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今回はどうだった? 変化を続ける「99人の壁」に参戦した記者が分析2022/05/09

 5月3日にフジテレビ系にて放送された「超逆境クイズバトル!! 99人の壁 地元愛VS史上最強の壁&グルメ頂上決戦SP」。筆者は、先日の「パネルクイズ アタック25Next」(BSJapanext)に続き、こちらにも個人的にブロッカーの1人として参戦しました。約3年ぶりの参戦を終えて、あらためて感じたこの番組の魅力についてまとめたいと思います。なお、自分のプレーを踏まえると反省文にしかならないので、あくまで現場で感じたことを踏まえた客観記事とさせていただきます。ご容赦ください。

今回は“ジャンルの多様性”の要素が復活

 さて、この番組は、挑戦者が自身の得意ジャンルで「1対99」のクイズ対決に挑み、“グランドスラム”達成を目指すという内容です。ただし、そのフォーマットをベースに、挑戦者のジャンルや選び方、ブロッカーの構成、ルールなどのシステムは変化しています。そんな中で、この番組の面白さの肝となるのは以下の三つだと思っています。

  1. 緊張感あるクイズ対決
  2. ジャンルの多様性
  3. 主宰の佐藤二朗さんの進行ぶり

 この3要素と照らし合わせつつ、今回を振り返ります。

①緊張感あるクイズ対決

 今回のルールは以下のようになっていました。

  • 挑戦者は8問中4問取れればグランドスラム
  • すべて早押し問題
  • 壁は挑戦者が1問取るごとに25人ずつ増える
  • 壁は誤答すると、その問題は同じ方角の壁の25人に解答権がなくなる

 中でもルールの中で一番変化しており、そして番組も試行錯誤しているであろうポイントが「クイズの種類」と「グランドスラムの定義」です。番組スタート時は、5問連続で取れればグランドスラム。その後、5ステージ制となり、4問連続取ったのち、ファイナルステージは3問中2問取れればグランドスラムでした。ただし、このシステムの時は、連取しなければならない代わりに、序盤は早押し問題ではないことが多かったです。

 やはり面白いのは“緊張感のあるクイズ対決”。なので、当時は早押しクイズではない問題は、ダイジェストにされていることも少なくありませんでした。では、すべて早押し問題にした時に、すべて連取しなければいけないというルールにしたらどうなるか? おそらく誰も勝ち抜けないでしょう。

 今回は“8問中4問”というルールでした。そして挑戦した3組のうち、ジャンル「広島」で挑戦したアンガールズさんがグランドスラムを達成。しかも、3連敗からの4連勝でした。つまり、もし最初から連取しなければいけないルールだったり、5問中3問先取というルールだったら、グランドスラムを達成していないことになります。さらにすべて早押し問題だったことから、終始緊張感がありました。理想的な結果だったのではないでしょうか。

②ジャンルの多様性

 “ジャンルの多様性”としましたが、この番組はジャンルを“多様性”に持っていく回と“専門性”に持っていく回があります。多様性のある回というのは、番組初期の構成です。出場者の得意ジャンルが多岐にわたっていて、年齢・性別も幅広く、まさに“サラダボウル”状態でクイズ対決が繰り広げられていました。全く関係ない趣味・職業の人たちがクイズを媒介して“交じりあっていく”さまがとてもワクワクしましたし、99人いるからこそできるクイズのシステムでこの番組独自の魅力だったと思います。

 ただその半面、視聴者に興味を持たれづらいジャンルもあったと思います(個人的にはニッチなジャンルは毎回興味深かったですが)。また、回を重ねるにつれ、“多様なジャンルが交錯する”というより、“クイズ強者が立ちはだかる”という構図になっていました。でも、ニッチなジャンルほどクイズ強者がいないとなかなかブロックできないというのも事実で、ジレンマを抱えているように見えました。

 一方、“専門性”に持っていく回は、近年多くなっている構成です。類似性のある出場者が集まってクイズ対決を繰り広げるというもので、高学歴の人を集めた回や、同じジャンルが得意な人を集めた回などを行っていました。クイズのジャンルも多くの人に愛される“メジャー”なジャンルがほとんどで、とっつきやすさが売りだったと思います。ただこの方向性だと、類似のクイズ番組が多く“独自”というよりは“定番”という印象でした。

 今回は、壁にいるブロッカーは初期の出場者を集結させ“多様性”に回帰しつつ、挑戦者のジャンルは「都道府県」という“メジャー”なものにしていました。さらに、ブロッカーに関しては、同時に“歴代最強のブロッカー”と銘打っていました。独自の魅力である“多様性”を前面に出しながら、とっつきやすさも確保し、矛盾もなくすという、今までの回のいいとこ取りの形式だったと言えるでしょう。

③主宰の佐藤二朗さんの進行ぶり

 司会ではなくなく、主宰と銘打たれている佐藤二朗さんの進行ぶりが番組の魅力であることは言わずもがなです。昨今は二朗さんのロケも入り、番組の顔である二朗さんの面白さを存分に生かしています。特に、“進行慣れしていない二朗さん”と“トーク慣れしていない一般人”の化学反応は、決して“テレビ的”な展開を見せず、いつも予想外で新鮮です。これこそが“二朗さんの進行ぶりの面白さ”の柱でしょう。

