向井理がいろんな人物を演じる「ダブルチート」――役作りへの試行錯誤「本来だったらできないことを、あまり気にせずに飛び越えていこうと思っています」2024/05/24

　警察官の多家良啓介（向井理）が、詐欺師という裏の顔も駆使しながら、さまざまな詐欺師と対峙（たいじ）していくさまを描くドラマ「ダブルチート偽りの警官 Season1」（テレ東系）。その二つの顔のみならず、詐欺師をだますためにいろんな人物になりきる多家良を演じる向井さん。今回は、その役作りについてあらためてお伺いしました！

――多家良啓介という人物について、どのように役作りをされていますか？

「すごく多面的な人間なので、いつもと演じ方を変えています。例えば、通常一つの役を演じる際には、癖や一人称がその役柄を印象づけるよりどころになったりするんですよね。でも、今回はそれをあえてぐちゃぐちゃにして、一人称も“私”って言ったり、“僕”って言ったり、“俺”って言ったり…。相手によって言葉遣いさえも変えるという部分も、このドラマの面白さの一つかなと。本来だったらできないことを、あまり気にせずに飛び越えていこうと思っています。そういった点も含めて、多家良啓介という人間だと感じています。荒川良々さん演じる矢柴等といる時と、その他の詐欺師の人たちといる時とでは全然違いますしね。さらに、各話ごとに違うキャラクターを演じていくので、台本を読んでいても、普通はこういう話し方だろうけど、言い方をさらに変えてみようとか提案させていただいたり。その上で、“多家良啓介”という人物が見えるように演じるのはすごく難しいことだと感じますが、そこは挑戦するモチベーションにもなっていますね」

――試行錯誤しながら演じていらっしゃるんですね。

「1人の人間を定義する時に、一概にはどういう人だと言えないと思うんですよ。その人が自分に見せているのが真面目とかチャラいという一面だったとしても、自分が見ていないところで何をやっているかは分からないじゃないですか？　同じように、多家良の描かれていない部分は分からないわけで。もちろん、矢柴といる時の多家良の姿は毎回一貫させないといけないと思いますけど、ほかの部分に関しては一貫性を持つ必要はないと思うんです。そういったいろんな色が混ざり合って1人の人間が成り立っていると思うので、今回はあえてあまり深く考えず、感じたようにまずは1回演じてみようというアプローチの仕方をしていますね」

――体を鍛えるなど、外見の役作りもされていらっしゃるのでしょうか？

「警察の方は、柔道や剣道などを日々やっていらっしゃると思うので、僕も痩せすぎず、太すぎない体形というのを意識しています。でも、今回はそういったビジュアル面というよりは、内面的な部分を大切にしています。僕、手塚治虫先生の『七色いんこ』という漫画がすごく好きなんですけど、そのイメージが今回の役柄と重なっているんですよね。あの作品は、主人公が代役専門の天才役者で、実は泥棒という演劇の話なので、世界観は全く違うかもしれないんですけど、毎回違う役を演じるという点が同じなので。あの作品のように、おじいちゃんから女性まで1話ごとに老若男女違う人を演じ切れれば、ゴールが見えてくるのかなと感じています」

　たくさんの人物を演じながら“多家良啓介”という人物を見せるということが、向井さんにとっても挑戦であることを明かしてくれました。本作でしか見ることのできない、試行錯誤を経ての自由な演技にあらためて注目したいですね。最終回までどんな新しい人物を演じてみせてくれるのか、ますます楽しみです！

　5月24日放送の第5話では、ついに多家良と“ヤマガミ”との因縁が明らかに!?　価値のない土地を不当に買わせる悪徳商法の手口に、宮部ひかり（内田理央）は怒りをあらわにしますが、そんな原野商法の経緯を語る先輩の口から“ヤマガミ”の名前が…。その頃、多家良は「恋人の口座から出金があった」という岩合拓真（伊藤淳史）の言葉がずっと頭から離れず、風邪の症状も出ていたため帰宅することに。“ヤマガミ”のことをはじめ、2年前の事件と謎が動き出す第5話、ご期待ください！