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横浜流星、主演映画「いなくなれ、群青」公開直前!「一つの役に没入していくことが、役づくりそのものなんです」2019/09/03

 今、最も輝きを放つ若手俳優、横浜流星が登場! 待望の主演映画「いなくなれ、群青」公開を目前にし、撮影時の思い出や見どころ…さらには、心ひかれた映画などたっぷりと語ってくれました。

幻想的な景色の中で撮影に入れたことで、世界観にもスッと入れた

 この作品に参加できると聞いた時は純粋にうれしかったです。しかも単なるミステリー映画というものではなくてファンタジーの要素もありますし。原作を読んだ時にいろいろ想像できる、幻想的な世界観が映像化されることで、すごくすてきな作品になるだろうと思ったので、主人公の七草を演じるのがすごく楽しみでした。

 原作のセリフ回しがすごく独特で、それが味にもなっているんですけど、自分たちが演じることでリアルに感じられなくなってしまうんじゃないか、という心配が最初はあったんです。でも、柳明菜監督とお話をさせていただいたり、撮影が始まる前にリハーサルを重ねられたことで、徐々に不安が解消されていきました。あとは…モノローグを入れるのも難しかったですね。一応、自分なりに「七草が心の中でつぶやいているんだ」と解釈をして、気張ることなく声を発していこうと心がけたつもりです。

 また、映画のファーストシーンからクランクインできたことが、七草を演じていくにあたってはすごくありがたかったです。朝早くに山の上の方まで登っていって、雲の上にいるような幻想的な景色の中で撮影に入れたことで、「いなくなれ、群青」の世界観にもスッと入れたのかな、という気がしていて。そういった美しい画づくりもそうですし、何よりも役者の感情を優先して撮影を進めてくださった柳監督とスタッフの皆さんの存在が、本当に心強くて。僕が芝居で迷っていると、監督がヒントを与えてくださるんですけど、その伝え方が何とも独特で(笑)。とても感性が豊かな方でいらっしゃるので、理解するのに時間がかかってしまったんですけど、聞いていくうちにだんだんと分かるようになっていきました。

 例えば…後半の方で七草が電話の受話器を取るシーン。「そこに…死体があると思って」と、監督がおっしゃって。つまり、それくらい緊迫した雰囲気で覚悟を必要とするシーンだということを伝えたかったと思うんですけど、柳監督流の言語感覚で言い表すと、そうなるという…。でも、直接的な言い方じゃないからこそ、聞いた人それぞれで受け取り方が違ってくるんですよね。その上で、役者それぞれの中からわき出てくる感情を大切にしてくださるというスタンスだったので、監督から明確な答えを言われることがいっさいなくて。もちろん、僕の芝居が監督のイメージと大幅にずれていたら軌道修正はしてくださいましたけど、あくまで役者の表現をベースにしてくださったのが、すごくありがたかったです。

誰しも成長するにしたがって、無意識に自分の一部分を消去していくもの

 僕は器用に切り替えがうまくできるタイプではないので、一つの役に没入していくことが、役づくりそのものなんです。その役になりきるんじゃなくて、「その役になる」ことを心がけていて。七草という人物でいた期間も、私生活がどのように変わったのかは分からないですけど、少なくとも「いなくなれ、群青」の撮影中は現場を離れても七草でいたと思います。

 ただ…ちょうど「いなくなれ、群青」の撮影期間と、「チア男子!!」(2019年)の準備でキャストが合宿していた期間とが重なっていて、「いなくなれ、群青」のロケで泊まっていたホテルの前でダンスをして、その動画を「チア男子!!」チームに送らなくちゃいけなかったんですよ。そこでの切り替えがめちゃくちゃ大変でしたね(笑)。(チアの)練習の途中で抜けてきていたし、まだ自分だけができない技もあったので、正直焦ってはいたんですけど、その時点で自分がやるべきことは何かを冷静に考えて、まずは七草という人物をしっかり生ききることに集中しよう、と意識を変えました。

 七草を生ききって思うことは…人って誰しも成長するにしたがって、「この部分はいらないな」と無意識に自分の一部分を消去していくものなんだな、ということです。七草にとって、それは“悲観的な部分”だったわけですけど、きっと映画を見てくださる皆さんにも思い当たる節があるはずですし、共感していただけるんじゃないかなと感じています。僕自身も無意識に、自分の中のいろいろなものを消したり捨てたりしてきたと思うので…。人前に立って、作品を通して多くの人たちに何かを届ける仕事をしていく上で、自分の心の中に必要なものと不要なものがあることに、何となく気付いていくところもあって。

 実際、高校生の時は全然そんなことを考えていなかったので、脳天気に過ごしていました(笑)。今からすると若気の至りなんですけど、どこか自分中心だったりもしたなぁって。そういう部分は大人になるにつれ必要ないなと思っていましたけど、役者という仕事は感受性の豊かさを求められたり、いろいろな経験を重ねてきた人の芝居ほど深みが感じられることを考えると、一度必要ないなと思ったものも役によっては思い出す必要もあるな、と思ったりもしています。

【Question: 心惹かれた映画は何ですか?】

「告白」(10年)です。愛読している湊かなえさんの原作ということもありますし、中島哲也監督によって映し出される映像の感じも大好きで。あと…実はエキストラで参加しているんですよ。体育館に全校生徒が集まるシーンがあって、そこに僕もいます(笑)。その頃はまだ、全く演技をしたことがないような状態だったんですけど、初心者ながらに「作品って、こういうふうにつくられていくんだ」と感じることができたという意味では、すごく大きな経験になりました。

 現場には主演の松たか子さんをはじめ、自分と同世代の俳優さんや女優さんが大勢いらっしゃったんですけど、「みんな、すごいなぁ」とお芝居に圧倒されたことをよく覚えています。作品が作品だけに、撮影の合間もすごく緊迫した空気が流れていて、そういう思い出もあって、特に好きな作品の一つなんです。

【プロフィール】

横浜流星(よこはま りゅうせい)

1996年9月16日、神奈川県生まれ。乙女座。O型。近々の代表作はドラマ「初めて恋をした日に読む話」(TBS系)、映画「チア男子!!」(ともに2019年)など。現在、ドラマ「あなたの番です ─反撃編─」(日本テレビ系)に出演中。

【作品情報】

「いなくなれ、群青」
9月6日全国ロードショー

捨てられた人たちの島・階段島。七草(横浜)はある日からそこで暮らし始める。それに対して何の疑問も抱いていなかったが、島から出たいと憤る幼なじみの真辺由宇(飯豊まりえ)との再会を機に、七草は島の謎に迫っていくことになる。

材・文/平田真人 撮影/須田卓馬 
ヘア&メーク/永瀬多壱(ヴァニテ) スタイリング/伊藤省吾(sitor) 
衣装協力/エトロ(エトロ ジャパン) 

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