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西野七瀬「もし自分がその役だったらどう演じていたか、考えることは多かったです」――「言霊荘」最終回直前インタビュー2021/12/18

西野七瀬「もし自分がその役だったらどう演じていたか、考えることは多かったです」――「言霊荘」最終回直前インタビュー

 ある女性限定アパートで、放った言葉が現実となり、“言霊”という“人ならざる者”に住人女性たちが次々とさいなまれていく姿を描いた、テレビ朝日とABEMAによる共同制作ドラマ「言霊荘」(テレビ朝日系)。“言霊”の力に襲われる怖さ、そして住人たちの内に秘めた恐ろしい思いがこと細かに描かれ、これまで見たことのない美しいホラードラマが、今夜いよいよ最終回を迎えます。

 主人公・歌川言葉=コトハ(西野七瀬)の友人であり作詞家の阿木紗香(三吉彩花)の突然の死、都議会議員私設秘書・丸山栞(中村ゆりか)の事故など不可解な出来事が次々と起こる中、宮司であり除霊師の岩戸志麻=トシマ(斉藤由貴)の除霊によって、一度は収まったかのように見えた言霊の力。

 しかし、新たにアパートへ越してきた大学生・城崎雪乃(秋田汐梨)によって言霊の力は再び解放され、呪いの矛先は自称・霊能者の中目零至=レイシ(永山絢斗)や他の住人たちへ向き、レイシたちは次々とアパートの中に飲み込まれることに。なぜ言霊の力が暴走しているのか、その真相を突き止めるべく、コトハたちは25年前にアパートで亡くなった女流作家・夏目三葉(藤井美菜)の霊を降霊術で呼び寄せ話を聞くと、三葉から明かされたのは「私が裏切った」という衝撃の一言でした。

 三葉たちが暮らしていたアパートで過去に一体何が起こったのか、アパートのオーナー・葉鳥久(佐野史郎)は何を知っているのか、そして飲み込まれたレイシたちを救うことができるのか。すべての謎と真相が明らかになる最終回を前に、主演・西野七瀬さんがドラマのクランクアップ後に取材に応じてくださいました。

西野七瀬「もし自分がその役だったらどう演じていたか、考えることは多かったです」――「言霊荘」最終回直前インタビュー

――テレビ朝日ドラマ初主演として臨んだ「言霊荘」は、どのような作品になりましたか。

「主演をやらせていただけることはなかなかあるわけではないので、“責任を感じるな”とか、いろいろと考えることが多かったです。なので、あまり主役ということを意識し過ぎないようにしていました」

――クランクインの時に「怖い作品が好きなので、関わることができてすごくうれしい」とコメントされていましたが、ホラー作品ならではの楽しかったこと、苦労を教えてください。

「私自身、あまり怖い経験をしたことがないので、非日常的なことを体験できている感じが楽しかったです。特殊な撮影方法をとる作品だったりもしたので、いろいろな人の力を合わせてみんなで協力して撮っている感じが不思議だなと、現場で見ていましたね」

――コトハはしゃべり方がすごく印象的でした。演じていて難しい部分はありましたか?

「難しいセリフがあったり、“どうやったら自然に言えるのかな…”というのは、初めから最後まで悩んでいました。でも、私が現場でどう言おうか悩んでいた時に、永山さんが『それが醍醐味(だいごみ)じゃない?』みたいなことをぼそっと言ったんです。“すごく格好いいこと言ってる…!”と思いながらも、その言葉を聞いた時に“そっか、確かにそうかも”ってハッとなりました。そこから、他の作品の現場で同じように悩んだ時に、永山さんの言葉が頭をよぎって、“ここか! 楽しむところは”と思えるようになりましたね。すごいなと思いますし、今後の女優業でも永山さんの言葉は心に残ると思います」

