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「半沢直樹」「99.9」「マイファミリー」…手に汗握る展開とドキドキのスリルで、見るものの目をくぎ付けにする民放最強のドラマ枠・TBS日曜9時ドラマを大検証!2022/05/30

BRAND NEW TV WORLD!!/日曜劇場:半沢直樹/99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE
デジタルTVガイド 2020年9月号/月刊TVガイド 2022年1月号

 今回は、人気のドラマ枠の検証企画。TBS日曜午後9:00のドラマ「日曜劇場」枠にスポットを当てる。関東約87万台を超えるレグザ視聴データを基にドラマの傾向と人気の秘密を探っていく。
(前回のドラマ枠検証企画こちら:新垣結衣&星野源、祝「逃げ恥婚」記念! 好調TBS火曜10時枠ドラマの検証

 タイムシフト視聴やネット動画でのドラマ視聴が盛んになり、時間枠の概念は必要なくなったという意見もあるが、これはあまりに視野が狭い。むしろタイムシフトが主流になり、番組のブランディングが差し迫った課題である今こそ、タイムテーブルによるブランディングがテレビ局最大の武器だと考えるべきである。特に、人気のドラマ枠として定着しているこの「日曜劇場」枠は、その成功例として見るべきところは多い。ここではデータの残る2015年秋以降のドラマを検証していく。

BRAND NEW TV WORLD!!/日曜劇場 歴代放送作品

 「日曜劇場」の歴史は古く、すでに60年以上の歴史を持つ。当初は単発のドラマ枠で、連続ドラマ枠になってからもすでに30年近い。それこそ数多くのヒットドラマを輩出してきたが、現在に連なる傾向を考える上で重要なのは13年7月期の「半沢直樹」だろう。池井戸潤原作、堺雅人主演のこのメガヒットドラマが、以降の「日曜劇場」のカラーを決めるシンボリックな作品となった。15年の「下町ロケット」の成功がその傾向に拍車をかけた。

 表にある全25作品中「この世界の片隅に」「グッドワイフ」  「天国と地獄~サイコな2人~」の3作品を除く22作品が男性主役だが、こうして見渡すと思ったより企業ドラマや職場ドラマに偏っているわけではないことが分かる。特に広い意味での「ミステリー」作品がコンスタントに作られているのが目立つ。原作ものは16作で約3分の2を占めるが、今のドラマの傾向からすればさほど多いとは言えないだろう(逆に言えば、オリジナル率はイメージより高い)。池井戸原作は全部で5作。全体の2割ということだ。また、レグザのイメージキャラクターを務める小栗旬主演「日本沈没-希望のひと-」も、原作の強さでは負けていない。

 続いて、クールごとのドラマ分析で使っている録画視聴ポイントによる「日曜劇場」枠ドラマの放送回別ランキングである(ポイントは1位を100とした場合の割合)。

BRAND NEW TV WORLD!!/日曜劇場 ドラマ放送回録画視聴ランキング

 上位は「半沢直樹」の2020年版と「99.9-刑事専門弁護士-SEASONⅡ」が分け合う形となった。そしてこの2作品に共通する要素といえば、なんと言っても香川照之である。

 このリストの中だけでも「99.9-刑事専門弁護士-」  「小さな巨人」「99.9-刑事専門弁護士-SEASONⅡ」「集団左遷!!」「半沢直樹(2020年版)」「日本沈没-希望のひと-」の6作品にいずれも重要な役で出演しており、近年の「日曜劇場」枠を象徴するキーパーソン。すでに俳優として確かな地位を築いていた香川だが、それでも「半沢直樹(2013年版)」の大和田常務役は自らのキャリアを大きく変える怪演で、以降の役柄にも大きな影響を与えた。

 香川に限らず、キャスティングの大胆さ、ユニークさは、日曜劇場の大きな魅力の一つである。既存のドラマ俳優の意欲的な起用だけでなく、歌舞伎俳優や舞台俳優、落語家、お笑い芸人、アイドル、声優、ニュースキャスターまで、さまざまな分野から新鮮な配役がなされ、毎回注目を集めている。同時に同じ演者が繰り返しキャスティングされるケースも多く、それが枠のカラーともなりつつある。これはキャスト側にとっても出演するメリットが大きいということで、そういう意味では、今や「日曜劇場」はNHKの朝ドラや大河ドラマに次ぐブランドドラマ枠になったということだろう。

 今度は「日曜劇場」枠作品の平均録画視聴ポイントランキングを見てみよう(ポイントは1位を100とした場合の割合である)。

BRAND NEW TV WORLD!!/日曜劇場 平均録画視聴ランキング

 「半沢直樹(2020年版)」「99.9-刑事専門弁護士-SeasonⅡ」が突出しており、以下「グランメゾン東京」  「ブラックペアン」が続いている。やはり池井戸原作ドラマの存在感が目立つが、注目は9位の「テセウスの船」である。このドラマ以降「日曜劇場」枠に本格的なミステリーが増えてくる。

 もちろん「99.9-刑事専門弁護士-」などもミステリーの要素を持っているが、「テセウスの船」は1話完結ではなく、全体が大きな謎を内包し、それが解決することでカタルシスを得るタイプのドラマである。以降「危険なビーナス」東野圭吾原作)、「天国と地獄~サイコな2人~」(オリジナル)、「マイファミリー」(オリジナル)とコンスタントにミステリードラマがラインアップされ、そのたび考察が大いに盛り上がっている。「テセウスの船」は20年1月スタートなので、時期的に「あなたの番です」(日本テレビ系/19年4~9月放送)の考察盛り上がりにすぐさま呼応した動きだったとすれば、その対応の素早さには感服せざるを得ない。

BRAND NEW TV WORLD!!/日曜劇場「テセウスの船」会見

 最後に、最終回継続率(=最終回の録画視聴ポイントを初回ポイントで割った値)のランキングを見てみよう。最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回のポイントが高い)ということは作品内容に対する満足度が高い傾向があるのでは、という仮説に基づいた検証である。

BRAND NEW TV WORLD!!/日曜劇場 最終回継続率ランキング

 全25作品中、21作品が継続率100%を超えた(=最終回の録画視聴が初回の録画視聴より多かった)。初回から期待が高く出るパート2ものは少々割りを食うとはいえ、「下町ロケット」の第1作、「テセウスの船」、「陸王」がベスト3というのは味わい深い。何より8割以上の作品が100%を超えているということ自体が「日曜劇場」枠が好調な理由だといっていいだろう。池井戸原作のスリルだったり、謎解きの興味だったり、弁護士や料理人たちのチームの勝利を願ったり、どんな理由であれ、その物語に興奮し、最後まで見届けたくなる。それがこの枠のドラマの強さなのだ。

 最近は大型企画も多く、キャストも豪華なので初回から高い注目を集めることも多い。継続率が100%を超え続けることは決して簡単ではないが、今のところ“最強のドラマ枠”としてまだまだ期待できそうだ。現在放送中の二宮和也主演「マイファミリー」もいよいよ佳境に入る。今後の「日曜劇場」からも目が離せない。

BRAND NEW TV WORLD!!/日曜劇場「マイファミリー」(TBS春ドラ合同会見)

文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社



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