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中村七之助&永山瑛太W主演「ライジング若冲~天才 かく覚醒せり~」客観的に見るとBL作品!?2021/01/01

 中村七之助さんと永山瑛太さんがダブル主演を務める正月時代劇「ライジング若冲~天才 かく覚醒せり~」(NHK総合ほか)が1月2日に放送されます。本作は、精密な考証と大胆な仮説に基づき、謎に包まれた天才絵師・伊藤若冲(七之助)の実像をドラマ化。

 史実をひもとくと、18世紀、京の都に生きた若冲の周りには、ビジュアルも言葉も刺激的な美意識の高い男性たちが群がっていたといいます。中でも、若冲終生の最高の理解者は、名プロデューサーでもある美しき僧侶・大典顕常(永山)。彼らは初めて会った時から強くひかれ合い、深い絆で結ばれたそうです。美の極致を求める2人。若冲の最高傑作「動植綵絵(どうしょくさいえ)」(全30幅)の誕生秘話が描かれます。

 撮影を終えた七之助さんと永山さんが、本作の見どころをたっぷり語ってくれました。

――まずは、初共演ということで、お互いの印象を教えてください。

七之助 「映画が大好きで、瑛太さんを見て『良い役者さんだなー』と思っていました。僕はあまりテレビのお仕事をさせていただく機会がないので、最初は『わ、瑛太だ!』という感じです。僕が本当に不慣れなもので、ドキドキしながらクランクインをしました。初めて大典さんとお芝居をしたのは撮影2日目で、“若冲が声を掛けて、大典さんが振り返り、ニコッと笑う。そこで一目ぼれして、衝撃を受ける”というシーンでした。言葉では言い表せないのですが、役者として“ビビッときた”感じです。もともと女形をやっていて、“相手役さんに引っ張っていただいて能力が伸びる”というようなスキルを持っているので(笑)。瑛太さんの顔を見て、セリフを聞いた瞬間に『これは任せておけば大丈夫だな』と思いました」

永山 「本読みや、おはらいの時は、お声を掛けられませんでした。普段は共演者の方と世間話をして、自分からコミュニケーションを図るんですけど、七之助さんには違ったドキドキ感が芽生えてしまいました。大典は若冲に一目ぼれをする設定ですけど、僕自身がほれてしまって…。男性の方に使っていい言葉か分からないですが、妖艶さというか、すごく奇麗なたたずまいなんです。お芝居の時も、ちょっとした待ち時間も、すごく奇麗だなーと。そして、小さい頃からずっと歌舞伎界を担ってきた方なので、人としての器が大きかったです。いろんなアイデアを出したり、違った芝居にチャレンジしたり、思いっきり飛び込んでも、絶対に受け止めてくれる安心感がありました」

――チャレンジしたことで、何か具体的なエピソードはありますか?

永山 「“この人(若冲)を世に送り出したい!”という気持ちを表す時に、静けさの中で言ってもいいし、肉体ごと動いてもいいと思いました。2人の出会いは、性別の垣根を越えてしまっていて、客観的に見るとBLなんじゃないかと…。そういう視点で見ていただいても面白いです。説得をするシーンでは、あえてものすごい顔を近づけて、唇と唇がくっつくんじゃないか…ということをしてみました」

――それは、もともと演出プランになかったのでしょうか?

永山 「そうですね」

七之助 「“手を強く握る”としか書いてなかったです」

永山 「押し倒してしまうんじゃないかという勢いで、どんどん攻めていきました。そしたら監督に1回『やりすぎたな』と言われて、撮り直しになりました。実際に、江戸時代でそういうことがあったのかというのは、史実では分からないですが、今の人が見てもドキドキするような芝居にチャレンジしていった感じです」

七之助 「僕は受ける側のお芝居だったんですけど、瑛太さんが素晴らしい役者さんですので、ふざけてないんですよね。決して滑稽なシーンではないので。視聴者の方には、ちょっとBLに見えても面白いかなと思います」

――では、現場の雰囲気はいかがでしたか?

七之助 「良かったと思うんですけど、僕はあまり経験がないので…。良かったです(笑)」

永山 「良かったですよ。こういう感じですよ」

七之助 「こういう感じ、こういう感じ! 良かったと思います」

 撮影序盤、お二人とも緊張していたようですが、取材時は息もピッタリで、とても和やかな雰囲気を感じました。

――今回、衣装にもこだわっていると伺いました。

七之助 「久しぶりに大典さんと会って、完成した『動植綵絵』をサプライズ的に見せるシーンがありますが、衣装合わせの時は、ちょっと暗めの色だったんです。だけど本番の2日ほど前に『衣装を変えたい』と言われて、監督と一緒に見たのが真っ白の着物でした。一方で、大典さんは僧侶なので黒い衣装なんですよ。ある意味、告白に近いようなシーンなので、結婚式みたいに見えるんです。この時、若冲は一旦、絵を描くことを退こうと思っていたようなので、いろんな意味が出てくるなと思いました。若冲にとっては結婚式であり、絵師としての新装束なのかもしれないですね。衣装の大塚満さんは、作品を通して若冲と大典の関係の変化を感じたんでしょうね。脚本の捉え方が、さすがだなと思いました」

