「俺たちの箱根駅伝」小林虎之介×奥智哉×庄司浩平、撮影の裏側で「奥くんを太らせようと……(笑)」2026/10/24 12:00

大泉洋が主演を務めるドラマ「俺たちの箱根駅伝」(土曜午後9:00)が、日本テレビ系で放送中。池井戸潤氏の同名小説を原作に、箱根駅伝を目指す学生ランナーたちと、その熱を伝えるテレビ中継の舞台裏を描く本作で、小林虎之介は明誠学院大学陸上競技部のキャプテン・青葉隼斗、奥智哉は同部のマネジャー・矢野計図、庄司浩平は学生連合の一員であり、武蔵野農業大学の2年生・猪又丈を演じている。
ランナーとマネジャー、それぞれの立場で箱根駅伝に向き合った3人。役柄への思いや、実際に走ることで変わった箱根駅伝の見え方、そして撮影を通して育まれたチームワークについて、時に笑いを交えながら語ってもらった。
原作からドラマへ、3人が感じた変化
――まず、それぞれの役の第一印象と、演じる中で見えてきたことを教えてください。
小林 「隼斗は真面目で優しい子です。ただ、意外と熱い一面もあって。監督の演出によって、その熱さがより強く表れる場面もあります」
庄司 「確かに、小説の方がもう少し淡々としている印象はありました」
奥 「僕が演じる計図は、原作の印象だともっと知的で、きっちりしたイメージがありました。でも、ドラマ版では親しみやすさが増して、全体的に明るくなっていて。キャプテンである隼斗さんの思いがより濃く描かれているのもあり、人間味が増したなと思いました」
庄司 「丈はランナーの一人なので、セリフの分量自体はあまり多くないんです。ただ、台本になり、映像化される中で、猪又丈という役をより立体的に膨らませていただいた感覚があります。小説では、走る場面を通して人物像が見えてくる印象でしたが、ドラマでは倉科弾(林裕太)との関係性や、2年生という下級生らしい甘さも描かれている。そこに、丈のかわいらしさや人間性がよく出ていると思います」
――原作や台本を読んで、演じるのを楽しみにしていたシーンはありましたか?
小林 「原作の上巻のラストですね。あの景色を実際に見られるのが楽しみでした」
庄司 「僕もそのシーンを楽しみにしていて。実際にあの光景を目にした時は、やっぱりいいシーンだなと思いました」
奥 「僕は箱根駅伝の本選のシーンです。マネジャー役なので、基本的には選手に伴走する監督車に乗って選手たちについていくのですが、みんなの走りを間近で見られることを楽しみにしていて。実際に多くの選手の走りを間近で見届けることができて、本当に箱根駅伝に出場しているチームのマネジャーになった気分でした。臨場感のある撮影だったので、放送でどう描かれるのかもワクワクしています」
――本作は、学生ランナー側とテレビ局側という二つの軸で描かれます。その面白さは、どんなところに感じましたか。
奥 「学生ランナー側のエピソードは、特番などを通して知っている方もいると思うんです。でも、テレビ局側の裏話や、放送に携わる方々の頑張りを知る機会はなかなかないですよね。そうした舞台裏が描かれることで、箱根駅伝の魅力がさらに伝わるんじゃないかなと」
小林 「本当にそうですね。学生ランナー側もテレビ局側も、普段は見えない部分を知ることができるのが面白いと思います」
庄司 「限りなくリアルに近いフィクションであるところですよね。実在のテレビ局を思わせる舞台で、その内情まで描かれ、ドラマチックな展開が生まれていく。例えば、学生連合に向けられる冷ややかな目もそうです。強豪大学には取材が集まる一方で、注目度の低いところにはなかなか取材が来ない。ひどいなと思いつつ、その事情も分かる気がするんです」
――学生たちの真っすぐな思いと、テレビ局側の事情の両方が色濃く描かれていくのですね。
庄司 「はい。でも、どちらが悪いというわけではないんです。学生たちがひたむきに陸上に向き合う一方で、テレビ局側には、限られた時間の中で何を伝えるべきかを考える大人たちがいる。エンタメ性を重視するのか、箱根駅伝中継という文化を守るのか、そこにも葛藤があるんです。若い方は学生側に共感するだろうし、大人の方はテレビ局側の事情にも『分かる、分かる』と感じる部分があるのではないでしょうか」

