Feature 特集

暢子の店「ちむどんどん」の料理人として再登場! 井之脇海「1回挫折を味わった男の成長に注目して」2022/09/03

 第21週(8月29日~9月2日放送)の連続テレビ小説「ちむどんどん」(NHK総合ほか)では、かつてイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」で暢子(黒島結菜)と一緒に働いていた先輩の矢作知洋(井之脇海)を料理人として迎え、沖縄料理店「ちむどんどん」がついにオープンしました。料理以外はやらないと宣言していた矢作が、客に料理を持っていくといううれしい変化もあり、初日の客入りは上々でしたが、開店から1カ月が過ぎたころには閑古鳥が鳴いている状態に。果たして暢子の店はどうなるのでしょうか?

 今回は、「フォンターナ」退職後、紆余(うよ)曲折を経て、暢子の店「ちむどんどん」で料理人として働くことになった矢作を演じる井之脇さんから、矢作の人物像や再登場に対する思い、今後の見どころなどを伺いました!

――「ごちそうさん」(2013年)、「ひよっこ」(17年)に続き3度目の朝ドラ出演となりますが、朝ドラへの思いを教えてください。

「出演する度にたくさん反響をいただきます。今回、矢作を演じるにあたり親戚からも連絡をもらって。また、離れて暮らしている祖母が『毎朝“ちむどんどん”を見るのが楽しみだ』と言っていて、本当にいろんな方にお届けできるドラマだなと感じたところです」

――もともと「フォンターナ」の料理人で、退職後、いろんな事件を起こしてきた矢作はどんな人物だと思いますか?

「台本を読んだ時にちょっと思考の回路がねじれている人だなと思いました。本当は素直に言いたいところをあえてきつい言い方や嫌な言い方をしてしまう人で、そこが彼を演じていて面白いところでもあります。ただ、矢作は料理という一番好きなものに対してはすんなり言葉が出てくるんです。例えば、暢子が作った料理に『うめえ』と素直に言える。そういう素直さ、純粋さを持ち合わせている人だなと。その料理に対する姿勢と、人と向き合う時のちょっと気難しい感じをうまく芝居で表現できたら、より魅力的な人物になるんじゃないかと思ってやってきました」

――そんな矢作を演じて得たものや感じたことを教えてください。

「矢作は『フォンターナ』で料理人として働いた後に人を裏切るような形で店を辞めてしまって、その後、再登場しましたが、いなかった間の時間、矢作にどんなことがあったのかを監督やプロデューサーとお話しして、想像を膨らませて挑みました。物語の途中、全く出てこないのはほかのドラマではなかなか経験できないこと。そこを緻密に作って、同じ人物なんだけど、前半と後半で矢作としての成長や経験してきたことをお芝居で表現するのは、演じていて楽しいです」

――逆に、一度退場して間が空くことで大変だったことはありますか?

「2カ月ぐらい間が空いて現場に参加したので、その間に暢子が成長し、青柳和彦(宮沢氷魚)と結婚していて。現場にどのようにいたらいいのか最初は少し戸惑うことがありましたが、それは同時に矢作自身もきっとそうだったろうなあと考え、矢作の思いとリンクさせて生かせたらと思いながらやっていました。矢作は『フォンターナ』を辞めた後に自分の店を持ったけど、それが全然うまくいかなくてお金も尽きて、日雇いの仕事をやるようになって挫折を味わった部分は、実際にお芝居をするわけではないので、想像して前もって準備するのは大変なところでもありました」

――矢作のような性格の役は結構体力がいりそうですが、どのように気持ちを作って演じていますか?

「まずは、矢作がなぜトゲトゲするのか、なぜイライラするのかを考えました。また、暢子に対する嫉妬や、あの時代に女性が厨房にいることの意味などを踏まえた上で、暢子の、料理の才能はあるけどおっちょこちょいなところに対してツッコんだり、反応していました。撮影前は意地悪にやろうと思っていたんですが、後半につながる中で、ただの記号的な意地悪にはしたくなかったので、その場に流れる空気の中で言葉が出てしまったという雰囲気を心掛けました」

――初めは暢子に嫉妬していましたが、後に受け止める余裕が出てくる矢作の思いをどのように捉えていますか?