――その永山さんとの撮影で印象に残っているエピソードがあったら教えてください。

「そうですね…永山さんからDVDをいただいたんですよ、お薦めの作品を何本か。『フリマアプリとかで出ているものを全部買い占めた』みたいなことを言っていて、ご自身がいっぱい持っているからと私にくださったんです(笑)。三つぐらいもらった中でまだ1本しか見れていないんですけど、『美しき緑の星』(1996年)という作品は見ました。すごく良かったです」

西野七瀬「もし自分がその役だったらどう演じていたか、考えることは多かったです」――「言霊荘」最終回直前インタビュー

――一方で、三吉彩花さんや堀田真由さんなど同世代の方との共演もありました。演技の部分で刺激を受けたことはありましたか?

「皆さん役柄もそれぞれ違うし、少し大変なシーンとかで“どういうふうにこれを演じるのかな…?”と気になっていたので、現場で近くで見られて“こういうふうに表現するんだ”と何度も思いましたね。“自分がもしその役だったら、どういうふうにしていたかな?”とか、そういうところはやっぱり同性だし、同世代ということで考えることは多かったです」

――今回、住人役の皆さんとは全員初共演になったかと思いますが、一番ギャップのあった方は誰でしたか?

「森田望智ちゃんですね。実は、望智ちゃんの作品をしっかり見たことはあまりなかったのですが、“なんとなくこういう方かな?”と思っていたイメージがあったんです。でもイメージとは全然違って、一番おちゃめというか、明るくてムードメーカー的な存在だったので、そこはすごく意外でびっくりしましたね」

西野七瀬「もし自分がその役だったらどう演じていたか、考えることは多かったです」――「言霊荘」最終回直前インタビュー

――撮影を終えられて、全10話の中で一番印象的なシーンを教えてください。

「今思い浮かぶのは、ベッドの下に引きずられていったシーンです。(堀田)真由ちゃんでしたよね…?」

――…中村さんですかね?

「そうでした、ごめんなさい!(笑)。真由ちゃんのお風呂場のシーンもすごかったですけど、ベッドのシーンも動きが派手だったし、すごい距離を引きずられていたので、あそこは印象的ですね。私、あのシーンで初めて“怖っ!”って思ったんですよ(笑)。それまでは怖いものが好きというのもあって、そこまで思うことはなかったんですけど、(内田)理央ちゃんと一緒に『怖いね…』と言いながら見ていました」

――では、ご自身の撮影の中で最も思い出に残っていることは何でしょうか。

「撮影初日ですかね。間を空けずに一気に撮影をしていたので、一番初めの日がよく覚えています。ドラマの撮影が始まることや、初めて演技を一緒にする方もいたこともあって、自分がまだ現場にそこまで慣れていなくて。スタッフさん含め、みんなとまだ距離感があったので、撮影が終わる頃とは全然違う、初日のあの独特の空気感は覚えています。撮影当初は誰とも話せていなかったと思います」

――確かに、撮影が始まった当初は「これから仲良くなれたら」といったお話をされていたかと思います。撮影期間の中で“このタイミングで仲良くなれた”みたいなきっかけはありましたか?

「いつの間にかだったような気がします。同じシーンがあって、ちょっと話す時間があって、そこで少しずつお互いのことを知っていくみたいな。最終日近くにはみんなでジェンガとかをしていたので、私はみんなの様子を写真に撮りながらいいなと思っていました」

西野七瀬「もし自分がその役だったらどう演じていたか、考えることは多かったです」――「言霊荘」最終回直前インタビュー

――個人的に、第7話でコトハが霊に体を乗っ取られるシーンが印象に残っているのですが、高らかに笑い上げる演技が、これまで西野さんが演じてきた役にはなかったと思います。あのシーンについて、ご自身で感じたことはありましたか?

