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染谷将太&町田啓太「時代劇で『イエ~~イ!』と叫ぶのが宮藤さんならでは(笑)」。一方で、生き方を考えさせられる場面も──正月時代劇「いちげき」インタビュー2022/12/24

染谷将太&町田啓太「時代劇で『イエ~~イ!』と叫ぶのが宮藤さんならでは(笑)」。一方で、生き方を考えさせられる場面も──正月時代劇「いちげき」インタビュー

 NHK総合、BS4Kで2023年1月3日に放送される正月時代劇「いちげき」は、小説「幕末一撃必殺隊」が原案の漫画「いちげき」を原作に、幕末期、江戸を騒がせていた御用盗に対応するため、農民を集めて結成された特殊戦闘部隊「一撃必殺隊」の活躍を描く物語。

 侍に強いコンプレックスを抱く主人公の丑五郎(ウシ)を染谷将太さん、身分の差による抑圧された思いを強く感じている市造(イチ)を町田啓太さんが演じます。

 今回は染谷さんと町田さんに、それぞれ演じた役への思いやお互いの印象、宮藤官九郎さんが脚本を手掛けた本作の見どころなどを伺いました!

──まず、お正月の風物詩でもある「正月時代劇」に出演が決まった時の心境をお聞かせください。

染谷 「素直にすごくうれしかったです。座組を見せていただいた時に『自分が出演していなくても見たい!』と思える作品だったので、声を掛けていただいて幸せでした」

町田 「僕もうれしかったです。一風変わった時代劇ということで挑戦心もくすぐられましたし、原作をご存じの方も、ドラマではまた違った見方ができると思うので、楽しみにしていただきたいです。染谷くんをはじめ、魅力的なキャストやスタッフの皆さんとご一緒させてもらえることに、うれしさと喜びを感じました」

──宮藤官九郎さんが本格時代劇に初挑戦された本作ですが、脚本を読んでいかがでしたか?

染谷 「皆さんが想像する普通の時代劇ではなく、『いちげき』という世界観の時代劇になっています。宮藤さんのオリジナリティーあふれる言葉もたくさん出てきますし、バラエティー豊かな内容で面白かったです」

町田 「僕も初めて台本を読んだ時に、普通の時代劇には出てこない言葉や行動がたくさん描かれていて驚きました。なので、時代劇を見たことがない方にもライトに見て楽しんでいただけるんじゃないかなと思います」

──特に宮藤さん“らしさ”を感じた部分はありますか?

染谷 「しょちゅう笑いが起こる現場だったんですが、その中でも、一撃隊の1人が『イエ~~~~イ』と叫ぶシーンがあって(笑)。そこは特に笑いました」

町田 「僕も!(笑)。『イエ~~イ! サムラ~~イ!』って言うセリフは、時代劇では絶対に見ることがないと思いますし(笑)。宮藤さんならではのストーリー展開で『ここまでやっていいんだ』と思いながら演じていたので、毎回現場に行くのが楽しみでした」

──お二人が演じられた、丑五郎(ウシ)と市造(イチ)はどんな人物でしょうか?

染谷 「僕が演じたウシは、動物的な“カン”を持った人間です。わりと冷静なんだけど、ものすごく天然なところもあって…。本当に不器用ではあるんですが、素直な正義感を持っているのが格好いいんです。ウシに限らず、全員の役が恩着せがましくないヒーローだなと演じていて思いました」

町田 「イチは、人一倍武士への憧れがあるけど、同時にねたましさも持っていて、その感情をストレートに出すキャラクターです。裏がないというか…裏を考えられないんですよね。その感じがウシとは違ったベクトルで面白かったし、だからこそウシと対立するさまというのも、楽しく演じることができました」

染谷将太&町田啓太「時代劇で『イエ~~イ!』と叫ぶのが宮藤さんならでは(笑)」。一方で、生き方を考えさせられる場面も──正月時代劇「いちげき」インタビュー

──そんなウシとイチは松田龍平さん演じる島田幸之介のもとで成長しますよね。松田さんとの共演はいかがでしたか? 

染谷 「島田という役は本当に面白くて魅力的な人物なんです。龍平さんが淡々と島田を演じている姿が面白くて、みんなで笑いをこらえる場面もありました(笑)。龍平さんの芝居で感動する場面もどんどん生まれるし、共演して刺激になりましたね」

町田 「松田さんとは今回初共演でしたが、オンとオフが全然変わらない印象を受けました。撮影のたびに『何をするんだろう、この人は』と楽しみにしている部分もあって。島田というキャラクターと相まってすごく魅力的なので、ご覧になる皆さんもきっと目が離せなくなるんじゃないかなと。松田さんが演じる島田だからこそ、一撃隊のメンバーはいい空気感で芝居ができたと思います」

──お二人はとても仲がよさそうに感じますが、お互いの印象はいかがでしょうか?

