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ずん、ロッチ、アルピーら9組がコント披露「喜怒哀ラフ」誕生秘話! 「オードリー・若林正恭さんの言葉に、勝手に責任を感じて…」――藪木健太郎×山内健太郎インタビュー2020/12/28

ずん、ロッチ、アルピーら9組がコント披露「喜怒哀ラフ」誕生秘話! 「オードリー・若林正恭さんの言葉に、勝手に責任を感じて…」――藪木健太郎×山内健太郎インタビュー

 街頭インタビューで聞いた、身近にいる“困ったさん”のエピソードをお笑い芸人がコント化し、「ストレスを笑いに変えて浄化しよう!」という1月2日放送のバラエティー特番「あなたのストレス、コントに変えます!喜怒哀ラフ」(MBS/TBS)。

 タクシー運転手から寄せられた「酔っぱらって会話が通じないお客さん」や、新入社員から寄せられた「1年しか変わらないのに偉そうな先輩」といった“困ったさん”のエピソードをコントで披露するのは、トム・ブラウン、ずん、ロッチ、さらば青春の光、ラランド、アルコ&ピース、丸山礼さん、エイトブリッジ、パーパーの9組。MCにはオードリーの若林正恭さんと春日俊彰さん、スタジオゲストには池田美優さん、ギャル曽根さん、SixTONES・田中樹さん、若槻千夏さんを迎え、“困ったさん”のストレスを笑い飛ばす1時間30分となっています。

ずん、ロッチ、アルピーら9組がコント披露「喜怒哀ラフ」誕生秘話! 「オードリー・若林正恭さんの言葉に、勝手に責任を感じて…」――藪木健太郎×山内健太郎インタビュー

 今回演出・プロデューサーを務めるのは、「爆笑レッドカーペット」「THE MANZAI プレミアマスターズ」「ENGEIグランドスラム」など、フジテレビを代表するお笑いネタ番組を多数手掛けてきた藪木健太郎さん。また、総合演出は毎日放送で「堂本剛のやからね」「オールザッツ漫才」「痛快!明石家電視台」といった関西色の強い番組の制作に携わり、現在は「林先生の初耳学」のディレクターを担当する山内健太郎さんが務めています。ここでは藪木さんと山内さんのお二人にお話を伺い、制作秘話や番組を作るうえでの思い、芸人さんたちとのエピソードについてお聞きしました。

テレビマンとして責任を感じた、オードリー・若林さんの言葉「M-1以降、テレビに出るのが楽しくなかった」

ずん、ロッチ、アルピーら9組がコント披露「喜怒哀ラフ」誕生秘話! 「オードリー・若林正恭さんの言葉に、勝手に責任を感じて…」――藪木健太郎×山内健太郎インタビュー

――この企画はどのような思いから生まれたのでしょうか。

藪木 「2年くらい前から僕と山内くんが一緒に企画を作り始める中で、今回僕が20年近く一緒に仕事をしている作家さんと組んで、山内くんに『こんなんどう?』って相談したんです。どうやったらこういう感じのコントができるかを模索して、この形になりました。ネタ番組だけどネタ番組に見えない、コント番組だけどコント番組に見えないというところを目指して作ってきたという感じです」

山内 「この番組は芸人さんのネタが見どころでもあるんですけど、そもそもの企画のスタートは、感情がベースになっているんです。ネタを見せる番組ではあるんですけど、“ネタ番組”じゃなくて“バラエティー番組”という立ち位置というか。街頭インタビューで伺った、悲しい、ムカつく、怒る…といった感情を僕たちがしっかりと演出することで、ネタを見る方が共感したり、驚いたりするところからネタが展開していくんですよね。ネタを見て『面白い』『面白くない』だけじゃない、もう1本、感情の軸が走っていくのが、この番組の一番のポイントかなって思っています」

――スタジオでも、ネタを見終わった後に出演者の皆さんが感想を言い合ったり、自分のエピソードを話したりと、にぎやかな雰囲気でしたね。

山内 「『こんな人いる!』とか『分かる~!』とか、逆に『こんな人いる!?』とか、ネタの面白さとは別のところの、“人”に対するコメントがたくさん出ていましたね。そこがこの番組の大きな特徴なのかなって思います」

ずん、ロッチ、アルピーら9組がコント披露「喜怒哀ラフ」誕生秘話! 「オードリー・若林正恭さんの言葉に、勝手に責任を感じて…」――藪木健太郎×山内健太郎インタビュー

