Feature 特集

STV・岡崎和久アナが高校サッカーの魅力を語る!「毎年元気をもらいます」2021/12/25

スペシャルインタビュー/STV・岡崎和久アナウンサー(「伝えたい、この想い アナウンサーたちのロッカールーム」)

 12月28日に開幕を迎え、日本テレビ系で放送される「第100回全国高校サッカー選手権大会」。第100回の節目を記念して作られた「第100回全国高校サッカー選手権記念 伝えたい、この想い アナウンサーたちのロッカールーム」は、日本テレビの藤井貴彦アナウンサーが、日本全国の地元局アナウンサー15人と“高校サッカー愛”を語り尽くす1冊だ。FBS福岡放送の福岡竜馬アナウンサーと共に共著を出版した、STV札幌テレビ放送の岡崎和久アナウンサーに、高校サッカーへの思いを聞いた。

── 共著の経緯について教えてください。

「2021年2月、発案者の(藤井)貴彦さんから、福岡放送の福岡アナウンサーと僕に、『100回大会を盛り上げる高校サッカーの本を書かないか』と話がありました。貴彦さんは現在報道キャスターとして活躍され、高校サッカーの実況からはずいぶん前に離れておられます。僕も第97回(2018年度)の準決勝の実況を担当して以来、全国大会には行っていませんが、福岡アナと共に貴彦さんからさまざまなことを教わり、もう15年以上の付き合いになるので、分かりました!と二つ返事で引き受けました」

── 共著のお二人は、藤井アナが現役の高校サッカーアナウンサー時代からのお付き合いだそうですね。

「はい。今でも高校サッカーの情報交換や思い出話をよくする間柄で、僕の地元・札幌か、東京、福岡のどこかで会っています。書籍のアイデアは3人の共有LINEで一報があり、僕は雪の中を歩いて帰宅途中で立ち止まってやりとりし、その場で決まったことを覚えています。本の印税を、高校サッカー選手権を運営する事務局に全額寄付することも即決でした。特にこのコロナ禍で収益が落ち込み、運営が赤字だと知り、高校サッカーにお世話になった僕たちが少しでも還元できれば、という思いからです」

── 書籍では、本田圭佑や岡崎慎司など名選手の高校時代に関する貴重なエピソードに驚かされる一方、彼らを取材するアナウンサーの皆さんのひたむきな情熱も伝わってきます。企画段階でこだわった点はありますか?

「貴彦さんと福岡アナ、僕の3人で、約3時間のZOOM会議を2月から月1回ペースで10回ほど行い、本の構成や内容、執筆依頼者などを相談しました。高校サッカーといえば涙する印象があるかもしれませんが、実は実況席にいるアナウンサーも、強い思いを抱いてます、一緒に泣きながら仕事をしています!ということを伝えたい、というのが3人共通の思いでした。書籍化に当たっては、本文エピソードにまつわる映像を見ることができる二次元バーコード(※)を掲載した点がポイントです。テレビ局だから実現できた特典で、懐かしい名シーンやアナウンサーの実況付き映像を実際にご覧いただけます」

── 岡崎アナご自身、試合前の現場取材から応援席リポート、大会での実況担当など、さまざまな体験談を明かされています。執筆する上で苦労されたことは?

「高校サッカーに関するエピソードはいくらでもあり、どれを選ぶかは貴彦さん、竜馬さんと相談しながら決めていきました。僕の場合、メモや資料をパソコン内に記録していたので書くこと自体はあまり苦労しませんでしたが、読者を置いてけぼりにしない点に注意しました。高校サッカーって、ちょっとマニアックな分野ですよね。そこは冷静に捉えて、書き手の熱量を残しつつ、どうしたら伝わるかを考えながら推敲を重ねました」

── 第88回大会(2009年度)で、沖縄テレビの古川貴裕アナウンサーが旭川実業高校サッカー部取材のため、冬の北海道を訪れた時の様子を、岡崎アナが実況風にご紹介されていたのが面白かったです。

「ありがとうございます。高校サッカーの取材を振り返ってよかったと思うのは、指導者や選手、アナウンサーたちとの出会いに恵まれたこと。中でも、僕が『上を目指したい』と思えるきっかけをくれた、ある贈り物のことは忘れられません」

── 山口県・多々良学園(現・高川学園)高校の白井三津雄監督(当時)との約束ですね。

「はい。あれは20代の頃で、燃えるような気持ちになり、『絶対いつか地方局アナのみんなが目指す全国準決勝実況を担当するんだ』という思いを抱いた出来事でした。今回、書籍の中で、選手権大会の裏側である高校サッカーのアナウンサーの実況担当システムも含めてご紹介できてうれしく思います」

