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「潜水艦カッペリーニ号の冒険」、構想25年の時を経て映像化。「本格的に動き始めたのは、主演に二宮和也くんが決まってから」2021/12/28

「潜水艦カッペリーニ号の冒険」、構想25年の時を経て映像化。「本格的に動き始めたのは、主演に二宮和也くんが決まってから」

 第2次世界大戦中に運命的な出会いを果たす、厳格な日本海軍軍人と陽気なイタリア人の国境を越えた友情を描く新春スペシャルドラマ「潜水艦カッペリーニ号の冒険」が2022年1月3日にフジテレビ系で放送される。

 物語の主人公で厳格な日本海軍少佐・速水洋平を演じるのは、あのクリント・イーストウッド監督に見初められた二宮和也だ。最近はバラエティー番組やYouTubeチャンネルでの活躍が目立っていた二宮にとって、本作が嵐の活動休止後、初のドラマ出演となる。

 今回、二宮と初タッグを組み物語を紡いだのは、テレビドラマ初演出となる馬場康夫監督。映画「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」(2007年)以来、15年ぶりにメガホンをとった馬場監督が、友人に聞いた実話に着想を得て本作が生まれた。だが、この物語が出来上がるまでには25年もの時間を有したのだとか。「友人のイタリア人から話を聞いた時は、ドラマにするつもりはなかった。(聞いた話が)面白かったからいろんな人に話していたら、フジテレビで名作ドラマを作っている石原隆さん(現・日本映画放送社長)に『それドラマになるね』と言われて」。

「潜水艦カッペリーニ号の冒険」、構想25年の時を経て映像化。「本格的に動き始めたのは、主演に二宮和也くんが決まってから」

 監督の“この話、面白い”という感情から、映像化の企画に着手。「映画『バブルへGO!!タイムマシンはドラム式』が終わった後に本気で着手し始めた。日本のドラマで制作にかけた時間は、近年では(この作品が)ナンバーワンじゃないかな」。

二宮和也くんをキャスティングできたから、本格的に動き出した

 「『そんな作品、今やっても当たらないだろ』って声もあると思う。でも、当たるから作るわけではなく、自分が面白いと思ったものを作っている。その上で、二宮くんがこのオファーにOKを出してくれたのが大きい。クリント・イーストウッド監督に見初められた二宮和也くんをキャスティングできた時から、本格的に動き始めた」。規則に厳しく、曲がったことが嫌いな堅物の少佐・速水洋平役に二宮が決まってから、フルスロットルで動き出した。二宮について話す監督の表情はキラキラとしている。そんな監督から見た二宮の魅力とはどんなところなのだろうか。

彼がやってきた役の中で一番甘さがない

 「彼が出ているドラマは全作品見ている。これまで映画『検察側の罪人』(18年)でハードな検事の役をやったり、映画『プラチナデータ』(13年)でも厳しい役をやっているけど、(このドラマでは)人生はお国に捧げるためにあると言っている帝国海軍軍人の役。彼がやってきた役の中で一番甘さがない、ゆるいところがない役だと思う」。馬場監督は二宮をべた褒めだ。しかし、「二宮和也くんがOKしてくれました、となった時、喜びの半面、想像していた速水像より甘い雰囲気になるのでは…と思った記憶はある」。

 ドラマ「ブラックペアン」(TBS系)ではクールで“ブラック”さ全開の医師役を務めた二宮だが、確かにドラマ「フリーター、家を買う」(フジテレビ系)や映画「母と暮せば」(15年)などでは柔らかい印象の役だった。「ところが、(ドラマを)見てください! ガチガチですよ。甘くない」と監督。

「潜水艦カッペリーニ号の冒険」、構想25年の時を経て映像化。「本格的に動き始めたのは、主演に二宮和也くんが決まってから」

 監督の不安は一蹴された。堅物な海軍少佐を演じきったのだ。そんな二宮が現場でアイデアを出したシーンがいくつもあるのだとか。

「二宮くんは台本全体について読んでいて意見を言う感じ。クールに、俯瞰(ふかん)して見ている。物語の中で速水がアベーレ(ペッペ)に『香苗さん(愛希れいか)にほれてるだろ。言うこと聞けば、うまくいく方法を教えてやるよ』と言われたことに対し、『…何をおっしゃってるんですか?』と返すシーンがある。ここまで怒っていたけど、急に敬語。速水の『自分が一番望んでいたことを言われて、どうしたらいいんだ…断ったらいいのか…でも、絶対聞きたい!』という、人間の素が出ちゃってる。わざとらしい芝居じゃない。すごいリアリティーがあって面白かった、大爆笑!」。

 全編を通して一番笑えるセリフで、あんなことで笑わせられるのは二宮だけだと、大絶賛だ。堅物な速水少佐が、“恋”という魔物に右往左往させられる…そんな、不器用な一面が見れる瞬間は見逃したくない。

 さて、本作ではイタリア語が随所に登場するが、もちろん二宮も挑戦している。「(速水が)怒って思わずイタリア語が口をついて出てきて、怒り続けるシーン。そこすごい。ちゃんと感情を乗せてイタリア語で怒っている。これを聞いたイタリア人が『うますぎ…』ともん絶していた。翻訳アプリにイタリア語で話しかけて、台本通りのセリフが出てくるまで練習していたらしい。なんて頭がいいんだ…と思ったよね」。

「潜水艦カッペリーニ号の冒険」、構想25年の時を経て映像化。「本格的に動き始めたのは、主演に二宮和也くんが決まってから」

 では、監督がべた褒めする二宮を中心に描かれる本作の見どころはどこなのだろうか。「このドラマは、人生の目的は人間の欲望のまま食べて歌って恋をすると思っているイタリア人と、俺たちの命は国を守るためにあると言っている帝国海軍軍人が出会って、お互いにボロクソに言い合うところから始まる。彼らがいろんなことを経て、お互いを認め合い友情が生まれていく。この過程に、二宮くんとイタリア人3人が命を吹き込んで物語が進んでいくが、自分が撮ったものを見て泣いたのは初めて。コメディーを作ったつもりだけど、二宮くんの計算とイタリア人たちがうまくハマって素晴らしい作品になった。老若男女問わず興味を持ってもらいながら見てくれるんじゃないかな。1月のドラマとしてはいいのではないでしょうか」。

「潜水艦カッペリーニ号の冒険」、構想25年の時を経て映像化。「本格的に動き始めたのは、主演に二宮和也くんが決まってから」

 監督も納得の新春スペシャルドラマとしてふさわしい作品になったようだ。役者・二宮和也の賢さと器用さ…そして演じる速水洋平の不器用さが物語をどう進めていくのか…。堅物な日本海軍少佐と彼を取り巻く人たちとの国境を越えた友情と恋の感動巨編は1月3日、午後9:00に動き出す。

【番組情報】

二宮和也主演「潜水艦カッペリーニ号の冒険」
フジテレビ系
1月3日 午後9:00~11:30

取材・文/Y・O(フジテレビ担当)



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