染谷 「隣にいてくれるだけで安心します(笑)」

町田 「ありがとうございます(笑)」

染谷 「一緒のシーンが多かったんですが、『このシーンどうしよう』とか細かいところまでたくさん話をしました。僕は普段、共演者の方と演技についての話はほとんどしないのですが、町田さんとは自然に話ができて本当に助かったし、楽しかったです。またご一緒できることを願っています」

町田 「染谷くんとも今回初めてご一緒させてもらったんですけど、この作品を“どうしたら面白くできるのか”、“宮藤さんの脚本を生かすにはどうしたらいいのか”ということをずっと考えられているんだなと思って感銘を受けましたし、それを僕たちにも共有してくださるので、染谷くんについていけばいいんだ!と自然に思えました。笑いの絶えない現場を作ってくださったのもありがたかったです。僕もまた共演できるように頑張らねば…と思います」

染谷将太&町田啓太「時代劇で『イエ~~イ!』と叫ぶのが宮藤さんならでは(笑)」。一方で、生き方を考えさせられる場面も──正月時代劇「いちげき」インタビュー
染谷将太&町田啓太「時代劇で『イエ~~イ!』と叫ぶのが宮藤さんならでは(笑)」。一方で、生き方を考えさせられる場面も──正月時代劇「いちげき」インタビュー

──物語が六代目・神田伯山さんの講談で語られるのも見どころの一つですよね。

染谷 「そうですね。神田伯山さんの講談には力強さと説得力があるので、僕たちが何をやっても伯山さんが回収してくれるんじゃないかなって(笑)。正直、講談に甘えて好き勝手に演じた部分もありますし、講談があることによって、この作品がキリッと締まるんだろうなと思います」

町田 「僕も同じで、パワーのある講談に乗っかるつもりで自由に気にせず演じました。講談がどんどん物語を動かしてくれますし、新しい見方で楽しんでいただけるんじゃないでしょうか」

──劇中の講談もですが、今までの時代劇とは違うと感じる具体的な部分があれば教えてください。

染谷 「農民が集められて必殺一撃隊という特殊部隊を作り上げて戦う話なんですが、身分の違いもある中で、権力と戦い、もがいていく生きざまを描くというのが、僕の中では新しいと感じました。だからといって重い話ではなく、コミカルな部分もありますし、一人一人のキャラクターの思いが胸に響くストーリーとなっています」

町田 「侍や武士をテーマにした作品では、格好いい生きざまを描かれることが多いと思うのですが、今回の主役は農民です。血筋や家柄によって身分が決められている中で、生き方を変えようとするストーリーが新しいなと思いました。大義名分を掲げるでもなく“自分たちがどう生きたいか”というところにフォーカスを当てているからこそ、共感できる部分がたくさんあるのではないかなと」

染谷将太&町田啓太「時代劇で『イエ~~イ!』と叫ぶのが宮藤さんならでは(笑)」。一方で、生き方を考えさせられる場面も──正月時代劇「いちげき」インタビュー

──特に共感したり、現代を生きる私たちに響くスピリットを感じた部分はどういったところでしょうか?

染谷 「時代背景は違いますが、『生きていく上での自由とは何だろう?』と考えさせられました。もちろん、当時(舞台である幕末)より今の方がはるかに自由だと思いますが、『本当の自由とは?』と漠然と問われたような気がして…。実際、今を生きている人それぞれで感じている生きづらさも違うと思いますが、その中で“生きる喜び”や“何を幸せと感じるのか”という思いを『いちげき』に出てくる人物がいろんな形で表現しています。そういった部分にすごく感銘を受けました」

町田 「世の中には、変えられるものと変えられないものがあるということを僕自身感じているのですが、“本当に変えられないんじゃないか”と思う物事にぶち当たった時、自分がどういう選択をするかによって、その後の生き方が変わってくると思うんです。どんな選択をして、どう生きるべきなのかということを考えさせられましたし、見てくださる皆さんにも、選択を迫られた時のことを考えるきっかけにしてもらえればうれしいです」

──では最後に、視聴者の方にメッセージをお願いします!

染谷 「時代劇が好きな方はもちろん、今まで時代劇を見たことがない方でも気軽に触れることができる作品だと思います。お正月にふさわしい、笑って泣けてすっきり爽快なストーリーで、明日が楽しみになるような作品です。最近では珍しく立ち回りも多いですし、ぜひ見ていただきたいです」

町田 「いろんな魅力がつまった作品ですし、お正月に見ることで『今年も頑張ろう!』とエネルギーを感じてもらえると思います。皆さんにどれだけこの作品を楽しんでもらえるのか、僕自身もすごく楽しみにしています!」

──ありがとうございました!

染谷将太&町田啓太「時代劇で『イエ~~イ!』と叫ぶのが宮藤さんならでは(笑)」。一方で、生き方を考えさせられる場面も──正月時代劇「いちげき」インタビュー

【番組情報】

正月時代劇「いちげき」
NHK総合、NHK BS4K
1月3日 午後9:00~10:30

染谷将太&町田啓太「時代劇で『イエ~~イ!』と叫ぶのが宮藤さんならでは(笑)」。一方で、生き方を考えさせられる場面も──正月時代劇「いちげき」インタビュー

舞台は大政奉還直後の江戸。徳川滅亡を図り江戸城下でろうぜきの限りを尽くす薩摩藩士に対し、大規模な戦争を避けたい勝海舟(尾美としのり)は会津藩の武士でも庄内藩の武士でもなく「村の力自慢」や「大男」、「村一番の速足」や「機転の利く小男」などバラエティーに富んだ百姓たちを寄せ集め、私設部隊を秘密裏に立ち上げる。多額の報奨金を目当てに集まった丑五郎や市造ら百姓たちは、初めて握る刀に動揺しながらも、元新選組隊士の島田に特別な訓練を受け、日に日に成長。そして初陣。雄たけびとともに威勢よく出陣した百姓軍団の彼らには「一撃必殺隊」という名が付けられた。

NHK担当・M 衣装協力/サスクワァッチファブリックス ビームスF(03-3470-3946)[染谷] BERLUTI(0120-203-718)[町田]



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