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「働かざる者たち」濱田岳が演じる上でのすてきな信念とは?「すべては視聴者の皆さんが決める仕事だと僕は思っています」2020/09/22

 濱田岳さん演じる新聞社社員の橋田一が、社内にいる“働かない人たち”に翻弄(ほんろう)されながらも、彼らの姿を通して自分の働き方や生き方を模索していくドラマ「働かざる者たち」(テレビ東京ほか)。強烈な働かないおじさんたちの言動に思わず笑ってしまいつつも、橋田が“働くこと”に対して悩みながら答えを出していく姿には、見ていて共感してしまう人も多いのではないでしょうか。

 今回、そんな橋田を演じる濱田さんを直撃! 橋田を演じる上での役作りや本作の笑える撮影エピソード、また9月30日放送の最終回の見どころや、視聴者の皆さんへのエールなど、さまざまな思いを語ってくれました。

――物語ではいろんな働かざる者たちが出てきますが、濱田さんご自身が印象に残っている働かないおじさんを教えていただけますか?

「皆さんとても濃く橋田と接してくれるんですけど、やっぱり津田寛治さん演じる八木沼豊ですかね。津田さんの芸達者さもあって…ウザかったですねえ(笑)。このドラマにとって大事な第1話(8月26日放送)のシーンで、八木沼のコンパ帰りに橋田が酔っぱらった彼を抱きかかえながら心の内を聞くという場面があったんです。津田さんは、まるで『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)で殉職した刑事のように、八木沼の心の内をお話されてたんですね。一瞬『すごくいいシーンなんじゃないか?』と錯覚してしまいそうなんですけど、“あ、『働かざる者たち』だ”と思ったら、『ばかじゃねぇか、八木沼』と(笑)。それぐらいインパクトがあるすてきなシーンだったなと思います」

――橋田が、働かないおじさんたちの事情を知ってジーンとしつつも、われに返って「いや、働け!!」と毎回ツッコむ姿も笑えますよね。

「いちいち胸を打たれちゃうんですよね! そのままだと、自分の人生が危ないことになるのに…(笑)。そこがなかなか大変です」

――9月23日放送の第5話で、ゲストの柳沢慎吾さん演じる風間敦が登場する回も、すごい展開が繰り広げられますもんね。

「そうなんです。あの回は、橋田にとって一番のアクションシーンだったんじゃないですかね(笑)。それぐらい実は平和なドラマだということで。でも、風間もむちゃくちゃしているんですけど、異常な説得力があるんですよね。冷静に聞いていると詭弁(きべん)だと分かるんですけど、謎の説得力とすごみがあって…。きっと、そういうパワーを持った人が一般企業でもいっぱいいるんだろうなと、そういった場所で働いたことがない僕でも想像がつくような人だったので、ちょっと怖かったですよね。“あれ? 『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系)に出演してるのかな!?”と思うような不思議な体験でした(笑)」

――いろんな錯覚をされた作品だったんですね(笑)。働かない濃いおじさんたちも見どころですが、橋田と同期の新田啓太(古川雄輝)と鴨志田哲也(大水洋介)の3人で飲むシーンも毎回出てきますね。

「あのシーンはまとめて1日で撮影しまして。僕と大水さんが演じるキャラクターは、割と好きなことを言っている人たちなので、古川さんは疲れたと思いますよ(笑)。ずーっとうだうだ言っている2人を前に、正論を言い続ける作業というのは、同業者として大変だったろうなと思います」

――新田はいつも正論を言っている役柄ですもんね。

「おじさんたちに影響されたばっかりに、新田の正論に食ってかかる橋田…ウザいですよね…(笑)。ちょっとレベルが上がったくらいでボスキャラに挑んじゃうみたいな…(笑)」

――普通だと「何言ってるんだよ」と言える新田も、9月30日放送の最終回では、いろいろ考えてしまっている時に橋田に来られて、受け入れてしまうところも…。

「あの回は、橋田が人生で一番チャレンジした決断だったと思うんですよね。視聴者の皆さんには小さなことかもしれないけれど、あの世界で生きた橋田にとっては壮絶な決断だったんじゃないかな。僕自身も、彼を応援しながら台本を読んで撮影現場に向かった記憶があります」

