Feature 特集

天海祐希「ゲストの方たちが魅力的に映るほど、キントリも面白くなるんです」――「緊急取調室」SPインタビュー2022/01/03

 普通の取り調べでは“裏の顔”を見せない被疑者を、天海祐希さん演じる主人公・真壁有希子ら取り調べ専門チーム「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」がマル裸にして事件を解決に導いていくドラマ「緊急取調室」(テレビ朝日系)。真摯(しんし)に被疑者たちと向き合い、彼らが隠す本音を引き出してきた有希子たちですが、昨年7月〜9月に放送された第4シーズンでキントリは解散することに。それぞれの新天地へ向かっていった有希子たちでしたが、今夜放送の「緊急取調室 特別招集2022〜8億円のお年玉〜」で“ある事件”を巡ってキントリが臨時再結成し、帰ってきます! 

 今回のスペシャルで鍵となるのは、第4シーズンのラストで発生した「8億円強奪事件」。事件の被疑者とみられる男の遺体が発見されたのを機に、キントリが再結成することになりますが…遺体が見つかったのは、“スーパー法曹一家”が暮らす民家の敷地内。さらに、一家と共に暮らす謎の家政婦・松原しおり(菜々緒)ら難敵を相手に、有希子らは捜査&取り調べを繰り広げていきます。

 キントリメンバーと癖のある被疑者による緊迫した心理戦が魅力の本作ですが、ここでは今回のスペシャルの放送にあたって取材に応じてくださった天海祐希さんのインタビューをお届けします。シリーズ放送開始から7年がたった今、あらためて現場でのエピソードや作品に対する姿勢、さらには“真壁有希子”という役への思いを伺いました。

――第4シーズン以来、早くも「緊急取調室」が復活しますね。

「第4シーズンでキントリは解散となりましたが、それを残念がってくださっていた視聴者の方がいらっしゃるのであれば、こうして皆さんの前に戻ってくることを喜んでくださるのではないかと思いました。私自身としても、キントリのメンバーとまたご一緒できるのはうれしいですし、ありがたい限り。あとは、『(脚本の)井上由美子先生がお書きになるとおっしゃるのであれば、ぜひやらせていただきたいです』と、今回のお話をいただいた時にお返事しました」

――シーズン4の最後に解散という形になって、視聴者の方もキントリメンバーがその後どうなっていたのか、気になっていた方も多いと思います。

「そうですよね。私たちもその辺を懸念していましたけど、井上先生がいろいろなことをご考慮され書いてくださると思ったので、あまり心配はしていませんでした。有希子自身も、7年間キントリで培ってきたものがあるからこそ、とても前向きだと思います。もともとSITにいた経験があって、それが生かせると思ってキントリに来ているので、キントリの解散に引きずられるというよりも、そこでの経験があるからそれを絶対に生かせると思って、前向きに次の職務に取り組んでいるんじゃないでしょうか」

――今回、キントリの新メンバーとして、比嘉愛美さん、野間口徹さんが登場されます。お二人の加入でどのような変化や面白さが生まれると期待されていますか?

「キントリとしては、7年前に発足してから自分たちがそこのベースを作ってきたという自負が必ずあるでしょうし、だからこそ誰が来ても変わらないものは絶対にあると思うんですね。けれども、『緊急事案対応取調班』という部署は、新しい風にさらされて、もっと成長していくことになるんだろうなと思います。新たに加わってくださる2人も、それぞれの部署でさまざまなことを学んで経験してこられている方たちなので、そこに関してはきっと私たちよりも知識があると思っていて。そういうものをどんどん吸収していくことで、キントリという部署は“深みと大きさ”を持っていけるんじゃないかなと思っています」

――新メンバーの加入によって、天海さん演じる有希子も“伝えられる側”から“伝える側”になっていくと思います。そういった意味で、天海さんご自身が伝えていきたい思いなどはありますか?

「私個人として伝えていきたいことなんて、そんな大それたものは全くございません!(笑)。でも真壁有希子として伝えるのであれば…彼女自身も、言葉や理屈というよりは、現場の最前線に放り込まれて、そこで体験したり経験したことで、どんどんキントリへの理解を深めていったと思います。周りの春さん(小日向文世)、菱やん(でんでん)、善さん(大杉漣)から見せてもらったもの、そこから感じ取ったものから、どんどん自分の経験値を上げていったと思うんですよ。今回のスペシャルで『指導はしない』というセリフがあるんです。有希子自身も(キントリに)来て早々、犯人の前に座らされた経験があるからこそ、“取り調べは人と人とのぶつかり合いだから、あなたの方がもしかしたら犯人の心を開くかもしれない”という意味が込められているのですが、まさしくその通りだと思います」

