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この夏はスパイスカレーが大ブーム? カレー研究家・水野仁輔のおいしいカレー動画公開!2021/06/24

今、ちまたではスパイスカレーがブームらしい!?  ということで小社から発行されたカレーレシピ本「にっぽんのインドカレー 初台スパイス食堂 和魂印才たんどーるの店主が教える本格おうちレシピ」の著者・塚本善重氏とも親交が深い“カレーの達人”水野仁輔氏に、近年のスパイスカレーブームと塚本氏の著書について語ってもらった。 

 

――最近、スパイスでカレーを作る人が増えてきましたよね? ちょっとしたブームになっている感がありますが、実感されていますか?

「明らかに、この20年で最大のブームが来ていると思いますね。僕がスパイスで作るカレーだけのレシピ本を出したのが10年前ですが、当時でもそれなりに買ってくれる人はいたんです。そこから、この10年間でさらにすごい伸び方をしています。スパイスを使ってカレーを作りたい、という人がどんどん増えてきて。それはなぜかというと、ルーで作るよりも明らかに香りがいいじゃないですか。ルーで作るカレーもおいしいけれどちょっと単調な面もあって、もっと香り高くておいしいカレーがあるんだなぁっていうのが分かってきたのかなって。もう一つはインド料理自体がおいしいっていうのが世間に広まった、というのもあるかな。いろんなお店が増えてきて『インド料理っていろんな味があっておいしいんだ』ということが分かってきたと思うんです」

――なるほど。5月に発売された本書「にっぽんのインドカレー」を見ながら、スパイスでカレーを作ってみたのですが、意外と簡単でとてもおいしくできました。もっと難しいものだと思っていました。

「スパイスっていうものが身近になってきましたよね。昔は修業したプロでないと使えないものっていうイメージがあったけれど、自分でもできるんだっていう感覚が浸透してきました。この10年で、いろんなレシピ本が出たりメディアでも紹介されたりして、スパイスカレーを作ってみようというきっかけがすごく増えたんです。『ちょっとやってみようかな』って、やってみたら『すごくうまいぞ!』っていう感じで。料理サイトの検索ワードランキングでも、スパイスカレーがものすごく伸びたそうなんですが、自分で作れるのかなって興味を持った人が急増したんだと思います。今のこの“おうち時間”に料理をするのも、すごくいいと思うんですよね」

――先ほど水野さんが、「にっぽんのインドカレー」に掲載されている「鶏肉の山椒ココナッツカレー」を、塚本さんの指導の下で作られていましたが、作ってみていかがでしたか?

「このレシピはすごく分かりやすいし、簡単だし、出来上がったカレーは本当に爽やかで香りがすごくよくて、本当においしいですね。作り方の手順的にもすごく安心感があります。『やっぱこの手順ですよね』っていう。カレーの作り方はいろいろだけど、インド料理の作り方の手順に則っているのが一番、スパイスの香りが生きるんじゃないかって思うんです。塚本さんは、インド料理歴33年という大ベテランなので」

――カレーはインド料理の基本がやっぱり大事なのでしょうか?

「僕は20年以上スパイスでカレーを作って出張料理をやってきましたが、当初おいしく作れたり作れなかったりと、ムラがあったんです。なんでそうなのか、自分の中で暗中模索をしていた時期があって、ある時、インド料理を真剣に学び始めたんです。そうしたら突然おいしいカレーがコンスタントに作れるようになったんですよ。それが自分の中で、本当に劇的な変化だったんですよね。レシピ通りやればカレーはおいしくなるけれど、レシピから一歩離れて材料を変えてみたりとか、いろんなことをやり始めると途端においしくなくなったりして、『あれ、なんで?』って思うことが、最初の頃はあって。インド料理をちゃんと勉強したら、スパイスの使い方がはっきりと分かったんですよね。その後はいくらでもおいしいカレーが量産できるようになりました。それで、自分の過去を振り返った時に、『インド料理がすごいんだ!』ってことに気付いたんですよ。僕のカレー歴史の中で、一番大きなターニングポイントはインド料理を真面目に勉強し始めたことだったんです。自分の周りには、いろんなカレーを作る人がいるけれども、インド料理を勉強した人はレベルが違うんだっていうのが分かったんですよね。その中の1人が塚本さんでもあるんですが」

 

――塚本氏の著書「にっぽんのインドカレー」の魅力は?

「インド料理を30年以上もやってこられて、基礎がしっかりできた人が提案しているものだから出来上がりはバラエティー豊か、×(掛ける)和素材みたいなのが出てくるから、ちょっとひねったレシピ本のイメージを持つ人もいるかもしれないけれど、実際には香りをどう際立たせるのか、それで味がどう引き出されるのかっていうことを、全部分かっている人が提案している本なんですよね。スパイスの使い方を圧倒的に分かっているというか。それをベースに塚本さん自身が、自分のキャリアの中でインド料理をそのまま作るということに飽き足らず、和の素材を使っていろいろアレンジするっていうことを長年やってきている。基礎ができているからこそのアレンジっていう、その強みを『たんどーる』に来るお客さんが実感しているかどうかは分からないですけど、塚本さんの料理はそういうところが魅力だって伝えたいですね。基礎がしっかりあるからこそ、塚本さんの遊び心が効いてくるんだと思うんですよ」

――水野さんは、ご自身のカレーのお店を開いたりはしないのでしょうか?

「僕には“絶対これ!”っていうものが、自分の中にないんですよ。常に、こういうやり方もありますよ、っていう提案なんです。自分が好きかどうかは別として、新しい手法を見つけて、この方向の味もできるよね、みたいなことを20年間ずっと提案し続けているって感じです。だから『あなたが一番好きなカレーは何ですか?』って聞かれると、あんまりそういうのはないんですよね。一番のレシピっていうものがないんです。お店をやるって事は、自分が信じている味をみんなに味わってもらいたいわけでしょう? 自分の中で、『これが一番のレシピ』っていうのがある人がお店をやっているんだと思うんですよ。だから、お店をやっている人はやっぱり“アーティスト”なんですよ。僕はそういうアーティスティックな面が本当にない人間なので、自分が信じている味とかはなくて、常に面白いものを自分なりに考えて提案しています。そういう意味では、ゴールがないものだと思うので、これからもいろんなものを提案していきたいと思っています」

水野仁輔が「鶏肉の山椒ココナッツカレー」を作ってみた! 作り方を公開!!

【プロフィール】

水野仁輔(みずの じんすけ) 
AIR SPICE代表。1999年以来、カレー専門の出張料理人として全国各地で活動。「カレーの教科書」(NHK出版)、「スパイスの教科書」(PIE International)など、カレーに関する著書は50冊以上。世界中を旅し、「カレーとは何か?」を探索中。

【Information】

「にっぽんのインドカレー 初台スパイス食堂 和魂印才たんどーるの店主が教える本格おうちレシピ」 
発行:東京ニュース通信社 発売:講談社 
1650円(本体1500円) 
ネット書店、全国の書店で発売中

文/編集部



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