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世界が認める異才監督、押井守の偏愛の真相!「自分の作品はフェティッシュの塊」2018/08/21

「シネマの神は細部に宿る」押井守/著

 「シネマの神は細部に宿る」押井守/著 (東京ニュース通信社発行)が8月8日に発売され、これを記念した会見とトークショーが8月21日に都内にて行われた。

 「シネマの神は細部に宿る」は、歴史的傑作から、世間的にはB級、C級と呼ばれる作品まで、監督・押井守の心をとらえて離さない映画の数々を、主観まみれ、あふれんばかりの毒舌と愛をこめて語る偏愛映画本。「愛の嵐」の軍服の着こなし、「2001年宇宙の旅」の粘土みたいな宇宙食、「クール・ランニング」のバセットなど、押井のフェティッシュを刺激した、いつまでも忘れられない映画を、ジャンルごとにランキング形式で紹介している。

「シネマの神は細部に宿る」押井守/著

 この日、会見で本書を作ることになった経緯について聞かれた押井は、「忘れちゃった…」と早速お茶目な一面を見せ、「これの前に出したジブリ本(「誰も語らなかったジブリを語ろう」 押井守/箸)の打ち上げで、酔っ払ってる時に麻紀さん(本書の聞き手でもある映画ライターの渡辺麻紀)が『また本出しましょうよ』と言って、『だったらこういう本がいいんじゃないの?』と僕が言ったような気がする。もしかしたらねつ造してるかもしれない」と笑った。

 そんな本書誕生の一端を担った渡辺について押井は、「見ている映画が結構被っているんですよ。趣味が似ているところがある」とコメント。「たぶん似たような映画を見てきたんだろうなと。ただ全然(映画の)違うところを見ているに違いないって予想をしていたら、見事にそうだったんですよ。あんた一体どこ見てたのっていうところからこの本が始まった」と語った。

「シネマの神は細部に宿る」押井守/著

 さらに押井は「映画の半分より1パーセント多いくらいは、本質はフェチ。それがなかったら同じ映画を二回も三回も誰も見ない」と述べ、本書を通して「同じ映画を何度も見る理由はなんなんだ」という疑問を考えたかったと告白。「アニメーターあがりとか絵描き系の監督さんは、本人が自覚しているかは別としてフェテッィシュがもろに出やすい」と続け、「サンプルにするのにもっと適当な監督は他にいっぱいいるんですけど、怒られたくないので、自分のフェチで(本を書いた)」と本音もこぼした。また、「ただそれが自作自演になっちゃうとまずいので、もの分かりが非常に良くない、なかなか納得しない、でも映画をいっぱい見ている麻紀さんはまさに適任なわけですよね」と、本書が渡辺を聞き手とした構成となった理由も明かし、「分かる分かるになってしまったらおもしろくない。それは麻紀さんにもフェッティッシュがあるから。それは誰でもそういうところがあるわけで、一番そこを面白おかしく気楽に分かってほしくって、こういう形式にした。真面目に論じるとね、誰も読めないしどうせ売れないし」と笑い、「布団の中で読めるものを目指そうと思った」と本書の誕生秘話を締めくくった。

 そして、話題は押井自身の作品におけるフェティッシュの話へ。押井は「自分の作品ははっきり言ってフェティッシュの塊」と述べ、「アニメーションは理想を形にしているので、好みになっちゃうんですよ。絵描きって基本自分の理想な女の人しか描けない。だから私が描かせたい顔とアニメーターが描きたい顔は一致しないので結構揉める。(アニメーターと)最大に揉めたのは(攻殻機動隊の)草薙素子。(アニメーターが)こんな筋肉の塊みたいな女描きたくないよと」と裏話も飛び出した。

「シネマの神は細部に宿る」押井守/著

 また、押井作品の定番要素と言っても過言ではない「おかっぱ頭」について、本書の女優の章ではあえて触れなかったことを聞かれた押井は、「麻紀さんがそれを言うのを忘れていたんですよ」と説明。家に帰ってしばらくすると渡辺から、「おかっぱのことを忘れていた!今から行くから喋ってください」とメールが来たそう。しかし押井は「喋り疲れたしもう嫌です」と断ったことを、またもやお茶目に振り返った。「一つくらい謎があってもいいじゃないですか」と押井らしくまとめ、「ちょっと喋りたかった部分もあったけど…それを喋り出したら本一冊分になってしまうので、それはまた機会があったら」と次作への意欲も見せた。

「シネマの神は細部に宿る」押井守/著

 最後に押井は、「(本書は)どっから読んでも同じなんですよ。色々並べたのは、どれかひとつくらいね、みんな(フェティッシュが)あるでしょってことなんですよ。戦車だ鉄砲だ、全然興味ない人もいる。食べ物だったり、制服だったりとか、女優さんだったりとか、あるいは男優さんだったりとか、どれか引っかかるでしょ。そこから読んでもらって、共感があるのであれば他のところに目を通してもらうと、そうすると自分の思ってないところに実はフェチがある。発見があるんじゃないかと。自分の好きなところから読んでほしい」と本書に込めた思いを伝えた。

【著者プロフィール】

押井守(おしい まもる)

映画監督。1951年生まれ。東京都出身。東京学芸大学教育学部卒。1977年、竜の子プロダクション(現:タツノコプロ)に入社。スタジオぴえろ(現:ぴえろ)を経てフリーに。主な監督作品に「うる星やつらオンリー・ユー」(83年)、「うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー」(84年)、「天使のたまご」(85年)、「機動警察パトレイバー the Movie」(89年)、「機動警察パトレイバー2 the Movie」(93年)。「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」(95年)はアメリカ「ビルボード」誌セル・ビデオ部門で売り上げ1位を記録。「イノセンス」(2004年)はカンヌ国際映画祭コンペティション部門に、「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」(08年)はヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品された。近作に「THE NEXT GENERATION パトレイバー」シリーズ全7章(14~15年)、「THE NEXT GENERATION パトレイバー首都決戦」(15年)。最新作はカナダとの国際共同作品「ガルム・ウォーズ」(16年)。

「シネマの神は細部に宿る」

【商品情報】

「シネマの神は細部に宿る」押井守/著

●発売日:2018年8月8日  
●定価:本体 1,600円+税 
●仕様:四六判、ソフトカバー、256ページ 
●発行:東京ニュース通信社 
●発売:徳間書店

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