小林&庄司による“奥くん太らせ計画”も……!?
――撮影以外の時間も、3人で過ごすことはありましたか?
庄司 「プライベートでよく一緒に走っていました。そこで、ほかのランナーから抜け駆けしようという……」
小林 「優越感に浸りたいといいますか(笑)」
庄司 「そう。『余裕だね、このメニュー』みたいなことをやりたかったのですが、よくよく考えたら、奥くんはマネジャーじゃないかと。マネジャーなのにすごく走れるのは逆に迷惑では、という亀裂はありました(笑)」
小林 「なので、奥くんを太らせようとして…」
庄司 「僕と虎さん(小林)で、奥くんにクイニーアマンを食べてもらいました(笑)」
奥 「おかげで実際に太りました!」
庄司 「選手たちは箱根本選まで研ぎ澄まされていき、マネジャーはどんどん丸くなっていくという(笑)。そういう意味でも手伝っていただいて、マネジメントしてもらいました」
奥 「マネジャーなので、みんなを支えていかないといけない。そういう面でも支えていました(笑)」

走って実感! 箱根駅伝ランナーのすごさ
――走る練習をしたことで、箱根駅伝を見る視点も変わりましたか?
小林 「1km何分で走るのかというのを気にして見るようになりました」
庄司 「そうそう。それが実感できるからね」
小林 「最初の頃は、“km何分”と言われても感覚が分からなかったのですが、選手の皆さんの平均値であるkm3分、2分55秒って、相当すごいんですよ。実際に練習すると、めちゃくちゃ速い。信じられないスピードです」
庄司 「われわれは実際に今年の箱根駅伝を見に行かせていただいて、現地観戦もしたのですが、恐れおののくといいますか。自分たちができる範囲で高強度の練習をしているからこそ、km2分50秒とか、km3分で20km走るとか、うそみたいだなと思うんです」
小林 「山上りでkm3分半とか、うそみたいだよね。平地でもものすごく速い」
庄司 「同じ人間なのかと思うぐらい。選手の方々へのリスペクトが深まる一方で、自分たちとの実力差を思い知らされて、ちょっとした失望感もありました。撮影を前にして、これが現実かと」
――実際には、どのくらいのタイムで走れるようになったのでしょう。
小林 「本気でタイムアタックに挑戦した時は、1km3分50秒のペースで10kmを走り切りました。もう気絶するかと思いましたね(笑)。その1か月後には、さらに5秒ぐらいペースが速くなったのですが、体へのダメージが大きくて。その後4日ぐらいは走れず、歩くのもつらいほどでした。もともと追い込み癖があるのですが、練習ができなくなっては意味がないので、それ以来、やりすぎないようにしています」
庄司 「僕はそんなの全然無理です。1km4分3秒ぐらいが精いっぱいかなと。3分50秒台のペースでも、6kmぐらいまでなら頑張れるかもしれませんが、それ以上は厳しいかな……。それも調子がいい時に限りますし、負荷が大きすぎるので、毎回そんな走り方はできないです」
――沿道に人がいる中で走る撮影もありました。声援を受けて走る感覚はいかがでしたか?
小林 「たくさんのエキストラの方が参加してくださって、声援にもすごく力をもらいました。フィニッシュテープを切る場面では、みんなもいてくれたので、一緒に頑張ってきたんだという気持ちが込み上げて、うれしかったです」
庄司 「僕はシーンの都合で笑顔を見せながら走るわけにはいかなかったのですが、声援にたくさん力をもらいました。学生時代にバスケットボールをやっていたので、その頃のことも思い出して。プロスポーツ選手の方がよく『声援が力になる』とおっしゃっていますが、その言葉の意味を身を持って実感しました」
――役柄としては笑顔を見せられない場面でも、内心では力をもらっていたんですね。
庄司 「先日、箱根で撮影した時も、ゴール地点さながらの大勢の方に集まっていただいたんです。これが弾だったら『よっしゃ!』と喜んでいると思うのですが(笑)、丈は真剣に走らないといけないので……。思わずにやけてしまいそうだったのですが、役柄上それもできなくてもどかしかったです」