――言葉で伝えていくというよりも、行動で見せて伝えていくという感じなんですね。

「最近はあまり大っぴらにやらないかもしれないですけど、役者さんって“シーン一つ一つをどう感じたか”とか“そのセリフをどう理解しているか”というのを、そのシーンに出る人たちがいろいろ議論をすることもとても大事だと思うんです。話すことによって、自分では思いつかなかったことを考えている方もいらっしゃるのが分かるし、その人の背景とか経験に触れられるような気がしていて。だから、そのシーンとかセリフについて議論することは、実は嫌いではないんですよ。“どういうふうに理解してきているのか”とか、“自分とどういうふうに差があって、自分はこう思っている”ということを、自分の言葉で伝えられることも大事。自分の中にある感覚を言葉にするのってすごく難しいじゃないですか。言葉で伝えることで“みんながやりやすいのか、やりにくいのか”、“なんでやりにくいのか、なぜやりやすいのか”というのを、そのシーンに出ている全員が互いに理解し合っていくと、とても深みのあるシーンになったりしますし」

――これまでのキントリの現場でも、そういった意見の交換というのはされてきたのでしょうか?

「先輩方は、やっぱり経験を積み重ねてこられているので、結構そういうことをしてくださるんですよ。でも最近では、壁というほどではないですけど、お互いの芝居を邪魔しない程度に少し引いている感じがしていて…そこで私から話しかけたりすると、若い方たちでもせきを切ったように話してくださる方もいらっしゃるんです。だから、『せっかくそう思っているんだったら、みんなで作っていこうよ!』という現場でもあったりするんですよね、キントリって。ただ、みんなで作ることって、誰かがやりにくいなと感じていたらそのシーンはすてきなものにならないと思っています。だからこそ、とことん話をしてお互いに納得できた方がいいなと思うんです。私なりに学ばせていただく機会をくださった多くの先輩方と同じように、私がいろいろお話をしていくことで、もしかしたら私から何かを感じてくれるのかなとも思いますし、比嘉さんと野間口さんにも遠慮せずに言ってきてほしいです。私たちからもどんどん提示したり提案したりして伝えていって、今回もみんなでいい作品を作っていけたらいいなと思っています」

――これまでのキントリの現場でも、後輩の俳優さんには天海さんから積極的に声をかけにいかれたんですか?

「もちろん! 最近では山上くん(工藤阿須加)や鬼塚さん(丸山智己)が入りましたけど、被疑者役として出てくださる若い役者さんは何重にもプレッシャーがある中で来てくださっています。ただでさえキントリのレギュラーメンバーの中に、その週のゲストで、しかも被疑者としていきなり取り調べられるんですよ。そうすると、私たちにはなかなか話しかけにくかったりするところもあると思うんです。私、このキントリという作品は“毎回のゲストが主役”だと思っていて」

――ゲストが主役。

「そうです。私たちはゲストの方の芝居を受ける側なので、『やりにくいところはありませんか? どういうふうに来られても私たちは受けます。だから好きにやってください』という姿勢を毎回提示しています。私はそんな大した役者じゃないですけど、周りの先輩方は百戦錬磨の方ばかりなので。受け止める姿勢をちゃんと伝えて、毎週来てくださるゲストの方たちが魅力的に映れば映るほど、ありがたいことに『緊急取調室』も面白くなるんですね。私たちがグイグイいくというよりは、ゲストの方たちに好きなように暴れていただく方が魅力的な作品になると思っているので。だから『やりにくいですか? 大丈夫ですか?』という声がけはもちろんしますし、『どういうふうにやりたいですか?』ということもちゃんと聞くようにしています」

――第4シーズンでは、いつもの“取調室で面と向かってぶつかる”という形ではなく、電話越しだったり、リモートでの取り調べというのが新しいなと個人的に思っていました。そういった特殊な環境での取り調べシーンで、気付いたたことや感じたことはありましたか?

「電話でのやりとりというと、自分の子どもを誘拐したお母さんとのシーンでしたよね。私たちは、周りに人がいる中で電話の対応をしているけど、母親役を演じていた瀧内(公美)さんは1人だったから、『本当にどうしていいか分からないんです』ということをおっしゃっていて。だから何回もいろいろな話をして、『ここはこういうことじゃないか』『真壁有希子から見るとこういうことじゃないか』という意見の交換を少しずつしていたので、とても印象に残る回でしたね。瀧内さんも勘のいい方ですし、自分の中で整理をして自分なりに役をつかんでくださっていたので、難しい役どころだったにもかかわらずとても感情豊かにすてきなお芝居をしてくださいました。私との電話越しでのやりとりは、わざわざスタジオまで来てくださって、そこで私のお芝居を見ながら電話の受け答えをしてくださったので、本当に感謝しています」

――「緊急取調室」もシリーズ開始から7年がたちましたが、天海さんにとって長い期間を共にした“真壁有希子”という役はどのような存在でしょう?

