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ハリー・ロイドが語る「BRAVE NEW WORLD/ブレイブ・ニュー・ワールド」の魅力2020/11/24

 オルダス・ハクスリー著のディストピア小説の古典「すばらしい新世界」を、スティーブン・スピルバーグのアンブリン・テレビジョンがドラマ化したSFアクション「BRAVE NEW WORLD/ブレイブ・ニュー・ワールド」。完璧な新世界ニュー・ロンドンに住む主役の1人、バーナードを「ゲーム・オブ・スローンズ」のヴィセーリス・ターガリエン役でブレークしたハリー・ロイドが演じている。ロイドは「クリスマス・キャロル」などで知られるイギリスの国民的作家、チャールズ・ディケンズの子孫でもある。

完璧な新世界を理解して、そのルールに慣れることが大変だった

── 原作は知っていましたか?

「実は知らなかったから、ちょっと恥ずかしかったよ。なぜって、僕は大学で英文学を学んでいたからね。でも、そのおかげで、新鮮な気持ちで脚本を読むことができた。そしてすぐに、これはほかのものとは全く異なり、とてもスマートですごく楽しい作品だと思ったよ」

── バーナードの役柄について教えてください。

「バーナードは、観客にとって新世界の大使なんだ。彼を通して僕らはその世界がどのように動いているかを理解する。人の生まれ方から振る舞い、ドラッグが人に何をもたらし、オープンなセックスでどうなるかといったことをね。視聴者はバーナードと共に時間を過ごし、彼から多くの情報を得ることになるんだ。僕は視聴者に、新世界の人たちが自動で動くドローンとかではなく“人間”であることを理解してもらいたい。彼らはある状態に置かれ、奇妙な形で生きている。でも、彼らは僕らが感じるのと同じように感じるんだ。彼らにはただ違う視点がある。だから僕にとっては、バーナードを演じながら少し楽しむことが重要だった。彼はこの社会に異質なものや奇妙な感情を抱き始め、初めてそこのルールと格闘し始めるんだ」

── バーナードを演じるうえで、どんなことを心がけていましたか?

「視聴者がバーナードに感情移入できるようにしたかった。彼らは自分自身と感情的につながっていないからね。みんなが常にハッピーですべてが素晴らしいということは、かなり退屈で、イライラさせられることになりうる。彼はとても真面目で傷つきやすくて、本当に頑張っていている。でも頑張りすぎて成功していないんだ。とてもハッピーで、どうってことないというフリをするパーフェクトな“少年”なんだよ。だから、彼をあまり機械的に見せず、新世界での幸福に疑問を抱くようにさせたんだ」

── 一番のチャレンジは何でしたか?

「まずこの世界を理解してそのルールに慣れること。『彼はこう感じるだろう』とか、『このシーンで彼は悲しみを感じてもいい? もし彼が悲しいと感じたら、彼はそのことを調べるだろうか?』とかね。第1話の終わりにちょっといい場面がある。そこでバーナードはある言葉を発した後、すぐにそのことを後悔するんだ。第1話から、新世界の人たちが現代の僕らのように感じるのはいつで、そういった感情に対して彼らが何をするかといったことを定義づけて、うまく描くのは難しかった。そのことは結局、シリーズ全体の質問になった。いろんな違う方法で演じることができるものだったんだよ」

── この作品の哲学的な問いかけをどう思いますか?

「このシリーズが問いかけるのは、幸せと自由についての関係だと思う。新世界のニュー・ロンドンの住人のように人生で選択をせず、痛みを経験することが全くない時、人々は本当に幸せなのか? そして、旧世界のサヴェッジ・ランドの人々は、ある程度は自由だけど幸せではない。そういった問いかけが今作の中心にある。でも、それに答えるのは不可能でもあるね」

── デミ・ムーアとの仕事はいかがでしたか?

「デミは素晴らしかったよ。僕はデミとは特に気が合った。なぜなら、彼女は僕のイヌに恋してしまったからだよ。彼女はロスでたくさんのイヌを飼っているけど、イギリスに連れてくることはできなかったんだ。僕は、自分のポムチー(ポメラニアンとチワワのミックス)とずっと一緒だったから、デミが僕のイヌを散歩に連れて行ってくれたんだ。デミのトレーラーで、僕のイヌは彼女と一緒に毛布にくるまって丸くなっていたよ(笑)」

── あなたとデミのキャラクターが出会う第3話の撮影について教えてください。

「第3話は、夜間に屋外での撮影でものすごく楽しかった。それはちょっとネタバレだね。僕とジェシカ(・ブラウン・フィンドレイ)、デミ、オールデン(・エアエンライク)は、夜中に走り回っていたんだ。みんなものすごく楽しんでいたよ。まるでキャンプに行って、ずっと起きているために奇妙なゲームをしているみたいだった。そして、深夜の3時にホットチョコレートを飲むんだよ(笑)」

── 今作と、ディストピアを描いたほかの作品との違いは何ですか?

「今作は、多くのディストピアのドラマと異なるところから始まっている。新世界はユートピアなんだ。パーフェクトなんだよ。新世界では人間の不安や苦痛を解決し、痛みを取り除いた。それは素晴らしいことで、もうドラマも語るべき面白い話もないはずなんだけど、そのユートピアを維持するのがいかに大変で、それがどのように崩壊していくかが、彼らのストーリーなんだ。すべてがひどい状況から始まるのではなく、彼らはそれをすでに克服しているんだ。でも、克服するために、彼らは自分たちの生き方を少し変えないといけなかった。そして、そこにどんな犠牲があり、それが彼らに何をもたらすのかがテーマなんだ。だから、ディストピアを描いたほとんどのドラマとは逆なんだよ」

【プロフィール】

ハリー・ロイド Harry Lloyd
1983年11月17日生まれ。英・ロンドン出身。99年のドラマ「デビッド・コパーフィールド」で俳優デビュー。「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011~19年)のヴィセーリス・ターガリエン役で有名に。ほかにドラマ「カウンター・パート/暗躍する分身」「レギオン」(ともに17~19年)などに出演している。

【作品情報】

「BRAVE NEW WORLD/ブレイブ・ニュー・ワールド シーズン1」
12月16日スタート 
Hulu 
水曜 1話ずつ配信(全9話)

一夫一婦制、プライバシーなどを廃止しユートピアを実現した新世界のニュー・ロンドン。そこに暮らすバーナードが、旧世界のサヴェッジ・ランドからジョン(オールデン・エアエンライク)を連れて来たことから、新世界の秩序が乱れ始める。

取材・文/細谷佳史

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