「実は私、恥ずかしくてあのシーンを見れていないんですよ…(笑)。でも、同じように斉藤由貴さんも一度(霊に)取りつかれたみたいなシーンがあって、それを目の前で見ていたので、同じシーンを自分もやるとなった時に“(斉藤さんと同じように)再現はできないな…”といろいろ考えすぎてしまったんです。精いっぱい自分のできることはやったんですけど、あのシーンはすごく難しかったですね」

――第5話では滝行のシーンもありました。大変そうだなと思って見ていたのですが、振り返っていかがでしたか?

「寒いんじゃないかと思ってちょっと怖かったんですけど、割と暖かい日だったので、そんなに寒さはなくて、すがすがしい気持ちで帰ることができたのでよかったですよ。大変さもなく、楽しかったです。滝行は何度かやったことがあったんですけど、久しぶりだったので、やっぱりいいなと思って。プライベートでも行ける滝行ってあるじゃないですか。ずっといつか行きたいなと思いつつも行けていなかったので、ちょうど撮影で行くことができてすごくラッキーでした」

――そうだったんですね。ちなみに、来年やってみたいことはありますか? ぜひ“言霊”の力を借りて言葉にしていただきたいです…!

「なんだろう…旅行ですね。いろいろ行きたいところはあるんですけど、熊本とか行ってみたいです。馬刺しが好きなので本場の味を食べに行ってみたいです。まだ一度も行ったことがないんですよ。九州地方は全部回ってみたいですね。やたらと九州に執着があって、“行ってみたい!”っていう期待値がどんどん上がっちゃっています(笑)」

西野七瀬「もし自分がその役だったらどう演じていたか、考えることは多かったです」――「言霊荘」最終回直前インタビュー

――ドラマもいよいよクライマックス。第9話から菜々緒さんも新たに登場しています。

「撮影の時にはあまりお話はできてなかったんですけど、幽霊姿がめちゃめちゃ似合っていました。すごく奇麗というか、美しさやオーラがありました。血色とかもなくしたメークをされていたんですけど、“あんなに似合う人がいるのか”って…何もかもが美しい感じなんですよね。幽霊が持つ怖い感じというよりも、美しさがあって、それがすごいなと思って見ていました」

――菜々緒さん演じる須貝空は、物語の結末にも大きく関わってくると思います。あらためて最終話の見どころを教えてください。

「コトハの特徴というか、第1話から発揮している“どうにかして、みんなを幸せに”という、放っておいてもいいものを放っておけないお人よしな心の部分は、最後までずっと貫かれているのかなと思います。物語自体は、いろいろなことが起こって混沌とした感じがありますけど、今まで分かりきれていなかったところが最終話でいろいろと分かってくるので、最後の1秒まで油断せずに注目して見ていただきたいです」

西野七瀬「もし自分がその役だったらどう演じていたか、考えることは多かったです」――「言霊荘」最終回直前インタビュー
西野七瀬「もし自分がその役だったらどう演じていたか、考えることは多かったです」――「言霊荘」最終回直前インタビュー

【プロフィール】

西野七瀬(にしの ななせ)
1994年5月25日生まれ。大阪府生まれ。双子座。O型。2011年に乃木坂46に一期生として加入。18年にグループ卒業後、「あなたの番です」(日本テレビ系)、「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(フジテレビ系)、「ホットママ」(Amazon Original)、「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」(日本テレビ系)、映画「狐狼の血 LEVEL2」(21年)などに出演。出演中の映画「あなたの番です 劇場版」が現在公開中。また、「ライオンのグータッチ」(フジテレビ系)ではMCを務め、雑誌「non-no」(集英社)では専属モデルを務めるなど、さまざまな分野で活躍している。

【番組情報】

「言霊荘」
テレビ朝日系
土曜 午後11:00〜11:30
※地上波放送終了後、ABEMAにて独占見逃し配信あり

ABEMAオリジナルストーリー「ある視点-もう一つの言霊荘-」
ABEMAにて独占配信中
※第10.5話は最終話放送後から配信開始

取材・文/平川秋胡(テレビ朝日担当) 撮影/尾崎篤志



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