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吉沢亮が「青天を衝け」終盤の見どころを語る! 「慶喜との最後のシーンはグッときます」2021/11/20

 実業家として勢いづく渋沢栄一(吉沢亮)の姿が描かれている大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほか)。物語も終盤を迎える中、吉沢さんから約1年半、栄一を演じた思いやこれまでで印象的だったシーン、今後の見どころなどを伺いました!

――約1年半、栄一を演じて感じたことを教えてください。

「演じる前は、素晴らしい功績をたくさん残したこんなにすごい人を僕は演じるのかと思っていました。実際、台本を読んでお芝居をしていくと、当時の若者が世の中を変えなければいけないという気持ちを強く持っていたことや、栄一の周りに徳川慶喜(草彅剛)をはじめ、理想的なお武家様の平岡円四郎(堤真一)など、スターがいっぱいいることが分かってきて。栄一はその人たちが時代の波にのまれていく瞬間や、何かが生まれて終わっていく瞬間をずっと見てきて、いろんな人にいろんなものをもらった人物なんだろうなと思いながら演じていました」

――今後、妻の千代(橋本愛)との別れのシーンが描かれますが、撮影を振り返っていかがでしょうか。

「お千代との別れはつらかったです。本当にそのシーンがラストカットで。ずっと支えてくれたお千代がこのシーンを撮ったら(撮影が)終わっちゃうんだという寂しさとシーン自体の重さで号泣して、ぐちゃぐちゃでした。お父さんの市郎右衛門(小林薫)やお母さんのゑい(和久井映見)が亡くなった時は悲しいけれど、どこか前向きなものとして捉えて描かれていて。人生の美しさや亡くなった人から得たものを自分の中で消化して前を向いていくという、どこかポジティブな要素がありましたが、お千代の死に関しては急すぎたし、苦しさしかないシーンだったので、なかなか衝撃的でした」

――撮影中、千代と栄一のシーンで思い出した場面はありましたか?

「すてきなシーンはいっぱいあって。第35回(11月14日放送)で2人が語っているシーンもすごい良かったし。撮影中は、なぜか第4回(3月7日放送)で栄一がお千代にさっきまで見ていた夢の話をするシーンが印象深いなと、何となく思い出しました」

――千代がいなくなると、初期から登場している人物は喜作役の高良健吾さんのみとなります。高良さんと長く共演されたことで刺激を受けたことはありましたか?

「みんないなくなっちゃって、本当に喜作だけなんですよね。たくさんの映像作品を拝見していた高良くんと一緒にお芝居させていただいて、あらためてすてきだなと思いました。役として生きることにとても真摯(しんし)に向き合っていて。それに、ずっと一緒にやっているから喜作がいるだけで安心するんです。喜作がそのシーンにいるだけで仕事をしている時の栄一とは違う、血洗島の時のただ騒ぎ立てていた子どもの栄一が出てくるというか。それは高良くんだったからこその部分もあって。一番近くで支えてくれたお千代と喜作は特別な存在です」

――終盤では、現在27歳である吉沢さんにとって未知の年齢の91歳まで演じられますが、立ち振る舞いなど意識したことはありますか?

「晩年の80歳、90歳近くなってきて、年齢を意識しすぎると、どうしても栄一としてのエネルギーや勢いが落ちていくので難しく、監督と相談して迷いながら演じていました。話している言葉のスピード感や声質、体の動きとか。後ろを振り返る時に首だけで振り返らず、体全体で振り返ったりするなど、年を重ねた芝居を細かく作ったり。とはいえ、第1回から続いている栄一のエネルギーは最後まで持ちたいので、そこを一番に考えていました」

――終盤は家族との時間が濃密に描かれていくようですが、栄一にとって兼子(大島優子)、篤二(泉澤祐希)、敬三(笠松将)はどんな存在だったのでしょうか?

「第32回(10月24日放送)でお母さんに『近くにいる者を忘れちゃいけない』と言われていましたが、栄一は外ばかり気にして意外と目の前のことが見えていないんです。世の中を変えなきゃいけないという幼い頃から持っている意識にエネルギーがいってる分、家族との付き合い方が本当に不器用で。台本を読んでいて僕自身も突っ込みたくなる瞬間があるんです。そんな栄一に振り回される家族が面白おかしく映ればいいなと思っています。兼子は、お千代とは全然違うエネルギーと強さがあって、すてきです。お千代には母性を感じて栄一がずっと甘えてきましたが、兼子はプライベートでも仕事の面でもパートナーとして対等な関係。何でも相談もするけど、あまりベタベタもしていないし、いい距離感のある夫婦です。栄一にとっては篤二が一番難しくて。偉大な栄一の息子だというプレッシャーに押しつぶされていく篤二にどう接したらいいか分からないんです。僕は自分に子どもがいるわけではないので、リアルな感情はよく分からないんですが、篤二との距離感は男特有のウジウジした感じがあるなと思いながら演じています。敬三は暴れん坊な栄一を受け止めてくれる優しい男です。敬三には結構わがままを言っていますね」

