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草彅剛主演「ペペロンチーノ」が宮城県でクランクイン! 東日本大震災で残された人々の10年を描く群像劇2020/12/07

 東日本大震災から、間もなく10年。震災で傷ついた人たちの、この10年の心の軌跡を描き、NHK BSプレミアムとBS4Kで2021年3月放送予定の宮城発地域ドラマ「ペペロンチーノ」(日時未定)が、宮城県大郷町でクランクイン。主演の草彅剛のほか、吉田羊、矢田亜希子が取材会に登場した。

 本作は、一色伸幸氏が脚本を手掛けるオリジナル作品。海が見えるイタリアンレストラン「Paradiso」のオーナーシェフである小野寺潔(草彅)と、その周囲の人々が東日本大震災からの10年をどう生きてきたかを紡ぐ群像劇だ。21年3月11日、宮城県牡鹿半島。「Paradiso」で、潔は友人たちを招いて宴を開く。被災地が厳粛な空気に包まれるこの日に、あえて酒を酌み交わそうという。どういうことなのかと、いぶかしがる友人たちの前で、潔はこの会に秘められた深い理由を話し始める──。

 この日は、震災後の仮設住宅で、主人公の潔が、高校時代の同級生の娘の無邪気に遊ぶ姿を眺めるというシーンの撮影を報道陣に公開。仮設住宅は、19年の台風19号被害の際にできた仮設住宅で、実際に被害に遭われた方たちが今なお暮らす場所だ。寒風吹きすさぶ中、草彅は薄手のセーター姿で撮影に臨んでいた。

 草彅は、クランクインの感想を「(宮城は)底冷えしますね。(撮影するシーンの季節が)春や夏で着込めないので、寒いなぁと思いながら撮影に臨んでいます。始まったばかりですが、スタッフもキャストも一致団結していて、いい作品になるのではないかと感じています」と話した。

 撮影前には「被災者を演じるということに緊張を覚える」とコメントを発表していたが、撮影2日目のこの日も「実際に起きた大変な災害で、いまだ悲しみが癒えていない方もたくさんいらっしゃる。被災された方の気持ちを考えると、どう演じていいのかというプレッシャーもありますが、頑張らないと」と気持ちを引き締めた。

 潔の妻・灯里を演じる吉田も「震災後、初めて被災地に足を運ばせていただいた。来るまでに10年かかったという申し訳なさもあって、まだ緊張しています」とコメント。そして、潔の高校の同級生で、震災で家族を亡くしたシングルマザーの阿部より子を演じる矢田は「どうできるかという不安がありましたが、昨日クランクインして、スタッフの皆さんが同じ方向に向かっているのを目の当たりにして、乗り越えてやっていけるのではないかと思えました。たやすくできるものではないと思っていますが、精いっぱい演じさせていただきたい」と意気込みを語った。

 それぞれの役柄を問う質問が記者から飛ぶと、草彅は「海の見えるレストランを経営していて、すてきな妻がいる、本当に幸せな男。うらやましいな(笑)。オリジナルのキャラクターなので、自由に演じられると思うけれど、実際に被災された方の気持ちに寄り添える役柄になっています」と述べ、それを受けた吉田は「その妻です」と会場の笑いを誘い、続けて「脚本を読んだ時に『そうきたか』と驚きました。そして、きっとこういうふうに過ごされている方も少なからずいるんだろうな、と。このドラマは、『あなたはそれでいいよ、好きに生きればいい』と言ってくれる温かいドラマになっています」と見どころをアピール。矢田は「潔の高校の同級生で、震災で家族を亡くし、娘を1人で育てている女性です。この10年、つらくて悲しい思いをしたのに、弱音を吐かずに突っ走って強がって。10年という節目での彼女の思いをうまく表現できたら」と役柄を紹介した。

 宮城県石巻市の牡鹿半島を舞台にした本作は、オール宮城ロケで、クランクインの大郷町、ドラマの舞台となる石巻市や女川町、塩竃市などで撮影が行われる。

 宮城の中で行ってみたい場所や食べてみたいものを問われると、草彅は「いろいろなところを回らせていただくので、それで十分です。知らない土地でロケができるのが、楽しみ。食べ物は、昨日は牛タンを食べました。牛タン弁当を差し入れていただいてそれがおいしくて、ルームサービスでも頼んだんですけど、東京で食べる牛タンと全然違いますね」と笑顔で明かし、吉田は「私も牛タンを食べました。スタッフさんのオススメに行って、そのあと横丁で小料理を出してくれるママさんのいるスナックにも行って、すでに仙台を満喫しました」とうれしそうにエピソードを披露した。

 最後に、草彅は「震災を風化させてはいけないという気持ちがあります。真心をもって、一つの作品を作れればと思っているので、期待してほしいです」、吉田は「このドラマは、震災で残された人たちを描きます。でも、きっとそこには、残していかざるを得なかった人たちもいるんですよね。大切な人の笑顔を思い浮かべて見ていただけたら」、矢田は「やっと10年目にしてここに来れていることに、考えさせられる。やっと来れた。このドラマを通して、被災された方たちの気持ちを表現できたらと思います」と、それぞれ視聴者にメッセージを寄せた。

 キャストの会見後、取材に応じた青木一徳チーフプロデューサーは「震災のことをニュース映像だけでは届かない層にも届けたい」という理由から、2年前からこのドラマの企画が持ち上がったことを明かし、その際、13年にNHKで放送された宮城県女川町の臨時災害放送局を舞台にしたドラマ「ラジオ」で高い評価を受け、実際に被災地にも足しげく通っていた一色氏に脚本をオファーした理由を説明。

 また、草彅を主演に起用した理由についても「年齢的なことや、これまでにも思いをもって東北をたびたび訪れてくださっていたこと。そして何よりも、俳優として素晴らしい。この難しい役柄を、草彅さんならすてきに演じてくださるだろうという思いから、お願いしました」とし、「10年という時間は節目ではなく、これからも続いていくこと。これからも、地元放送局として、伝えるべきことを伝えていきたい」と話してくれた。

取材・文/岡沼美樹恵 撮影/堀田祐介(BLOW-UP)


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