── 書籍で岡崎アナが振り返られていた、第83回大会(2004年度)、3回戦で敗れた北海高校に対する藤井アナのコメントも印象的でした。

「あの言葉は、全国大会に派遣される前だった僕の心に非常に刺さり、『こんなことを言える人ってすてきだな』と震えるほど感動しました。確か当時、『どさんこワイド』の札幌駅前中継を担当していて、現場に到着してからもしばらく感動していた記憶があります」

── 藤井アナは、新型コロナウイルス禍で視聴者を勇気づけるメッセージなどが注目を集め、ORICON NEWSの「好きな男性アナウンサーランキング」1位にも選ばれました。

「貴彦さんの姿勢は、高校サッカーを担当していた時代から何も変わりません。僕は人間としても非常に尊敬しています。彼の言動がインターネットで注目された時、北海高校の島谷制勝監督から連絡があり、『結局、指導者もアナウンサーも人間性。それが伝わるコメントを言っているから、ぐっとくるんだよな。昔から藤井さんは素晴らしいよね』という会話を交わしたんです。実は、このエピソードも原稿に盛り込んだのですが、貴彦さんが遠慮されてカットになりました。編集者の意向で、彼の略歴に書き加えられましたけれど(笑)」

── 完成した書籍を手に取った時のお気持ちはいかがでしたか?

「高校サッカーの中継は、CM前に必ず『民間放送43社共同制作でお送りしています』という言葉で締めくくるのですが、書籍を手にして、同じような達成感を感じました。執筆の際に協力してくれた方々も多い上、本が完成した今は日本テレビ系列の先輩・後輩アナウンサーの仲間がSNSでアピールしてくれたり、番組で紹介してくれたりして、全国との絆を感じます」

── 高校サッカーの魅力について、あらためて教えてください。

「毎年、高校サッカーの全国大会が終わると気持ちがリフレッシュし、モチベーションがものすごく上がりました。触れるだけで浄化されるような喜びが、高校サッカーにはあるんです。『年末年始に家族といられなくて大変ですね』とよく言われましたが、僕は、家族のようなアナウンサー仲間と毎年一つの目標に向かい、指導者や選手たちの純粋な思いを伝えられる機会をいただき、ピュアな気持ちで仕事に挑める貴重なチャンスだと感じていました。携われることを毎年感謝していたんです。社会人になってから、こんなに青春を味わえるとは思っていなかった。僕のアナウンサー人生の原点ともいえる経験です。とはいえ、本当の家族である妻や子どもたちは大変だったでしょうが(笑)」

── 確かに書籍を読むと、高校サッカーに懸ける皆さんの熱い思いが伝わってきます。

「“自分たちが楽しまないと視聴者も楽しめない”との定説がアナウンサー業界にはありますが、高校サッカーに携わるアナウンサー・スタッフは、誰もがそういう思いを持っていると思います。もちろん前提として、選手たちの不断の努力と、彼らを導く指導者の存在があり、数々のドラマがある。そうした汗と涙の結晶を、僕たちアナウンサーはどうしたらいい形で伝えられるのか。そういう思いを抱きながら、みんな心から高校サッカーを楽しみ、チームと一緒に涙しているんです」

── まもなく第100回大会が開幕します。最後に読者へメッセージをお願いします。

「選手や指導者だけでなく、全国各地の地元局アナウンサーの思いも赤裸々に綴っていますので(笑)、歴史ある高校サッカーの裏側をお楽しみください。書籍を通して1人でも多くの方が、第100回大会に興味を持ち、STVにチャンネルを合わせてもらえればうれしいです。注目いただきたいのは、もちろんピッチにいる選手たちと指導者ですが、試合を陰で支えるアナウンサーの思いも知ってほしい。そして試合をご覧になる際には、『これがメイングループに選抜されたアナウンサーなんだ!』『あのアナウンサーは何年もかけて準備して実況席についたんだな…』などと想像してもらえると、より一層、高校サッカーを深く楽しめると思います」

【プロフィール】

岡崎和久(おかざき かずひさ) 
札幌テレビアナウンサー。2001年入社。スポーツ実況のほか、テレビ「どさんこワイド」、ラジオ「STVファイターズLIVE」などを担当。

【書籍情報】

「第100回全国高校サッカー選手権記念 伝えたい、この想い アナウンサーたちのロッカールーム」編著/藤井貴彦 共著/福岡竜馬、岡崎和久

「第100回全国高校サッカー選手権記念 伝えたい、この想い アナウンサーたちのロッカールーム」 
発売中(https://www.ntv.co.jp/soc/100/news/fhkej6kxak7hrt6d.html
売価/定価 1,650円 
発行/東京ニュース通信社 
発売/講談社 

※書籍内に掲載されている二次元バーコードから視聴できる動画は、2022年3月末日まで視聴できる予定ですが、予告なく削除される可能性があります。

取材・文/新目七恵(亜璃西社)



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