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清水尋也「上条にどんな背景があるのか、前半のお芝居が生きてくるように演じたい」――「となりのチカラ」インタビュー2022/01/27

清水尋也「上条にどんな背景があるのか、前半のお芝居が生きてくるように演じたい」――「となりのチカラ」インタビュー

 松本潤さん演じる、人間愛にあふれているが優柔不断でいつも“中腰”になってしまう主人公・中越チカラが、個性豊かすぎるマンションの住人たちが抱える問題を解決する社会派ホームドラマ「となりのチカラ」(テレビ朝日系)。

 本日、1月27日に放送された第2話では、チカラ一家の上の部屋で暮らす認知症を患った祖母・柏木清江(風吹ジュン)と、祖母を懸命に支えながらも介護と受験のはざまで葛藤する孫・託也(長尾謙杜)の姿が描かれましたが、ラストにはチカラ一家の階下に住む東南アジア系の女性・マリア(ソニン)が「助けてください」とチカラの家に駆け込んできて…。第3話以降も住人たちと、中途半端に首を突っ込むチカラが巻き起こす事件から目が離せません!

 そんな住人の中で、最上階の601号室に住み「10年前に起きた凶悪殺人事件の真犯人」とうわさされている青年・上条知樹として本作に出演中の清水尋也さんにインタビュー! 多くを語らず、無表情。冷酷な雰囲気を漂わせ、何を考えているか分からないという、つかみどころのない上条を演じる難しさなどを伺いました。

――初めに、脚本を読まれた時の印象をお伺いできますでしょうか。

「毎話毎話マンションの住人が抱えるいろんなトラブルだったり、それぞれの事情がクローズアップされているので、次はどんなことが起こるのだろうと続きが気になりました。さまざまな境遇の人に刺さる部分があると思います。すごくほっこりとした部分もありますし、純粋にドラマとして毎回新鮮な楽しみがあって、すごくすてきなお話だなと思いました」

――本作は遊川和彦さんが脚本・演出を担当されていますが、脚本を読んだ時や演出で印象に残っていることはありますか?

「いい抜け感があるなと思いました。映画と違って、ドラマは人の生活に組み込まれているものであって、どこかスッと生活になじんで、どんな状態でも頭に入ってくるような、受け入れられやすいお話であると思っていて…。遊川さんの脚本からはそれをすごく感じるんですよね。ほっこりもするし、トラブルも起きるけど…その抜け感やバランスが絶妙で。過去の作品を見させていただいていた時からそういう印象があったんですが、今回も抜け感をすごく感じました」

――清水さんが演じられている上条は、序盤はあまり人物像が見えない役どころですよね。

「そうですね。人物像は割と後半まで見えてこないと思うんですけど、そんな中でも、ちょっとミステリアスというか、底が知れないような出方をしているので、そういった部分が後々生きてくるように、つながっていくようにお芝居をしていきたいと思っています」

――上条はセリフも表情も少なくて…というキャラクターですが、演じる上で意識されたことはありますか?

「上条は全体を通して見ていただいてこその役だと思っているので、後半につれて、“彼の背景には一体どんなものがあるのか”という部分を、視聴者の方が見た時に前半のお芝居が効いてくるようにしていきたいと思っているんです。なので、そこであまりに突拍子のないお芝居や逸脱したお芝居をしてしまうとつじつまが合わなくなってしまうので、そこの流れはすごく意識して、常に“先”を考えた上でお芝居をするようにしています」

――表情から感情が読み取れない上条は、演じるのが難しかったのではないでしょうか。遊川さんから役柄についてのお話などはありましたか?

「演出の面では、現場で遊川さんに『もっと棒読みでいいです』『もっと無機質な感じで、不気味な雰囲気が出るぐらいで…』と言われて、実際に演じてみるんですけど、こんなに感情を抜いてお芝居をすることはこれまでなかったので、『これでいいのかな』って途中不安になったりもしましたね…。上条は抑揚や感情といった成分をとことん抜いてお芝居をしているのですが、普段はそこに気持ちを乗せてお芝居するのですが、そこを極力カットして…っていうのはすごく難しいところです。モニターチェックをさせてもらって、その度にどのあんばいがいいか監督とお話しして、現場で作っていく感じです」

清水尋也「上条にどんな背景があるのか、前半のお芝居が生きてくるように演じたい」――「となりのチカラ」インタビュー
清水尋也「上条にどんな背景があるのか、前半のお芝居が生きてくるように演じたい」――「となりのチカラ」インタビュー

――先日の記者会見で、現場がすごく和気あいあいとされているというお話を伺ったのですが、主人公・チカラを演じる松本さんの印象はいかがですか?

「小さい時からずっと見て育ってきたので、同じ画角に映らせていただけるだけで恐縮ですし、子どもの頃にテレビで松本さんを拝見していた時は、まさか自分がこの仕事をするとは思ってもなかったので、人生って本当にいろんなことがあるなと思いましたね。こうしてご一緒させていただける貴重な機会をいただけたので、たくさん勉強させていただきたいなと思ってます」

――清水さんは“座長”としての松本さんをどのようにご覧になっていますか?