「この7年間でシーズン4までやらせていただきましたが、私たちレギュラーキャストは取り調べの可視化というものが始まる頃って右も左も分からないまま、取り調べのシーンではワンシチュエーションの芝居をやっているようなものですから、何もかも手探り状態でやってきました。その辺は真壁有希子が、『緊急事案対応取調班』に初めて来たのと同じくらいの戸惑い方だったと思うんですね。だからその分、この7年間で一緒に成長してくれているという自負はあります。私の人生の中でも、確実にこの7年間は真壁有希子という役と一緒に歩んできている時間があるので、その点においては、とても大きな存在だと思っています」

――7年間「緊急取調室」という作品を続けてこられて、数々のゲストの方との共演を経て出来上がった“真壁有希子としての土台の部分”はどんなところにあると思いますか?

「シーズン1の時に、有希子が『小手先で相手を吐かそうと思っても絶対うまくいかない。そこに自分をさらけ出していかない限り相手の心は動かない』と言われる場面があったんですけど、真壁有希子としての一番の核はそこではないのかなと思います。テクニックとかももちろんあるけど、常に本気で向き合わなきゃ相手は落とせないということを、もう嫌というほど経験してきていますから」

――この作品をやってきてよかったなと思うこと、キントリと出会えてよかったと思うことを教えてください。

「純粋によかったなと思うことは、一つの役をこれだけ長くやらせていただいたのは初めてだったので、そこは幸せに感じています。長くできるということは、一緒に作ってきたスタッフやキャストの皆さんとも深く関われているということだから、その関係性もとてもありがたいです。毎回ゲストの方が来てくださることで、物語で起こる事件も全く違うものになるけど、その変化によって刺激もたくさん受けるじゃないですか。毎回違う方とがっぷり四つに組んでお芝居できることってなかなかないので、それはとても幸せだなと。キントリでなければ三田(佳子)さんや桃井(かおり)さんをはじめ、素晴らしい先輩方ともお芝居できなかったでしょうから、本当にありがたく思っています。一番の特等席でその方たちの芝居が間近で見られますからね!」

――今回のスペシャルではゲストに菜々緒さんや高畑淳子さん、井上順さんが出演されます。なかなか口を割らない被疑者との取り調べシーンもあると思いますが、共演にあたって天海さんが楽しみにされていることを教えてください。

「もちろん今回の高畑さんや井上さんもそうですけど、新しくゲストの方が来てくださると、セオリーがないから毎回同じということはないんです。“証拠に証拠を重ねていって、相手の反応を見ながらここを突いて、最後の落とし所は絶対ここだ!”というものをお芝居の中でつかんでいく。本当の取り調べと同じですよね。そこから、相手がどういうふうに出てお芝居をしてくるのかというのを見つつ、こうくるんだったらこっちはこういこうとか、本当にその場で起こる何かによってちょっとずつ方向性が変わっていったりするんです。いろいろな役者さんとそういう経験をさせていただけるのは毎回面白いですし、楽しみですね」

――キントリならではの緊迫した取り調べシーンを、年明け早々に再び見られることを楽しみにされている方はたくさんいらっしゃると思います。そういった視聴者の方にメッセージをお願いします。

「そうですね。『解散か…』と寂しい思いをさせたわりに早くお目にかかってしまうので、ちょっと恥ずかしいですけど、“キントリおせち”のようにいろいろなものが詰まっていますし、おこがましいですけど、キントリのチームからお年玉ということで、皆さんに受け取っていただいて放送を楽しみにしていただけるとうれしいです」

【プロフィール】

天海祐希(あまみ ゆうき)
1967年8月8日生まれ。東京都出身。獅子座。O型。ドラマ「離婚弁護士」(フジテレビ系)、「女王の教室」(日本テレビ系)、「BOSS」(フジテレビ系)、「偽装の夫婦」「トップナイフ-天才外科医の条件-」(ともに日本テレビ系)、映画「恋妻家宮本」(2017年)、「最高の人生の見つけ方」(19年)、「老後の資金がありません!」(21年)などに出演。22年3月にドラマ「松尾スズキと30分の女優2」(WOWOW)が放送・配信開始予定。

【番組情報】

「新春ドラマスペシャル 緊急取調室 特別招集2022〜8億円のお年玉〜」
テレビ朝日系
1月3日 午後9:00〜11:05

取材・文/平川秋胡 撮影/尾崎篤志



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