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「シジュウカラ」芸歴28年目の山口紗弥加、初めての不思議な体験とは… 「思考が完全に停止してしまって『どうしよう!?』と焦りました」2022/01/28

「シジュウカラ」芸歴28年目の山口紗弥加、初めての不思議な体験とは… 「思考が完全に停止してしまって『どうしよう!?』と焦りました」

 山口紗弥加さん演じる漫画家の綿貫忍が、アシスタントの橘千秋(板垣李光人)と18 歳差の恋に落ちるさまを描くドラマ「シジュウカラ」(テレビ東京系)。1月21日放送の第3話では、千秋が「綿貫家を崩壊させることが目的だった」と告げました。衝撃を受ける忍ですが、そんな2人の深刻そうな状況を目撃するも、何とも思っていない千秋の夫・洋平(宮崎吐夢)。果たして忍と千秋、そして洋平との関係はどうなっていくのでしょうか?

 今回、忍を演じる山口紗弥加さんを直撃取材。この役柄をどんな思いで演じられているのか、そして、芸歴28年目になる山口さんが体験した本作での初めての出来事などについて明かしてくれました。

――綿貫忍という役柄について、どういった部分を意識しながら演じられていらっしゃるのでしょうか?

「原作漫画の2次元の世界に描かれている“余白”を、どうやって生身の人間としての忍に落とし込むか。どんな人間にも必ず存在する“隠されたもの”、いまだ描かれていない部分での忍をどう見せるのか、見せないのか。忍が一番守りたいもの、仕方なく守ろうとしているもの、本当の自分と、心の底から望むもの…その時々で微妙に変動し続けるそれらの比重を頭の片隅に置きながら、立体的でより多面的な忍を表現できたらという思いで演じています。原作キャラクターの身体的な特徴については、その見た目をまねることよりも、肉体的な変化がもたらす精神面への影響というものを重要視しました。18歳の年の差がある恋愛を描くにあたっては、演じている“瞬間”に自然と湧き出た役者たちのリアルな感情を大九明子監督が尊重してくださり、リアリティーある作品作りを目指しているところです。例えば、台本上では『ここで手を重ねる』とか『抱きしめる』という描写があったとしても、演じてみて心情的に無理があるような場合には『この動きは止めましょう』と大九監督が言ってくださるんです。もちろん、どうやったらそのシーンを成立させられるかということをあれこれ試した結果です。感情にうそ偽りなく、丁寧に、繊細に撮り進めていただいています」

「シジュウカラ」芸歴28年目の山口紗弥加、初めての不思議な体験とは… 「思考が完全に停止してしまって『どうしよう!?』と焦りました」

――山口さんの考え方や気持ちを大事にされながら撮影されているわけですね。

「私だけではなく、橘千秋役の板垣李光人さんの気持ち、2人の“心の揺れ”というものをとても大事にしてくださいます。大九監督は演出をつけられた後、役者全員に『大丈夫ですか? 心情的に無理はないですか?』と確認してくださるので、自分でも演じているという感覚があまりありません。大九監督はきっと、演じていないところでの “役者の中に眠る真実” 、その瞬間の人間のリアルというようなものをえぐり取ろうとされているんだと思います。台本に甘えるな、責任を持ってクリエーティブに忍を生きろ!と言われているようで……予想だにしない演出の連続に、日々、強い刺激をいただいています」

――山口さんご自身も発見がある撮影現場なんですね。

「発見だらけです!(笑)。今年で芸歴28年目になるのですが、初めての経験もありました。この作品の撮影に入る前のことですが…台本を読んでいるのに、全く頭に入らない(笑)。ただ眺めているような状態で、思考が完全に停止してしまったという感じで…。『どうしよう!?』とちょっと焦りました。でも、考えてみたら、忍も母として、妻として家庭を守り、夫の心ない言動に傷つき、怒り、絶望しながら、自身の願望や熱意を必死に抑え込んできた人なんですよね。それを長く続けていく中で、どこかで“私”というものを諦めかけて、自分の頭で物事を考えることをやめてしまったんだと思うんです。だったら持ってこいじゃないかと。ただ流されるしかできない今の私の状態を、そのまま忍に重ねてしまおうと、発想の転換を考え始めました。もちろん、漫画家という職業については勉強しましたが、それ以外に関しては全く無の状態で撮影に入ってみようと。初めの数日間は本当に何もできなくて申し訳ないなと思いながらも、どうあがいたってスリープ状態なものですから、もうこれは堂々と流されてしまおうと観念しました(笑)。物語の中で忍は、千秋との出会い、そして不意に訪れた漫画家としてのセカンドチャンスによって段々と自分を取り戻していくのですが、私も撮影が進むにつれ、意識がはっきりしてきたんです。そこからは、『こう演じたい』という欲が出てきて、頭が急に働き始めたんですよね。自分と役とが完全にリンクしていたような感覚で、不思議な体験でした」

「シジュウカラ」芸歴28年目の山口紗弥加、初めての不思議な体験とは… 「思考が完全に停止してしまって『どうしよう!?』と焦りました」

 山口さんは忍という役柄に、そして大九監督はキャストの皆さんの思いに丁寧に寄り添いながら撮影されていることが分かりました。それにしても、山口さんが明かしてくれた初めてのエピソードは、忍という役がもたらしたような不思議な体験でしたね。

 1月28日放送の第4話では、忍が洋平に、不倫に気付いていたことを告げます。そして洋平と寝室を離し、千秋とも距離をとることに。そんな中、あるきっかけで忍は千秋の抱える闇の正体を知ってしまいます。壮絶な悲しみを抱える千秋と現在進行形で傷ついている忍、2人の心が近づき始め…。物語が動き始める第4話、お見逃しなく!

「シジュウカラ」芸歴28年目の山口紗弥加、初めての不思議な体験とは… 「思考が完全に停止してしまって『どうしよう!?』と焦りました」

【番組情報】

ドラマ24「シジュウカラ」  
テレビ東京系 
金曜 深夜0:12~0:52

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当)



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