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2023年1月クールの人気No.1ドラマは? 個性的な動きを見せたさまざまな作品を録画視聴データで大検証!2023/04/27

「100万回 言えばよかった」メモリアルブック
「100万回 言えばよかった」メモリアルブック
(東京ニュース通信社刊)

 今回は1月クールドラマを大検証! 関東107万台を超えるレグザ視聴データを基にTVガイドWebで毎週集計・発表している「地上波録画視聴ランキング」から、2023年1月クールのドラマをおさらいしていこう。この冬、最も録画で視聴されたドラマは? そしてユーザー満足度が一番高かったのは?

 まずは、1~3月に放送された連続ドラマを放送回ごとに集計した「放送回ランキング」のベスト30。ポイントは1位を100とした場合の割合である(以下同)。

BRAND NEW TV WORLD!!/2023年冬ドラマ:放送回ランキング

 なかなか興味深いランキングになった。通常「放送回ランキング」は、そのクールを制したハケンドラマが上位を独占するか、トップを争った何本かのドラマが入り乱れているかのどちらかのパターンになることが多いのだが、このランキングはそのどちらでもない。

 放送回トップは、TBS日曜9時「Get Ready!」の第1話。2位は、日本テレビ日曜10時半「ブラッシュアップライフ」の最終話。そして3~10位をTBS金曜10時「100万回 言えばよかった」が占めている。11位以下は「ブラッシュアップライフ」も何話かランクインさせているものの、大半を占めているのは関西テレビ制作の月曜10時「罠の戦争」である。端的にいえば、圧倒的に強かったドラマはなかったということになるのだが、かといって各ドラマ入り乱れて、というのもちょっと違う。各ドラマの視聴傾向がそれぞれ個性的なのである。

 ここで、各ドラマについて述べる前に「平均録画視聴ランキング」を見ていただこう。ドラマごとに録画視聴ポイントの全話平均を集計したもののベスト20である。

BRAND NEW TV WORLD!!/2023年冬ドラマ:平均録画視聴ランキング

 トップに立ったのは「100万回 言えばよかった」。井上真央が久しぶりのドラマ主演、それも佐藤健松山ケンイチと共演のラブストーリーということで話題を呼び、初回から高いランクでスタートし、中盤からもサスペンス要素で興味を引き、最後まで視聴者の気をそらさなかった。平均的にポイントを集め総合トップに立った。

 2位につけたのは「罠の戦争」。こちらも久々の民放ドラマ主演となった草彅剛の「戦争」シリーズ最新作。先の読めないストーリー展開でポイントを伸ばしていった。政界でのさまざまな駆け引きが描かれたが、最終回の後味の良さが大きな救いだった。

 そして、平均値ランキング3位の「ブラッシュアップライフ」と4位の「Get Ready!」はまさに対照的な動きを見せた。ここで平均値上位10作品のデータ推移のグラフを見てほしい。

BRAND NEW TV WORLD!!/2023年冬ドラマ:上位10作放送回データ推移

 TBSの2作品「Get Ready!」と「100万回 言えばよかった」が初回で高得点を獲得。ほかの作品を大きく引き離していたが、「Get Ready!」が2話以降急降下して下位グループに吸収されていく。代わって「罠の戦争」と「ブラッシュアップライフ」が回を追うごとにポイントを伸ばしているのが分かる。

 特に「ブラッシュアップライフ」は、初回が10作品中最も低いポイントだったにもかかわらず、最終回では全作品中最高のポイントをゲットするという、絵に描いたような下剋上を果たした。まさしくドラマ自体が持つ力でここまで数字を伸ばしたと言っていいだろう。バカリズム脚本のズバ抜けた面白さと、主演・安藤サクラを筆頭にキャストの絶妙な演技のマリアージュ。キャスティングやロケーションを含めスタッフ陣がこの作品をいかに大事に丁寧に映像化していたかがよく分かる作品だった。「Get Ready!」とは真逆の動きで、理想的に推移した。

安藤サクラ/2020年エランドール賞より
2020年エランドール賞より 安藤サクラ

 続いて「最終回継続率ランキング」を見てみよう。「最終回継続率」とは最終回のポイントを初回ポイントで割った数値。最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回のポイントが高い)ということは、作品内容に対する満足度が高い傾向があるのでは?という仮説に基づいた検証である。今回はゴールデン&プライム帯のドラマに限定したベスト10である。

BRAND NEW TV WORLD!!/2023年冬ドラマ:最終回継続率ランキング

 100%を超えたドラマは全部で8本。6位以降はギリギリ100%超えているという感じである。トップはもちろん「ブラッシュアップライフ」。159.4%というのは驚異の高水準というほかない。2位には「罠の戦争」が入り、視聴数・満足度含めた総合的な意味で1月クールを代表するドラマは「ブラッシュアップライフ」と「罠の戦争」の2作品だったといっていいだろう。日本テレビのゴールデンプライムドラマが3本とも100%を超えているのも目を引く。初回のポイントが低いことが大きな要因ではあるが、一定の満足度を保っているという点では評価できる。

「ブラッシュアップライフ」脚本:バカリズム

 さて、春クールもすでに多くのドラマに話題が集まっている。果たしてどんなドラマが人気を集めることになるのか。今後も注目していきたい。

文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社



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