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玉森裕太の末期がんを患う実父役で話題。原田泰造「良太先生との関係に決着がつくので楽しみにしてほしい」――「祈りのカルテ」インタビュー2022/12/17

玉森裕太の末期がんを患う実父役で話題。原田泰造「良太先生との関係に決着がつくので楽しみにしてほしい」――「祈りのカルテ」インタビュー

 今夜、最終回を迎える玉森裕太さん主演のドラマ「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」(日本テレビ系)。

 腎臓内科で研修する諏訪野良太(玉森)が、腎移植手術を控える17歳の少女に隠された秘密を解き明かす一方で、自身の家族とも向き合う様子が描かれた第9話(12月10日放送)。第1話から事あるごとに諏訪野の前に現れていた“謎の患者”・広瀬秀太(原田泰造)は、実は諏訪野の亡くなったはずの実父で、末期がんを患っているため、息子の顔を見たいがために病院を訪れていた…という衝撃的な事実に、SNSでは「涙が止まらない」「胸がギュッとなる」などの声が多く寄せられました。

 舞台を緩和ケア科に移した最終回では、広瀬の過去が明かされ、ついに諏訪野が広瀬が自分の父親だと知ることに。すべてを知った親子の選択、そして研修を終えた諏訪野たち研修医の選ぶ道とは――?

 感涙必至の最終回を前に、TVガイドWebでは原田泰造さんにインタビュー! 末期がん患者を演じるために減量したという原田さん。本作での役作りについて、さらには“役者”という仕事についてなど、たっぷりとお伺いしました。

玉森裕太の末期がんを患う実父役で話題。原田泰造「良太先生との関係に決着がつくので楽しみにしてほしい」――「祈りのカルテ」インタビュー

――まず、広瀬役のオファーを受けた際の率直な思いを教えていただけますか?

「最初は玉森くん扮(ふん)する良太先生が、本当の父親だって知らないで会っているという設定で、後に2人の関係がどんどん分かってくるというのを事前に全部教えてもらっていたので、これは重要な役だなって感じていて。やりがいがあるだろうなと思って、(オファーを)受けました」

――最初の頃は諏訪野を励ます明るいキャラクターで、次第に広瀬の人物像が明らかになっていきますが、そのあたりの脚本を読まれてどのように感じていましたか?

「『ああ、これは痩せないといけないんだな』とは思いましたね。僕は最初から最後を知っているので、結構責任感はありましたね」

――減量に臨まれたと伺ったのですが、最終的には何kgくらい痩せられたんでしょうか?

「はっきり量っていたわけじゃないので元の体重は正確には分からないですけど、12~13kgは落ちたと思います。最初、広瀬は入院もしていないので、元気というわけではないけど見た目では分からないくらいに、1クール(3カ月)のうちに徐々に落としていく感じで減量しました」

――それはプロデューサーから「痩せてほしい」という依頼があったのでしょうか? それとも原田さんが役作りとして減量されたのでしょうか?

「最初の打ち合わせの時に『最後の方はちょっと痩せてもらえますか?』というのはプロデューサーに言われました。藤森(真実)プロデューサーとは(『しゃべくり007』の頃から)付き合いが長くて、関係性がすでにあるので『分かりました』って」

――プロデューサーから「このくらい痩せてほしい」という明確な数字があったわけでは…。

「ないない! 感覚ですね。見た目がちょっと分かるくらいっていう。だから、SNSなどを見た時に『痩せてる』っていう反応を見ると、『やった!』『見た目で分かるんだ!』と思ったりしました(笑)」

――これほどの減量に臨まれる役は今までありましたか?

「自分の中では、もうちょっとシャープになった方がいいかなと思ったらやることもあるし、僕が痩せて現場に行ったら、逆に『太ってきてほしかったんですけど…』って言われたこともありました。今回もつらいなと思うことは特になかったんだけど、僕は甘い物が好きで、チョコパイが大好きだから…それはもう3カ月ぐらい食べていないですね」

――明日(※取材時)がクランクアップだと伺ったのですが、終わったら好きなものを食べられますね。

「あ、聞いたの? 撮影が終わったら、ハンバーガーを絶対に食べようと思っていて。頭の中はもうそのことでいっぱい(笑)」

――広瀬の気持ちの面での役作りはどのようにされたのでしょうか?