――では、こだわった部分はどのようなところでしょうか。

山内 「オードリーさんにMCをしてほしいというのは、僕の強い希望だったんです。僕はラジオもよく聴いているし、本も読んでいるんですけど、若林さんの人間性――明らかに元々“陽”じゃない人がテレビであれだけ活躍しているということは、マイナスな感情や状況をプラスに転換する何かが若林さんの中にあるはずなんですよ。それはもちろん春日さんもなんですけど、オードリーさんにこの番組のMCをやってもらえたら、依頼者の感情も理解できるし、もしかしたら“困ったさん”の感情も理解できるかもしれないなと思ったんです。『こんなやつおらんやろ!』って斬るんじゃなくて、気持ちをくんだうえでお笑いにしてくれるんじゃないかなって。この番組で、オードリーさんとお仕事できてすごく良かったなと思います」

藪木 「僕は、『こだわった部分』の回答にはなっていないかもしれないんですけど…。ある時、若林さんが『テレビって楽しいことを望んじゃいけないんだ』というようなコメントをされていたんですよ。それで最近、『M-1以降、テレビに出るのが楽しくなかった』と発言されていたというのも耳にして。僕はバラエティーのMCに出てもらうようなお仕事をオードリーさんとはしたことはなかったんですけど、ちょっとショックだったんですよね」

――それはいちテレビマンとして、ですか?

藪木 「そうです。僕はテレビを作るうえで『出て楽しい、作って楽しい、見て楽しい』というのが理想だと考えているので、その発言に勝手に責任を感じて。いつかオードリーさんとやりたいなと思っていたところに今回こういうチャンスをいただけて、その気持ちを浄化できるなと思って作ったところはありますね」

――お二人とも、収録を終えて手応えがありそうな表情をされています。

藪木・山内 「そうですね(笑)」

山内 「あれだけスタジオでウケたら、手応えありますよ!(笑)」

刺激的なやりとりの連続「ロッチさんとの打ち合わせは感動しました」

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――では、コントを披露した9組の芸人さんとのやりとりの中で印象的だったことはありますか?

山内 「ネタに関しては、いくつかエピソードを持っていって、芸人さんとベストなネタを選ぶという方法で決めていきました。例えば、さらば青春の光さんだと、最初はボケとツッコミを逆で持っていったんです。それがお二人との打ち合わせの中で逆になって、結果面白さが倍増したと思います。ロッチさんも、打ち合わせでコカド(ケンタロウ)さんが『中岡(創一)さんがここでこう言った方がいいんじゃないか』みたいなことをポンと言ってくださったりして。やっぱり笑いの立て方に対してすごく鋭いし、僕らが描いてたものにピークを作ってくれるんですよ。ロッチさんとの打ち合わせは感動しましたね。十数年バラエティーに携わってきて、初めて芸人さんと一緒にコントを作るということをさせてもらって。すごく刺激的でした」

藪木 「芸人さんと『こうしましょうよ』『こっちの方が良くないですか?』ってやりとりしながら作るのは楽しいですよね。『爆笑レッドシアター』(フジテレビ系)もそういう作り方でした。楽しく笑いながら打ち合わせして、やりがいがありますよね」

山内 「僕、第一声で『いやー、楽しいです!!』って言いながら会議を始めたの、生まれて初めてです(笑)。あと、過去のネタの一部がコントに出てきたりもするんです。それぞれの芸人さんを長く応援しているファンの方が見たら『あの時のあのネタだ!』と昔のネタを思い出すかもしれません。マニアックな見方になりますが、そういう楽しみ方もしていただけたらうれしいです」

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――思い入れがあり選ぶのが難しいかもしれませんが、一つ「見どころ」を選ぶならどのコントになりますか?

山内 「印象的だったのは、ずんさんですね。飯尾(和樹)さんもやすさんももう50歳を超えて、コンビ歴も相当長いベテランなんですけど、ずっとネタ合わせをされているんですよ。控室から2人がネタ合わせしながらキャッキャキャッキャ笑っている声が聞こえてくるんです。しかも本番ではものすごくアドリブも入って。芸人さんとしてすてきだなって思いました。藪木さんはどうですか?」

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藪木 「ラランドさん、丸山礼さんとは初めてお仕事できてうれしかったです。トム・ブラウンのお二人とは今回あまり絡めなかったんですけど、過去に『うつけもん』(フジテレビ系)という番組でみちおさんにドリアンをたたき割ってもらって…」