――最後のエピソードは、またいろいろと考えさせられる内容ですもんね。

「そうですね。だから、橋田がいろんな話を聞いた上でした、あの選択は人によっては笑われるでしょうけど、僕は応援してあげたい言葉でした。今までは誰かの受け売りが強かった中で、自分の意思で選んだ言葉だと思うので。最後の屋上での池田エライザさん演じる川江(菜々)さんとのやりとりは、見ていただきたいですね」

――ドラマの終わり方にも注目してもらいたいですね。

「こんなに現実的な判断をする主人公も珍しいんじゃないでしょうか。ドラマなのにこんなに堅実に生きる…奇跡が起きないんだ!? みたいな(笑)。演じていた僕としてはすごく納得のいく、最後まで見ていただいた方に損をさせない『働かざる者たち』らしい終わり方だと思います」

――濱田さんご自身のことについてもお伺いしたいのですが、濱田さんが演技をする上で持たれている信念がありましたら教えていただけますか? 

「俳優さんそれぞれだと思うんですけど、すべては視聴者の皆さんが決める仕事だと僕は思っています。例えば、『こんなにいい演技ができたので、ぜひご覧ください』と言ったところで、それがいいか悪いかを決めるのは視聴者の皆さんで。100点の演技ができたと思っても、皆さんが『大根役者』だと思えば、僕は大根役者以外の何者でもないと思います。僕自身は、そういうこだわりを持って臨むよりは、その瞬間、撮影現場でどう濱田岳としてのパフォーマンスを出すかということに努力した方がいいんじゃないかと思うんですよね。その上で、まず最初に客観視してくれる代表として監督がいると思うので、監督が『OK』と言ってくれるように、自分のパフォーマンスを出せたらと思っています。あとは、生きていく上で、流されるのと、自分の意思で流れていくのとでは、似て非なる言葉だと僕は思うんですよ。流されるのはよくないけど、自ら流れていくのはいいんじゃないかと。だから、そういう流れがあるのであれば、つれづれなるままに流れていって、その瞬間にパフォーマンスを発揮する。もちろん、できているとは言わないですけど、できていけたらいいなと思いますね。一言で答えられた質問なんですけど…そんなぼんやりした感じですかね(笑)」

――いえいえ、とてもすてきな信念を明かしていただきありがとうございます。それでは、最後に日々頑張って働いている視聴者の皆さんへ、濱田さんから何かエールがあれば、ぜひお願いします!

「今回、皆さんがずっと不安に思っているのは新型コロナウイルスのことだと思うんですよね。僕ら俳優業もそうですけど、みんな先が見えない中で働いている。でも、このコロナ禍での数少ない明るい要素の一つとして、“みんなつらい”状況だということがあると思っていて。『自分だけじゃない』というのがこんなに感じられる出来事は、なかなかないと思うんですよね。だから、『やまない雨はない』とか『明けない夜はない』とか大昔の人が作った言葉が、あらためてすごく沁みて前向きになれる気がします。僕はそう思っているので、皆さんにとっても、早く雨がやんで晴れてくれるといいなと思っています!」

――晴れるまでは、視聴者の皆さんにこのドラマを見てクスッと笑って過ごしてもらいたいですね。

「本当にその通りです!!(笑)。息抜きにもってこいの作品だと思うし、そういうつもりで僕も橋田として臨んだので。大いにストレスをぶつけて、あわよくば笑っていただけて今後の活力になれば、こんなに幸せなことはないと思います」

【プロフィール】

濱田岳(はまだ がく) 
1988年6月28日生まれ。東京都出身。ドラマ「釣りバカ日誌〜新入社員 浜崎伝助〜」シリーズをはじめ、「きょうの猫村さん」(ともにテレビ東京系)、「心の傷を癒(いや)すということ」、連続テレビ小説「わろてんか」(ともにNHK)、映画「コンフィデンスマンJP -プリンセス編-」「グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜」などの話題作に出演。ドラマ「世にも奇妙な物語 ’20秋の特別編」(フジテレビ系)が今秋放送予定のほか、映画「喜劇 愛妻物語」が9月11日に、「おらおらでひとりいぐも」が11月6日に公開予定。     

【番組情報】

ドラマパラビ「働かざる者たち」 
テレビ東京ほか 
水曜 深夜0:58~1:28 
※地域により放送時間が異なります。

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当)

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