「やっぱり台本を何回も読み込んで、セリフを覚えていくうちに『ここはこんな感情なのかな』と思ったり、現場に着いてからプロデューサーさんや監督さんと話した時に『こう思った方がいいかな』って考えていったりという感じですね。良太先生との関係でいうと、多分、広瀬的には良太先生のことを育てきれなかった負い目みたいなものがあって。だけど自分の子どもだし、自分は末期(がん)だということも知っている。だから、人生の最後のほんのちょっとだけ子どものそばにいたいなっていう感覚だと思うんですよね。『ごめんね』っていう気持ちかな」

――最終回では諏訪野との親子関係も描かれていきますが、好きなシーンはありますか?

「やっぱり玉ちゃん(玉森)とのシーンかな。あと、冴木真也(椎名桔平)と立石聡美(松雪泰子)との同期3人で会話するシーンと、良太先生と最後に分かち合う親子のシーン。この何カ月間かはそこに向けてずっと来たから。そこは昨日撮り終えたんだけど、燃え尽きた感じになっちゃって。撮り終わった時には『疲れた』って感じでした」

玉森裕太の末期がんを患う実父役で話題。原田泰造「良太先生との関係に決着がつくので楽しみにしてほしい」――「祈りのカルテ」インタビュー

――玉森さん、椎名さん、松雪さんとのシーンも多いと思いますが、それぞれ共演された印象はいかがですか?

「同期のシーンが何シーンかあったんですけど、桔平さんは『格好いい!』って感じ。話していてもいい先輩だし、気を配ってくれて。声を掛けてくれて、『ご飯食べてる?』って心配してくれる。とにかくすごく優しいですね。松雪さんは、バラエティーもドラマもご一緒したことなくて。僕は初めての共演だったんだけど、すごく大人の女性。色気があって、話していても笑顔を絶やさない、感じがいい人。玉ちゃんはいつでも自然体で、雰囲気が柔らかいんだよね。あと、玉ちゃんは性格がきれい。彼が主役だから現場が主役のカラーになるんだけど、現場の雰囲気もやっぱり柔らかい感じかな。全くピリピリしてないですね」

――序盤で、広瀬が諏訪野に「サウナ行こうよ!」「サウナに行かないなんて損してる!」と誘うシーンがありますが、広瀬のサウナ好きという設定は原田さんのキャラクターに寄せられているんでしょうか?

「『祈りのカルテ』の脚本家が根本ノンジさんで、『サ道』(テレビ東京系)と同じ方なんです。だから、ノンジさんが遊び心を入れてくれた感じかな。僕もうれしかった! サウナの話をするの大好きだから。『サウナのことをもっと書いて! もっと書いて!』って思っていましたね(笑)」

――第8話では、諏訪野が逆に広瀬に「サウナ行きましょうよ!」っていうシーンもありましたよね。

「あれ、かわいかったよね! ノンジさんもノンジさんで、僕が痩せていくじゃないですか。同時期に『サ道』のスペシャルも撮っていたので、向こうでは裸を見せなきゃいけなくて。だから、『サ道』のスタッフに『僕のせいでちょっと原田さんが痩せてしまったんですけど、すみません』って言っていたみたいで、向こうのスタッフは『痩せてるんですよね、今』って、気を使ってくれました」

――ちなみに、サウナ好き以外に広瀬との共通点はありますか?

「僕が広瀬に寄せていった部分もあるんだけど、ああいう中華屋さんでご飯を食べるのが好きになっちゃった。1人で瓶ビールを飲みながらご飯を食べるっていうのがすごく落ち着くというか、楽しい!」

――これまでいろんな役を演じてきて、役に影響を受けることは多いですか?

「そうかもしれない。役をやると、調べたり注目したりするから、やっぱり好きになったりしていくかもしれないですね。時代劇だったら、その役の人のことを調べたりするでしょ? 周りのものを調べ出したら、その土地にも行ってみたくなるし、『サ道』でいうと、僕はサウナが前から好きだったんだけど、それ以上に好きになってフィンランドに行ったり…。今はYouTubeでもいろんなものを見られるし、調べようと思ったらいろいろと調べられちゃうから、そういうのも楽しいよね」

――普段はバラエティーでもご活躍ですが、役が残るようなことはありませんか? 役が私生活に影響するとおっしゃる方もいますが…

「何でもそうなんだけど、その日1日で大変な役をやったり、バラエティーですごく派手な世界だったりしても、サウナに1回行って出てくればすべて忘れる! サウナってそういうものなんです。1回汗かいちゃえば(切り替わる)」

――ドラマ撮影中でもサウナは欠かせないんですね。

「そうですね。リフレッシュして。切り替えっていうことでいえば、そんな感じだと思いますね」

――少し話が変わりますが、作品に入る時のルーティンや、これは準備していきたいと思うことはありますか?