山内 「どういう流れですか!?(笑)」

藪木 「トゲトゲなんだけど痛くないふりをするっていう(笑)。打ち合わせをしながらいろいろなことを思い出しましたね。ロッチは『レッドシアター』で2、3年ずっとリハ室で一緒にコントを作ってきた仲間でもあるし、アルコ&ピースは体育館にバレーボールが引っ掛かるネタが大好きだったなー、とか。ずんさんには、『平日の昼間からゴロゴロ~ゴロゴロ~』っていう『現実逃避シリーズ』を『レッドカーペット』で最初にやってもらったなー、って。芸人さんの“ネタ”の部分で長くお付き合いさせていただいた方たちと、もう1回ご一緒できて楽しかったです」

ずん、ロッチ、アルピーら9組がコント披露「喜怒哀ラフ」誕生秘話! 「オードリー・若林正恭さんの言葉に、勝手に責任を感じて…」――藪木健太郎×山内健太郎インタビュー

山内 「ここまでの関係はなかなかないですよね。さすがフジテレビのお笑いの歴史の一端を担ってきた存在ですよ」

藪木 「思い入れという意味では、楽しくて終わった後、一緒に写真を撮らせてもらったのがロッチとアルピー(笑)。普段こういうことはしないしできないけど、すごく楽しくて(笑)」

「喜怒哀ラフ」を「ストレスを笑いに変える変換器」のような存在にしたい

ずん、ロッチ、アルピーら9組がコント披露「喜怒哀ラフ」誕生秘話! 「オードリー・若林正恭さんの言葉に、勝手に責任を感じて…」――藪木健太郎×山内健太郎インタビュー

――では最後に、お二人がこれから挑戦したいことや作ってみたい番組など、今後の展望についてお聞かせください。

藪木 「僕は今まで、運良く理想の形で仕事ができているなと思うんです。『情報ありません、涙ありません、感動ありません。笑いだけです』という番組を作ることができていて、自分でも『こんな番組作れて、幸せ者やなー』って思う瞬間がいっぱいあるんです。青臭く、理想の形で仕事ができているから、もう今更、路線変更はできないなと思います(笑)。得意なことの中で、自分が楽しみながら続けていくことがふわっとした展望かな。それはテレビだけにはこだわっていなくて、プログラムというか、“バラエティー”はなくならない気がするし、絶対誰かが作るので。その中に自分も居続けることができたらいいなって思います」

山内 「大それたことは言えないんですけど、僕が作れるものって“娯楽番組”なんですよ。世の中にはいろんな番組がありますけど、僕は圧倒的に“人を笑わせる番組”が好きなんです。自分たちが楽しんで作ったものを楽しく受け取ってもらえる仕事って本当に幸せだなと思うので、できるならば『喜怒哀ラフ』を今後2、3回と続けて、レギュラー番組にできたら最高ですね。視聴者の皆さんが“困ったさん”に出会った時にこの番組に投稿してくれて、『嫌なことがあっても、あの番組に投稿したら面白くしてくれるかな』と思ってもらえるような、ストレスのはけ口になる番組にできたらすてきだなって。ストレスを笑いに変える変換器のような存在になったらいいなと思います」

ずん、ロッチ、アルピーら9組がコント披露「喜怒哀ラフ」誕生秘話! 「オードリー・若林正恭さんの言葉に、勝手に責任を感じて…」――藪木健太郎×山内健太郎インタビュー
ずん、ロッチ、アルピーら9組がコント披露「喜怒哀ラフ」誕生秘話! 「オードリー・若林正恭さんの言葉に、勝手に責任を感じて…」――藪木健太郎×山内健太郎インタビュー

【プロフィール】

藪木健太郎(やぶき けんたろう)
1995年、フジテレビジョン入社。「爆笑レッドカーペット」「爆笑レッドシアター」「THE MANZAI」「ENGEIグランドスラム」などを制作。2018年から共同テレビジョンに出向し、現在は「ザ・ベストワン」(TBS系)、「NHKだめ自慢~みんながでるテレビ~」(NHK総合)などを手掛けている。


山内健太郎(やまうち けんたろう)
2004年、毎日放送入社。これまで「サタデープラス」「ちちんぷいぷい」「堂本剛のやからね」「オールザッツ漫才」「吉本陸上競技会」「痛快!明石家電視台」「ソガのプワジ」などを担当。現在は「林先生の初耳学」のディレクターを務めている。

【番組情報】

「あなたのストレス、コントに変えます!喜怒哀ラフ」
TBS系
1月2日 午後3:00~4:30

取材・文/宮下毬菜



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