「これ以上ない座長だと思います。空き時間に話し掛けてくださることもありますし、お芝居の動きやお芝居以外の部分でも本当に現場全体のことをすごく見ていらっしゃるんだなと毎日感じています。やっぱり、一番真ん中にいらっしゃる方にそういうふうに気を配っていただけると、僕たち後輩としてはすごく心強いです。『ありがとうございます』という気持ちで毎日お芝居させていただいています」

――最近では、映画「東京リベンジャーズ」の半間修二役や、連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK総合ほか)の内田衛役など、見た目からも個性的なキャラクターも演じていますが、見た目的にもキャラクターが立つ役柄と比べて、一見どんな人物か分からない上条のような人物を演じるのは難しいのでしょうか?

「演じる上ではそんなに大差はないんですけど、実感が湧くっていう意味では、見た目がキャラクター感が強い役の方が自分の中にストンと落ちてくる感覚はありますね。でも、気持ちの面では『こっちの方がやりやすい』っていうのは特にないです。『やりやすい』っていう感覚を作ってしまうと、『やりづらい』もできてしまうと思っていて…それがあんまり良くないなと思ってるので、そこに頼ってる部分はないですね」

清水尋也「上条にどんな背景があるのか、前半のお芝居が生きてくるように演じたい」――「となりのチカラ」インタビュー

――現場を掛け持ちされる際、清水さんはどのように切り替えられているのでしょう?

「スイッチは監督のスタートがかかる時ですね。それまでは普段通りで、カメラが回っている時以外は普段のこの感じなんですよね。僕自身は役が残ったりっていうこともないですし、役作りにおいて『こういう役だからプライベートでもこうしよう』っていうことも一切ないんです」

――今回演じる上条だったり、現在公開中の映画「さがす」で演じている連続殺人鬼役は、ある意味、清水尋也さんらしい役だなと感じているのですが、ご自身ではどのように感じていますか?

「朝ドラなどで最近僕を知ってくださった方だと、あまり殺人鬼役みたいなイメージはないと思うんですよね。でも、僕がデビューしたての頃から知ってくださって、応援してくださっている方だと、割と“清水尋也っぽい”役だと思っていただけると思います。最初の頃は、影のある変わった役が多かったので(笑)。だから僕としては原点回帰のような気持ちで演じていました。人によって僕のイメージが違うっていうのは面白いですよね」

――確かに、本当に役の振り幅がすごいですよね。

「ありがとうございます(笑)。いい意味で見てくださる方の期待を裏切りたいと常に思っています」

――では最後に、あらためて本作の魅力と視聴者の方へのメッセージをお願いいたします。

「毎回、住人のトラブルにチカラが首を突っ込んでいくんですけど、住人たちもチカラからいろんなことを学んだり、チカラの言葉で勇気をもらったり、その人なりに自分の問題に立ち向かって乗り越えていきます。逆にそんな住人たちを見て、チカラ自身もいろんなことを学んでいくし、チカラも人として成長していく…。チカラと住人の両方の視点があるので、どっちに自分を投影してもいいですし、どんな人が見ても寄り添えて共感できる部分もあって、楽しんでいただける内容になっていると思います。上条も含めて、そういう部分に注目していただけたらと思います」

――ありがとうございました!

清水尋也「上条にどんな背景があるのか、前半のお芝居が生きてくるように演じたい」――「となりのチカラ」インタビュー
清水尋也「上条にどんな背景があるのか、前半のお芝居が生きてくるように演じたい」――「となりのチカラ」インタビュー

【プロフィール】

清水尋也「上条にどんな背景があるのか、前半のお芝居が生きてくるように演じたい」――「となりのチカラ」インタビュー

清水尋也(しみず ひろや)
1999年6月9日生まれ。東京都出身。O型。双子座。ドラマ「高校入試」(2012年)で俳優デビュー。映画「渇き。」(14年)で壮絶ないじめを受けるボク役を演じ、一躍注目を集める。主な出演作に、映画「ソロモンの偽証 前編・事件/後編・裁判」(15年)、「ちはやふる 上の句・下の句/結び」(16年/18年)、「ホットギミック ガールミーツボーイ」「貞子」(ともに19年)、「東京リベンジャーズ」(21年)、ドラマ「anone」「インベスターZ」(18年)、「アノニマス 〜警視庁“指殺人”対策室〜」、連続テレビ小説「おかえりモネ」、声優に初挑戦したアニメ映画「映画大好きポンポさん」(21年)などがある。現在、映画「さがす」が公開中。

【番組情報】

「となりのチカラ」
テレビ朝日系
木曜 午後9:00〜9:54
※放送終了後にはTELASA、TVerにて見逃し配信あり

【プレゼント】

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【締切】2022年2月23日(水)正午

取材・文/富樫かほり(テレビ朝日担当) 撮影/蓮尾美智子



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