――また、それぞれの立場が変わっても親交を続けている慶喜と栄一の関係性がとてもすてきでしたが、長い撮影の間で、草彅さんとの距離感はどのように変化しましたか?

「意識的に距離を置こうと思っていたわけではないんですが、基本的には撮影の合間に話すことはあまりなかったです。栄一と慶喜の関係性に引っ張られていたのかもしれませんが、草彅さんに対する緊張感が僕の中にあって。終盤になって2人で取材を受ける機会があったんですが、だいぶ緊張していました(笑)。それは最初の頃からあまり変わってなくて。でもその緊張感も程よく芝居に反映されていたので、良かったと思っています」

――草彅さんは吉沢さんと共演して、すごく刺激を受けたとおっしゃっていましたが、吉沢さんは草彅さんとの共演がご自身の役者人生にどんな刺激を与えたと思いますか?

「草彅さんのお芝居って、何が出てくるか想像つかないんです。どういうテンションでお芝居をされるのか、芝居前には全く分からなくて。2人で相談して作り上げるというより、お互いから出るものをその場で拾ってキャッチボールしている空気感でした。草彅さんがお芝居をされる時、存在がゼロになって、本当にその場に慶喜としているので、何を考えているか分からないから不安になる。だからこそ、こちらも良い方向に引っ張ってもらえるし、草彅さんとお芝居をしている時にしか生まれない緊張感みたいなものがあって、役者という同じ仕事をしてる人間として、すごいなと思うことばかりで、たくさんの刺激をいただきました」

――栄一が慶喜の伝記を編さんするなど、今後も交流していきますが、年を重ねた2人の見どころを教えてください。

「慶喜の言葉です。この先の慶喜とのシーンは泣けるシーンばかりなので。2人の最後のシーンというのは、この作品のテーマを語っているシーンなのでグッときます。シーン自体は長いわけでもなく、伝記が完成して栄一が感謝を述べた後に、慶喜がいろいろなことを語るんです。特にすごいことを言うわけではないんですが、ボソッといいことを言うのがすごい泣けるんです」

――「青天を衝け」には、非常に多くの俳優さんが出演されましたが、お芝居を超えて気持ちが高ぶった瞬間はありましたか?

「基本的には台本に沿ってやるんですけど、この人だからこそという化学反応でいうと、三野村利左衛門役のイッセー尾形さんです。コミカルでにくたらしい三野村とのお芝居は本当に楽しくて、役ってあそこまで広がるんだという刺激もいただきました。栄一としては、三野村が敵なのか味方なのか分からなくて警戒している人物なのですが、僕自身、三野村が好きすぎて、愛が画面に出ちゃってたんじゃないかと(笑)。イッセーさんとだからこそ生まれたちょっと笑える距離感もありましたし。栄一があそこまでぶんぶん振り回されることはあまりなかったので、そういう意味でも楽しかったです」

――撮影で大変だった部分や面白かったことはありましたか?

「大変だった部分といえば、一番はセリフ量です。栄一がめちゃくちゃおしゃべりな役というのもあって、とんでもないセリフ量を短期間で覚えて一気に消費してみたいなことを1年間以上繰り返しました。これは他の現場では味わえない苦労でしたが、物理的に追い詰められながらもクオリティーの良いものを出し続けるという役者としての基礎を鍛えられた気がしています。そして、約1年半、一つの役をこの濃度で演じ続けるというのは、役の染み込み具合が違うんです。何もしなくても栄一として立っていられる安心感があって、自分が積み上げてきたものがちゃんと形になっているのを肌で感じるので、それはすごくうれしいし、他ではなかなか味わえないなと感じています」 