「暢子が『フォンターナ』の中で変わっていく姿を見ていたから、矢作も変化していったんじゃないでしょうか。最初は右も左も分からず先輩に失礼ばかり働いていた暢子が、いろんなものを吸収しようと学ぶ姿や、コツコツとやっていく根性ある姿を一番そばで見ていたので、心の中では認めていたと思うんです。ただ、矢作は素直じゃないので、認めていることを自分で認められない気持ちがあって。その後、矢作が挫折を味わって再び暢子と出会った時に、まさか一緒に店をやろうと言ってもらえるなんて思っていなかったから、矢作はものすごくうれしかったと思うんですよね。ただ、自分のプライドが邪魔をして、すぐに『やりたいです』とは言えないんですけど。『フォンターナ』での暢子のひたむきさは、自分が修業していた頃と重なっただろうし、だんだん信頼していける関係になっていったんじゃないかと思います」

――今後は徐々に認めていくようになるんでしょうか?

「第20週(8月22日~26日)で矢作が戻ってきて、『また一緒に働こう』となっているのに、第24週(9月16日~23日)にまたツンケンするところもあったりするんです(笑)。でも、そのツンケンしている様子は、『フォンターナ』でツンケンしていた時と、演じていてもちょっと違うと思っていて。それは僕自身もちょっと変えたいというか、矢作の成長を感じながら演じているので、どこか違った見え方になっているはずなので、楽しみにしてもらいたいです」

――暢子を演じる黒島さんと相対する場面が多いですが、黒島さんの演技で印象的なことはありましたか?

「これだけの出演量とセリフ量で暢子という役を生き続けなければいけないのは、はたから見ているととても大変なことだと思いますが、黒島さんはどのシーンもちゃんと暢子として集中してその場にいらっしゃって。ヒロインに対して周りの僕たちがいろんな影響を与えられたらいいのですが、実際、黒島さんと対峙(たいじ)すると、彼女からパワーをもらうことが多かったりして。本当にすてきな女優さんだと思う日々ですね」

――暢子の店の料理人になり、2人の関係に変化がありましたが、矢作にとって暢子はどんな存在だと思われますか?

「どこか憧れがあるんじゃないかなと思っています。矢作は料理に関して努力して好きなものを一生懸命突き詰めて、『フォンターナ』であの立場まで行ったのですが、料理をほとんどしたことない暢子が『フォンターナ』に入ってきて、センスと感覚だけで作ってしまったものがとてもおいしくて。矢作は料理を緻密に勉強しているからこそ、その良さが分かってしまう。それは矢作にはないもので、天性の料理に対する才能に憧れというか、どこか嫉妬もあったんじゃないかと思っています。沖縄料理店の『ちむどんどん』で一緒にやるようになった時には、矢作もいろんな経験をして、暢子の才能を認める心の余裕もできたんじゃないかと。矢作は矢作なりに『ちむどんどん』をやりながら、いつか自分の店を持つというのが夢なのですが、暢子からいろいろ吸収して、自分の培ってきた技術を暢子に教えるというバディ関係みたいになれたらいいと思っています」

――矢作は「フォンターナ」と「ちむどんどん」の両方の店で働きますが、それぞれの魅力を教えてください。

「『フォンターナ』のセットは本当に細かいところまでこだわっていて、店の壁に傷をあえて付けてあったり、老舗の店が歩んできた歴史を感じられるようになっているんです。その中で矢作たち料理人が料理をするんですが、包丁や鍋が置いてある場所にもちゃんと意味があって、歴史を感じられるところがすごく好きでした。一方、沖縄料理『ちむどんどん』は逆で。新しい店なので奇麗なんですよ。そこで僕自身、前半で退場して戻ってきて、矢作としても新たな気持ちで頑張ろうとしている中で、お店自体も新しいので、矢作や暢子がこれからの長い人生をこの店と一緒に歩んでいく感じがして、そこも好きです。全く違う二つの店ですが、両方好きですね」

――料理人・矢作を演じるにあたり、調理の練習や準備はどれくらいされたのでしょうか?

