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川端康成の代表作「雪国」をドラマ化! 主演の高橋一生「まるで心と体が乖離していくような感覚があった」2022/04/11

川端康成の代表作「雪国」をドラマ化! 主演の高橋一生「まるで心と体が乖離していくような感覚があった」

 高橋一生さんが主演を務める「雪国~SNOW COUNTRY~」(NHK BSプレミアム)が4月16日に放送されます。原作は今年で没後50年となるノーベル文学賞受賞作家・川端康成の「雪国」で、“純粋”“情熱“虚無”“徒労”をキーワードに据え、昭和初期の豪雪地帯を舞台に、文筆家と芸者の恋愛を軸にした繊細な心理描写が展開していきます。

川端康成の代表作「雪国」をドラマ化! 主演の高橋一生「まるで心と体が乖離していくような感覚があった」

 放送に先駆け、高橋一生さんに撮影でのエピソードや作品への思いを伺いました。

 まず、台本を初めて読んで「原作は美しい言葉と美しい余白が存在している作品で、それは脚本になっても変わっていないと感じました。こういった作品は近年あまりないので、視聴者の方々の感想は十人十色になるのではと思っています。見る方にいろいろなものを感じていただけたらと思いをはせながら、台本を読ませていただきました」と感想を話します。

 今作では、高橋さんが主演を務めた「岸辺露伴は動かない」(同局)で演出を担当した渡辺一貴さんと、再びタッグを組むことに。「今回も安心してお芝居させていただきました。お互い原作の漫画が好きだった『岸辺露伴は動かない』より解釈の幅が広く、僕と一貴さんのフォーカスが微妙に違っているところもあったのですが、それにより役者と演出それぞれの立場から話し合い、お互いの考えをすり合わせながら撮影できたことは、とても面白かったです。島村という人物を演じる上では、“他者から見て何を考えているか分からない島村を、実は島村自身も自分が何を考えているか分からない風に演じる”という挑戦のようなお芝居をさせていただいたのですが、一貴さんもそれを理解してくれていたのか、とてもやりやすかったです」と手応えを得たよう。

 その島村の人物像の解釈も高橋さんならではで、「肉体を持て余していて、魂と肉体が少し離れたまま歩いてしまっている人間のように感じました。撮影序盤に東京の島村の自宅シーンの撮影があり、その後、雪国での駒子(奈緒)とのシーンを撮影したのですが、孤独に募らせていた島村の思いが2人のシーンで実体に結びついた時、まるで心と体が乖離(かいり)していくような感覚がありました」と、その洞察力の深さからか不思議な体験も明かします。

川端康成の代表作「雪国」をドラマ化! 主演の高橋一生「まるで心と体が乖離していくような感覚があった」

 さらに、「(旅館の)『椿の間』に初めて駒子が現れたシーン」が特に印象的だったという高橋さんは「小説で『椿の間』に現れた駒子をして『清潔すぎた』と書かれてあるのですが、演じる奈緒さんがまさにその表現を体現していらしたんです。とても衝撃的で、その時の島村の心情がこの作品全体のベースになった気がしています」と振り返り、その熱い思いがひしひしと感じられました。

 主な撮影地である福島の冬の風景については、「すべてが福島・会津地方ならではのものでした。その白銀の世界の中にたたずむ駒子がビビッドな青のマントを羽織っていて、とても美しかったです。あの場所で撮らないとこの作品は無理だとよく分かりました。舞台となる時代当時の姿のまま現存している建物の中でも撮影させていただきましたが、そういうところでお芝居することは今の時代なかなかできないので、奇跡的な撮影環境だったんじゃないかと思います」と役者冥利(みょうり)に尽きるロケーションだった様子。

 最後に、「見てくれる皆さんがどういう思いを抱くのか、そして、どういう世界観に入っていくのか。島村は、駒子や葉子(森田望智)、行男(高良健吾)らは、こう感じていたのではないかと、登場人物それぞれの胸中を推し量るための“より代”のような存在だと思います。島村の目を通して雪国の世界をのぞき見していただければうれしいです」とメッセージを送りました。

 インタビュー中の高橋さんは、時に熱波のような圧倒的情熱で作品への思いを語り、時にしんしんと降り積もる雪のような冷静さで自らの役を分析するなど、その姿から計り知れない役者魂を感じました。ドラマ「雪国~SNOW COUNTRY~」をぜひご覧ください!

川端康成の代表作「雪国」をドラマ化! 主演の高橋一生「まるで心と体が乖離していくような感覚があった」

あらすじ

 島村(高橋)は雪国に向かう汽車の中で、病人の男・行男(高良)に寄り添う若い娘・葉子(森田)を見る。ガラス窓に映る2人は夫婦のようにも見え、どこかこの世ならぬ幻灯のようでもあった。そして、宿に入った島村が半年ぶりに再会した駒子(奈緒)は、芸者になっていた。一晩をともに過ごす島村と駒子。翌日、駒子の住む部屋を訪れた島村は、そこで葉子に会う。病の行男も同居しているようだった。行男と自分が幼なじみであると語る駒子。しかも、駒子が芸者に出たのは、行男の治療費のためだったという。それなのに、なぜ行男に寄り添っていたのは葉子だったのか—。駒子、行男、葉子の3人の複雑に絡み合う関係性が次第に明らかになっていくが、すべて“徒労”であると感じる島村の目に映るのは…。

【番組情報】

ドラマ「雪国 ~SNOW COUNTRY~」
NHK BSプレミアム
4月16日 午後9:00~午後10:30

NHK担当 S・A ヘア&メーク/田中真維(マービィ) スタイリスト/部坂尚吾(江東衣裳)
スーツ236,500(GianFranco Bommezzadri)、シャツ25,300(GUY ROVER)、タイ16,500(STEFANO CAU)すべてBIND PR :03-6416-0441、シューズ51,150(RENDO / RENDO :03-6802-3825 )



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