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「大豆田とわ子と三人の元夫」プロデューサーが選ぶ名場面とは!? 「ギョーザのシーンは坂元さんの真骨頂だと思います」2021/05/25

 毎週火曜日に放送中の松たか子さん主演のドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(フジテレビ系=関西テレビ制作)。松さんが3回結婚して3回離婚した女性・大豆田とわ子を演じ、とわ子の1番目の元夫・田中八作を松田龍平さん、2番目の元夫・佐藤鹿太郎を東京03の角田晃広さん、3番目の元夫・中村慎森を岡田将生さんが演じています。

 本作の脚本を担当しているのは、「最高の離婚」(フジテレビ系)、「カルテット」(TBS系)など、多くの名作ドラマを世に送り出してきた坂元裕二さん。また、「カルテット」でも坂元さんとタッグを組んだ佐野亜裕美さんがプロデューサーを務めています。今回は佐野プロデューサーにインタビューを敢行! 本作の企画の経緯から今後の見どころまで、たっぷりと語っていただきました!

――まず最初に、どのような経緯で本作を企画されたのか教えてください。

「『カルテット』で坂元さんとご一緒して、『また一緒にやりたいです』と話していました。坂元さんが少しテレビドラマをお休みするということだったのですが、新型コロナの流行などで社会に閉塞感が増していく中で、坂元さんのドラマに勇気づけられる方ってたくさんいるだろうし、何より私自身が一視聴者として坂元さんのドラマを見たいと思ったので、自分でお願いして書いてもらうしかないなと思って企画しました。当初は、男性の弁護士が主人公で、3回離婚して3人の元妻がいるっていう設定だったんですけど、“男女逆の方が面白くなるのではないか”など意見交換を重ねて、今の形に固まっていきました。やりとりをしていく中で、『これをやってもらうなら松さんしかいないよね』と話していて、松さんが快く引き受けてくださったので企画が実現しました」

――本作のメインテーマはどのようなものでしょうか?

「知人のライターさんが2016年に突然亡くなってしまうことがありました。そんなふうに、身近な人が急に亡くなってしまったり、1人で生きていかなければならない状況にある人、あるいは1人で生きていくことを自分で選んだ人など、1人で生きていく人を応援するようなドラマにしたいということは坂元さんと話していました」

――とわ子の衣装や音楽、映像の質感など、すごくオシャレな雰囲気ですが、こだわりなどはありますか?

「話し合いの中で、坂元さんから“スクリューボール・コメディー” (1930年代~40年代のハリウッドで流行した都市部の上流階級たちが主人公のラブコメディー)にしたいと言われたんです。坂元さんはトレンディードラマ全盛の頃からドラマを書いていらっしゃるので、『この人たちすてきだな』『この人たちみたいな生活をしたいな』と、視聴者の方に思ってもらえるようにしたいという気持ちをお持ちで、私もそれには同意見だったので、衣装にも音楽にも徹底的にこだわろうと決めました。最後まで悩んだのはコロナ禍のある世界線にするのかという点で、マスクをしながら生活しなければいけない、現実の苦しい状況下での物語を見たいって言う人もいると思うし、逆にそれは見たくないって人もいると思うんですが、今回はロマンチックコメディーということもあり、パラレルワールドの、コロナのない楽しい世界の話にしようと思いました」

――元夫たち3人のキャスティング理由についても教えてください。

「松さんとの組み合わせを見たい人を選んでいって、“この人が八作だったら、他の2人はこの人たち”というようにパズルのような感じで考えていきました。今回すごく難しかったのは、3人でのバランスが大事なので、全員OKか、全員NGかしかなかったことです。3人の中で一番悩んだのは(松田)龍平さんで、やっぱり坂元さんの脚本で松さんがいて、龍平さんがいて…となると、どうしても『カルテット』を連想して引っ張られてしまうかなとも思ったんですが、個人的にもっともっとあでやかで魅力的な龍平さんを見られるのではないかと思うところもあって、ある意味、そのリベンジという気持ちからオファーしました。岡田さんはすごく美形なんですけど、底知れない迫力があって、松さんと並ぶとなんだか不穏な雰囲気でソワソワする感じがあって、それが見たいなと思いお願いしました。角田さんは、坂元さんが元々東京03さんの大ファンで、角田さんのお名前を出されたんです。そこから東京03さんのコントなどを見て、本当に芝居がうまくて役者として天才的な人だなと思ったのでお願いしました」

――お話に挙がった松田さんのあでやかさは、ここまで見ていていかがでしょうか?