「クランクイン前に今回の料理監修をされているオカズデザインさんのアトリエに1回行って、イタリア料理の指導をされている松本晋亮さんのもとで2回、料理の基礎を学びました。食材を切ったり、鍋を振る練習をして、そこで教えてもらったことを家でひたすら反復して。イタリア料理の練習で毎日カルパッチョを作りました。というのも、カルパッチョは包丁を引いて柔らかい魚を切って、一緒に盛り合わせるラディッシュは固いので押して切るので、2通りの包丁の使い方の練習ができるんです」

――沖縄料理はどうでしたか?

「沖縄料理は基本的には切る動作が多いので、そこに関しては、カルパッチョから継続してサラダを作ったり、ひたすら下処理や切る練習をしました。島らっきょうをむくシーンがあるのですが、大きい玉ねぎをむいてみたりして練習しました」

――普段、ご自身で料理をされるんですか?

「もともとそんなに料理をしてこなかったので、今回お話をいただいて練習を始めました。実際、料理を一生懸命やっていると、それだけで矢作に近づけている感覚もあって、役作りとしても面白いなと思いました」

――練習の中で得意料理はできましたか?

「やはりカルパッチョですかね(笑)。昨年末と今年の頭は、ひたすら魚の切り身を買ってきて、毎晩家で作っていました。基本的にオリーブオイルと塩でソースを作るんですが、作りすぎて飽きてきたら、自分でバルサミコ酢を入れたりと、勝手にアレンジして楽しんでいました」

――演じている中で好きな沖縄料理は登場しましたか?

「沖縄そばです。もともと好きだったんですが、今回、沖縄そばが後半でキーになってくる食べ物なんです。オカズデザインさんが作ってくださっているんですけど、本当においしく、お昼ご飯として食べていました(笑)」

――沖縄の魅力が詰まった物語ですが、今作から感じられる沖縄の魅力を教えてください。

「時間の流れがゆったりしていますよね。前半の沖縄で物語が進んでいた時から感じていたのですが、沖縄ことばを使う暢子たちの言葉のリズムにも心地いいゆったりさがあって。ケンカやお互いがぶつかるようなシーンがあっても、耳障りじゃなく、言葉がちゃんと流れて入ってくる感じがして、すてきだなとオンエアを見ながらも思っていました」

――暢子は東京に来ても沖縄ことばが抜けないままですが、印象に残っている沖縄ことばで使いたくなることばはありましたか。

「子役賢秀の『だからよー』が好きで。オンエアを見て『かわいいな』と思って、そこから友達と話す時とかつい『だからよー』と言っちゃうことはありますね(笑)」

――最後に矢作が再登場して以降の見どころやポイントを教えてください。

「矢作視点で話すと、矢作が戻ってきた後は『フォンターナ』にいた頃の気難しさとはまた違った愛のある接し方を暢子にしていきます。それは矢作の成長であると思います。矢作がより料理を好きになったり、沖縄の人と料理を通して、沖縄が好きになるところがあって。それも大きな成長ですよね。1回挫折を味わった男が一歩一歩成長していくさまをぜひ注目して見ていただけたらなと思います。そしてクライマックスに向けて、暢子が成長していく中でまたいろんな悩みが出てくるのですが、どこに着地するのか楽しみにしていただけたらなと思います」

――ありがとうございました!

第22週あらすじ(9月5日~9日放送)

 暢子の沖縄料理店「ちむどんどん」がオープンして3カ月がたった。大盛況だったのは最初だけで、その後は客が減る一方。なんとか客を呼び込もうと、暢子はチラシを配ったり、二ツ橋光二(髙嶋政伸)に相談したりする。一方、比嘉賢秀(竜星涼)と猪野寛大(中原丈雄)は、言い争いの末、家を飛び出した猪野清恵(佐津川愛美)を捜しに東京へと出てくる。  

【番組情報】

連続テレビ小説「ちむどんどん」
NHK総合 月曜~土曜 午前8:00~8:15ほか ※土曜は一週間の振り返り。
NHK BSプレミアム・BS4K 月曜~金曜 午前7:30~7:45

NHK担当/K・H



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