「あまりないかな。みんなは何やっているんだろう? 台本読んで覚えて行っても、自分を信用していないので何回も覚え直すんですけど、現場行って結構変わることもあるから。どんなふうに変わっても対応できるようにはしておいている…って感じですね」

――芝居をする上で影響を受けた作品や俳優はいますか?

「僕は子どもの頃からテレビっ子だったし、映画も好きだったので、この人のこれ!っていうのは特になくて。子どもの頃はザ・ドリフターズだったり、『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)だったり、とんねるずさん、武田鉄矢さん、西田敏行さん、ジャッキー・チェン、ブルース・リーとかからいろんな影響を受けていたし、芸能界に入ってからもいろんな人たちに影響を受けているから、明確には言えないかな」

――これまで演じた役の中で「役者って楽しい!」と感じるきっかけになった役柄や作品はありますか?

「ネプチューンを組んで間もない頃に『ママに宿題』(1995年)っていう昼ドラの、八名信夫さんの息子役をやったことがあって。それで初めて名前のある役をもらったんですけど、その時がすごく楽しかったんですよね。でも、僕は元々テレビに出ることが夢だったから、意識が変わったというわけではなくて、『テレビに出たい』っていう気持ちが前に行っていて。そういう意味では、最初から意識していたかな」

――芝居の仕事も、その時の「テレビに出られてうれしい」「楽しい」っていう気持ちの先にある感じですか?

「そうですね。撮影して、『どうだっただろう』『ああだったかな』っていろいろ考えながら帰る。それが一つの作品になって見た時に『よかった』って思ったり、『もっとこうした方がよかったんじゃないか』って思ったりすることを全部含めて楽しい! それをずっと何回も繰り返して、それがまた自分の中で歴史になっているのも楽しいです」

――役者の仕事で「つらいな」と感じることはあまりないでしょうか?

「セリフを覚えたりする時は『なんでこんなに覚えられないんだろう…』って思ったりもするんですけど、終わってしまえば全部忘れちゃうから、だから全然大丈夫」

――セリフを覚えるその時は少し苦しくても、全体を見た時には楽しく感じられているんですね。

「そうですね、後から考えるとね」

――では最後に、最終回の全体的な見どころと、広瀬としての見どころをあらためてお願いします。

「全体的には、良太先生が第1話と比べて最終回でちゃんと成長しているかどうかというところ、あとはいろんな伏線がちゃんと回収されていくところ。広瀬的な見どころでいうと、良太先生との関係にちゃんと決着がつくので、そこを見てほしいなと思います。ぜひ楽しみにしていただきたいですね」

――ありがとうございました!

 まるで演じている広瀬のように穏やかに、笑顔でお話しされていたのが印象的だった原田さん。原田さんが体当たりで挑んだ広瀬と玉森さん演じる諏訪野の関係がどのようなラストを迎えるのか? ぜひ今夜の放送でご覧ください。

12月17日放送・最終話「緩和ケア科」

 緩和ケア科で最後の研修を受ける諏訪野は、指導医の窪啓太郎(髙嶋政宏)から広瀬の主治医に任命される。ベッドの上の広瀬に、やりたいことや行きたいところはないか尋ねるが、広瀬は「もう心残りなんてないよ」と静かに答える。一方、研修医室では、進路の話題に。みんなは既に研修終了後の行き先を決めているようだが、諏訪野は広瀬のことで頭がいっぱい。その後、諏訪野は医局に向かう途中で刑事だという男性に声を掛けられ、広瀬の過去と自分と広瀬が親子であると聞かされる。

【プロフィール】

原田泰造(はらだ たいぞう)
1970年3月24日生まれ。東京都出身。トリオ・ネプチューンのメンバーとしてバラエティーやCMで活躍する一方、俳優としても数々の作品に出演し高い評価を得る。主な出演作にNHK大河ドラマ「篤姫」「龍馬伝」やNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」、ドラマ「全力失踪」(NHK BSプレミアム)、「サ道」(テレビ東京系)、「未満警察 ミッドナイトランナー」(日本テレビ系)、映画「ボクの妻と結婚してください。」(2016年)、「ミッドナイト・バス」(18年)、「アイネクライネナハトムジーク」(19年)、「夏への扉 -キミのいる未来へ-」(21年)など多数。

【番組情報】

「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」
日本テレビ系
土曜 午後10:00~10:54

取材・文/K・T(日本テレビ担当)



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