――印象に残っているシーンや、好きなセリフがありましたら教えてください。

七之助 「売茶翁(石橋蓮司)の生前葬のシーンは印象的でしたね。私たちにとっての道しるべみたいな人が引退をしてしまって、“お前ら、これから若いうちにどうするんだ?”というシーンです。全員がそろうシーンが少なかったので、それぞれのキャラクターがより濃く出ている場面だったと思います。」

永山 「大典は若冲さんの絵が気になって、譲っていただいた1枚をお寺に持って帰るんですね。それを1人で眺めながら『なんか変なものが見えとるな…』というセリフがあります。つまり、大典も“変なものが見えている人”なんだなと。若冲さんも、ある意味“普通の人ではない領域”にいってしまっているような存在なので、そのセリフがすごく好きです」

――実際に、伊藤若冲の絵を見たことはあるのでしょうか?

七之助 「本物を拝見いたしました。ビックリしましたね。一言です。固まりました。さきほども瑛太さんがおっしゃっていましたけど、“変なものが見えるな”っていう。円山応挙や池大雅は、生活の匂いや風の匂いを感じますけど、若冲はヒューチャーされていない鶏を軸のど真ん中にドーンと描ける度胸と、その内側をちゃんと描いているところが魅力だと思います」

永山 「スタッフの方から画集をいただいて見ました。自分でもネットオークションで買ってみようかなって思ったんですけど、ちょっと…とても買えるような値段じゃなかったです(笑)。現場で余ったものを、もらえるかもしれないとも思ったんですけど、もらえなかったですね。若冲といえば鶏ですが、普通は横向きだと思うんですよ。でも若冲は正面から捉えていて…。鶏を何時間見ていたんだろう、どれぐらい観察していたんだろうと思いました。鶏の動きを絶対に逃さないように、2人が四つんばいになって見るシーンがドラマでも描かれているので、そこを見ていただけると、より楽しめると思います。着眼点が面白いです」

七之助 「着眼点で思い出しましたが、“踊りの天才”と呼ばれていた曾祖父の六代目・菊五郎が、弥生さんから獅子になる“鏡獅子”を踊る時に、動物園でライオンをずーっと見ていたんですって。獅子は空想上の生き物なので、本物のライオンを見ても…ね? だけどライオンをずーっと見て、一言『あ、分かった』と言ったそうです。これはどこの私記にも載っていないんです。誰にも言っていないけど、天才は“何かが分かった”んでしょうね。たぶん若冲もそういう人です」

――最後に、本作の見どころをお願いします。

七之助 「今回、この作品に出合えたことが、役者人生の宝物になりました。初めて主演という形で出させていただきましたが、瑛太さんのおかげで無事に撮り終えることができました。まだ完成した作品を見ていないのですが、面白いといううわさが、ちらほらと入ってきています。相国寺さんに、限りなく本物に近い『動植綵絵』が三十幅と釈迦三尊像が三幅、ズラーっと並ぶシーンは圧巻でした。映像でより奇麗になるんじゃないかなという楽しみがあります。本物の美しさに負けないような映像になっていると思います」

永山 「日本伝統の歌舞伎界を背負っている七之助さんと芝居をご一緒できることに、ワクワクしました。2人が親密な関係になっていく流れの中で、タイトルにもある通り、若冲が覚醒していく…。七之助さん演じる若冲のたたずまいや、ちょっとした仕草、顔の角度など細かいところまで素晴らしいです。若冲が高みに向かっていく流れがすごく緻密で、七之助さんが思いっきり振り切ってやってらっしゃるので、すごく見応えがあると思います。誰もが楽しめるエンターテインメント作品になっているので、たくさんの方々に見ていただきたいです」

――ありがとうございました。

あらすじ

 時は宝暦年間。岩次郎(中川大志)がでっち奉公する京の玩具店にやってきた僧侶・大典(永山)は、謎めいた絵に興味をひかれます。描いたのは、錦市場にある青物問屋の主・桝屋源左衛門(七之助)。ある日、源左衛門は路上で茶を立てる謎の仙人・売茶翁(石橋)から、“若冲”という名を譲ってもらい、大典と運命的な出会いを果たします。若冲は大典の取り計らいで、京の寺にある絵の模写修行に努めますが…。

【番組情報】

正月時代劇「ライジング若冲~天才 かく覚醒せり~」
NHK総合・NHK BS4K
1月2日 午後7:20~8:35
NHK BSプレミアム
1月16日 午後9:00~10:30 <特別編>

NHK担当 M・I



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