――フランス・パリでの撮影ができないなど、コロナ禍ならでは撮影の苦労もあったと思いますが、その辺はいかがでしたか。

「本番までマスクが取れないという苦労がありました。監督としてもマスクで表情が見えないから、本番をやってみないと正直どんなふうになるか分からないという。演じている僕らもそうで、口から下が見えないだけでこんなに表情が変わるのかと、相手のお芝居を見ていて感じました。でも、それは苦労でもあり、楽しい部分でもありました。撮影でパリに行けなかったこと関してですが、実は撮影に入る前に別の仕事でパリに行っていたんです。その時に渋沢栄一さんが訪れた場所をぐるぐる周って見てきたら、建物自体は残っているけど、周りが今の世の中になっていて映してはいけないものの制限がありすぎたので、正直、パリに来て撮るのは大変だろうなと思ったんです(笑)。だから、グリーンバックになったのは逆に良かったんじゃないかなと勝手に思っています。割り切ったことで見せ方も広がりましたし」

――栄一は年を経ても精力的に動きますが、栄一を突き動かすものは何だったと思いますか?

「“周りが幸せになる”=“自分の幸せ”だったんじゃないでしょうか。正直、使命感だけであそこまでやれなかったでしょうし、かといって自分の欲を満たすためだけの行動だったとしたら、そこまで続かないと思うんです。使命感も欲も両方あったからできたのかなと。世の中を変えるという使命感だけであそこまでやるのは無理だと思うので、それが好きだったとしか思えない。世の中を良くすることが自分の一番の幸せだと本気で思っていた人なんじゃないかなと。やりたいことをやりきった人生だったと思います」

――江戸、明治、大正、昭和とさまざまな時代を体験されましたが、どの時代が一番印象的でしたか?

「幕末から明治に変わる瞬間は、当時の人たちにしたら、ついていけないくらいの時代の変化だったと思うんです。常識が変わっていくし、分かりやすく格好も西洋風に変わるじゃないですか。でも、当時の若者の、自分が世の中を変えなきゃと思って、それしか見えなくなるパワーは、どこが原動力なんだろうと思うくらいすごくて。間違った方向に進んでいても、それにも気付かず、自分が正義だと信じて突き進むあのエネルギーは、今の若者と全然違うのはなんでだろうと、疑問を持ちながら演じていました」

――衣装やセットが変わるたびに気持ちが変わるものなのでしょうか?

「変わります。最初はずっとはかまをはいていたので、西洋風の洋服に変わって寂しさがあるというか。はかまはすごく良いなと思っていました」

――徳川家康(北大路欣也)が登場することが話題となっていましたが、ご自身は視聴者としてどのように見ていましたか?

「家康さんは最高です。最初は本当にビックリしました。そんな感じで出てくるんだという演出や、後ろで黒子さんがいろいろやっているのも新鮮すぎて、視聴者の方々にどう受け止められるのか本当に分からなかったですけど、今では家康さんが『いつ出てくるんだ』と待っているということがありますもんね。僕も家康さんを待っていますから」

――先ほど、栄一の役が染み込んでいると言われていましたが、気持ちはすぐに切り替えられそうですか?

「分からないです。僕は終わったらすぐに切り替えられるタイプなんですが、これだけ長い間、いろんなお芝居をやってきたので、等身大の27歳を完全に忘れているんじゃないかと。一気に老けたりしないかなという不安がちょっとあります(笑)。そこを全力で切り替えて変わらなきゃいけないと思っています」

――クランクインされた時は「頭の中が真っ白だ」とおっしゃっていましたが、大河ドラマを経験された今、ご自身で成長したなと感じる部分はありますか?

「余裕を感じている瞬間はないので、いまだに無我夢中です。根本は変わらないですが、栄一の周りの人も栄一の年齢もどんどん変わっていくので、付け足すパーツが変わっていくというか。人との関わり方や声の質など、やり方を変えながら栄一を演じていく、やらなきゃいけないことが最後まで変わらないから結局、無我夢中。初心は忘れられないですね。でも終わった後に『良かったな』と気付くんでしょうね。長いセリフが多いので、そのリズム感や技術的な部分で身になっている部分があるので、今後のお芝居にも大きく影響してくるだろうなと思っています」

――最後に物語終盤の見どころをお願いします。

「栄一の立場や年齢、置かれている状況がどんどん変わっていくのですが、落ち着くことがなく、何歳になってもずっと情熱を持って、時に空回りをしながら進んでいくことは変わりません。その熱量で最後まで勢いのある作品として突っ走れる気がしています。今後、栄一の功績がどんどん増えてきて、皆さんが普段触れているものが生まれる瞬間が描かれていたりするので、より親しみやすく感じると思います」

――ありがとうございました! 

【番組情報】

大河ドラマ「青天を衝け」
NHK総合 日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム・NHK BS4K 日曜 午後6:00~6:45

NHK担当 K・H



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