですが、 シーンを描いていくごとに表現が豊かになっていくのを感じていまして。日々、進化していっているんですよね。彼自身が持っている繊細さや心の機微をすくいあげる俊敏さが、これからまだまだ発揮されていくのではないかと思うと楽しみで仕方ないです。あとは、手話を扱うことへの責任感や覚悟を持っている人です。日々、ほかの仕事もありながら、繰り返し手話を練習する努力の姿勢、その懸命さが彼の人間性や演じることへの意欲を物語っているといいますか。お芝居が本当に好きな人なんだなと感じています」。

 目黒さんの惜しむことのないたゆまぬ努力は、確実に明確に、“俳優・目黒蓮”の武器になっている。

「(手話指導の方たちと)コミュニケーションが取れるようになってきていることも含め、想の使う言語として“手話”をしっかり自分のものにしたいという実直さが表れていると思うんです。そういった考え方というか、真っすぐな姿勢が、俳優・目黒蓮だなって思いますね」。

風間太樹監督が魅せる“映像美”。「過去と現代、どちらも“今”として描きたかった」――「silent」インタビュー

鈴鹿央士の魅力 「感覚的にお芝居をすることの大切さを十分に理解していながらも、結構考える人」

 大好きな紬と大好きな想…その間で揺れ動く“主成分優しさ”の湊斗を演じる鈴鹿さん。寂しさや怒り、優しさを絶妙な間合いと表情でみせているが、そこには鈴鹿さんの“戸川湊斗”と真摯(しんし)に向き合う時間があるからだという。

「鈴鹿くんは感覚的にお芝居をすることの大切さを十分に理解していながらも、結構思案するというか。考える人なんですね。湊斗が現時点で思っていること、過去の関係性への意識、紬と一緒にいる時、想と一緒にいる時…湊斗はどんなスタンスでいるのがいいか。確かに湊斗がそうであるように、グルグルとずっと考えている人なんですよ。『自分自身と湊斗の感情がひも付く瞬間』をずっと探して、最良は何なのか、時にさまよいながらその瞬間を待っている。だから、彼が納得をする瞬間まで一緒に考える時間を大事にしたいと思っていて。撮影の中で、役について向き合う時間が長いのが鈴鹿くんかなと。けど、やっぱり考えれば考えただけ、熟考しただけ、圧倒的によくなるんですよ。彼のテンポというか、リズムみたいなものを守ってあげたい、鈴鹿くんの感性を信じたいと思いながら撮影をしている感じです」。

風間太樹監督が魅せる“映像美”。「過去と現代、どちらも“今”として描きたかった」――「silent」インタビュー

 役と向き合う時間が多い鈴鹿さんと風間監督が一番向き合ったシーンについては…。

「第5話のビブスを干すシーンは、第4話(10月27日)で紬に別れを切り出して覚悟が決まったような…伝えるべくして伝えた湊斗の“強いまなざし”で終わってはいるけれど、本当のところ湊斗はどんな思いを抱えて、紬にそれを伝えるのか。並べられた言葉の中で、何が本心で何が紬のためを思っていて、想のためなのか…ということをディスカッションして、一つずつひもときながらシーンを作っていったんですね。揺るがない気持ちで放てるような、ちょっとした覚悟で収まるだけの言葉ではなかったように思えて。湊斗がはらませる本当の意味での思いやりだったり、自分自身の痛みすら内包されたようなシーンで、少しの変化やズレで雰囲気がガラッと変わる、冒頭にして難しいシーンでもありました」。

風間太樹監督が魅せる“映像美”。「過去と現代、どちらも“今”として描きたかった」――「silent」インタビュー

 続けて、風間監督は「完成したお芝居になるまでの軌跡を見てほしいくらい」と語る。

「リハーサルの段階から、皆さんにお届けしたお芝居に至るまでの葛藤と軌跡をぜひ見てほしいと思うくらいです。春奈さんと鈴鹿くんと話し合った長い時間の中には、高校時代の自分たち、一緒に過ごした3年、想と再会してからこれまでという“時間”をイメージする言葉が多かったように思います。その道中に感じてきた“想い”一つ一つを手繰り寄せながら、現時点の自分の輪郭を作っていった、そんな時間でした。結果、湊斗の思いの丈というか…心の内奥が垣間見えるようなシーンになったのではないかと思っています」。

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