 現場にいて感じるのは、確かに二朗さんは進行慣れしていないのですが、かと言って何もせずこの化学反応が生まれているわけではない、ということです。オンエアにはのっていないところで、二朗さんはいろいろなブロッカーに声を掛けています。壁が立ち上がるごとに、印象的な出場者に声を掛けたり、ジャンル的に競合になりそうな人に声を掛けたり…とにかく多くの方に話を振っているのです。どんな展開が起こるか分からない1対99のクイズ、その対決でどんな展開が起こっても対応するための“種まき”です。だからこそ誰がブロックをしても盛り上がります。

 以前のように、ブロックした人が挑戦者になるというシステムでしたら、さらにもうひと展開見せる…という構図でしたが、今回は、「ブロックしたら挑戦者になる」というシステムがありませんでした。ただ、その中でも個性の強い出場者たちや、ジャンルの多様性という“番組の独自性”を生かそうとしているのは強く感じました。また、ブロッカーとして何度も出演経験があるアルコ&ピースさんがいらっしゃいましたが、出場者のジャンルをイジったトークをしたり、やはり、ジャンルの多様性こそが番組の面白さだと認識していらっしゃったのかなと感じました。

制作陣の試行錯誤が実った今回

 3年ぶりに参戦しましたが、「緊張感あるクイズ対決」「ジャンルの多様性」「主宰の佐藤二朗さんの進行ぶり」と、この番組独自の面白さがより引き立つように練り上げられた回だったというのが、せんえつながらも私の感想でした。

今後の「99人の壁」はどうなる!? 勝手に予想してみた

 変化を続けていく「99人の壁」。では、今後どんなシステムに移り変わっていくのか!? 今までの傾向や今回の感想をもとに予想してみました(ちなみに私にチャンスがもらえるか否かというのは一旦端に置いております)。

①ブロッカーは、壁ごと(25人ごと)に種類分けされる
今回、歴代グランドスラム達成者を集めた壁がありましたが、そういった色付けが4方向すべてに行われるのでは?と思います。例えば(北)キッズの壁、(東)ノンジャンルの壁(挑戦者のジャンルとは競合しない得意ジャンルを持つ人)、(南)競合ジャンルの壁(挑戦者と類似ジャンルの愛好家やプロ)、(西)クイズプレーヤーの壁、といった感じです。一つの壁に同じ特徴の人がまとまっていると分かりやすいですし、多様性もキープできるという理由です。

②挑戦者のジャンルが“ニッチ”に
アンガールズさんが「単管バリケード」の方を「何そのジャンル?」とツッコんでいましたが、99人の壁には思わす“どういうこと!?”と言いたくなるようなジャンルの方がまだまだたくさんいます。久しぶりに多様なジャンルが集まり、あらためてその面白さを感じた方は多かったのではないでしょうか。とっつきにくいという難点もあるかもしれませんが、どんなクイズが出るのか予想がつかないワクワク感や、見せ方でいかようにもカバーできると思いますので、そういったジャンルを集めた回が行われそうな気がします。

③挑戦者による二朗さんの体験コーナー
今回の彦摩呂さん、石塚英彦さんによる生グルメリポートは面白かったですよね。二朗さんの面白さを生かすのはロケもいいですが、センターステージがどれだけ面白くなるか…そこを強化しそうな気がします。ジャンルの特徴を生かしつつ、二朗さんの面白さを生かすということで、センターステージで挑戦者がジャンルに関連するものを持ち込んで解説したり、二朗さんに体験してもらったりするのでは?と思います。

 さて、かなり勝手に予想してしまいました。あくまで個人の意見ですが、どれだけ当たるでしょうか(笑)。

最後に

 奇しくも「アタック25」2戦(https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1490654/https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1516677/)に、「99人の壁」と、クイズ番組に連戦いたしました。これは私としても驚きで、立て続けに非常にいい経験ができました。そしてスタッフの皆さんが、すごく努力して私たちがクイズを楽しめる場を作ってくださっているのだなと実感したのと同時に、その努力を結実できるのは、私たち出場者の「クイズのパフォーマンスのみ」ということを、あらためて強く感じました。

 番組の制作に関わっている方々は、見応えのあるクイズ対決になるよう場を整え、独自性のあるバラエティーに富んだクイズを用意してくださっています。また、トークでも盛り上がるように、いろいろな種をまいてくださっています。でも、それが生きるかどうか、番組が面白くなるかどうかは、すべて出場者のパフォーマンスにかかっています。どれだけ個性的なキャラクターでも、どれだけ気の利いたことが言えても、“ボタンを押してクイズで解答する”ことができなければ意味をなしません。

 「全てはクイズで結実する」

 これを強く肝に銘じて、またいつかどこかで巡ってくるかもしれないチャンスまで、1人のクイズ好きとして粛々と精進してまいります。長文を読んでいただきありがとうございました。

【番組情報】

「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」
フジテレビ系

取材・文/H・T



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