差し入れ合戦に極寒ロケ! 撮影の裏側
――撮影中に“チーム感”を感じた瞬間はありましたか?
庄司 「僕は差し入れですね。みんないろいろなものを持ってくるのですが、キャプテン(小林)もおいしい大福を差し入れたり、最近は自分で焼き芋を作ってきたりしていて。それを一番年下の山崎雄大くん(咲山巧役)に食べてもらって、どんな反応をするのかをみんな楽しみにしているんです。10mぐらい離れたところで雑談しているふりをしながら、実は雄大の反応をじっと見ていて。特に自分が差し入れたものを食べる時は、『来い、来い!』と期待しながら見守っているんです。それで雄大が『うまい!』と言うと、『うまいって言った!』と喜ぶという(笑)」
小林 「あれはチーム感を感じたよね(笑)。誰が一番雄大を喜ばせられるか、勝負していました」
庄司 「そうなんです。特に雄大に喜んでほしくて、差し入れしていたので」
小林 「でも、どんなにいい大福やカステラ、どら焼きを持っていっても、現場の方が差し入れてくれた芋ようかんが一番だったんです(笑)」
庄司 「そう。どうしてもそれを超えられなくて」
奥 「あとは、ブラックサンダー!」
小林 「そうそう。ブラックサンダーもすごく喜んでいたよね」
庄司 「みんな、雄大がお菓子をおいしそうに食べる姿を見るのが好きなんです。もっと食べさせて太らせたいぐらいですが、全然太ってくれない!(笑)」
――奥さんは、現場の雰囲気をどのように感じていましたか。
奥 「撮影の合間の過ごし方にも、チーム感が表れていると思います。一人で集中したい人もいれば、いつもどおりに会話を楽しんでいる人もいて。みんな特に意識しているわけではないと思うのですが、お互いに少しずつ気を使いながら、それぞれが過ごしやすい環境を自然と作れているんです」
庄司 「じゃあ、僕らがあげたクイニーアマンも、気を使って食べてくれていたってこと?」
小林 「僕ら、ちょっとよだれを垂らしながら見ていたけど(笑)」
奥 「そうですね(笑)。あえてマネジャーという立場の僕が、カロリーの高いものを食べる姿を見せることで、選手たちを支えていました。みんなの分まで食べるというか」
庄司 「なるほど。そういう支え方もあるんだ」
小林 「チームのために!(笑)」
――そんな冗談も交えつつ、過酷な撮影を一緒に乗り切った感覚もあったのでしょうか。
小林 「ありました。気温が0度近い中、僕たちランナー役は半袖短パンで撮影していたのですが、奥くんはジャージの下にもいろいろ着込んでいて、暖かそうだったんですよ」
奥 「そうそう。あれもチームだから(笑)」
庄司 「僕らはゆるゆるのタンクトップだったので、中に何も着込めなかったんです。スパッツにタンクトップだけで、もうほぼ全裸みたいなものでした(笑)」
小林 「寒すぎて、みんなこれから命懸けの戦いに挑む人みたいな顔をしていて(笑)。一言も話さなくなるんです」
庄司 「一つ呼吸するだけで体温が逃げていくような寒さだったので、必死に集中していました。1月の撮影はだいぶ危なかったです」
奥 「あの必死な姿を見ていると、チームを感じましたね」
小林 「カットがかかると、みんな一斉にベンチコートを取りに行っていたけどね(笑)」
厳しい寒さの中での撮影も、3人にかかれば笑い話に。冗談を交わす息の合ったやりとりからは、撮影を通して育まれたチームワークの良さがうかがえた。ランナーとして、マネジャーとして、それぞれの立場で“箱根駅伝”と向き合ってきた3人。その絆は、ドラマの中で描かれる仲間たちの姿にも重なっている。

【番組情報】
土曜ドラマ「俺たちの箱根駅伝」
日本テレビ系
土曜 午後9:00~
【プロフィール】
小林虎之介(こばやし とらのすけ)
1998年2月12日生まれ。岡山県出身。近年の出演作に、ドラマ「ひだまりが聴こえる」(テレ東系)、「宙わたる教室」(NHK総合/ともに24年)、「ながたんと青と -いちかの料理帖-2」(WOWOW)、連続テレビ小説「風、薫る」(NHK総合ほか/26年)などがある。
奥智哉(おく ともや)
2004年7月18日生まれ。神奈川県出身。近年の出演作に、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合ほか/25年)、ドラマ「時計館の殺人」(Hulu/26年)、「君は夏のなか」(テレ東系/26年)などがある。出演映画「八つ墓村」が公開中。
庄司浩平(しょうじ こうへい)
1999年10月28日生まれ。東京都出身。近年の出演作は、ドラマ「40までにしたい10のこと」(テレ東系/2025年)、「余命3ヶ月のサレ夫」(テレビ朝日系)、「Tシャツが乾くまで」(TBS系/ともに26年)など。出演映画「劇場版 40までにしたい10のこと」が27年1月22日に公開。
取材・文/斉藤和美 撮影/尾崎篤志
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