「今回は“色っぽい松田龍平”というのがすごく出ていて、いいなと思います。まだまだこの先で八作が盛り上がってくるので、龍平さんに会うたびに『よろしくお願いします』と言ってプレッシャーをかけ続けてます(笑)」

――毎回変わるエンディングも話題になっています。どんな経緯であのような演出になったのでしょうか?

「坂元さんのドラマはセリフ量がすごく多くて、歌詞が入った曲をかけると、歌詞とセリフどっちを聞いていいか分からなくなってしまうなと思ったので、ドラマ本編と切り分けてエンディングを作ろうと思いました。私にとってはエンドロールってすごく大切で、“こんな役者さんが出ています”“こんなスタッフが作っています”ということを視聴者の皆さんに伝えるために、どうにか最後まで見てもらいたいと考えた時に、エンディングを毎回変えるしかないと思ったんです。ちょうどその頃、『新世紀エヴァンゲリオン』のアニメシリーズを見ていて、エンディングの曲は同じなんですけど、歌っている人が違ったり、歌い方が違ったりと毎回パターンが違っていて、そこからもヒントをもらいました」

――第一章として描かれた6話までの中で印象に残っているシーンはありますか?

「5、6話ですごく物語が動いて第一章の完結といった形なのですが、6話については個人的にもすごく思い入れの強い話になっています。6話で元夫たちがギョーザを包みながら次々にフラれていくシーンはすごく印象的ですね。あのシーンは初期から構想の中にはあって坂元さんから聞いていたのですが、あまりイメージできていなかったんです。でも、実際に見て、すごく面白いなと思いました。私が言うと怒られてしまうかもしれませんが、どんどん思わぬ方向に会話が転がっていく、その転がし方が本当に見事だなと思いますし、坂元さんの真骨頂だと思います。あとは6話で綿来かごめ(市川実日子)が亡くなってしまった後に、とわ子がかごめの部屋に残った食材で料理を作るシーンがあったんですけど、それがとても素晴らしかったです。フードスタイリストで飯島奈美さんに入っていただいているんですけど、奈美さんにも『本当に大切なシーンなので』とお伝えしたら、実にすてきなものを作ってくださって。“人が生きていくこと、死んでいくことってこういうことだよな”というのをすごく表現できたシーンだったと思います」

――かごめが亡くなってしまうという展開はとても驚きでした。

「先ほどもお話したように、私の知人のライターさんが亡くなったこともあり、1人で生きていく人、1人で生きて死んでいく人の背中を押すようなドラマにしたいという思いが最初からありました。コロナ禍で病室に家族も入れず、タブレット端末を通して家族が励ます中、おじいさんが1人で亡くなっていく海外の映像をたまたま見ていたのですが、家族がいても独身であっても最期は1人になってしまうけど、その死を周りがどう受け止めていくかだなと2人で考えました。コロナ禍で突然そういうことが起こったり、自分もいつそうなるか分からなかったりする中でできることって、当たり前なんですけど、生きている人は幸せになること、周りにいる人を大切にすることだなと。そんな思いを体現するキャラクターが、かごめでした。台本読みの時にも、そのことを坂元さんがかごめを演じる市川さんに丁寧に説明されていたことを覚えています」

――最後に、今後の見どころについて教えてください。

「6話の最後にオダギリジョーさん演じる小鳥遊大史というキャラクターが出てきましたが、大史ととわ子の関係が7話以降に大きな軸になってきます。元夫たちとも波乱が起こりますし、『しろくまハウジング』が大変なことになってしまうのも見どころです。4話でかごめが言った『あなたみたいな人がいるってだけでね、あっ、私も社長になれるって、小さい女の子がイメージできるんだよ』という言葉を胸に、とわ子は頑張って社長としてどうにかしようとするんですけど、やっぱり自分には向いていないと思う気持ちもあって…。その葛藤や大史との関係、3人の元夫たちとの一悶着などは7話以降の大きな見どころになってくると思いますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います」

――ありがとうございました!

 第一章が完結し、いよいよ最終回に向けての第二章に突入する“まめ夫”から目が離せません! お見逃しなく!

【プロフィール】

佐野亜裕美(さの あゆみ)
1982年生まれ、静岡県出身。2006年にTBSテレビ入社。「潜入探偵トカゲ」「刑事のまなざし」(2013年)、「ウロボロス~この愛こそ、正義」「おかしの家」(15年)、「99.9-刑事専門弁護士-」(16年)、「カルテット」(17年)、「この世界の片隅に」(18年)などをプロデュース。20年6月に関西テレビに移籍し今作を担当する。

【番組情報】

「大豆田とわ子と三人の元夫」
フジテレビ系
火曜 午後9:00〜9:54

取材・文/秋山隼人(フジテレビ・関西テレビ担当)

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